2017年08月20日

労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬法(CWI法)



FirstAid for Exertional Heat Stroke(EHS). Cool(Ice tub) First,Transport Second.
本記事のURL
http://jemta.org/index_170820.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
お盆休みも終わって、来週からは、仕事開始ですね。

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■[1]はじめに
米国のボストン近くのファルマスという港町で、今日8月20日に11km マラソン大会が開催
されます。1万人以上が参加するロードレースです。平均気温は23℃、湿度70%です。
距離が短く、参加者が頑張るため、毎年平均15人くらいの労作性熱中症の傷病者がでます。
深部体温が40℃を越えた時間が15〜30分続くと生存率は50%しかありません。一刻も早く
冷やす必要があります。ファルマスロードレースでは、1984年から 18年間で合計274名の
熱中症患者がでていますが、1人の死亡者もでていません。救命率は100%です。
その理由は、米国スポーツ医学会(ACSM)、全米アスレティック・トレーナーズ協会(NATA)
が推奨するCWI(Cold Water Immersion) を実施しているからです。

図1.ファルマス・ロードレース


医療テント内には、予め、多数の浴槽と氷が用意され、傷病者に中枢神経障害があり、熱
中症の疑いがある場合には直腸温を測定し、40℃を超えていればCWIを実施し、水温10℃
の浴槽に10分〜15分ほど浸漬します。0.22℃/分の冷却速度で冷却され、直腸温が 38.8℃
になれば浴槽から出します。倒れてから約2分以内にCWIは実施されており、治療実施者の
93%は、病院に行くことなく、現場の医療テントからそのまま帰宅できています。

過去50〜100年前までは、熱中症傷病者に冷水浸漬(CWI)はよくないと誤解されてきました。
急に冷やされると、傷病者が嫌がるのではないか、末梢血管収縮(PVC)と震えのために冷え
ないのではないか(Currie response) 、という誤解です。
しかしこのファルマスロードレースでは、冷水/氷水浸漬による急速冷却が、卒倒後数分
以内に実施されれば救命できることが実証されています。
正常な人が冷水浸漬された場合と、高体温の人が浸漬された場合の生体の反応は違います。
高体温の冷水浸漬では、震えは観測されず、傷病者からの低温に対するクレームはなかっ
たそうです。
深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、EHS労作性熱中症治療の第一の目標です。
"Cool first, Transport second"(冷却第一、輸送はそのあと)のスローガンは強く推奨さ
れています。

AHAのFAガイドライン
では「できれば顎まで冷水につからせる(G2010,S964) 」と推奨され
ています。
Heat Emergencies
The most important action by a first aid provider for a victim of heat stroke is
to begin immediate cooling, preferably by immersing the victim up to the chin in
cold water.
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015
でも「病院に搬送する前に水槽に浸漬させ
る(水温2℃で9分浸漬の事例を紹介)P13」を推奨しています。
日本医師会発行の国際マラソン医学協会医療救護マニュアルP83
にも、ファルマスのよ
うな方法が具体的に示されています。

日本はAEDのPAD導入が欧米に比較して10年以上遅れました。熱中症の分野においても米国
の方が10年程以上、進んでいるのではないかと思います。
救急医@ER/ICU氏のブログ「対熱中症 総力戦」
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11312235241.html
以下の動画は削除されましたが、Dr林先生も氷水でのクーリングは厳禁と言われていまし
た。(熱中症と脱水)
https://www.youtube.com/watch?v=G8_g1BNclHA

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文献:冷水浸水:演習熱中症治療のゴールドスタンダード
Exerc Sport Sci Rev. 2007 Jul;35(3):141-9.
Casa DJ,et al.,Cold Water Immersion: The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatment
http://journals.lww.com/acsm-essr/Fulltext/2007/07000/Cold_Water_Immersion__The_Gold_Standard_for.9.aspx
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ファルマス ロードレース大会で労作性重症熱中症に対するCWI冷水浸漬の治療結果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24983342
Demartini,Casa et al.,Med Sci Sports Exerc. 2015 Feb;47(2):240-5    (カ)
Effectiveness of Cold Water Immersion in the Treatment of Exertional Heat Stroke at the Falmouth Road Race
・米国ボストンから、車で90分のファルマス(緯度は函館と同じ)で毎年開催されるマラソン
・8月開催(18回の大会の平均気温23.3℃、湿度70%)、毎回1万人(プロ/アマ)参加。
・(1984-2011)18年分のマラソン大会を解析。
・距離が11kmと短く、ランナーは早く走るため、熱中症が多い。2.1人/完走者千人
・合計274例の労作性重症熱中症。平均15人/大会。テント治療の40%が熱中症。平均15歳
・事前に、CWI用の冷水浴槽を医療テント内に準備(温度10℃、容量190L)。
・直腸温が40℃以上で重症熱中症と判断。すぐにCWI(冷水浸漬)を実施。
・浸漬中は、2分毎に直腸温、HR、BPを測定
・直腸温が38.8℃以下になったら、CWIを中止
・重症熱中症患者の生存率100%、93%はテントから帰宅できた。
・平均冷却速度は0.22℃/minを記録でき、この値は性別、年齢、初期直腸温度と無関係
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■[1-2]熱中症の分類

◆l熱中症の発生原因による分類では、以下の2つに分けることができます。
労作性 :運動や作業で自ら産生した熱と環境熱によるもの(Exertional Heat Stroke)
非労作性:環境熱によるもの(Passive Heat Stroke)

◆熱中症の重症度分類は、例えばAHAのファーストエイド(国際分類)では、
@熱失神(heat syncope)熱痙攣(heat cramps):入院の必要なし。冷却し・水分補給する。
A熱疲労(heat exhaustion):病院に行くべき。体温調整機能あり。汗はかいている。
B熱中症(heat stroke):集中治療が必要。体温調整機能破綻。汗はかかない。
の3つに分けており、日本救急医学会のガイドラインでは、上記をT度、U度、V度に分
類しています。

この投稿では、労作性の重症V度熱中症の現場でのファーストエイドと初期治療について
述べます。
労作性熱中症の定義は、深部体温が40.5℃以上と定義されます。低ナトリウム血症も考え
られ、高体温を放置すると体温調整機能が破綻し、サイトカインが活性化され、全身が炎
症をおこし、多臓器不全を起こし、死亡します。

本投稿を書こうと思った淵源は、2013年8月8日11時20分に、京都府宇治市内で気温32℃を
超える中で行われていたアメフト部の練習試合で、3年生の男子部員(17)が熱中症で倒れ
亡くなってしまった事故にあります。
http://www.sports-parents-japan.com/stopaccident/highschoolfootballheat/

この男子高校生の体温は43℃で、現場でもアイスパックを使った応急手当がされていたか
もしれませんし、病院での治療の結果38℃まで下がったとのことですが、(公開されてい
る情報だけから判断するのは誤りがあるの可能性があるとは思いますが)要するに、体温
を下げる速度が低く、高体温の状態が長く続いたからではないかと思いました。もちろん、
倒れる前の「試合をする判断」自体に問題があると思いますが、ファーストエイド的にみ
ると、米国のように科学的根拠に基づいて、適切に熱中症の初期治療をしていれば、もし
かしたら、助かったのではないかと、非常に残念に感じていました。初めは自分自身もよ
くわかっていなかったと思いますが、ファーストエイドのガイドラインを読んでいて気づ
きました。

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■[1-3]労作性熱中症の生存率
スポーツ中や野外の作業中などで、深部体温が40℃を超えて倒れた場合に、助かるかどう
かは、何℃まで体温が上がったかではなく、40℃を超えた状態(Critical Temp.)が何分続
いたかによります。
以下のグラフは、熱中症関連の記述によくあるグラフです。


図2.熱中症の生存率 http://jap.physiology.org/content/42/6/809

深部体温40℃を超える状態が20分以上続くと生存率は5割以下になり、50分以上続くと2割
以下になります。日本の場合は、救急車を呼んで病院に収容されるまでの時間は約40分か
かっています。初めから、倒れないように予防することが最も大事ですが、倒れてから病
院に運んでいても助かる可能性は低いです。心室細動で卒倒した場合に現場で AEDを使う
応急手当と同じで、現場でのファーストエイドが最も大事です。
図2では、臨界高温が15〜30分続いた時の生存率は50ですが、これを中間の22.5分での救命
率が50としてプロットし直したのが次の図3です。


図3.心室細動と労作性熱中症の救命率

心室細動の場合は、10分何もしないとほぼその場で亡くなります。10分間で予後が決まり
ます。但し労作性熱中症の場合は、倒れてすぐ救急車を呼んでも、日本の場合、病院に着
くまでに40分くらいかかります。普通は、電話するまでにももっと時間はかかるはずです。
この見積もりでは40分で、救命率は3割です。病院に運んでから冷やしても間に合いません。
しかも心室細動ではその場で結果がでるのに対して、熱中症の場合は倒れてから、1時間
の処置で予後は決まるのですが、すぐには亡くなりません。通常亡くなるのは半日から、
1週間後です。ですので適切な初期治療がされたか否かが、評価されにくいのです。

「Cool First!! Transport Second!.」です。
具体的には、深部体温が40.5℃以上なら、氷風呂(2〜13℃)に浸漬させ、倒れてから 30分
以内に体温を39℃まで下げる必要があります。
日本医師会発行、国際マラソン医学協会医療救護マニュアル P81労作性熱中症チャート

以下は、ファルマス・ロードレースでの冷水浸漬のデータです。

図4.ファルマス・ロードレースでその有効性が実証されたCWI(冷水浸漬)  (カ)
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■[2]体温測定(直腸温度/口腔温度/腋窩温度)
恒温動物は体温を一定に保っていますが、3次元空間的には温度の分布があります。


図5.ヒトの体内温度分布

温度を測る部位によっては、値が違っています。

図6.測定場所ごとの正常な体温範囲(SureTemp Plus 690/692マニュアルより)

■[2-2]腋窩/口腔体温では深部体温を測れない
以下のグラフは、体内に直腸温度計を入れて、マラソンした時の温度変化です。

図7.奥本先生が計測されたマラソン走行時の直腸温(名桜大学広報P13)

以下のグラフは、運動した時の直腸温および口腔・腋窩温を同時に測定した事例です。

図8.運動中の直腸温および口腔・腋窩温の比較
(図中に挿入した温度計は論文に記述されている製品ではなく、一例です。)

見て分かる通り、直腸温はあがっていますが、口腔・腋窩温は変化がありません。つまり
『口腔・腋窩温で測定して、その値に何度か足すと直腸温になる』という推測は一切なり
たちません。熱中症の診断には、必ず、直腸温を測る必要があります。逆に言うと、誤解
を与えるので、口腔・腋窩温を測っても意味がなく、測るべきではありません、。

2002 National Athletic Trainers' Association 声明
「ATCは、運動中および運動後の体内温度の不正確で非効果的な測定値であるため、
運動者の口腔、鼓膜、腋の下の温度に依存してはならない」
皮膚の温度、汗の蒸発、体液の摂取、および風の影響を受ける可能性があるため、
正確性についての疑義が生じる。


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■[3]直腸温測定のための温度計

以下に温度計の一例を示します。

図9.直腸温が測れる温度計の例

◆ER(救急外来)の例
@フクダ電子 生体情報モニターHBP-2070/2071 \960,000
http://www.fukuda.co.jp/colin/products/basic/103.html
@日機装サーモ(株) 体腔挿入型温度プローブ YSI-401J 
http://www.nktherm.com/products/tm_probes/400_700series.html
@日機装サーモ(株) ゴムカバーの装着方法
http://www.nktherm.com/img/latex_cover.pdf
ラテックスアレルギーに注意
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11588579600.html
◆乾電池式なので、持ち運び使用可
Aテルモファイナー CTM-303 \99,000
http://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me95.html
◆手軽な廉価版
Bテルモ電子体温計C405 (口中,直腸用)Amazon¥2,916
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B008KZIGEO/
C数字医療温度計(口中,直腸) Amazon¥2,280
https://www.amazon.co.jp/dp/B07125HKKC/
◆個人輸入で入手できる温度計
DWelch Allyn SureTemp Model690 ebay32,031円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/192190946966/
http://goo.gl/Z8Jg5q
Dカバー ebay3,041円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/252665982333/
◆その他の直腸温度計
E日機装サーモ(株)(8ch)データ収集型ハンディタイプ温度計N543
直腸温プローブITP010-11(先端球5mmφ、チューブ3.5mmφ長さ25cm、ケーブル長2m)
http://www.nktherm.com/products/meters/n540-datalogger.html
F3M ベアーハガー深部温モニタリングシステム
http://goo.gl/FwzhJf
 この温度計が熱中症に対応し普及すれば直腸温を測らなくてもすむかも。
Gグラム(株) 2ch高精度温度計LT-2 Amazon82,620円+直腸温センサーLT-2N-11 24,840円
http://gram-corp.co.jp/product_f/product_f0.html
H[膀胱温測定]導尿用(温度センサー付)膀胱留置カテーテル[YSI-400準拠]
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/780045/780045_221ADBZX00098000_B_01_02.pdf
J安立計器 温度計 HD-1100E ¥48,600 (合計64,800〜)
http://www.anritsu-meter.co.jp/instrument/ha/ha-100.htm
K安立計器 温度センサー1600E-TS3-ASP(全長3m)16,200円〜 3mmφ,10cm長シリコンゴム
http://www.anritsu-meter.co.jp/sensor/sp/tc1600.htm

◆滑りをよくするために挿入部分の先にあらかじめ塗っておく
Lワセリン Amazon¥411
https://www.amazon.co.jp/dp/B000FQUJM8/
◆氷風呂の温度測定用(注意!直腸温ではありません。)
M隔測(かくそく)式温度計(プローブ+レシーバ式)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01C2QUDSS/
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E01RB8Y/

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■[3-2]直腸温の測り方
ERやICU 以外の医療現場で直腸温を測ることはあまりないと思います。看護師さんも学校
で実習した記憶はあまりないと思いますし、実際に1回も経験されたことのない方もおら
れました。ただし、膀胱カテーテルの留置や浣腸についてはほとんど経験があるのではな
いかと思います。温度プローブを肛門から直腸に入れるには、浣腸のやり方が参考になる
と思います。注意すべきことは、過去、グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔の医療事故が
起きており、起立したまま行ったり、挿入の時に抵抗があった場合にそのまま入れてしま
うと、穴があく危険性があります。
http://www.med-safe.jp/pdf/report_2012_3_R002.pdf
また直腸には痛みを感じる神経がないため、せん孔になっても出血するだけで、その時点
では痛みを感じないので、わかりにくいです。
Casa先生が書かれた献では、直腸温の測定は医師がすべきと書かれたものがありましたが、
競技や大会を主催する側は、どの医師でもいいというわけではなく、経験のある人に依頼
するべきだと思います。それぞれ専門があります。例えば医師の3割は AEDをうまく使え
るか否かわからないとのアンケート結果もあります。



図10.直腸温の測り方(参考図:浣腸の取扱い)

但し、図10では足の曲げ方が少し不十分ではないかと思います。起立に近い状態だと、
直腸と肛門がなす角度が直角に近いので、直線に近づけるためには、ひざをぐっと曲げた
スクワッド姿勢の方が温度センサーを入れやすいと思います。


図11.座位とスクワッド姿勢の時の直腸肛門角

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フランスや北米では、直腸温を市民が測っている国があるそうですが、日本では一般的で
はありません。普及品の温度計では、肛門部分しか入らないので、正確に測れないと思い
ます。看護師さん用のサイトを見ると、温度プローブは肛門から 6cm入れると書いてあり
ます。しかし、Casa先生が書かれた論文をはじめ、私が今回見た論文は和洋共、肛門から
10〜12cm入れていました。
直腸の長さは20cmくらいです。直腸は便の貯蔵庫であり、骨格との関係もあるかもしれま
せんが、簡単に外にでないように、管がくねっているのではないかと思います。挿入直線
路から見ると、ヒダが3つでており、10cm 入れるためには、すくなくとも2つのヒダを越
える必要があります。

医療用温度プローブとしては、例えばYSI400等ですが、全長3m程度で、先の温度センサー
の部分も、フレキシブルで柔らかく、電線のコードのように、楽に曲がります。バルーン
アートの細長い風船のようなゴムカバーを温度センサーにつけ、滑りやすいように、白色
ワセリンを塗って事前準備をします。傷病者の羞恥心に最大に配慮して(バスタオル等?)
左側臥位でなってもらい、口呼吸をしてもらうということは、一般的な注意点だと思いま
す。どこまで挿入するかわかるようにしておきます。挿入を始めて抵抗を感じたら、その
まま無理に入れようとせず、一旦引き戻して、方向の再調整が必要です。温度プローブを
留置してから、温度を読み取るまでは時間がかかりますので、マニュアルに従います。
中枢神経障害があり、40℃を越えて熱中症と判断された場合は、冷水につけますが、浸漬
中もずっと温度をモニターし、38.8℃以下になったら浴槽から出します。



図12.直腸の構造と直腸温プローブの挿入


■[3-3]医師法と直腸検温
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うこと
http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf
・直腸検温を医療者以外が反復継続の意思を持って行えば、医師法違反の恐れがあり。
(逆に言えば、反復継続の意思がなく、臨機応変の手当てとすれば医師法違反にはないが
 測定の時に腸を傷つけたり、救助行為によって被害がでれば傷害罪の恐れもあり)
・上記の通知によれば、市販の使い捨て浣腸器で、6cm までいれることは医師法には反し
 ないことになっています。医療行為とそれ以外を分ける理由は、「その行為によって、
 誤ったやり方をすると重大な損傷を与える可能性があるから」ということであれば、
 管を入れるのは、浣腸も直腸検温も同じであり、直腸検温は薬物を入れるわけではない
 ので、温度プローブを6cm 入れるのは医師法違反にはならないかもしれません。しかし
 日本では直腸温検温が一般的でないため、どうなのかは裁判官の判断によると思います。


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[4]熱中症の生理

熱中症の生理については、以下の論文の内容を示します。
Journal of Emergency Medical Services
Identification and Treatment of Exertional Heat Stroke in the Prehospital Setting
http://goo.gl/K2eqij

労作性熱中症(EHS)の病態生理学は、骨格筋収縮および環境因子を介した熱収量の割合が
熱損失のそれを超えるときに、物理的に発揮している個体において起こるという点で、
非労作性熱卒中とは根本的に異なる。
細胞レベルでは、臨界閾値(>40.8℃)を超える過剰な熱は、膜脂質の変性および液化を引
き起こし、脳症、横紋筋融解および肝臓および腎不全を含む多臓器機能不全をもたらす。
この損傷は、不可逆性になり、温熱療法が迅速にされなければ、最終的に致命的となる。
十分に訓練された選手は熱馴化の保護効果により、40.6℃を超える中核温度に耐えること
ができ、心血管のひずみを減少させ、直腸温を低下させる。熱性または胃腸疾患、薬物使
用(例えば、利尿薬、特定の精神医学的薬物療法、喘息薬)および肥満のような既存の状
態は、EHSを発症するリスクが高くなる。
研究により、多臓器不全は、熱細胞傷害性、凝固障害および内毒素媒介性全身性炎症反応
の複合効果に起因することが示唆されている。高体温に対する最初の心血管応答は末梢血
管の拡張であり、皮膚への血流を増加させて蒸発冷却を最大にする。これは、内臓の血流
の減少によって増強される。この血液は末梢循環に分流されて全身血圧を維持し、熱損失
に寄与する。

しかしながら、脾臓血流の長期的な減少は、虚血環境をもたらし、胃腸管へのニトロソ化
および酸化ストレスをもたらし、その後、循環および腸のバリア機能不全を引き起こす。
腸はますます透過性になり、腸内細菌は全身循環に漏れる。増加したサイトカインレベル
と結合したこのエンドトキシン血症は、激しい熱ストレスの間に訓練を受けた者および訓
練されていない者の両方で起こり、敗血症性ショックの間に見られるもののEHS を反映す
る炎症プロファイルになる。
EHS が進行するにつれて、播種された血管内凝固セットおよび複雑な細胞応答カスケード
は凝固経路を活性化し、過度のフィブリン沈着および血小板凝集を引き起こし、微小血管
血栓を引き起こす。これらの血栓は、末梢組織への虚血性損傷を引き起こし、最終的な器
官の機能不全、そして最終的には機能不全をもたらす。血小板および凝固蛋白質の消費量
は最終的には生産量を上回り、過剰な出血のリスクが高まる。これは、致命的なEHS で観
察されている胸膜、角膜、および腸間膜出血を説明する。
脳への直接的な熱傷害はまた、変化した意識レベル、発汗メカニズムの喪失、および制限
された瞳孔を含む中枢神経系の異常を導く。胃腸系と同様に、血液脳関門の完全性は失わ
れ、浸透性の増加は脳浮腫、昏睡、そして最終的には不可逆的な脳損傷および死をもたら
す。これらの生理学的変化は急速に進行する。動物モデルでは、死亡率の増加は直腸温で
はなく高体温の持続時間に関連していた。

即座に冷却すると、身体はこの鋭い損傷からほとんど回復することができます。しかし、
40.8℃の細胞の臨界閾値を超える長期間の高体温は、不可逆的な臓器損傷および又は死を
もたらす可能性がある。

高熱患者は、温熱患者と比較して正常体温の異なる温度調節反応を示す。
冷水中での突然の浸漬の副作用として、
「急速な交感神経反応のために心臓不整脈および心臓血管ショック、突然の血管収縮」等
が懸念されているが、これらの副作用(徐脈、末梢血管収縮、および中核血流)を経験する
ことは見出されなかった。
正常体温者は、PVC とシバリング(震え)を介して体温を守りますが、体温が高い人はこ
れらの反応を鈍らせて急速に冷やします。(温度が急激に低下するのと同様に CWIに従う)。
PVCとシバリングはある程度発生する可能性があるが、CWIの重度の温熱患者に見られる急
速な冷却は、CWIの間に中心的な応答が最初は正常体温者とは全く異なることを示している。


図13.高体温の傷病者と正常体温の人を冷水に浸漬させた時の体温変化の比較
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自分の体温が正常な時に、冷水に入ると体は震えその産生した熱で体温を保とうとします。
しかし、自分の体温が高体温の場合、前者とは反応が違い、シバリングは現れず、体はそ
の冷却を受け入れます。
人の体はよくできています。熱中症とは違う領域ですが、例えば心停止の時に胸骨圧迫す
ると、通常は体全体に流れる血流が、脳や心臓等の中心部位に流れるようになるそうです
(文献)。JRCの岡田和夫元会長はこれを神の摂理と言われていました。
(救命おかやま特別講演2013/6/29近代蘇生法の確立1960年から2015ガイドラインまでの道)
熱中症の時の冷水浸漬の際も、この「神の摂理」が働くのではないかと思います。

最後に、この手法の問題として、他の高体温の合併症を管理するためのCWI 中の不適切な
アクセスが挙げられます。心臓モニタリングおよびIV流体投与は、CWI 中に首尾よく行う
ことができる。CWI使用経験のある者は、挿管の発生率を<1%、嘔吐<10%、発作<5%、お
よび闘争的態度15-20%と推定している。これらの合併症を管理している間は、高熱状態に
起因することが多いため、冷却を停止してはなりません。

大部分の患者は、提示時には頻拍性であるが、全てが低血圧ではないが、生命徴候は典型
的には高体温の解決後に正常化する。病院前の環境では、IVアクセスはほとんど必要とさ
れず、熱ストレスによって脱水が促進され、EHS患者は IV液の恩恵を受けることがありま
すが、これは救急部への輸送が必要な患者にのみ必要です。ほとんどの患者は、CWI の後
にオンサイト治療から直接放出され得る。
現場でのCWIは100%の生存率で安全かつ効果的であることが示されています。

EHS のリスクが補足的治療のリスクまたは不都合をはるかに上回る緊急事態です。酸素お
よび静脈内投与は、浸漬中でも可能である。 口と腕に簡単にアクセスできます。
自動体外式除細動器(AED) の潜在的な使用はより大きな懸念事項である。幸いにも、積極
的な冷却によって急速に治療されるEHSを持つ運動選手は、AEDを必要とする心臓血管の問
題を有することはまれである。

直腸温度計が利用できず、臨床シナリオがEHSを強力に示唆している場合は、CWIを開始す
ることを推奨します。病院前の環境におけるこれらの取り組みの終点は、大部分の患者に
十分な冷却をもたらすので、震えの開始、または15〜20分の冷却のいずれかでなければな
りません。
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[5]冷却の手法



図14.種々の冷却方法による冷却速度

米国の数多くの州のEMS プロトコルでは、患者を扇状にしたり、窓を開けたり、脇の下、
頸部、鼠径部に冷たいパックを貼るなどの効果的な冷却方法の使用を推奨しています。
しかし、これらの方法は、上記の図を見れば効果が低すぎることがわかります。
ケミカルコールドパック(CCP) は冷却後の冷却速度が遅く、冷却の主要な方法として使用
すべきではありません。CCPを使用して直腸直腸温41.44℃のEHS患者を治療する場合、
Falmouth Road Raceで見られた平均値で、38.9℃の目標温度に達するまでに70分以上かか
ります。

深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、 EHS労作性熱中症治療の第一目標です。
例えば、初期温度が43℃の傷病者を30分以内に40℃未満に下げるには少なくとも、
43℃−(0.10℃/分)*30分=40℃
ですので、冷却速度>0.10℃/分の冷却方法を使う必要があります。図14だと少なくとも赤
色の縦線より、右側にある冷却手法であれば、この目標を満足します。
図14は、幾つかの実験を寄せ合わせなので、実験の違いによる矛盾も少しあります。しか
し、脇の下や鼠蹊部に氷を入れるような応急処置では、冷水浸漬の効果の2割以下であり
全く不十分です。
一方、ファルマスロードレースでは、38.8℃未満を目標に、水温10℃の浴槽に浸漬させ、
冷却速度0.22℃/分で、浸漬時間20分未満で、救命率100を達成しています。


又、冷水浸漬CWIは、以下の日経メディカル記事で紹介されている救急処置室の方法より、
3倍以上の効果があります。
重症熱中症患者を救う新冷却法(カテーテルやジェルパッドで体温を迅速に下げる)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201508/543357.html

図15.冷水浸漬CWI vs サーモガイドシステム/アークティック・サンの比較


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以下にバスタブ浸漬の例を示します。
温度センサーと温度計本体が分離している隔測式温度計で、直腸温をモニターしています。

図16.バスタブ冷水浸漬の例 CWI(Cold Water Immersion)
http://www.nata.org/sites/default/files/HeatIllnessOverview.pdf

冷水浸漬の動画は以下で見れます。
浴槽に入れる前、傷病者の体から、直腸温の温度センサーのコードがでているのがわかり
ます。長いバスタオルを傷病者の胸から両脇を通して、後ろ側の浴槽の縁で押さえていま
すが、これは傷病者が溺れないようにするためです。
UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)

https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80

(Casa先生も出演されています。)
Preventing Sudden Death in Sport

https://www.youtube.com/watch?v=KzerHULhZ64

New Technique to Cool Down Athletes(アスリートを冷やす新しい技術)

https://www.youtube.com/watch?v=NQgVbbrtUpM&t=9s


尚、冷水浸漬により、40℃から正常温に戻るまでの時間は、
2℃の冷水で10分、8℃で15分かかります。


図17.水温と冷水浸漬の深部体温の時間変化

出典:図17./図18.
Effect of water temperature on cooling efficiency during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf


冷水に浸漬させると、深部体温が正常値まで下がるのには時間がかかります。この時、
表面の温度は10℃程度になります。これくらいまで下がらないと深部を正常にできません。



図18.水温と冷水浸漬の表面温度の時間変化
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[6]重症熱中症のファーストエイド/初期治療の具体例



図19.冷水浸漬のための機材例
重症V度熱中症(熱射病)患者に対する応急手当(初期治療)のシミュレーション例
*リソースの予算を見積もるために、価格の例も入れています。

予め準備しておく器材例
■ビニールエアー浴槽¥7,380  梱包サイズ:35x30x12cm3.7kg(使い捨て使用)
TheChoice 折り畳み式 PVC エアー浴槽 浴槽 AC100Vエアーポンプ付(空気入れの時間要)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N74RPBE/
別案:子供用プール ¥1,279 大人が足を延ばして居れる
https://www.amazon.co.jp/dp/B000OV0X48

■冷凍庫198L ¥43,468円 NORFROST ノーフロスト チェストフリーザー 198L JH198CR
庫内寸法(mm)605×395×665=159Lリットル
(クラッシュアイス(47×31×21cm)は、3箱入るハズ)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0088WS1G2/

■ストレッチャー
緑十字 救い帯 \3,163
https://www.amazon.co.jp/dp/B00COZMK0M/
アズワンNW-S ストレッチャー \3,015
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MDT87NV/

■クラッシュ氷 2s×6袋×4箱=48kg ¥10,560円 クール便(関東〜九州)送料無料
1箱[2s×6袋(12kg)]で2,640円。4箱(48kg)で10560円。 
https://www.hyohan.com/crash/164.html
1個47×31×21cm 3個47×31×63 4個47×31×84cm=122リットル

合計¥67,586
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■[6-2]必要な氷の計算
下記に計算例を示します。
結論としては、上記の浴槽の場合は、
・浴槽に水を6割入れ(水152L(底から24cm高さ))
・-20℃の氷を2箱(21kg)
入れるとファルマスと同じ10℃の浴槽を作れます。

-------------------------------------------------------------
■2℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
(水の初期温度24℃とし、氷の温度は冷凍庫の温度-20℃とする。)
24℃で、浴槽を200Lとし、その水200000gの水が失う熱量は
Q1=200000*4.19*(24-2)=18436000 [J]

48kgで、-20℃の氷が0℃になるのに必要な熱量は
Q2=48000*2.085*20=2001600 [J]

48kgで、0℃の氷が0℃の水になるために必要な熱量は
Q3=48000*333.5=16008000 [J]

溶けた48kgの氷から出来た水がt℃の水になるために必要な熱量
Q4=48000*4.19*2=402240 [J]

Q1 =18436000 [J]
Q2+Q3+Q4=18411840 [J]

人の体は60kgとし、頭の体積は7%なので、首から下は56リットル。
200L+48L+56L=304L
浴槽は260Lなので、9割だと230L。(200+48)*0.7+56=230なので、結局
この浴槽に満杯の9割の2℃の冷水を作るには、
●水140L(底から22cm高さ)と-20℃の氷34kgが必要

-------------------------------------------------------------
■10℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
上記の同じに計算すると氷は28kgで、
Q1=11732000 [J]
Q2+Q3+Q4=11678800 [J]
でほぼ釣り合う。200L+28L+56L=284。(200+28)*0.76+56=230
この浴槽に満杯の9割の10℃の冷水を作るには、
●水152L(底から24cm高さ)と-20℃の氷21kg
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■[6-3]使い方
運動熱中症患者のための冷水浸漬を実施するための実践ガイドライン。
(The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatmentより)
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1. 最初の応答。
  激しい熱中症が疑われる場合は、患者を冷やして
  緊急医療サービス(EMS)に連絡する準備をします。

2. 氷水浸漬の準備。
  畑や一時的な医療用テントでは、水や氷で満たした水槽や水槽に半分を満たして下さい
 (緊急の前に、水源を調べて水槽にどれくらいの時間で水が入るか確認して下さい)。
  a。 貯蔵タンクは、イベントの前に氷と冷たい水で満たされてもよい
    (または、水槽と水槽との間に3-4クーラーの氷が満たされていて、
    その日の間に桶が寒くならないようにする)。
  b。 氷は常に水の表面を覆う必要があります。
  c。 アスリートが運動訓練室の近くで倒れた場合、
    ジェットバスや冷水シャワーを使用することができます。

3. バイタルサインの決定。
  熱中症患者に没頭する直前に、生命徴候を起こしてください。
  a。 直腸サーミスタを用いて中核体温を評価する。
  b。 気道、呼吸、脈拍、血圧を点検する。
  c。 中枢神経系の機能不全のレベルを評価する。

4. 氷水浸漬を開始する。
  アスリートを氷水浸漬槽に入れる。
  医療従事者、ボランティア、およびチームメイトが、円滑で安全な入退室を支援する
  ために必要な場合があります。

5. 全身のカバレッジ。
  冷却しながらできるだけ多くの体を氷水で覆う。
  a。 コンテナのために全身をカバーすることができない場合は、できるだけ胴を覆う。
  b。 アスリートの頭と首を水の上に保つために、
    助手は、胸や腕の下に包まれたタオルまたはシートで腋窩下に傷病者を抱きつけ
    てもよい。

6. 水の循環
  冷却中、水と皮膚の温度勾配を増加させるために連続的に循環させなければならない。
  助手が冷却中に水を旋回させる。

7. 継続的な医療評価。
  バイタルサインは定期的に監視する必要があります。
  a。 アスリートが戦闘になった場合に助手が近くに立つのが役に立ちます。
  b。 他のアシスタントは、嘔吐が起きた場合に、アスリートを持ち上げたり、転がした
    りする必要があります。

8. 静脈内投与。
  医療従事者がいる場合は、水分補給と心臓血管機能のサポートのために、
  静脈内投与をすることができます。
  a。 水浸漬槽の側面に腕を置きます。

9. 冷却時間。
  患者の直腸温が39℃に下がるまで冷却を続ける。
  a。直腸温度を測定できず、冷水浸漬が指示された場合は、
   10-15分間冷やしてから医療施設に搬送してください。
  b。あまり効果的でない冷却様式が投与された場合、
   25-45分間冷やしてから、医療施設に輸送してください。

10. 患者の搬送。
  直腸温が39℃に達した後にのみ浸漬槽から患者を取り出し、できるだけ早く EMS経由
  で最寄りの医療施設に移す。
   a。冷却は輸送前の第一の目標でなければならない。
    EMSまたは病院に氷水浸漬で冷却する設備がない場合は、
    現場で安全な直腸温に冷却を続けてください。

11. 高度な医療サポート。
  輸送中、直腸温度計により体温を連続的に監視することができます。
   a。アスリートが病院に到着すると、検査やその他の治療は、高体温の結果生じる問
    題に対処します。
--------------------------------------------------------------------------------

■[6-4]バスタブがないときの代替方法(タコス法:Taco Method)


図20.タコス法によるCWI(冷水浸漬)
救急隊でPA連携している場合は、シートと氷さえ用意すれば、ポンプ車の水を使って、
タコス法は実現可能ではないでしょうか?

タコ法の実演動画 UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)
https://youtu.be/sFocmPvWm80?t=1m13s

■[6-4]バスタブもブルーシートもない時(氷水バスタオルによる代替)
CWIがない場合、氷水に浸したタオルを傷病者の皮膚全身にあてます。
1分あたり0.11℃の冷却速度で効果的だがゆっくりとした代替物が得られます。
タオルは、背中を含む身体の最大部分をカバーし、数分ごとに交換する必要があります。

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他の参考文献
【Sayuriさんのブログ】スポーツ中の熱中症対策、できてますか?
Exertional Heat Strokeについて考える。
 http://innervate.exblog.jp/24438239/
Falmouth Road Raceから熱射病ケアを学ぶ
 http://www.chainon.me/falmouth-road-race/
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。



posted by jemta at 17:36| 日記

2017年06月21日

Yさん (70代男性、老人施設事務、BLS更新2回)、76歳の入所者の窒息を救う



本記事のURL
http://jemta.org/index_170621.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

このお話は、先週、弊会の AHA-BLSコースに来られたリピーター受講生の方が、コース初
めの自己紹介のコーナーで語られたお話です。

Yさんは70代の男性で、岡山市内まで、車で3時間もかかる遠方から来られました。ご自身
で高齢者施設を立ち上げられました。医療従事者でもなく、介護資格をもたれているわけ
ではありません。町内の役場によく通っているなかで、町立病院の看護師さんとよく話す
機会があり、その看護師さんが弊会の BLSコースに行くという話をしたら、自分も是非参
加したいと申し出られたそうです。Yさんは、看護師さんとご一緒に合計3回、弊会のBLS
コースに参加されました。

このお話は、2回目のBLSコースを受けたあと、1カ月後のことだそうです。
ご自身の施設の76歳の入所者の方が、食事中に窒息をおこしました。施設の看護師さんは
入所者の口の中を描き出して、異物を取り出そうとしたり、吸引器を使おうとしたそうす。
しかし、異物を出すことはできず、仕方ないのでベッドに連れて行こうとしたそうです。
入所者さんの顔色はみるみる青くなっていきました。

それを見たYさんは、これはまずいと思い、 BLSコースで学んだ腹部突き上げ法を自分で
行い、その後、CPRを開始しました。 119番通報してから7分後に救急車が到着したのです
が、到着する少し前に、入所者は息を取り戻し、救急隊は患者を見て、「もう大丈夫です
ね」と言われたそうです。Yさんは、BLSコースに来てよかったと話されました。
このお話では、医療者は患者を救うことができず、事務方が患者を救っています。

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日本は BLSの教育が遅れており、医療従事者でも、救命処置を適切に行えないことは多い
と思います。その問題が表面に出ていないだけです。
米国では、就職する際に、医療従事者免許のカードと BLSやACLSカードを提出しないと入
職できませんし、また、定期的に更新しないと勤務を続けることができません。日本での
問題点は、(1)制度の問題と、(2)職業人としての自己研鑽の必然性の2つあると思います。

(1)制度の問題
一般市民としては、医療者は、救急が専門であるかどうかに関わらず、ERにつなぐ、最初
の第1次の救命は完璧にできるはずだと期待されていますが、実際に現場で適切に行われ
ておらず、適切ではないことが表面にでていないだけです。1次救命スキル保持「制度」
としては十分に機能していません。教育行政を行う人たちが、まずそこを理解していない
と思います。医療者なら必須のスキルである、現場での第一次の救命処置のスキルが必須
だと思われていないのです。
まず、入職の前に1次救命を行うトレーニングを十分につんでいるのかどうかです。
(例えば学科の実習で50人の学生を相手に1時間程度の練習では不十分です。)
(実習後に、適切な試験を行い、その学生のスキル保持を対外的に証明するしくみが必要)
入職後に、定期的にトレーニングと試験を行う必要があります。

現状の制度としては、入職前にスキルや知識を持っていなくても日本では不問ですし、日
本の医師免許・看護師免許は、米国と違って、更新制度がなく、何も訓練しなくても勤め
ることが可能であり、1次救命に関しても定期的な訓練制度がありません。一度免許を取
得すれば、あと何もしなくても一生保証の国家制度になっています。
日本社会では、例えば一般市民でも、事故をおこして他の人を傷つけてはいけないからと、
運転免許ですら、更新制度があります。航空機の機長も人の命を預かる仕事なので、免許
更新制度があります。医療者は患者の命を直接預かる仕事で、侵襲的な行為も認められて
いるのに、医療資格を更新する必要がありません。国交省は、更新制度を作っているのに、
国民の生命を守るべき厚労省は制度を作っていません。米国の CDCやOSHAは積極的に国民
のために動いていると思いますが、厚労省は米国情報を引用するだけで自ら積極的に動い
ていないと感じます。一例ですが、日本蘇生協議会 (JRC)の元会長の岡田和夫先生は2008
年NPO救命おかやまの特別講演において、日本のILCOR関連の対応に関して、厚生省からは
途中で梯子をはずされて困ったとのお話をされておられました。
2千人医師へのアンケートによると、2割の医師はAEDを使う自信がないといっていますし、
院外での心停止を10秒以内に判断できると答えた医師は6割にとどまっています。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2014/06/News_20140612.pdf

(2)職業人としての自己研鑽の必要性
ILCORが世界最初の Advisory Statement(心肺蘇生に関する勧告)を出したのが1997年です
から、それよりずっと前に医療免許を取った方は、1次救命を一度も習っておらず、訓練
したこともないと思います。新しいことは、自ら選択して、自分の意志で訓練しないと、
できないはずです。院内でされている講習会の例を伺うと、短時間で大人数で行うため、
訓練が十分でなく、また最後にどういう実技試験をしてスキルを取得したか、対外的な証
明ができていません。
医学知識が2倍になるのに、1950年には50年もかかっていましたが、2010年には3.5年、
2020年にはわずか73日で、医学知識が2倍に増えるとの試算がでています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21686208
現場でご自身がご苦労された経験は、容易に忘れることはないと思いますが、新しいこと
を吸収して自分を絶えず進化させないと遅れをとります。学生の時に学んだ知識はすぐに
陳腐化します。知識やスキルを持っていないと態度や経験だけでは人を救えません。
一方、ネットの普及で、一般市民は容易に知識を検索できるようになり、職業人のスキル
を見る目は一層厳しくなっています。
「生きるために学ぶ」時代から、「学ぶことが生きること」と変容できるように自己研鑽
を深める必要があると思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

医療者だけについて書きましたが、これは業務の一環として、生命に関わる初期の対応が
求められる職業の方も同じです。(学校の先生、企業の安全衛生担当、警察官・公務員等)

以上です。


posted by jemta at 17:20| 日記

2016年08月23日

重度の熱中症で深部体温が40℃の患者を冷やすには、2℃の水風呂に浸けても、10分かかる。



本記事のURL
http://jemta.org/index_160823.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・日本救命協会の久我です。先日、以下のツイートを拝見しました。



https://twitter.com/mariaicu/status/766089297694908416

>熱中症で運ばれてきた学生、大量の発汗洋服がびしよびしょかとおもいきゃ、
>救急隊から、ちがうんですよ。学校で大量の氷と水をかけたので、
>直腸温38、6℃身体もあつい。逆に末梢がしまってしまいルート困難に。
>冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。
>こもったままになってしまうのです。
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上記のツイートを見て、一般の方は、現場の看護師さんが言われるのだから『なるほど』
と思われた方もおられるかもしれませんし、
又、熱中症診療ガイドライン2015にも参考として書かれているゲルパッド水冷式体表冷却
装置を既に導入されて、冷却の温度勾配の感覚がわかっておられるERの方は、すぐさま、
上記の「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。」という部分は正しくないと感
じられたかもしれません。

結論から言うと、「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。こもったままになっ
てしまうのです。」という考えは科学的根拠がなく、物理法則に反します。
真実は、『冷却がまだ足りなかった』という事だと思います。恐らく皮膚表面が濡れて一
部は冷たかったのに、深部体温が高かったので、そう思われたのではないかと思います。
例えば、ゆであがったばかりの卵を、綿製の軍手の中に入れて、上から水をかけたり、氷
で囲んでも、すぐにはゆで卵の温度は下がりません。冷水につけてしばらく置かないと下
がりません。

・成人の体の6割以上は、「水」からできています。(比熱 = 4 [cal/(g・K)])
・熱力学の第2法則により、熱エネルギーは、高温から低温側に方に必ず移動します。

V度熱中症のように、例えば深部体温41℃の患者を氷水ほどの冷たい水につけても、深部
体温を3℃下げるのには9分〜24分かかります。(参考*2*3にある0.12〜0.35℃/分で計算)
学校で、大量の水や氷をかけたとしても、ずっとかけ続けなければ深部体温の下降はそう
期待できません。学校で大量の氷と水をかけた処置は大変良く、氷も使って冷やした処置
は適切でしたが、冷やす時間が短すぎて、深部体温を38.6℃までしか、下げることができ
なかったというのが真実ではないかと思います。

冷やし過ぎてシバリング(ふるえ)が起きて逆に体温が上がったり、低体温になるのは避け
るべきですが、人の体の比熱は大きくて、体表を冷やしても、深部体温はすぐには下がり
ません。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
AHAファーストエイドガイドライン(G2010日本語版S964)には以下のように書かれています。

「熱中症の傷病者に対し応急手当員がすべき最も重要な処置は 傷病者をただちに冷却す
ること。できれば顎(あご)まで冷水につからせる」
尚、このガイドラインの引用文献には、2℃の冷水が最も効果的と書かれています。

(ファーストエイドのガイドラインををよく御存じでない方にこの数値を示すと、大体、
皆驚かれます。医療従事者でさえ、もっと高い温度でやんわり冷やすべきだと思われてい
ます。ガイドラインは医療研究の結果を評価して、勧告が作られています。事実を誤解す
ることなく、理解するには、医療者は、最低でもガイドラインを読んだり、このベースと
なっている研究論文に目を通すべきです。AHAはEBMですから、少なくともAHA のインスト
ラクターは、AHA のガイドラインを読むべきです。現場で最も困るのは、責任ある立場の
方が、要旨も読まず、論文も読まず、ガイドラインも読まず、自分が正しいと信じて、疑
うことなく、確認せずに情報発信したり、立場の低い方におしつけることです。)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以下に、参考文献*1に書かれているグラフを示します。

あごまで2℃の冷水につかると、平均皮膚表面温度は10分で約10℃になる。皮膚はとても
冷たくなります。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

直腸温(rectal temp)が40℃の時に、2℃の冷水につかっても、37.5℃に下がるまで10分も
かかります。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

体表面から腋窩や大腿動脈を氷嚢などで冷やす方法は簡便で行いやすい治療法ですが、冷
却効果が少なく、水風呂に比べて大きな効果は期待できません。

水風呂などで、体表面を冷やすことにより、体表温度が下がることはあたりまえです。
熱中症V度のように重症の場合、深部体温を正常値に下げるまでには、体表面はかなり冷
たくなるまで(10℃? or 20℃?)、 冷やさないといけません。冷やし過ぎかどうかは深部
体温を測らないとわかりませんが、シバリングを起こす前に冷却を止めるなどの注意は必
要だと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現場で深部体温を測るのは難しいでしょうし、詳細はわからないので、個人的な一般論で
すが、救急隊はMC医師と連携を取り、MC判断下で、可能であれば現場で、(氷)水風呂につ
けて、ある程度(10分未満)体温を下げてから、病院に運んだ方が予後がよいのではないで
しょうか?
ERの処置室に、水冷式体表冷却装置Arctic Sun 5000(400万円)のような設備
http://imimed.jp/product_review/page_24.html
を導入できている施設はあまりないと思います。本来は重度熱中症の治療には、水風呂に
氷を入れて浸漬させるのが最も効果的です。(水温が10℃未満であれば、直腸温38.6℃、
10℃以上であれば37.8℃で冷却を止めれば、低体温を生じることなく、安全であった報告
があります。*4)しかし、ERの処置室に水風呂をおくスペースを確保することは困難な状
況だと思います。

熱中症ではなく、心停止の場合は、病院に運ぶ前にバイスタンダーや救急隊がその場で、
CPR/除細動することは、既に一般的になっています。熱中症の場合も同じで、救急隊は病
院に運ぶことより、現場で水風呂につけ、深部体温を下げてから病院に運ぶべきです。日
本の場合、119番通報して、救急車が来るまで8分かかり、病院収容までは38分かか
っています。今後は、消防は熱中症の時期は、消防署に氷の備蓄をし、熱中症の通報があ
ったら、PA連携で、タンク付消防車を救急車に同行させ、熱中症の評価をMC下で行い、使
用できる風呂を探して、そこにポンプ車からすぐに水を入れて、傷病者をあごまでつけて
氷を入れて、かき混ぜながら、9分 未満で冷やすべきだと考えます。(シバリングがでた
ら中止)

熱中症診療ガイドライン2015には、以下のように書かれています。
労作性熱中症に対しては、ショック状態など生命を脅かす合併症が存在しない限り、病院
に搬送する前に水槽に浸漬させる、または大量の水を噴霧させるなどして、できるだけ早
期から冷却処置を行うことが推奨されている*4
冷水への浸漬の効果に関する研究では、2℃の水に約9分浸漬させることで直腸温が39.5℃
から38.6℃まで低下すること、目標温度を直腸温38.6℃とした場合は処置を終えた後に低
体温に陥らないことも報告されている*4


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
P.S.
本投稿で初めに紹介した上記のツイートを見られた方が、熱中症の時に『冷やし過ぎはよ
くないんだ』と過剰に思われて、冷却が不十分になると、予後が悪くなります。重度の熱
中症の場合は生命の危険があります。
本投稿では、他人のツィートに突っ込んで大変申し訳ありませんでしたが、予後が悪くな
る傷病者が今後増えるといけないと思い、本投稿をしました。


参考文献
*1
Effect of water temperature on cooling efficiency
during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf

*2
Exertional Heat Stroke: New Concepts Regarding Cause and Care
http://journals.lww.com/acsm-csmr/pages/articleviewer.aspx?year=2012&issue=05000&article=00006&type=abstract

*3
猛威を振るう熱中症! 治療はどうする?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/201607/547608_2.html

*4
熱中症診療ガイドライン2015
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。


posted by jemta at 23:08| 日記

2016年05月05日

30回の胸骨圧迫時間は14.5〜17.4秒であり、15〜18ではない



30 Compresstins time is "14.5-17.4sec", not "15-18" on AHA 2015 BLS Skill Testing Checklist.
本記事のURL
http://jemta.org/index_160505.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


[1]胸骨圧迫のテンポ
  Chest Compression Rate
ガイドライン2015では、胸骨圧迫のテンポは100回/分から120回/分が推奨されます。
2015 Recommendation Updated
Perform chest compressions at a rate of 100/min to 120/min


[2]AHA BLS Courseでのチェック
 BLS Skill Testing on the course
>[BLSインストラクターマニュアルP32]
>[BLS Inst.Manual P32]
>ストップウォッチの使用
>Using Stopwatch
>
>(a)受講生が最初に胸を押したときに、ストップウォッチをスタート
>  Start your Stopwatch when the student first compression the breastbone
>(b)胸骨圧迫が最後の30回目になった時にストップウォッチを止める
>  Stop your Stopwatch at the end of the 30th compression.
>(c)秒数が15秒〜18秒であれば合格とする
>  Mark the step correct if the number of seconds is between 15 and 18 secons,

[3]上記の(a)(b)の操作でストップウォッチの記録時間(c)は29周期分であり、30周期分でない
  If instructor operate avove (a)(b),
  the number of seconds(c) means for 29-cycle,not 30.

テンポ対29回の周期合計と30回
_______++__1T__++__29T__++__30T__++
120/min__0.5sec__14.5sec__15sec__
100/min__0.6sec__17.4sec__18sec__
_______++______++_______++_______++

[4]結論
  Conclusion
スキルテストリストの30回胸骨圧迫の秒数の「15秒から18秒」は不適切
14.5秒から17.4秒に変更すべき
The number of seconds "15-18" on Skill Testing Checklist is inadequacy.
It should be updated to "14.5-17.4"
========================================




尚、本件はAHAには連絡済みです。
又AHA instructor networkのInstructor CommunityのTeaching CPR Courseの
Disussionsにも投稿しました。
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/250?post_id=791
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/259?post_id=822
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Postscript 05/10/2016
[Consideration}

If AHA's idea is following the first decimal place of the stopwatch
to round the number, and fill out the skill sheet
It becomes such as the following discussion.

BLS Pass Range;BPR
StopWatch;SW
Compression Rate;CR

(1)
BPR: 18 -- 15 sec(current range)
SW : 18.49--14.50 sec
CR : 94 -- 120/min

(2)
BPR: 17 -- 15 sec
SW : 17.49 -- 14.50 sec
CR : 99 -- 120/min

(3)
BPR: 18 -- 14 sec
SW : 18.49 -- 13.50 sec
CR : 94 -- 129/min

(1) If BPR Pass Range is current value,it permit 94/min to 120/min
It is maybe too slow ,and poor balance between upper and lower.

(2) If Pass Range is between 17 and 15 sec,it permit 99/min to 120/min.
It is good balance, there is no margin for measurement error.

(3) If Pass Range is between 18 and 14 sec,it permit 94/min to 129/min.
It is enough balance, there is margin.

So we recommend (3) or (2) as BLS Pass Range on Skill Testing Checklist.


[Conclusion]
BLS Skill Testing Checklist
[AHA Now]
30 compressions in no less than 15 and no more than 18 seconds.
It is poor balance between upper and lower.

So,
{We recommend in the wide range]
30 compressions in no less than 14 and no more than 18 seconds.
or

{We recommend in the narrow range]
30 compressions in no less than 15 and no more than 17 seconds.



追記 2016/5/10
【考察】
もし、AHAの意図がストップウォッチの小数第一位以下を数値を四捨五入して、
スキルシートに記入せよという意味であれば以下のような議論になります。

BLS Pass Range;BPR BLS合格範囲
StopWatch;SW    ストップウォッチの値
Compression Rate;CR 圧迫のテンポ

(1)
BPR: 18 -- 15秒 (現状値)
SW : 18.49--14.50秒
CR : 94 -- 120/分

(2)
BPR: 17 -- 15秒
SW : 17.49 -- 14.50秒
CR : 99 -- 120/分

(3)
BPR: 18 -- 14秒
SW : 18.49 -- 13.50秒
CR : 94 -- 129/分

(1) もし合格範囲が18〜15秒なら、実際のテンポが94〜120/minの範囲内なら合格になる。
  しかしこれではテンポが遅すぎる傾向になり、上限下限のバランスが悪い。

(2) もし合格範囲が17〜15秒なら、実際のテンポが99〜120/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスはよいが、測定誤差のマージンがない。

(3) もし合格範囲が18〜14秒なら、実際のテンポが94〜129/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスもよいし、測定誤差のマージンもある。

BLSスキルチェックシートの上限下限値としては、(3) か (2) が
推奨されるのではないかと思います。


【結論】
BLSスキル試験チェックリスト
[現在のAHA規定]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上18秒以下」
 上限下限値のバランスが悪い。

AHAはチェックリストを以下に変更すべきだと思います。
[広い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「14秒以上18秒以下」
 又は
[狭い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上17秒以下」


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posted by jemta at 19:32| 日記

2015年12月05日

AHA AMRトレーニングセンターでインストラクターになるには



本記事のURL
http://jemta.org/index_151205.html
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おはようございます。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

BLS受講生の方から、AMRでインストラクターになるにはどうすればよいかとのご質問があ
ったので、以下まとめました。
AHAのインストラクターになるルールは基本的にPAMというルールブックで規定されていま
す。また、各トレーニングセンターはPAMのルールを守る必要がありますが、PAMとは別個
に、ローカルルールを設定している場合もあります。AHA のインストラクター資格は、
AHAの管理下にあり、AHAとしての資格なので、他のトレーニングセンターに移籍しても、
その資格は有効です。但し、AHA は直接、インストラクターの養成をしていませんので、
現実としては、どこかのトレーニングセンターに属し、そのローカルルールに従った上で
そのトレーニングセンターで、AHAのインストラクターになる必要があります。
尚、トレーニングセンターには、米国のAHAのトレーニングセンターと、米国外のITCの
トレーニングがあります。ルールブックは、AHAとITCの別個に規定されおり、AHA のイン
ストラクターは、PAM(US版)に従い、ITCのインストラクターはPAM(ITC版)に従う必要があ
ります。日本のITCの場合に、AHAのインストラクターと名乗っておられる場合もあります
が、正確にはITCのインストラクターです。AHAのインストラクターというのは、USのトレ
ーニングセンターに属しているインストラクターです。
AMRトレーニングセンターは、USのトレーニングセンターです。


(1)プロバイダー資格の取得
インストラクションを行う各々のプロバイダーコースのプロバイダー資格を取得します。
尚、BLSインストの資格を取得するには、BLS-HCPプロバイダー資格以外に、
・ハートセイバーCPR/AED
・ハートセイバーFirstAid
の資格を取得する必要があります。これは、AMRのローカルルールです。

(2)インストラクターコースの受講
・各インストラクターマニュアルを購入し、勉強します。
・上記の資格があれば、インストラクターコースを受講できます。
 本人の意志があればコースディレクターの推薦は必要ありません。
 (AHAのルール通りです。)
・トレーニングセンターのコーディネーターがコースを行います。
 (コーディネータは英語しか話せませんが、言語ギャップがあることは理解しておられ
  意志の疎通には、努力をされていると思います)
 AMR-Hawaiiの場合は、通常はAMR事務所(99-840 Iwaiwa st., Aiea, HI 96701)
 で行われています。
 8月と3月に行われることが多いです。(不定期です。募集があればHPに出しています。)
 私が参加した中では、最低3人〜最高10人くらいでした。
 現地の方も参加されますので、日本人だけではない場合もあります。
 2人でペアを組んで、実技試験を行いますので、参加者は少ない方がお得です。
 初めて参加される場合は、日本人とペアを組んだ方が楽だと思います。
 なれれば、相手が現地の方でも楽しくできると思います。

(3)インストラクションの勉強
・インストラクターコースでは、各コースの具体的なインストラクションのやり方を
 学ぶことはできません。実際に各プロバイダーコースで、DVDを操作し、受講生が実技
 練習ができるように案内したり、正しくできている場合に手技を褒めたり、修正したり
 学べる環境をどう創っていくのかは、自分で練習する必要があります。
・具体的には、モニター評価を行うファカルティが指導するコースへ参加されて、インス
 トラクションのやり方を学んで、自分の言葉でできるように、勉強する必要があります。
・AHA のルールでは「タスク参加」という義務はありませんので、何回コースへでないと
 いけないとかいう義務はありません。自分が1人でできるようになることが必要です。

(4)モニター試験を受ける
・ファカルティが見ている中で、実際にコースへでて、インストラクションを行い、OKが
 でたら、インストラクターになることができます。
・AHAのルールでは、インストラクターになれば、自分でコースを開催できるのですが、
 ローカルルールで、そうでない場合が多いです。AMRでは、インストラクターになると
 コースで教えることはできますが、自分でコースを開催できるようになるには、リード
 インストになる必要があります。日本の ITCではコースディレクターと呼んでいる場合
 もあります。

(5)資格取得後
・プロバーダーと同じく、2年毎に更新する必要があります。
・また、ガイドラインが変更されると、ガイドラインのアップデートを受ける必要があり
 ます。

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以上です。


posted by jemta at 09:26| 日記

2015年10月19日

JRCガイドライン2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151019.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

先週の10/16にJRCガイドライン2015が発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/
 
JRC予告は16日12:00でしたが、1秒の遅れもなく、予告通りに発表されました。 ERCもAHA
も予告した時刻(又は予想された発表時刻)からは遅れました。予告通りだったのは、今回
は JRCだけでした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ERCは予告ページでは、発表時刻までの秒まで詳細にカウントダウンさせて表示させてい
ましたが、10/15 14:00 00秒になっても、ダウンロードのリンクは表示されず、カウント
の数字は+表示になりましたが、14:03頃にERC Guidelines 2015 have arrived!が表示さ
れダウンロードできるようになりました。

AHAは、初めから発表時刻を予告していませんでしたが、いつもERCと同じ時刻に発表して
いますので、今回も14:00発表で ERCと合意できていたのかもしれません。実際には14:20
頃に、発表されました。また、 AHAはインストラクター向けに事前に出した文書やホーム
ページでのスケジュールでは、2015 Guidelines Highlightsは11月か12月に出すと予告し
ていました。https://goo.gl/hME7Lz
しかし当日 10/15 21:00頃にインストラクター向けに、このハイライトのリンクの案内が
ありました。当日に発表するのは事前に計画されていたと思いますが、予定変更の告知は
ありませんでした。『早い分はかまわないだろう』との趣旨かもしれませんし、読む側か
らしても、すぐ日本語で読めるので、ありがたいことに変わりはないです。同時発表に変
更されたのには、何か事情があったのかもしれないと思います。

ILCORのホームページは、恐らく現在でもAHAが管理しているのだと思いますが、 G2015の
の表示に代わったのは14:20頃だったと思います。G2010の時は、 ERC、AHA、JRCの3つの
リンクが書かれていましたが、G2015発表と同時に、JRCのリンクは削除されました。現在
も JRCのリンクは消去されたままです。 JRCは、日本語ではガイドラインを発表されまし
たが、またこれを英語に翻訳しなおして発表しないと、 ILCORのリンクには載せることが
できないということではないかと思います。
AHAもERCもJRCも、ガイドラインの基はCostrです。 Costrの原意を知るのには JRCのガイ
ドラインは非常に参考になります。日本語なので非常に読みやすいです。

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作業部会員のリストが同時に発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/2015member_list.pdf

編集委員長(ACS担当)野々木宏
静岡県立総合病院 院長代理 昭和51年京都大学卒
https://www.facebook.com/hnonogi

編集委員(ALS担当)相引眞幸 
愛媛大学医学部 1978金沢医科大学卒
http://pc.rnb.co.jp/konnichiwa/2014/09/ 上から4つ目。9月20日放送分音声

編集委員(EIT担当)石見拓 
京都大学 平成8年群馬大学卒
http://aed-project.jp/message/message2.html

編集委員(BLS担当)坂本哲也
帝京大学 1983東京大学卒
https://www.facebook.com/tetsuya.sakamoto.7169

編集委員(PLS担当)清水直樹
東京都立小児総合医療センター 1990千葉大学卒
https://www.facebook.com/naokiishimizu?fref=pb&hc_location=friends_tab

編集委員(FA担当)田邉晴山 1998日本医大
救急救命東京研修所 1998卒
https://www.youtube.com/watch?v=soZBX_picTs 3:40くらいから講演

編集委員(NCPR担当)田村正徳
埼玉医科大学 1974東京大学卒
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2585dir/n2585_12.htm

編集委員(脳神経蘇生担当)永山正雄
国際医療福祉大学 昭和58年東海大学卒
https://www.facebook.com/masao.nagayama.3
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1011084032288928&set=pcb.1011089338955064&type=3

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国際蘇生協議会ILCORには、AHAとERCの他に、カナダ心臓・卒中財団、
オーストラリア蘇生協議会、ニュージーランド蘇生委員会、南アフリカ蘇生協議会、
中南米心臓財団、アジア蘇生協議会が参加していますが、ガイドラインを出しているのは
AHAとERC以外にはJRCだけだと思います。日本がRCAを作って、ILCORに正式加盟したのは
2008年です。岡田和夫先生は、2008年NPO救命おかやまの特別講演で、日本が加盟するま
での講演をされました。http://npo-ok.umin.jp/pdf/629npo.pdf
私が聞いた限りの印象では、ILCORが結成された後、岡田先生が私費を投じて、積極的に
ILCORの会合に通い、単なる机上討論だけでなく、プライドは横において、個人的にもメ
ンバーと全人格的に交流し、そうやって得た信頼の上に、RCAがILCORへ参加でき、日本が
ガイドラインを出すような道筋を作ってこられたのではないかと思いました。厚生省から
ILCOR関連の対応に関して、途中で梯子をはずされて、後ろ盾もないのにも関わらず、謙
虚に友好を続けてこられたその人格があったからではないかと思います。 5年以上前に、
来日した AHAのメンバーの講演会が東京の大学講堂であり、私も参加させていただきまし
た。その時、岡田先生が司会をしておられました。休憩の時間に、一緒に行った方から岡
田先生を紹介されたのですが、突然行ったのにも関わらず、ご自身が岡大医学部出身であ
ることなどをきさくに話して頂いた上に、非常にご丁寧に名刺もいただきました。その腰
の低さに意外な思いをしたことを印象深く覚えています。

JRCの作業部会員の皆さま、大変にお疲れ様でございました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。

posted by jemta at 23:03| 日記

2015年10月15日

新しいAHAのガイドラインアップデート2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151015.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

ERCのガイドライン発表の予告時刻は、日本時間で、本日10/15(木)14:00でした。
・ERCは予告より数分遅れて発表され、
・AHAとILCORはERCより、10数分遅れて発表されました。
 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
・AHAは「Science News」のメール配信を本日20:54にUSインスト宛て、21:07分にITCイン
 スト宛てに行ったようで、ガイドライン2015が公式アナウンスされました。
 http://networking.americanheart.org/blogs/6/1141

■AHAのガイドライン2015紹介のページ
https://eccguidelines.heart.org/index.php/american-heart-association/
 
■日本語のハイライト(全36ページ)
https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2015/10/2015-AHA-Guidelines-Highlights-Japanese.pdf
AHAはこれまで、11/12月に発表するとアナウンスしていましたが、ガイドライン発表後の
7時間後にハイライトをアナウンスしたことになります。日本語で概要を読めるのは大変
にありがたいことです。

■NEW Web-Based Integrated Guidelines
https://eccguidelines.heart.org/
AHAはこれまで、5年毎にガイドラインを固定された PDFファイルベースで出してきました
が、今回から、新しくウェブベースのページを作り、このページは継続的に更新されるよ
うです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■雑感(余談ですが、私が今回気になったトピックは以下の通りです。)
・胸骨圧迫のテンポは1分間に100〜120回
・胸骨圧迫の深さは5cm以上6cm以下
・胸骨圧迫比CCFが可能な限り60%以上になるようにCPRを行う
*BLSに関しては圧迫のテンポの上限値は、 AHAは2013年のステートメントで既に言って
 いましたし、深さの上限もERCの従来と同じです。 CCFに関しては既に弊会のBLSコース
 では実技試験の評価は G2010準拠の上で、可能な方には努力目標として取り入れていま
 した。 http://jemta.org/index_cpr.html  ですので今回の改定はあまり変化は無い
 印象です。
・エピネフリンと同等な為、バソプレシンはアルゴリズムから削除
・30秒以上の遅延臍帯クランプは合理的
・35週未満児蘇生は低酸素(21-30%)で開始
・最初にエピペンを打っても改善しない時、5〜10分以内に救急隊が来ない場合は2度目の
 エピペンを考慮。
・圧迫止血しても止血できない場合は、止血剤を含有させた包帯の使用を考慮してもよい。
 (弊会のファーストエイドコースでは Celox製のこの包帯を受講生の方に手に取ってご
  覧いただいていますが、1万円近くしますし、日本では入手が容易ではありません。)
・ガイドラインをまとめたのは今回も前回と同じMary Fran Hazinski(ハジンスキー)さん。
 2015年に、シカゴで開催された AHAのカンファレンスでは真っ赤な服でにこやかな笑顔
 で登壇されていたと思います。小児科の看護師さんだったと思います。


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■AHAガイドライン2015
http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
(*原文のPDF以外に、Googleの機械翻訳のリンクも併記しています)
( 機械翻訳なので参考程度ですが、カーソルを持っていけば原文が表示されます。)
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●Part_00 編集委員会
Editorial Board
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S313.full.pdf

●Part_01 要旨
Executive Summary
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S315.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oA75

●Part_02 エビデンスの評価と利益相反管理
Evidence Evaluation and Management of Conflicts of Interest
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S368.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkr

●Part_03 倫理的な問題
Ethical Issues
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S383.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkz

●Part_04 治療のシステムと継続的な質の改善
Systems of Care and Continuous Quality Improvement
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S397.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkK

●Part_05 成人の1次救命とCPRの質
Adult Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S414.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkN

●Part_06 CPRの代替手技と補助的器具
Alternative Techniques and Ancillary Devices for Cardiopulmonary Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S436.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkT

●Part_07 成人の2次救命
Adult Advanced Cardiovascular Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S444.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAl7

●Part_08 心拍再開後のケア
Post–Cardiac Arrest Care
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S465.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlh

●Part_09 急性冠症候群
Acute Coronary Syndromes
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S483.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlo

●Part_10 特殊な蘇生の状況
Special Circumstances of Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S501.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlC

●Part_11 小児の1次救命とCPRの質
Pediatric Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S519.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlL

●Part_12 小児の2次救命
Pediatric Advanced Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S526.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlU

●Part_13 新生児の蘇生
Neonatal Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S543.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAm3

●Part_14 教育
Education
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S561.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmf

●Part_15 応急処置
First Aid
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S574.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmp
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以上です。


posted by jemta at 22:32| 日記

2015年10月14日

ILCOR CoSTR2015/AHA・ERC・JRCのガイドライン2015が発表されます。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151014.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。いよいよガイドライン2015が
明日、公表されます。今回でまだ3回目ですが、ガイドライン改定の時はいつも楽しみです。

前回のガイドライン2010の改定の時は、以下の記事にまとめました。
ILCOR CoSTR2010 / AHA ガイドライン2010
 http://jemta.org/index_101017.html
2010 AHA Guidelines for CPR and ECCの公表(日本語版ハイライト)
 http://jemta.org/index_101018.html
AHAの新しいガイドラインG2010と個人的な所感
 http://jemta.org/index_101109.html

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■前回と今回の主な違い
・前回のG2010改定
AHAはガイドライン2010発表と同時に12言語でガイドラインのハイライトを発表しました。
http://goo.gl/e7W5nu
日本が始めて ILCORに参加し、日本も日本版ガイドラインを発表しました。ただ、日本版
の発表は予定より少し遅れて発表され、単にCoSTR を和訳した程度の所もあったように記
憶しています。
 
・今回の2015改定
従来はナラティブな(物語りと対話に基づく)ガイドラインを使用していた為、例えば、
RCT(Randomized Conrtrolled Trial;ランダム化比較試験)1編でガイドラインが引きずら
れる可能性がありましたが、今回から、名だたる国際機関も採用している GRADEシステム
で作成されるようになったため、従来より、公正・妥当な勧告が期待できると思います。
http://jemta.org/index_140430.html
AHAのハイライトに関しては、残難ながら今回の発表はガイドラインと同時ではなく、遅
れて11/12月に発表される予定になっています。尚、言語の種類は前回より5言語増えて17
言語ということです。
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■ホームページの比較
ILCORのホームページ
http://www.ilcor.org/
からリンクされているERCとAHAの新ガイドラインの発表には温度差があるようです。

・ERCは前回2010のERC Guidelinesと同じURL
http://www.cprguidelines.eu/
で、派手な新版のカウントダウンのホームページを作っています。 5年毎のガイドライン
改定を織り込んで、 URLを変えずに、新しいガイドラインを紹介する戦略的な手法だと思
います。カウントダウンにより発表時刻も予告していますし、準備万端のように感じます。
また、ERCの公式ホームである
http://www.erc.edu/
の中央正面に、新ガイドライン2015用のURLの予告もしています。

・AHAは前回のガイドライン2010のURLリンクは古いままですし、AHAの公式ホームである
http://www.heart.org/
には、新版用URLや発表時刻の予告もなく、別のページで、単に改定の日付10/15を公開し
ているだけのようです。(しかし、ガイドライン発表後の BLS等の講習会の改定のスケジ
ュール予定は詳細に発表しています。)
https://goo.gl/hME7Lz
前回改定時は、家電の新製品発表のような派手さもあったように感じましたが、今回は、
AHAはそれを止めて静かに改定を計画しているのか、或いはまだ準備が十分に進んでいな
いのかの、いずれかだと感じました。

・ILCORのホームページは元々は、AHAのドメインの中にありましたので、実質的に AHAが
管理していたと思います。現在のホームページはドメインは AHAから独立していますが、
ホームページには単に2015のスケジュール表があるだけで、体裁は古いままです。 AHAの
ページと同じで、派手さが全くありませんので、現在も AHAがこのホームページを管理し
ているように感じました。

・JRCのホームページ
http://jrc.umin.ac.jp/
では、ホームページ正面のトピックで、 JRCガイドライン2015を10月16日(金)の 12:00に
発表すると予告されています。当日はプレスリリースも予定され、又、当日のオンライン
版に加除修正を加えた完成版を、 2016年2月に医学書院から出版すると予告されてます。


■AHA/ERC/JRCのガイドライン2015発表時刻
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ERCのオフィスは、欧州のベルギーにあり、AHAの本部はダラス(米国中部時間)にあります。
日付変更線の関係で各国の現地時間15日への日付は、日本、ベルギー、米国の順で変わり
ます。 ERCガイドライン2015が発表される時刻は、各国の現地時刻でいうと以下のように
なります。

ERCガイドライン2015発表時の現地時刻
・米(中部) 15日 00:00
・ベルギー 15日 07:00早朝
・日本   15日 14:00

発表される時刻は、ベルギーの現地時間で朝7:00ですので、かなり早朝です。不思議に思
いましたが、この時刻はダラスが15日に日付が変わる時にあたります。。ということは、
AHAのガイドライン2015は、15日00:00に発表されるのかもしれません。 AHAが15日00:00
に発表するので、 ERCもそれに合わせたと考えると納得できるスケジュールです。各国の
ガイドラインは、ILCORのCoSTR2015に基づいて作成されます。 AHAもERCもCoSTRは共有し
ていますが、自国のガイドラインに関しては、公開前は共有していないはずです。前回は、
AHAもERCも同じ時刻にガイドラインを発表していたと思います。互いに相手の出方を見て
出すのではなく、独立して出すという姿勢です。この姿勢は歴史的に初めからのものです。
一方、日本はJRCガイドラインの発表は今回で2回目なのですが、前回の初回発表は AHA/
ERCの発表の後でした。残念ながら、今回も発表は16日12:00で、 AHA/ERCの発表の22時間
後です。AHA/ERCの独立した発表とは違うスタンスをとっていることがわかります。

尚、ILCOR CoSTR2015 と各国のガイドラインの発表時刻は日本時間では以下のようになり
ます。
・ILCOR 不明(下記ERCと同時刻?)
・AHA  不明(下記ERCと同時刻?)
・ERC  15日 14:00
・JRC  16日 12:00

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以上です。


posted by jemta at 21:10| 日記

2015年09月27日

成人の院外CPRは35分以上53分まで 欧州心臓病学会:金沢大の後藤由和教授の発表和訳



本記事のURL
http://jemta.org/index_150927.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

先月、ロンドンで行われたヨーロッパ心臓学会(European Society of Cardiology)2015
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/ESC-Congresses/press-conference-schedule-including-details
での金沢大学病院救急部長の後藤由和教授の発表
「CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
 minutes」 (院外心停止のCPRは35分以上行うべき)
のプレスリリースと発表のスライドを以下和訳しました。

【要旨は】
成人の院外心停止において、
「CPRを35分行えば、助かる人は 99%助かる」
「CPRを53分行えば、助かる人は100%助かる」
(逆に言うと、CPRを53分行っても蘇生しない場合は、100%助からない)
但し
・小児は別
・体外循環使用は別
(低体温や中毒はもっと長く!?)
救急隊員のCPRにより病院到着前に自己心拍を再開した18歳以上の成人1万7,238例。
消防庁のウツタイン様式住民ベース研究に登録された2011〜2012年のデータ解析
科研費助成:「院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究」

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ESC Congress 2015 London, UK, 29 August - 02 September
FP Number     :1321
Embargo BST    :30 Aug. 2015 at 11:00
Presenter     :Associate Prof. Yoshikazu Goto(http://goo.gl/SDvg5i
Presentation Title:CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted
for at least 35 minutes


■Press release 報道発表
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Last-5-years/CPR-for-out-of-hospital-cardiac-arrest-should-be-conducted-for-at-least-35-minutes
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CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
minutes
院外心停止のCPRは35分以上行うべき
                                  30 Aug 2015
                             London, UK 30 Aug 2015:
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Cardiopulmonary resuscitation (CPR) for out-of-hospital cardiac arrest should be
conducted for at least 35 minutes,according to research presented at ESC
Congress today by Dr Yoshikazu Goto,associate professor and director of the
Department of Emergency and Critical Care Medicine at Kanazawa University
Hospital in Kanazawa, Japan.1 The study in more than 17 000 patients found that
nearly all survivals were achieved within 35 minutes and longer CPR achieved
little benefit.

院外心停止の心肺蘇生(CPR) は、35分間以上は実施されるべきです。金沢大学附属病院の
救急部長・病院臨床教授の後藤由和氏が、本日ヨーロッパ心臓病学会で発表した研究によ
ると、17,000人以上の患者研究では、ほとんどの蘇生は35分以内に達成され、それ以上
CPRを行っても得られる利益は少ないということです。
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Ischemic Heart Disease and Acute Cardiac Care
虚血性心疾患・緊急心疾患治療
EMBARGO : 30 August 2015 at 11:09 BST

Dr Goto said:
"The decision regarding when to stop resuscitation efforts is one of the biggest
challenges for emergency medical services (EMS) personnel or clinicians.
However,the appropriate duration of CPR is not clear.
Clinicians have raised concerns that lengthy resuscitation efforts might be
futile. We investigated how long CPR should be conducted to achieve maximum
survival and favourable neurological outcome."

後藤教授の説明:
いつ蘇生を中止するかの決断は、救急隊や臨床医の最大の課題です。しかし、 CPRの最適
な時間は明らかになっていません。臨床医は長い時間の蘇生努力は無駄かもしれないと懸
念しています。我々はどのくらい長く CPRを実施すれば最大の蘇生率と良好な神経学的転
帰が得られるかを調べました。

This prospective, population-based study included 17 238 adults who received CPR
by EMS personnel in the field in 2011 and 2012. Patient records were obtained
from a national database. The researchers analysed the relationship between the
duration of pre-hospital CPR by EMS personnel (time from EMS-initiated CPR to
return of spontaneous circulation) and two endpoints: one month survival and one
month favourable neurological outcome after cardiac arrest.

この前向き・集団ベースの研究は、2011年と2012年において、救急隊からCPRを受けた
17238人の成人を対象としています。患者のデータは国のデータベースより得ました。
救急隊による病院前CPRの期間(CPR開始から自己心拍再開まで)と2つの評価項目(1カ月
後生存と心停止後の1カ月の良好な神経学的所見)との関係を調べました。

The study found that the probability of survival declined with each minute of
CPR (Figure 1). It also showed that 99.1% of all survivors and 99.2% of
survivors with favourable neurological outcomes achieved return of spontaneous
circulation within 35 minutes of EMS-initiated CPR (Figure 2). No patient with a
CPR duration of 53 minutes survived one month after cardiac arrest (Figure 2).

本研究により、 CPR継続時間が長くなるにつれて、蘇生率が低下することがわかりました
(図1.) 全ての生存者の99.1%と神経学的予後が良好な生存者の99.2%が、救急隊が CPRを
開始してから35分以内に自己心拍の再開が得られました。(図2.)53分間CPR を施行した患
者で、心停止後に1か月間生存された方はいませんでした。(図2.)

Dr Goto said: “Our study shows that EMS personnel or clinicians should continue
CPR for at least 35 minutes in patients who suffer cardiac arrest outside the
hospital. More than 99% of survivals and favourable neurological outcomes were
achieved by 35 minutes with minimal gains afterwards. CPR leads to absolutely no
benefit from 53 minutes onwards.”

後藤教授の説明:
我々の研究では、救急隊や臨床医は、院外心停止の患者には35分以上は CPRを続けるべき
であることを示唆しています。

“Our finding that the likelihood of surviving with a favourable neurological
outcome declines with each minute of CPR indicates that the time from cardiac
arrest to CPR is a crucial factor in determining whether a patient will return
to a normal life,” added Dr Goto. “This implies that we need to start CPR as
soon as possible.”

「良好な神経学的転帰での蘇生の可能性が、 CPRを続ける時間と共に低下しているという
我々の発見は、心停止から CPRまでの時間が患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める
重要な要因であることを示唆しています。」後藤教授は「このことは、できるだけ CPRを
早く開始することが必要だということを暗示しています」と付け加えました。

He concluded: “We hope our findings give EMS personnel and clinicians the
confidence that if they stop CPR after 35 minutes they have done everything they
can do for a patient. This should help them know when it is appropriate to move
on to the next medical emergency.”

後藤教授は「我々の発見によって、救急隊員や臨床医が、少なくとも35分間CPRを続けれ
ば、彼らは患者にできることは全て行ったと確信を持てるようになることを希望します」
と結論しました。



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Figure 1. Dynamic probability of 1-month survival and 1-month favourable
neurological outcomes
図1. 1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の動的確率
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰率(%)

【*訳注】例えば、心停止後CPRを行って蘇生できた人のうち、
1分以上CPRを行って1カ月間生存できたのは蘇生者全体の36.8%、
1カ月後の神経学的転帰もよかったのは蘇生者全体の21.8%
(つまり、CPR1分以上で蘇生できた人を、その後の1カ月間で見ると、
・神経学的転帰もよかった人は蘇生者全体の22%、
・神経学的予後が悪かった人は蘇生者全体の15%、
・1カ月以内に亡くなった方は63%。
まとめると、心停止後に一時的に蘇生できても、
助かるのは4割、社会復帰は2割。死亡は6割。)

例えば、CPR20分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の4.6%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは1.9%
(生存できたとしても、神経学的転帰は当然、生存率より低くなる)
例えば、CPR30分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の0.8%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは0.4%
例えば、CPR53分以上行って生存できた人は0%。
例えば、CPR9分以上行って、1カ月生存できたのは全体の20%
例えば、CPR3分以上行って、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは全体20%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





Figure 2. Cumulative proportion of survivors and survivors with favourable
neurological outcomes 1 month after cardiac arrest
図2. 心停止後、1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の累積割合
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰の累積割合

【*訳注】
例えば、生存者の52.8%は  CPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の63.9%はCPR10分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の87.6%は  CPR20分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の91.3%はCPR20分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の99.1%は  CPR35分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の99.2%はCPR35分以内で蘇生できている。

例えば、  生存者の50%はCPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の50%はCPR 8分以内で蘇生できている。 
(早く蘇生したほど、予後がいい)
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○References 参考
1Dr Goto will present the abstract ‘Duration of resuscitation efforts and
survival after out-of-hospital cardiac arrest: an observational study’ during:
・The press conference ‘Cardiac Arrest: Improving Outcomes’ on Sunday 30
August at 14:30
・The session ‘Syncope and sudden death’ on Sunday 30 August at 11:00 in the
Agora, Poster Area (presentation at 11:09)

後藤教授は、院外心停止後の蘇生努力の持続時間と生存の観察研究を発表を予定。
・記者会見 心停止:治療成績の改善 8/30(日) 14:00
・失神と突然死会議 8/30(日) 11:00 会場内、ポスター会場(説明11:09)
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○Notes to editor 編集者への注記
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SOURCES OF FUNDING: This work was supported by the Japan Society for the Promoti
on of Science (JSPS) KAKENHI grant number 15K08543.
DISCLOSURES: None.
本研究は、日本学術振興会の科研費 研究課題番号:15K08543の支援を受けた。
院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543.ja.html
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543/2015/1/ja.ja.html
開示項目:なし


ESC Press Office
For background information or assistance, please contact the ESC Press Office.
For independent comment on site or interviews, please contact the ESC
spokesperson coordinator: +44 7785 467 947
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

About the European Society of Cardiology
The European Society of Cardiology (ESC) represents more than 90 000 cardiology
professionals across Europe and worldwide. Its mission is to reduce the burden
of cardiovascular disease in Europe.

About ESC Congress 2015
ESC Congress is the world’s largest and most influential cardiovascular event
contributing to global awareness of the latest clinical trials and breakthrough
discoveries. ESC Congress 2015 takes place 29 August to 2 September at ExCel
London in London, UK. Access the scientific programme. More information is
available from the ESC Press Office at press@escardio.org.
To access all the scientific resources from the sessions during the congress,
visit ESC Congress 365.
This press release accompanies both a presentation and an ESC press conference
at the ESC Congress 2015. Edited by the ESC from material supplied by the
investigators themselves, this press release does not necessarily reflect the
opinion of the European Society of Cardiology. The content of the press release
has been approved by the presenter.


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■スライドの和訳
http://www.escardio.org/static_file/Escardio/Press-media/Press%20releases/2015/Congress/Yoshikazu-Goto.pdf

●院外心停止後の蘇生努力の継続時間と生存:観察研究
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest
: an observational study
Background and Purpose
・The decision regarding when to stop resuscitation efforts for patients with
 out-of-hospital cardiac arrest is one of the biggest challenges for emergency
 medical services (EMS) personnel or clinicians.
・Moreover, the appropriate duration of cardiopulmonary resuscitation (CPR)
 remains unclear.
・Clinicians have also raised concerns that prolonged resuscitation efforts
 might actually be futile.
・In this study, we investigated how long CPR should be conducted to achieve
 maximum survival and favourable neurological outcome.
Y GOTO, T Maeda, A Funada, Y Nakatsu-Goto
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kanazawa University Hospital
, Kanazawa, Japan

背景と目的
・院外停止患者に対して、蘇生努力をいつやめればよいかの判断は、救急隊員と臨床医に
 とって最大の課題のひとつである。
・さらに、CPRの最適な継続時間はいまだによくわかっていない。
・臨床医はまた、蘇生努力を長く行っても実際には無益かもしれないとの懸念を提起して
 いる。
・本研究では、どのくらい長く CPRを行えば、最大の蘇生率と良好な神経学転帰の結果を
 得られるのかを調べた。
後藤由和、前田哲生、舟田晃
金沢大学附属病院救急部

●declaration of interest
I have nothing to declare 利益相反なし
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

●Methods and Results 方法と結果
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Methods 方法
2-year-long, nationwide, population-based observational study conducted in
Japan (2011-2012) N = 17,238 adults who experienced a prehospital return of
spontaneous circulation (ROSC) after EMS-treated out-of-hospital cardiac arrest
Endpoints: 1-month survival and 1-month favourable neurological outcomes
2011年から2012年の2年間の日本全国、集団ベースの観察研究
院外心停止で、救急隊によって治療され病院到着前に自己心拍が再開した成人17,238人
エンドポイント(評価項目)
Results 結果
1-month survival rate 36.8% (6,347/17,238)
1カ月生存率
1-minth favourable neurological outcomes rate 21.8% (3,771/17,238)
1カ月後の良好な神経学的所見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


●Figure1.CPR duration(*) and outcomes CPR経過時間と結果
横軸:CPR duration(min) CPR継続時間
Time from the initiation of CPR by EMS personnel to pre-hospital ROSC
救急隊によってCPRを開始してから病院前に自己心拍が再開するまでの時間

Survivors 10(IQR 6-16)
【*訳注】1カ月間生存していた方で何分CPRを行ったのかのデータを小さい順に並べると
小さい方から1/4の位置のデータは6分。第1四分位値 (1st quartile, Q1)=6
小さい方から3/4の位置のデータは16分。第3四分位値 (3rd quartile, Q3)=16
Q3-Q1=16-6=10となります。標準偏差SDは、各データからの平均値からのずれから計算し
ますが、interquartile range(IQR)四分位範囲は、Q3-Q1の値です。SDはデータ両端が、
離れていると大きな値になりますが、IQR四分位範囲は両側の1/4ずつは外しますので、大
きな値にはなりません。データのバラつきの範囲を示す簡易的な指標です。
この場合の中央値は、6+(16-6)/2=11くらいでしょうか。
1カ月生存できた方は、11±10分くらいは、CPRをしていたことになります。
Non-Survivors 10(IQR 6-16)
1カ月間の内に亡くなった方は、IQR=17で生存できた方の場合よりばらつきが大きいです。
1カ月後の良好な神経学的所見の方はIOR=8で、生存者全体より早い蘇生だったことがわか
ります。
神経学的所見の悪かった方のIOR=16であり、良好な方より長くCPRをしていたことがわか
ります。

All p<0.0001
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


●Figure 2. Odds ratios of CPR duration(*) CPR経過時間のオッズ比
Survivors 生存
 Crude 未調整オッズ比 0.91 (0.91-0.92)
 Adjusted調整オッズ比 0.93 (0.92-0.93)
Favourable 神経学的転帰良好
 Crude 未調整オッズ比 0.89 (0.89-0.90)
 Adjusted調整オッズ比 0.91 (0.90-0.92)

Odds ratio (95% CI)
*for 1-unit increment
【*訳注】
このFig2は、オッズ比のグラフが書かれていますが、比を求める分子/分母のオッズをど
うやって計算されたのか定義が不明です。又予後に関わらず救急隊が行った CPR継続時間
の分布の図がないのでイメージしにくいのですが、CPR durationのオッズ比となっていま
すので、仮に CPR経過時間が35分以下か以上かで、死亡/生存かでオッズを求めたのかと
考えてみました。生存のオッズ比が0.93になるように試行してみました。 CPR継続時間が
35分以下の場合を 85%程度から始めて、少しずつ増やして試行計算してみたのですが、な
かなかつじつまが合わなかったのですが、 99%で仮定すると、なんとなくそれらしくなり
ました。結果の表を以下に示します。




しかし、これだと35分以上 CPRを行ったケースが少なかったのにも関わらず、そのデータ
群を用いて、CPRが短かった所から外挿してCPR蘇生時間の限界値を出していることになり
ますので、この試行は全くの見当違いかもしれません。正式なペーパーのパブリッシュを
期待している所です。

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●Conclusion 結論
The likelihood of survival with a favourable neurological outcome declines with
every 1-minute increase in CPR time after out-of-hospital cardiac arrest.
→ CPR duration is a crucial factor in determining whether a patient will
returen to a nomal life.
院外心停止後のCPRの時間が1分増すごとに、良好な神経学的転帰の可能性は減少します。
→ CPR継続時間は患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める重要な要因です。

To achieve maximum survival and favourable neurological outcome, EMS personnel
should administer at least 35 minutes pre-hospital CPR for patients with
out-of-hospital cardiac arrest.
→ If EMS personnel stop CPR after 35 minutes,they have done everything they can
do for a patient.
院外心停止の傷病者に対して、救急隊員は蘇生率と神経学的転帰が最大になるように、35
分以上はCPRを続けるべきです。
→ 救急隊員が35分後にCPRを止めたとしても、彼らは傷病者に対して、できることは手を
尽くした言えます。
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【*訳註】
AHAガイドライン2010の3章では、「倫理」の勧告の章があり、以下関連部分の抜粋です。

「アメリカ救急医学会(National Association of EMS Physicians:ABEM)ではALSを20分間
行っても反応しない患者の場合、蘇生努力を中止できることを示唆している。(中略)
このルールは米国、カナダ、およびヨーロッパの複数の地域で、成人患者に対して後ろ向
きかつ外部的に確認されており、すべての ALSサービスでこのルールを採用することが合
理的といえる(クラスUa、LOE B)」S670ページ

「1990年、医学的無益の客観的基準は、治療介入および薬剤による生存の可能性が、1%を
下回る場合と定義された。この基準には議論の余地があるかもしれないが、現時点ではこ
れが医学的無駄の研究の基盤となっている。」S668

「現場で蘇生を終了することで、救命救急士が誤ってバイオハザードにさらされる危険性
や、救急部での死亡判定かかる高額なコストを下げることができる。より重要なのは、搬
送中に CPRの質が低下することであり、救命率は病院へ急ぐことよりも、現場でのケアを
最適化することに結びついている点である」S670

「蘇生行為を意図的に遅らせたり、見かけ上行っているような形だけの努力、いわゆる
「 Slow-code(スローコード)」(無効な蘇生と知りながら蘇生)を行うことは適切ではな
い。このような行為は医療従事者の倫理的誠実さを傷つけ、欺瞞によって誤った印象を生
み、医師と患者の関係を損なうことにつながる。「疑似蘇生」行為はプレホスピタルDNAR
および蘇生中止プロトコルが実施されていない地域で、心停止の 27%で行われると救急救
命士によって自己報告されている」S669

「(新生児 蘇生努力の中止)心拍を検出できない新生児では、10分間心拍数を検出できな
いままの場合」、蘇生の中止を考慮するのが最適である(クラスUb LOE C) 心拍を検出で
きない新生児に10分を超えて蘇生の努力を継続する場合、推定される心停止の原因、新生
児の在胎週数、合併症の有無、低体温症の潜在的な役割、許容できる病態のリスクについ
て両親が事前に示した感情などの要因を考慮しなければならない」S938


【*私見 以下は完全なる私見です。】
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スローコードについて
CPRは本人の介入同意を仮定しての侵襲性の高い行為です。蘇生の見込みがない状態でCPR
を続けることは、スローコードであり、個人の尊厳を傷つけることになると思います。本
人が心停止してからの臨終から死への遷移は、周囲の人の医学観から宗教観・生死観への
切替えが必要であり、自然科学の物質観より、個人や家族の宗教的価値観への配慮がなさ
れるべきだと思います。家族への配慮や医療者に関することは文献にありますが、臨終を
迎える本人の事に関する宗教の文献を調べた所、日本の最大の仏教団体の臨終に関する文
献には、臨終の時に指一本でもさわると、本人は、大磐石を投げられたように痛く感じる
とあります。だから亡くなってから、半日は遺体を動かすべきでないと昔から戒められて
いると書かれています。(日寛上人著 臨終用心抄(富士宗学用集第3巻P259〜269))
http://sgi.daa.jp/makiisi/9410rinjyu.html
一方、ご家族への配慮について、 CPRとは違いますが、例えば「死後直後の死体による訓
練に関する倫理S673」では、「死亡直後の死体を訓練に用いることは、倫理的、法的に重
大な問題が絡んでいる。(中略)死体は人ではなく自律や関心をもたないため、同意は必
要ないという意見もある。しかしこれらの主張は、死んだばかりの愛する人を訓練や研究
用に使うことに反対するするかもしれない残された家族を傷つける可能性を十分に重視し
ていない。(中略)最終的には、医療従事者の救命技術を訓練する必要性よりも個人に関
する配慮を優先すべきである」とも書かれています。
もし、ご家族が納得するようにとスローコードを強行すれば、家族によっては、『本人が
見ず知らずの他人から胸を押されて痛がっているのではないか』と感じるかもしれず、家
族の心を傷つけ、不信を抱く結果になる可能性もあります。

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新生児のCPR中止基準「10分」
AHAのガイドライン2005の第2部第2部 倫理上の問題では、「新生児の新生児では、継続
的なまた適切な蘇生努力を10分以上行なっても生命徴候が認められない場合、蘇生を中止
する事は許容されうる。 10分以上の徹底した蘇生努力を行なっても反応が無い場合には、
生存する見込みや障害なく生存する見込みはきわめて低い[8-11]。これまで小児において
は蘇生が長時間にわたり2回のアドレナリン投与 によっても自己心拍の再開(ROSC)が得ら
れなかった場合には、生存の見込みはないと考えられていたが[12]、院内で非常に長時間
にわたる蘇生を行なった後に神経学的に異常なく生存した例が報告されてきている[13-15]
http://plaza.umin.ac.jp/GHDNet/05/aha-020.htm
と書かれています。

AHA岡山BLSで、 BLS-HCPを受講された看護師さんから過去に印象深い体験を伺ったことが
あります。「私は、ドクターと一緒に新生児の蘇生を始めましたが蘇生できず、ドクター
は時計を見て「もう10分経ったよなぁ」と言って部屋を出ていかれましたが、私は『いや
この児は絶対助かる』と決めて、一人で部屋に残ってずっとCPR を続けました。45分くら
いしたら、赤ちゃんの顔が急にぱーっと赤くなり、その赤ちゃんは助かりました。私は喜
んでドクターの所に走って行って、「先生、助かりましたよ!」と言ったら、ドクターは
「あっそぅ」と生返事をされました。しかし、この事が私の看護師としての誇りになって
います」と涙ぐんでお話しをされました。

個人的には、新生児のこの10分という中止基準は少し早すぎるのではないかと思っていま
す。AHAガイドライン2010 新生児蘇生
http://circ.ahajournals.org/content/122/18_suppl_3/S909.full.pdf
のS915ページのこの「10分」勧告のベースは3つの文献です。それぞれ93/42/208児の少数事例
93児
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022347605800460
42児
http://fn.bmj.com/content/78/2/F112.abstract
208児
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19948631
『成人が35分 /53分なのに、何故、新生児は10分と短いのか。早くあきらめているのでは
ないか?産科医は新生児を「意識」や「心」のある人と捉えているのか?』という素朴な
疑問は、産婦人科医の池川先生の著作を何冊か読んで逆説的に感じました。例えば「生ま
れた赤ちゃんのお尻を強く叩くと赤ちゃんが怒った顔をするのがわかった。それから対応
を変えると、赤ちゃんの反応もよくなった」という文や、子どもが自分の出産の時の記憶
を語った文章が特に印象に残っています。池川先生も、大規模に子供に胎児記憶のアンケ
ートを行ってから、それまでの考え方が変わったと書かれていましたから、逆説的に普通
の産科医の考え方を推測して、この疑問を持った次第です。
http://www.30ans.com/memory/
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【*訳注 参考文献】
・Medical-Tribune 院外心停止例へのCPRは何分続けるべきか(ESC2015の本発表の紹介)
https://medical-tribune.co.jp/news/2015/0908024236/
・Duration of Resuscitation Efforts and Functional Outcome after Out-of-Hospital
 Cardiac Arrest: When Should We Change to Novel Therapies?
http://circ.ahajournals.org/content/128/23/2488.full
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4004337/


・CPRをやめるとき 最新救急事情2000/01月号 OPS(30分が中止目安)
http://ops.umin.ac.jp/ops/jijou/jijo_10.html
・一般内科医のお勉強ブログ&日々の徒然 心肺蘇生はいつ止めたら良いのか(最低20分) 
http://pannai.blog.fc2.com/blog-entry-72.html
・救急科専門医の独り言 いつまで蘇生を続けるべきか?(20分で中止検討)
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-07-01
・低体温下のヒト脳は長い心肺蘇生法でも回復する
 CPR2時間45分後にほぼ完全な脳蘇生に成功した1 成人例
http://www.anesth.hama-med.ac.jp/Anedepartment/soseigakkai-25th-%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A01%EF%BC%88%E5%B2%A9%E4%B8%8B%EF%BC%89.pdf
・心停止82分奇跡の生還 西予61歳男性 後遺症がなく回復
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6126357
・Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest:
 an observational study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)60862-9/fulltext?rss=yes
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以上です。



posted by jemta at 20:04| 日記

2014年05月13日

食物によるアナフィラキシーの時系列症状とエピペン治療介入



本記事のURL
http://jemta.org/index_140513.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


■1.初めに
一昨日、市民公開講座が開かれました。
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市民公開講座『食物アレルギーとアナフィラキシーへの対応』
(第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
2014/05/11(日) 14:00 〜 16:00
国立京都国際会館(アネックス2)
(京都市左京区岩倉大鷺町422番地)
[主催] 一般社団法人 日本アレルギー学会
http://eventregist.com/e/jsa2014
Ustream公開録画[2h:04m:48s]
http://www.ustream.tv/recorded/47400848
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■2.「アナフィラキシーへの対応」講演
以下は、講演2のメモです。メモですので、信ぴょう性には欠けます。また、一部加筆し
ています。
                                    [49:38]
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講演2:アナフィラキシーへの対応
演者:亀田誠(大阪府立呼吸器アレルギー医療センター小児科)
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                                    [52:04]

表1.即時型食物アレルギーの症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
皮膚症状   89.7% (蕁麻疹じんましん)
呼吸器症状  32.1% (咳、ゼィゼィ、ヒューヒュー、息苦しい)
粘膜症状   27.9% (口の中がかゆい、鼻水、鼻づまり、涙、目がむくむ)
消化器症状  17.5% (お腹の症状)
ショック症状 11.8% 
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表1は、ある食べ物を食べて、どんな症状が1時間以内にでてきたかの調査結果。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、食事後に運動した時にあらわれる。おきる頻度
は、小学生=0.005%、中学生=0.02%、高校生=0.009%で中学生が多い。学校で初発すること
も多い疾患。
アナフィラキシーは、原因となる物質に暴露されてから短時間で生じる急性の全身反応で
狭義には IgE抗体を介するアレルギー反応を示す。 原因、誘因は、食物、アルコール、
刺虫(ハチなど)、刺咬(ハムスターなど)、ラテックス、薬剤、運動などがある。
食物アレルギーの場合、食事の最中から食後2時間程度までの間に、いろいろな症状が身
体のあちこちに出現し、急速に悪化する状態。

                                    [56:22]
アナフィラキシーショックは、アナフィラキシーの内で、ショック症状を呈する状態。
ショックとは種々原因で循環動態に異常を生じ、全身の臓器に必要な酸素を供給すること
ができない状態。一般に血液低下、意識低下(喪失)などの症状で示される。

以下の表2は、私たちが経験した一例。
                  (出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
表2.4歳男児 小麦(そうめん)負荷テスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
時間  小麦摂取 症状         治療
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30分後 0,05g   症状なし
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    0.1g 
20分後      咳込み        ○気管支拡張薬吸入
                    ▽抗ヒスタミン薬内服
35分後      咳が続く       ○気管支拡張薬吸入
40分後      咳が悪化       ●アドレナリン注射
         顔面紅潮、蕁麻疹出現 △ステロイド薬内服
50分後      咳は改善傾向
70分後      蕁麻疹が全身に広がる ◎生理食塩水点滴 
         手足冷たい、意識低下 ●アドレナリン注射
95分後      蕁麻疹改善傾向
         呼びかけに答える
180分後      皮膚の紅潮は残存
         呼吸症状はなし
         意識は清明
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このお子さんは小麦のアレルギーを持っておられ、2年ほど除去を続けていたが、そろそ
ろ食べられないかということで、私たちの所を受診された。実際に食べたのは小麦の乾麺
量で0.1g程度。うどん1杯が小麦乾麺50〜60gなので、かなり少ない量。この量を食べて、
20分くらいしたら、コンコン咳込み始めた。お薬を使ったけれども、なお具合が悪くなっ
た。40分たつと、呼吸器の症状に加えて皮膚の症状まで起きてきた。いろんな症状がどん
どん悪くなってきており、つまりアナフィラキシー症状。ここでアドレナリンの注射を行
った。別のお薬も使った。一旦よくなったが、注射30分後にまた具合が悪くなった。今
度は呼吸器ではなく、手足が冷たくなって、意識が低下した。これはショック。ここで再
度アドレナリンの注射などを行って、ようやく落ち着いてきた。このお子さんはごく微量
の摂取で症状がでており、症状の発現から症状の進行がきわめて急速。一旦よくなった後
に、この子の場合は再度悪くなっている。こんなこともある。


[☆加筆]
前回投稿した薬によるアナフィラキシーでは、最初に蕁麻疹がでましたが、この食物
アレルギーの場合は、最初に呼吸器症状(A) がでています。次に蕁麻疹もでたため、
アドレナリン注射をしています。次に蕁麻疹が拡がり意識が低下したため(ショック)、
再度アドレナリン注射をしています。最初のアドレナリンの効果は30分のみです。30分後
に2回目のアドレナリン注射をしています。
[/☆]

                                    [59:46]

食物アレルギー症状発現時の対応:
いつでも医療機関を受診できる体制を持っておきましょう!
自宅だけではなく、学校ではどうするか、旅先ではどうするかといったプランを持つこと

アレルゲンを誤って口に入れてしまった場合、体や目についてしまった場合は、落ち着い
てまずは洗い流す。

・口に入れた時⇒口から出せるものは出して、口をすすぐ。(口内違和感は重要な症状)
・皮膚に付いた時⇒洗い流す(タオルで拭かない)(さわった手で目をこすらないように)
・目症状が出た時⇒洗顔。(かゆみ、充血、球結膜浮腫)
できるだけ、お子さんをその場から動かさないで対応する。急速な悪化を防ぐことが可能。

短時間の間に急速に悪くなるので、できるだけ子どもから目を離さないことが重要。最初
に緊急性が高いアレルギーか否かを判断する。緊急性が高いアレルギー症状は、昨年の7
月にだされた日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」としてリリースさせ
ていただいた。

[☆加筆 日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす
[/☆]

おなかが痛いと訴えた時は、トイレに連れて行くのではなく、その場でエピペンを打つこ
と。子どもを見ていて、息苦しそうだと感じた場合は、上記の表の呼吸器の症状にあては
まる。上記の表のどの項目のどれに相当するかと考えていると、いつまでたっても答えは
でてこない。『息苦しそうかなぁ』と見えたら、迷わずエピペンを打つ。全身の症状で、
「唇や爪が青白い」というのはとてもだいじ。具合が悪い時には、「だいじょうぶ?」と
言ってぜひ手を握ってみてください。食べた後に手足が冷たいということは通常は起こり
えない。それはアナフィラキシーだと判断する。血液が手足の末端までしっかりめぐって
いないということを示していると考えて、エピペンを打たねばならないタイミングである。
強いお腹の症状、息が苦しそう、全身を見て・触れて具合が悪いと思えば、エピペンを。

                                   [1:07:01]
いずれにしてもこのような症状があれば、子どもたちをできるだけ寝かせて下さい。なぜ
かというと、立っていると、頭への血液が循環しなくなるから。頭を心臓と同じ高さにも
ってくる。(足の下に枕などを引き、末梢の循環を犠牲にしても頭などの中心循環を保つ)
そして、ただちにエピペンを使用する。救急車も要請する。ここで救急車をためらう必要
はない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆]
AHAのファーストエイドコースG2005では、ショックの時に寝かせた後、足の拳上をしてい
ましたが、G2010コースでは足の拳上はなくなりました。しかし、AHAのガイドライン2010
では、以下のように書かれています。
AHA G2010日本語版 S960
傷病者がショック状態にあることが明らかな場合は、傷病者を仰臥位にする。外傷がない
ことが明らかであれば、足を30-45°/ 15-30cm程持ち上げる。この持ち上げる動きや得ら
れた体位によって傷病者が苦痛を訴える場合は足を持ち上げないようにする。
[/☆]

                                   [1:08:36]
エピペンの有効性は極めて高く、82% というデータがある。ただし、エピペンが効かない
場合もあるので、打つのと救急車を呼ぶのは同時。副作用は3.7%しかない。これは、痛い
とか血がでた、お薬自体の作用で心臓がドキドキするなどで、ごく一時的な、おおまかに
は30以内にはほとんどおさまってしまうような副作用のみ。エピペンは極めて有効で安全
なお薬。だからためらわずに打っていただいていい。

もし、上記のような症状がなくても、緊張をきらせないでいただきたい。その理由の一例
を以下に示す。

表3.鶏卵チャレンジ症例(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
接種後 症状 使用薬
直後  のどのかゆみ、イガイガ感 ⇒ 頓服
↓   無症状

60分  腹痛
90分  喘息発作、腹痛      ⇒ 吸入
100分  喘息発作、腹痛      ⇒ 点滴開始
150分  改善
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この子は卵をほんのひとかけら食べた。1gも食べていない。そうすると食べた直後から、
のどのかゆみ、イガイガ感がでてきたが、飲み薬を飲んだら落ち着いた。以前はもっとひ
どかったので今回はよかったと思っていると、60分後にお腹が痛くなり、90分後に喘息発
作を起こしてきた。(もし、これが自宅だったらエピペンの適用になるが)、この子の場
合は古い症例だったこともあり、吸入と輸液で治まっている。このようにあとになってか
ら症状が表れてくる場合もある。少なくとも気がついてから2時間から3時間はしっかり
見守る必要がある。アナフィラキー反応は接種後すぐに生じるわけではない。最低でも、
2時間、念のためには3時間見ておくとよい。数回の軽い咳であってもアナフィラキシー
が疑われるならば、食物アレルギーが疑われるならば、ためらわずに速やかに医療機関を
受診していただいてかまわない。ここが一番のポイント。
特に、目、口、鼻の粘膜症状や皮膚の症状だけで、必ずしもエピペンを打つ必要はないが、
経過を見ていて悪くなるようだったら、エピペンを打つことを考慮する。

                                   [1:12:38]
こんな経験がある。学校で誤食をした子がいた。一度食べた時には大変な症状を起こした。
アナフィラキシーショックを起こした。それからしばらくしてまた本人が同じような訴え
をした。唇がピリピリすると。それだけだった。しかし、その訴えを聞いて養護教諭の先
生が『これはもしかしたらアナフィラキシーで、またショックになるかもしれない』と、
病院を受診させてくれた。病院で診ていると徐々に悪くなってきて、一番よいタイミング
で、アドレナリンを投与することができたことがある。

                                   [1:18:30]
緊急時にエピペンを落ち着いて使えるか否かは、もう練習するしかない。何度も何度も、
ケースから出して打つ模擬練習が必要。中には処方して1年間、封さえも開けていない方
もおられると聞いている。何のために処方されているのかわからない。ぜひ出して訓練器
(トレーナー)を使って練習していただきたい。万が一の時のために使えるようになるよう
に。

                                   [1:19:03]
個々人がどのような特徴を持って、食物アナフィラキシーを起こすかということについて
以下の表4のようにまとめられるといいのではないか。

表4.食物アレルギーの診断 問診(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.何をたべたか?
   初めから原因食材を決めつけない。調理方法も確認する。
2.どれだけ食べたか?
3.食べてから症状発現までの時間とその間の過ごし方
   即時型反応はおおむね2時間以内に発症する
   運動の有無に注意(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
4.症状の有無は?(特徴は?皮膚から出るか、呼吸器から出るか)
   接触性に生じた症状の可能性はあるか?
5.症状の再現性(既往歴の確認)
6.最後のエピソードはいつか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の表をまとめて、親戚や学校や園に渡しておけばそれだけで、しっかりとした
情報共有ができる。

                                   [1:20:15]
食物アレルギーは食物によって症状の出方がまったく違う。
図1.卵白陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_egg_ana.jpg


卵で言うと、消化器症状の、お腹が痛いが一番多い。そして皮膚の症状が次。呼吸器の症
状は、全体でも33%。これは負荷テストの結果だけれども、この程度しかない。

それに対して小麦はどうかというと、
図2.小麦陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_wheat_ana.jpg



消化器はほとんどない。皮膚症状あるいは、皮膚+呼吸器症状が多く、呼吸器の症状は全
体で6割もある。卵の場合と倍違う。このようなことを知りながら、皮膚症状がないから
大丈夫とか、そんなことはない。この子の場合はお腹から来る。この子の場合は呼吸器か
ら来る。このような情報を共有すればいいのではないか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上講演メモ終わり


以下は、前回投稿の、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲です。
http://jemta.org/index_140503.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆 エピネフリン(エピペン)を打つタイミング]
[林先生は、全身蕁麻疹があり、かつ、ABCDのうちどれかの症状があればエピネフリンを
[打てと言われています。また、蕁麻疹だけの場合はエピネフリンは不要だと。

[■以下は、薬物によるアナフィラキシーショックの時系列の例です。
[【症例】20歳代女性
[     (出典: 厚労省H19重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシーP26)
[             http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4h.pdf
[近医で気管支炎の診断にて抗菌薬、セフジトレン・ピボキシルが処方され(現在は
[カゼインを含有していない)、内服したところ20分後に全身蕁麻疹が出現しため受診。
[抗菌薬によるアナフィラキシーを考え、クロルフェニラミン(5 mg)の点滴を開始した。
[抗菌薬内服45分後に喘鳴が出現し、SpO2(room air)85%、収縮期血圧89 mmHgとなり
[アナフィラキシー・ショックの治療のため、直ちに酸素投与(マスク6L/分)、
[アドレナリン 0.3 mg筋注、生理食塩水500 mL(10分)と同時にメチルプレドニゾロン
[40 mgの点滴投与と塩酸プロカテロール 0.3 mgを吸入させた。内服55分後には、
[SpO2(マスク6 L/分)93%、血圧110 mmHgとなり、以後、乳酸リンゲル 500 mL/時間の
[持続点滴し、抗菌剤内服120分後には、蕁麻疹は消退傾向で、喘鳴は消失し、
[SpO2(鼻カテーテル2 L/分)98%、血圧120 mmHgまで改善し、内服180分後には、呼吸、
[循環状態は改善した。

140503_anaphylaxy.jpg


[この例で、抗菌薬によるアナフィラキシー症状は、まず蕁麻疹が先に表れています。
[次に、喘鳴が現れ、SPO2(血液中の酸素飽和度)と血圧が急に下がっています。この例で
[はアドレナリン(エピネフリン:エピペンと同じ)と輸液の治療介入により、その5分後
[くらいから、SPO2と血圧は改善し始めます。

[日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」では、
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす

[上記のアレルギー学会の指針でも林先生の講義と同じで、蕁麻疹がでたら打てとは書い
[てありません。アレルギー学会と林先生の指針を比較すると、
[消火器の症状=D、呼吸器の症状=A/B、全身の症状=C に相当すると思います。もし、
[学会の指針の、「消化器の症状」の項目が一番下に書かれていれば、上からABCDの順に
[チェックできるので、そのように並び替えて覚えておいた方が覚えやすいかもしれませ
[ん。

■Dr.林のアナフィラキシーのABCD
エピネフリンを早く使えというのは、一体どういう時か?

全身蕁麻疹+アナフィラキシーのABCD(以下のどれかがあれば…)
      A:Airway    喉頭浮腫
      B:Breathing  喘息
      C:Circulation ショック
      D:Diarrhea   下痢、腹痛

結局、アナフィラキシーの何を診たいのか? 全身の血管が腫れているかを診たい。死ぬ
のは、喉、肺、全身の血圧のC 、あとおなかの中の血管も腫れているかどうかを診るのも
大事。「おなかが痛い」とか、「下痢してきた」という場合は、実はただの蕁麻疹だけで
はなくて、おなかの中の血管も腫れているという事。この時は筋注の適用だと思った方が
いい。比較的早めに使う。本当に蕁麻疹だけでそれほどたいしたことはない場合は、
エピネフリンはいりません。上記の図でABCDにひっかかる、全身の蕁麻疹があった場合は、
エピネフリンを筋注でオーダーすることがすごく大事。なるべくでかい筋肉に0.3m筋注。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲終わり。


■3.最後に
林寛之先生の講義で、エピネフリンを使うタイミングは、全身蕁麻疹にプラスして、
アナフィラキシーのABCDのどれか一つ症状があれば、エピネフリンを打てということでし
た。(つまり、細かな議論では、皮膚症状があることが前提条件となっています)

但し今回の亀田誠先生の講演にあった図1の卵による食物アレルギーの症状では、全体で
も、約40%に皮膚症状は表れていません。また図2の小麦アレルギーの場合は、全体の20%
には、皮膚症状が表れていません。
この場合は、林先生の指針ではエピネフリンの適用にあてはめることはできないと考えら
れます。林先生はこれまでのご経験から、アナフィラキーには蕁麻疹症状が多いので、こ
のように講義されたと思いますが、アナフィラキシーを食物アレルギー領域まで敷延して
考えれば、日本小児アレルギー学会が出している指針通り、
『皮膚症状の前提条件にとらわれることなく、アナフィラキシーのABCDの症状が一つでも
あれば、すぐにエピネフリンを適用する』とするほうが適切ではないかと考えられます。

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posted by jemta at 18:35| 日記

2014年05月03日

林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモ



本記事のURL
http://jemta.org/index_140503.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

■1.初めに
2012年12月20日に東京都調布市立富士見台小学校で、食物アレルギーを持つ5年生の女児
Sさんが、給食の配膳後に担任から「食べる人いない?」と案内されたおかわりのチヂミ
を、チーズ入りとは知らずに誤って食べて、アナフィラキーショックをおこし、本人が、
「先生、気持ちが悪い」と訴えた14分後に、校長がエピペンを打ちましたが、結局、搬
送先の病院で亡くなるという事故がありました。未来のあるちいさなお子さんが亡くなっ
たことを知った時は何故そのなったのかと非常にショックを受けたことを覚えています。
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1363069358235/

これまで、このヘルスケア通信でも、エピペンに関わる記事を投稿してきました。
・文科省、児童らへのアレルギー対応ガイドライン(教職員のエピペン使用)公表
  http://jemta.org/index_080426.html
・仮説:エピペンをズボンの上から打つ時はポケットの中身をだしてから
  http://jemta.org/index_100312.html
・『給食でのアレルギー事故から どう守る』 米国での誤食防止・エピペン最新事情
  http://jemta.org/index_130603.html

アメリカでは労働省のOSHAが一定規模以上の企業には一定の安全管理担当者を置き、担当
者にAHAのファーストエイド講習を受けることを義務付けており、ファーストエイドコース
の中でエピペンの使用を含むアレルギーの応急対応もできるように、制度化されています。
ファーストエイドコースでは講義とエピペントレーナーを使った実技訓練をしています。
日本では本人が打てない時に、処方された本人や家族以外にも、学校や幼稚園の職員が代
わって打つことは、反復継続の意思がないことから、医師法には反しないとの解釈が出さ
れ、エピペンの研修を受け、訓練されている職員もおられます。救急救命士も救急救命処
置範囲の改正により、処方された本人に代わって打つことができるようになっています。
尚、処方する側の医師は PfizerPROのHPなどから、エピペン処方の講習と登録をすれば処
方できます。歯科医の先生方は患者さんに処方することはできませんが、同様の講習と登
録をすれば、クリニックにエピペンを常備でき、局所麻酔時のアナフィラキーショック等
に対応できます。
米国のファーストエイドでは、医療機器や薬は使わないことが前提ですがAED とエピペン
とアスピリン(急性冠症候群(ACS)時)の3つだけは別です。BLSやACLSだけでは緊急時に人
を救うことができません。心停止になる前のファーストエイド(応急手当)が必要です。
(AHA ファーストエイドコース http://jemta.org/fa.html

厚労省の人口動態統計によると日本のアナフィラキシーによる1年あたりの平均死亡者は
薬物=27人/年、蜂毒=17人、食物=5人、血清=0.5人、不明=10人(平成18〜23年)であり、
薬物によるものが最も多いです。死亡せずに治癒した人は、年間5000〜6000人です。
又、アレルゲンによる心停止までの平均時間(中央値)は、
薬物=5分、蜂毒=15分、食物=30分となっています。
緊急時に落ち着いて対処するには、事前に、アナフィラキシーのことをよく理解しておく
ことが必要です。


■2.林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモ
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CareNet>連載企画>CareneTVチャンネル>名作チャンネル(無料視聴)
 Dr.林の笑劇的救急問答 [Season1]
 第3回 落としアナいっぱい!アナフィラキシーショック
 http://www.carenet.com/report/carenetvch/carenetv_ch2.html
 (視聴するには、無料の会員登録が必要です。)

本投稿は、福井県立病院 救命救急センター 林寛之先生の講義(研修医向け)のメモです
[☆尚、本メモは一部加筆しています。]
尚、林先生のDVDは購入も可能。(今回の分は救急問答7<上巻>にも収録されています)
https://www.carenet.com/fullsearch?type=dvd&sort=f&bt=&kw=Dr.%E6%9E%97
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■アナフィラキシーの語源
ギリシャ語のana(反対 against)+phylax(保護 protect)
体の免疫状態が保護できない状態にある。

Anaphylaxy vs Anaphylactoid reaction
アナフィラキシーと類アナフィラキシー反応

アナフィラキシー:
抗原と肥満細胞固定抗体が主にIgEと結合して開始される。
IgEを介して、IgEにくっついて、肥満細胞から、Histamine(ヒスタミン),ECF-A,HMW-NCF,
tryptase,kallikrein,PAF,arachidonic acid metabolites,prostaglandin D2,adenosine
などが出る。

[☆加筆]
■肥満細胞:
肥満細胞(ひまんさいぼう)は哺乳類の粘膜下組織や結合組織等に存在する造血幹細胞由来
の細胞。ランゲルハンス細胞と共に炎症や免疫反応などの生体防御機構に重要な役割を持
つ。この肥満という名称は、“肥満”とは関係が無く、膨れた様が肥満を想起させるので
つけられた。顆粒細胞(mast cell:マスト細胞)とも呼ばれる。
[☆]

Anaphylactoid reaction:
IgEを介さずに開始される反応
IgEを介さずに直接、肥満細胞(粘膜下組織や結合組織等に存在する造血幹細胞由来の細胞)
や好塩基球(白血球の一種。血液中に極少量含まれている。大型の顆粒をもつもの)
Anaphylactoid reactionで有名なものは、造影剤によるショック。

■アナフィラキシーの原因
・食べ物、ピーナッツ、魚介類、卵、果物、穀類、そば
・蜂、蛇、蟻(あり)などの毒
・薬剤、ペニシリン、NSAIDs、抗癌剤、プロタミン、局所麻酔
・環境因子:ハウスダスト、花粉
・まむし抗毒素
・ラテックス
・その他:寒冷、温熱、光

■類アナフィラキシー反応の原因
・薬剤:麻薬、アリチル酸、NSAIDs
・放射線検査用造影剤
・プロタミン
・運動

Rusznak C, et al,Anaphylaxis and anaphyiactoid reactions.
Postgraduate Med 2002,111(5) 101-114
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12040857

日本はピーナッツアレルギーは少ない。外国の場合は、小さい時からピーナッツバターを
塗って使っているので多い。日本はそばアレルギーは結構多い。修学旅行で信州に行って
蕎麦屋の前でふーっと倒れる例もある。じゃがいもみたいに顔が腫れあがって、毛穴がぶ
つぶつと引っ込んでしまう腫れ方をする例など。医療従事者はスタンダードプリコーショ
ンで手袋をしているので、ラテックスアレルギーが増えている。アナフィラキシーと
類アナフィラキシー反応は治療は同じ。

[☆加筆 ■ヒスタミン(C5H9N3):]
普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており、細胞表面の抗体に抗原が結合すると細胞外に放出
される。血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの薬理作用
があり、アレルギー反応や炎症の発現に介在物質として働く。
[☆]

ヒスタミンの受容体(受容体は3つある)
・H1 血管透過性↑、平滑筋収縮、PG↑
・H2 血管透過性↑、胃酸分泌↑、ヒスタミン分泌↑、サプレッサーリンパ球刺激
・H3 中枢神経、末梢神経伝達物質抑制、ヒスタミン遊離抑制
普段使う抗ヒスタミン剤はH1ブロッカー、胃潰瘍に使うのはH2ブロッカー、抗ヒスタミン
剤を飲むとと眠くなるのはH3の作用。


■アナフィラキシーでどうして死ぬのか?
救急のABC
・喉頭浮腫 Airway (気道がふさがる
・呼吸不全 Breathing (喘息、換気ができない
・ショック shoCk   (血管が拡がって、水が血管から出てて行く。distributive shock
           血液分布異常性ショック。循環が悪くなる)
上記の3つで死ぬ。ということは、「先生、すいません。蕁麻疹です」と言ってきた場合
に、じんましんの治療だけするのではダメで、皮膚の血管だけではなく、中の血管も腫れ
ているのかどうかを調べるのが大事。喉の血管が腫れてつまらないか、肺の血管が腫れあ
がって気管の浮腫ができて息ができなくならないか、全身の血管が拡がってショックにな
らないか。

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[☆加筆 喉頭浮腫]
[咽頭(いんとう)上咽頭 鼻の奥でのどの上。口から直接見えない
[       中咽頭 口をあけた時に見える場所。扁桃腺、のどちんこの向こうが後壁
[       下咽頭 口から直接見えない。のど仏の後ろ側。食堂入口。

[喉頭(こうとう)咽頭と気管の間の部分
[       咽喉から気管に至る部分。中ほどに声帯がある。
http://www.raijin.com/kenko-tsushin/kenko00170jp1.html

[喉頭浮腫(こうとうふしゅ)
[「喉頭浮腫」は、いわゆる「のどぼとけ」に相当する部位にあたる喉頭の内部の粘膜がはれ
[       呼吸が障害される病態であり、医薬品によって引き起こされることがあり
[       ます。喉頭浮腫は咽頭炎や扁桃腺炎など、のどの炎症に続発しやすく、こ
[       れらの症状を併せ持ちます。
[咽頭と喉頭は、上気道に属します。

[PALSコースで、息を吸うとき(吸気)に喘鳴(ぜいめい)が聞こえるのは、鼻から上気道まで
[の間に狭窄部位があるため、息を吐くとき(呼気)に喘鳴(ぜいめい)が聞こえるのは
[下気道の圧迫や狭窄があるためと習うと思います。その理由は、吸気では、上気道内が陰
[圧になるので狭窄するが、下気道は胸腔内圧が陰圧のため広がる。呼気ではその逆で、上
[気道内は陽圧になるので広がるが、下気道は肺の弾性力によって狭窄するためです。
http://med.atsuhiro-me.net/2013/06/blog-post_16.html
[林先生は、CASETの寸劇で、
[A初めに、患者さんに息がつらくないかを聞かれた後、口の中(口蓋垂? )をペンライト
[ をあてて、息を吸わせて、診ておられました。
[B次に聴診器を胸にあてて、患者さんに大きく息を吸ってフーッと大きく息を吐かせて
[ 胸の音を聞いておられました。(左胸と左胸の2回)もし下気道(肺の気管支)が狭窄
[ していれば、吐くときに異常音が聞こえるはずだと思います。
[Dその次にお腹がいたくないか/下痢をしていないと症状を聞かれていました。
[C次に看護師さんに血圧を聞いて、再度測るよう指示しておられました。
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■喉頭浮腫はどうやって診るか?(喉頭浮腫の臨床所見)
くちびるがタラコになっているか否かはあまり関係ない。
・後咽頭浮腫(口をア〜ンと開けてと言った時に喉の奥が腫れていないか)
・口蓋垂浮腫(のどちんこが腫れていないかどうか)
・のどの締め付け感
・嗄声(させい) (かれ声、しわがれ声)

■アナフィラキシーの治療
・エピネフリン
・輸液
・抗ヒスタミン H1 & H2
・ステロイド
   ハイドロコルチゾン 100〜500mg
   メチルプレドニゾロン 125〜250mg
   プレドニゾロン 1mg/kg

蕁麻疹の治療が圧倒的に頻度が多いので、蕁麻疹の治療に慣れていると、抗ヒスタミンや
ステロイドを使う、のんびとした治療に慣れている人が多い。しかし、目の前で死んでし
まうような人、例えばエアウェイがやられる人、ブリージングがやられる人、
サーキュレーションがやられる人は急激に悪くなる。やられてしまうのにかかる時間はど
れくらいか?。多くの場合アナフィラキシーで心肺停止に至るのは約30分〜1時間以内。
三重県の会社員が蜂に耳たぶを刺されて5分で心停止になった。血流がいいところは、要
注意。時間的に早い。診ているうちにあっという間に亡くなる。血管がワーッと拡がって
しまう。戦う一番大事なのはエピネフリン。血管が拡がってしまうdistributive shockで
あるから拡がるボリュームを戻してやる輸液が大切。エピネフリンと輸液はあわてないと
いけない。

■抗ヒスタミンはどれくらいで効いてくるか?
4時間くらいかかる。ステロイドも4時間くらいかかる。1時間から効いてくるが、
ピークは、4〜6時間。効いてくる時間を例えると、エピネフリンはジェット機、
抗ヒスタミン剤は自動車、ステロイドは人力車。

■何故エピネフリンはいいのか?
アドレナリン受容体(Adrenergic receptor )とは、アドレナリン、ノルアドレナリンを始
めとするカテコールアミン類によって活性化される Gタンパク共役型の受容体である。
主に心筋や平滑筋に存在し、脳や脂肪細胞にもある。

α1受容体:血管収縮、粘膜浮腫軽減
α2受容体:インスリン分泌低下、ノルエピネフリン分泌低下
β1受容体:心収縮力増強、脈拍増加
β2受容体:気管支拡張、脱顆粒抑制、血管拡張、糖新生

*脱顆粒……肥満細胞の中にはヒスタミンなどがあり、細胞表面のIgEに抗原が結合すると
その内容物であるヒスタミンなどが放出されること。
心収縮力増強、血管収縮、粘膜浮腫軽減は、皆さん頭に入っていると思うが、実は、肥満
細胞(マストセル)から脱顆粒を抑制する。根っこの部分で、ヒスタミンがでてくるのを抑
える。抗ヒスタミン剤というのはレセプタのレベルで今起こっている反応を抑えるが、基
の肥満細胞や好塩基球からヒスタミンが出るのを抑える薬がエピネフリン。

■エピネフリンが効かないのはどういう時か?
・エピネフリン投与が遅れた場合……呼吸症状やショックが悪くなるのを待ってはダメ
 (一番大事。ヒスタミンとステロイドで様子を見ようとしているとすぐに悪くなる。
  悪くなってからエピネフリンを打っても効かない。早いうちに使わないといけない)
・アナフィラキシーの進行が速すぎる場合……間に合わなかった!
・エピネフリンの投与量が不十分な場合……繰り返し必要な場合がある。
 (1回投与で良くなる思っていると大間違い。2回、3回と必要な場合もある。大体、
  2回くらい。)
・筋注ではなく皮下注した場合……吸収が遅くて間に合わない!
 (よく教科書にも皮下注と書いてあるが、皮下注は効果が遅い。皮下注は血管を収縮さ
  せるため、吸収が悪く、効果発現が遅くなる。)
・患者が立位の場合……立位では静脈還流が減る
 (これが本当かどうか、僕にはよくわからない。)
・薬剤が期限切れの場合……薬効の低下
 (一般の方が持ち歩くエピペンは1年ちょっとたつと期限切れになる。また、診療所に
  ストックしておいて期限切れになることもある。)
・β遮断薬(降圧薬/狭心症状予防薬)やα遮断薬(高血圧治療/排尿障害治療)、 ACE阻害薬
 を服用している場合。
 (一番上の投与が遅れた場合とこの場合は覚えて下さい。βブロッカー、αブロッカー
  ACE-inhibitor(心臓の収縮が落ちている)を飲んで場合は、やはり交感神経の
  カテコラミン系は効きにくい。その時にアナフィラキシーがどんどん悪くなってくる
  場合は、エピネフリンだけでは戦えないことがある。

■エピネフリン
・タイミングが命! 早期につかうべし 遅いのはダメ!
・◎筋注 0.3〜0.5mg 10〜20分後効果判定
  (僕は15分たったら待ちきれないので次を使ってしまう)
   必要なら繰り返す
・×皮下注はダメ。めちゃくちゃ遅い!
・△静注0.1mgずつ 心肺停止、重症ショックで難治になる例あり。
 (実は、静注するのは本当にヤバい時以外はやめといた方がいい。血圧はふれるという
  時に静注すると、ヒドイ目にあうことがある。エピネフリンを10倍にのばして、その
  1/10ずつ使う。結局0.1mgずつ使う。0.1mgちょっと静注して、効かないので、時間が
  たつのでもう効いているはずだと思ってもまだ効かない、血圧低いという時に、もう
  一回使おうと0.1mg追加して、合計で0.2mg使ったら、使った瞬間、血圧が急に200に
  なったり、脈拍が 200にあがったりすることがある。そのような経験がある。あと、
  基礎疾患にもよる。虚血性心疾患を持っている人の場合は、やはり静注はこわい。
  筋注は5分以内に効いてくるわけなので、筋注でいい。脈がふれる場合は筋注。静注
  はよほどの場合でないと、コントロールされた環境で使うべきだと思う。

■筋注は肩の筋肉がよいのか、大きい大腿(だいたい)の外側広筋(がいそくこうきん)がよ
いのか?
調べたスタディでは、外側広筋の方が吸収がよかった。日本の場合は、殿筋(でんきん:
お尻の筋肉) も使う。殿筋もでかい。でかい筋肉の方が吸収がいい。患者さんがズボンを
おろすのを嫌がった場合に肩に打つと吸収が遅い。筋肉がでかい方が血流がよいから吸収
が早いのを知ってた方がよい。お尻の筋注でズボンをガバッとおろす人がいるが、あまり
おろさなくても十分できる。
エピネフリンは、タイミングが命だというのは以下にあるのでぜひ読んでおいて下さい。
非常にいいレビュー
Adrenaline in the treatment of anaphylaxis: what is the evidence?
BMJ 2003 327 1332-1335
http://www.bmj.com/content/327/7427/1332

蜂さされの文献は以下にある。これもぜひ読んで下さい。
Freeman TM Hypersensitivity to hymenoptea strings
N Engl J Med 2004 351(19) 1979-84
http://navyemergencymedicine.com/wp-content/uploads/2010/01/Hymenoptera-stings.pdf

■Dr.林のアナフィラキシーのABCD
エピネフリンを早く使えというのは、一体どういう時か?

全身蕁麻疹+アナフィラキシーのABCD(以下のどれかがあれば…)
      A:Airway    喉頭浮腫
      B:Breathing  喘息
      C:Circulation ショック
      D:Diarrhea   下痢、腹痛

結局、アナフィラキシーの何を診たいのか? 全身の血管が腫れているかを診たい。死ぬ
のは、喉、肺、全身の血圧のC 、あとおなかの中の血管も腫れているかどうかを診るのも
大事。「おなかが痛い」とか、「下痢してきた」という場合は、実はただの蕁麻疹だけで
はなくて、おなかの中の血管も腫れているという事。この時は筋注の適用だと思った方が
いい。比較的早めに使う。本当に蕁麻疹だけでそれほどたいしたことはない場合は、
エピネフリンはいりません。上記の図でABCDにひっかかる、全身の蕁麻疹があった場合は、
エピネフリンを筋注でオーダーすることがすごく大事。なるべくでかい筋肉に0.3m筋注。

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[☆加筆 エピネフリン(エピペン)を打つタイミング]
[林先生は、全身蕁麻疹があり、かつ、ABCDのうちどれかの症状があればエピネフリンを
[打てと言われています。また、蕁麻疹だけの場合はエピネフリンは不要だと。

[■以下は、薬物によるアナフィラキシーショックの時系列の例です。
[【症例】20歳代女性
[     (出典: 厚労省H19重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシーP26)
[             http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4h.pdf
[近医で気管支炎の診断にて抗菌薬、セフジトレン・ピボキシルが処方され(現在は
[カゼインを含有していない)、内服したところ20分後に全身蕁麻疹が出現しため受診。
[抗菌薬によるアナフィラキシーを考え、クロルフェニラミン(5 mg)の点滴を開始した。
[抗菌薬内服45分後に喘鳴が出現し、SpO2(room air)85%、収縮期血圧89 mmHgとなり
[アナフィラキシー・ショックの治療のため、直ちに酸素投与(マスク6L/分)、
[アドレナリン 0.3 mg筋注、生理食塩水500 mL(10分)と同時にメチルプレドニゾロン
[40 mgの点滴投与と塩酸プロカテロール 0.3 mgを吸入させた。内服55分後には、
[SpO2(マスク6 L/分)93%、血圧110 mmHgとなり、以後、乳酸リンゲル 500 mL/時間の
[持続点滴し、抗菌剤内服120分後には、蕁麻疹は消退傾向で、喘鳴は消失し、
[SpO2(鼻カテーテル2 L/分)98%、血圧120 mmHgまで改善し、内服180分後には、呼吸、
[循環状態は改善した。

140503_anaphylaxy.jpg


[この例で、抗菌薬によるアナフィラキシー症状は、まず蕁麻疹が先に表れています。
[次に、喘鳴が現れ、SPO2(血液中の酸素飽和度)と血圧が急に下がっています。この例で
[はアドレナリン(エピネフリン:エピペンと同じ)と輸液の治療介入により、その5分後
[くらいから、SPO2と血圧は改善し始めます。

[日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」では、
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消火器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす

[上記のアレルギー学会の指針でも林先生の講義と同じで、蕁麻疹がでたら打てとは書い
[てありません。アレルギー学会と林先生の指針を比較すると、
[消火器の症状=D、呼吸器の症状=A/B、全身の症状=C に相当すると思います。もし、
[学会の指針の、「消化器の症状」の項目が一番下に書かれていれば、上からABCDの順に
[チェックできるので、そのように並び替えて覚えておいた方が覚えやすいかもしれませ
[ん。

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■救急の大原則
危ない薬は医師が自分で打つこと。(口頭指示で人に頼むのはダメ!)危ない薬は全部自
分でつめて自分で打つ。これはクセにして下さい。医療事故を防ぐためにも。すごく大事
な薬ですから口頭指示ではなく、自分で打つ。

■Monophasic(単相)? Biphasic(2相)? Protracted(長期化)?
・5〜20%は二峰性
・ステロイドは必ずしも遅発反応を予防できるとは限らない。
・喉頭浮腫は二峰性で40% 、遷延性で57% に認めたという報告もあり
・6〜8時間経過観察を。重症例は24時間。

アナフィラキシーの反応は文献によって言い方が違う。二峰性(ふたこぶラクダ)になって
くる。今の反応がおさまったと思ってもまたあとででてくる場合が5〜20%ある。又は1/3
くらいあると言われている。ステロイドは、今の反応を抑えるのではなく、4〜6時間後
の後の反応を抑えるために使う。または遷延性の長い慢性の蕁麻疹の反応の場合は
ステロイドはよい。今目の前の蕁麻疹を治すため・今の目の前のアナフィラキシーを治す
ためのステロイドの有用性は実は疑問である。では使ってはいけないのか?二峰性のもの
があるわけだから、使ってもよい。後の反応を抑えるのが大事。
喉頭浮腫は二峰性で40%に出現する 、遷延性で57% に認めたという報告もあるので、喉頭
浮腫も後からでてくることがある。だから全身性のひどい、強い症例はやっぱり経過観察
しないといけない。普通の二峰性の蕁麻疹は6〜8時間看ればよいが、ショックになったり、
喉頭浮腫など、すごい呼吸不全まできた症例は、やはり必ず24時間経過観察しないといけ
ない。抗ヒスタミン剤やステロイドは、2こぶラクダの2つめのコブを抑えるための薬だ
ということを頭に入れておかないといけない。経過観察の時間は知っておいて下さい。す
ごい悪かったアナフィラキシーの患者を帰すことはやめて下さい。

■難治性のアナフィラキシー
・エピネフリン、輸液、昇圧剤を使っても血圧が上がってこない!
・カテコールアミン抵抗性ショック!
 ☆グルカゴン
  =>β遮断薬使用中
  =>難治性ショック
  1〜5mg 静注

目の前のアナフィラキシーを治すためにやっぱり一番大事なのはエピネフリン。そして、
輸液も大事。それでも効かなかったら、カテコラミン(昇圧剤)を使いますよね。それでも
血圧が上がってこない。

・カテコラミンが効かない時は、何を使うか?
グルカゴンを使う。
[☆体内では、低血糖時に分泌され、貯蔵燃料を動員するホルモン。インシュリンの逆。]
グルカカゴンがなぜ効くのか?これは、交感神経を介さずにサイクリックAMP(cAMP) を増
やして効く。cAMPを増やすことによって心筋の収縮力を上げる。難治性のショックの時に
使う。エピネフリンが全然効かない時に使う。
βブロッカーを飲んでいる時はエピネフリンは効かない。それから何しても効かない場合
は試してみる価値がある。一投1mg 。1mg 使ってみる。効かなかったらもう一回使ってみ
る。ダメだったらもう一回使ってみる。効いてきたら、今度は状況によっては持続点滴で
1時間1mgとか、1時間5mgくらいのペースで点滴する。結構高い薬。(薬価2381円?) お金
のことも大事ですので考えておきましょう。

■蜂刺症
・蜂毒 50μg  致死量1500回
・アナフィラキシーは少量で発症
 2回目でアナフィラキシー 35〜60%↑
・毒袋は潰さないように取る!
・50回以上刺されたら、遅発性中毒+
 24時間観察を → 腎不全、肝障害、横紋筋融解症、DIC()

Kolecki P.,Delayed toxic reaction following massive bee envenomation.
Ann Emerg Med. 1999 Jan;33(1):114-6.
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(99)70428-2/abstract

こんなことを知っていなくてもいいのだが、蜂は1回に50μg の毒が出る。これではすぐ
には死なない。アナフィラキシーが起こらない、アレルギーを持っていない人なら、1500
回刺されないと死ぬことはない。しかしアレルギー反応を持っている人は微量でも反応が
出る。1回目刺されてある程度反応が強かったという人は、2回目刺されてちょっと腫れ
るだけでもアナフィラキシーになる人が実は半分近くいる。35〜60% と言われている。な
りやすい人は何回も刺されるとどんどん悪くなる。予防がすごく大事。医師が「毎回治し
て俺は偉いなぁ」と思っていてはダメ。その人が次に刺されたらもっと悪くなる。それを
なんとかしなくてはいけないことを考慮しなければならない。
あと蜂(ミツバチ)は毒袋を残して逃げていく。刺された所を見ると毒袋と黒い針が残って
いる。
毒袋の筋肉はヒコヒコと動いている。毒袋にはまだ毒が残っている。それを抜くときに、
指で毒袋をつまんでジュッと毒を押して針を抜くと、余計反応が強くなる。絶対にそのよ
うな事をしてはいけない。昔の救急の教科書には「クレジットカードを出して、そぐよう
にして取りましょう」と書いてある。本当か否か疑問である。刺されて気が動転している
時に財布からクレジットカードを出すのは時間がかかるのではないかと思っていた。
Lancetに載っていた面白い研究があった。実際にクレジットカードを出して針をとった人
とつぶさないように指ではじいた人とどちらが効くか、ボランティアの大学生を使って調
べた研究。こういうスタディをぜひしてみたいものだ。早く取った方がやっぱりよかった
との結論。あたりまえだ(笑)。
これは、アナフィラキシーとは関係ないが50以上刺されると結構毒が入るので、遅発性の
中毒が起きる。何が起きるかというと、腎不全、肝障害、横紋筋融解症と結構こわいのが
起こってしまう。山ほど刺された人は、アナフィラキシーを別にして、毒の中毒がおきる
ことを注意する必要がある。(文献参照)

■蜂 Tips 蜂が嫌う、好む服は?
・服装
 ×黒、×花柄  ○白
・匂い
 ×香水、×匂いの強い果実、×発酵飲料、×アルコール
・エピペン ……携帯用
  1ドーズ 0.3mg
  キャップをはずし、大腿外側に刺入
  基本的に使い捨て

蜂がいるかもしれない山にピクニックに行くときに、どんな服装がよいか? 黒と花柄は
ダメ。黒は熊と間違えられる。熊は蜂蜜が好きだから、蜂の巣を狙う。だから蜂としては
熊はイヤ。だから熊を襲う。黒はダメ。花柄は蜜を集めたいから寄ってくる。だから白っ
ぽい服がよい。
匂いは、当然だが、匂いがいいとダメ。香水とか、匂いの強い果実、発酵飲料、
アルコールという匂いをプンプンさせて歩いてはダメ。
先ほど言ったが、蜂に刺されてアナフィラキシーになる人は、刺されるたびに、どんどん
悪くなる。病院に行くまで間に合わない時のためにエピペンがある。これは医師の処方が
必要。エピペンを打つとちょうど0.3mg 出る。ペン型でキャップを外し、先端の黒い所を
大腿の外側にポンとあてると、針が出る。針は22ゲージ。結構太い。1.7cmくらい出る。
医療者がこのことを知っていると「おぉこわい」と思ってしまう。
どうでもよい知識だが、中の薬液(エピネフリン)は2cc入っている。そのうちの0.3mgがは
いる。一回使ったら再使用(リユース)はできない。使ったあとは捨てるしかない。1回だ
けで効かない人がいるので2本処方されている人もいる。分解して使ったらいいじゃない
かというと、業者さんは「そう簡単には分解できませんよ」と言っていた。もし分解して
1.7ccとったものを飲んだらいいかというと、飲んでも効かないというデータがあるので、
分解しないで下さい。無駄な知識でした。

[☆加筆 蜂が毒針を刺した瞬間の写真と動画
[以下のページに、@蜂が針を刺した後に逃げる写真、A腕に毒袋と針が刺さった写真、
[B実際に刺した毒袋と針が抜ける瞬間の動画があります。
[ http://www.gekiyaku.com/archives/8920526.html

■その他のアナフィラキシー
・食品 → 1/3が二峰性に
  注意:scombroid fish poisoning(サバ科の魚中毒)はアレルギーじゃない。
  サバ科の魚に含まれるヒスタミン類似物質によりアナフィラキシー様症状を起こす場
  合がある
・ラテックス
  医療関係者 日本は1.7%(+アトピー3.6%) 二分脊椎症患者↑
  食べ物にも:アボカド、キウイ、バナナ、くるみ
  oral allergy syndrome(OAS:口腔アレルギー症候群)を併発する場合がある。
・ジャンガリアンハムスター
  リポカリン……馬、牛、鶏、猫にも+

Kevin J Kelly, et al.,Latex allergy: a patient and health care system emergency.
Ann Emerg Med 1998,32,723-729
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(98)70073-3/abstract

その他のアナフィラキシーについて。食品の1/3 が二峰性になる。よく「青魚を食べて
蕁麻疹でましたのでこれアナフィラキシーですね」と言われるが実はこれは違う。
scombroid fish poisoningと言って、サバとかサバ科の魚にはヒスタミンが入っている。
ヒスチジン(histidine:C6H9N3O2)というアミノ酸が入っており、細菌感染とかによって
ヒスタミンに変わってしまう。口からヒスタミンを入れれば当然蕁麻疹になる。これは、
アナフィラキシーではない。だいたい魚釣ってすぐ冷凍しない場合、室温に置いて温度が
上がると細菌が繁殖して、ヒスチジンがヒスタミンに変わってしまう。ヒスタミンをたく
さん飲んだ場合は、抗ヒスタミン剤やステロイドを使えばよい。ヒスタミンをたくさん飲
んだ中毒ということ。文献的にはアナフィラキシーだったら、他にプロスタグランジンが
でるはずだからそれを調べれば差がわかるとある。あと、ラテックス。我々は知っておか
ないといけない。医療関係者は多くなっている。ラテックスアレルギーの人は食べ物と
交差がある。Oral Allergy Syndrome と言って、食べ物を食べて口がかゆくなったり、腫
れたりする反応がでやすい人がいる。アボカド、キウイ、バナナ、くるみが食べれないと
いう先生はラテックスアレルギーがいるかもしれない。アボカドはアボガドではなく、
アボカド。点々が抜けている。また、舌をかみそうだが、ジャンガリアンハムスター。
ジャンガリアンハムスターは口の中にリポカリンというタンパクがある。これでなる。
2004年9月 に会社員がジャンガリアンハムスターに噛まれて、アナフィラキシーで死亡し
た例があった。これは動物を飼っている人には有名な話。

■まとめ
・Dr.林のアナフィラキシーのABCD
    Airway
    Breathing
   shoCk
    Diarrhea
・エピネフリンの使用法に強くなる
・薬の効果発現時期を知る。
    エピネフリン、輸液、抗ヒスタミン剤、ステロイドの使用法をマスターしよう   

まとめです。Dr.林のアナフィラキシーのABCDは絶対覚えて下さい。Airway喉頭浮腫、
Breathingがやられるもの、喘息みたいになっているもの、Circulation、ショックになる
もの、Diarrheaおなかが痛くなる、このような場合は、早期にエピネフリンを筋注で使っ
て下さい。筋注が一番。薬の効果発現時期を知って、エピネフリン、輸液、抗ヒスタミン
剤、ステロイドの使い方をぜひ覚えて下さい。裏ワザとしてエピネフリンが効かない場合
はグルカゴンもあるということを覚えておいて下さい。
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posted by jemta at 19:31| 日記

2014年05月02日

経済学雑誌に投稿された経済学者による生死観



本記事のURL
http://jemta.org/index_140502.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

温かくなり、山肌が一斉に若々しい黄緑に輝く季節になりました。一般社会は
連休の狭間で、後半のお休みに期待されてる方も多いかもしれません。

本投稿はこのブログの趣旨から少しはずれるかもしれませんが、ご興味とお時
間があればご覧ください。職種的に人の生死に立ち会う場面が多く、また、
心的なストレスを感じることが多い方にも以下の論文はご参考になるかもしれ
ません。


飯田史彦(福島大学経済学部助教授)「いきがい」の夜明け
福島大学経済学会・「商学論集 1995年9月 第64巻 第1号」
 PDF版(A4版30ページ)
  http://www.sol.dti.ne.jp/~sam/realaim/daybreak.pdf
 Web版(上記のPDFは字が小さいのでこちらの方が見やすいかも知れません。)
  http://www.sol.dti.ne.jp/~sam/realaim/Lifeindex.html

ご存じの方もおられるかもしれませんが、
この論文は蘇生科学者でもなく、特定の宗教関係者でもなく、元福島大学教授
の飯田史彦さんが1995年に出されたものです。

内容は、主に海外で、退行催眠によって語られた、自分が生まれる前の過去世
の体験証言を、第三者の研究者が追跡研究し、その証言が単なる虚言では説明
できない事、「死後の生命」や「生まれ変わり」が確かに存在することを検証
する近年の科学的研究成果を紹介したものです。
これらの研究は心肺蘇生法と同じで、まだ浅くここ半世紀くらいだと思います。


(以下は最終章等の一部抜粋)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「死後の生命」や「生まれ変わり」に関する研究は、その科学的正当性の議論
とは別の次元で、研究成果の存在そのものが大きな社会的役割を有している。

私は、「死後の生命」や「生まれ変わり」に関する近年の科学的研究成果の内
容について、試みに、各所でそれとなく話しをしてみることにした。その結果、
その情報を伝えた人々が、目を丸くし、時には涙を浮かべながら、真剣に聞き
入ってくれることを発見した。ある経営者は、「それこそが私の求めていたも
のです。社員に何をしてもらえるかではなく、社員に何をしてやれるかという、
すっかり忘れていた問題意識がよみがえってきました」とうなづいた。また、
ある管理職は「ぜひ、部下ばかりではなく家族や知人にも教えてあげたい」と
目を輝かせ、ある学生は「これで何も怖くなくなりました。これからは下宿に
帰って一人きりでいても、寂しくありません」とよろこぶのであった。

臨死体験をした自殺未遂者は二度と自殺を企てようとはしないことがわかった。
その理由について、コネティカット大学医学部精神科のグレイソン教授は、
「死が終わりではない」ということを知った結果、あるいは、「何らかの理由
で自分は死後の世界から送り出されたのだ」と信じることからくる効果である
と分析し、この効果によって、人は自分自身をより許容するようになり、「自
殺が問題からの逃げ道にはならないのだ」という事実を知るようになると指摘
する。

「死後の生命」や「生まれ変わり」の仕組みを理解すると、全ての悲劇に貴重
な意味が生まれ、単なる不幸が成長への機会と変貌する。(中略)
数多くの退行催眠の事例をもとに、ブライアン・L・ワイス博士は次のような
結論を出している。「重い精神病や肉体的な欠陥などのように深刻な問題を持
つことは、進歩のしるしであり、退歩を意味しない。私の見解では、こうした
重荷を背負うことを選んだ人は、大変に強い魂の持ち主だ。最も大きな成長の
機会が与えられるからである。もしも、普通の人生を学校での一年間だとすれ
ば、このような大変な人生は、大学院での一年間に相当する。退行催眠をかけ
ると、苦しい人生の方がずっと多く現れてくるのは、そのためである。安楽な
人生、つまり休息の時は、普通はそれほど意味を持たないのである。」

また、まもなく死を迎える時、「死後の生命」や「生まれ変わり」の仕組みを
知っていれば、どれほど心安らぐことだろう。「死ぬ」ということは、ただ
「肉体」という衣服を脱いで取り替えるだけにすぎないこと、次にどのような
衣服を着るかは自分で選択できること、先立った懐かしい人々との再会が待っ
ていること、この世に残す家族はやがて自分が迎えに来ればよいことを知って
いれば、死の瞬間をどんなに大らかな気持ちで待つことができるだろうか。
「さて、次はどんな人生を計画してみようかな」と、洋々たる未来を想像する
ことができれば、死に際しても楽しい気分でいることができるに違いない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

同様の参考文献
■池川明(産婦人科医)「子どもは親を選んで生まれてくる」
http://www.amazon.co.jp/dp/4531064070/
(上記HPで「なか見!検索」で一部、読めます)

この本は、上記のような検証はありませんが、産婦人科医である著者が実際に
患者さんのお子さんから聞かれた証言をまとめられています。生まれる前の記
憶を持つ子供から聞かれた事例が書かれています。

P170 赤ちゃんが亡くなると、医者は無力感に打ちのめされます。「命を救う
こと」だけを医者のミッションだと考えると、死は医者の敗北にすぎないから
です。
P182 100% 安全なお産は決してありません。その事実をどう受け止めるか?
お母さんも医者も生死観が問われています。そもそも命あるものは、必ず死を
迎えますし、その意味で死とは生の対極にあるものではなく、常に表裏にある
ものです。死をタブー視して忌み嫌うと真実の半分しか見えなくなってしまう
のだと思います。
P211 私たちは、なぜ生まれ、どこに還っていくのかという生死観が必要なの
です。

■NHKスペシャル超常現象 科学者たちの挑戦
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0322/
http://www.nhk.or.jp/bs-blog/100/176720.html
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014054673SA000/
生まれ変わりの子どもたち
−−−「前世はイギリス人だった。本当のお母さんに会いたい」そう話してい
たという日本人の少年。目元の涼しい、頭脳明晰(めいせき)な男の子です。
アメリカのバージニア大学では、2500例以上の生まれ変わり現象を記録してい
ます。

■五島勉『カルマの法則』1978年7月
http://www.amazon.co.jp/dp/4396310366
人が死んだらどうなるのか−−−1950年代の米国でニューヨークタイムズやラ
イフでも取り上げた話題、コロラド大学が調査を公表し、バージニア大学は20
年かけて2000例を調査し、『前世を記憶する20人の子ども』として大学出版局
から出版されたことなどが書かれています。

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posted by jemta at 16:29| 日記

2014年05月01日

心肺蘇生の新ガイドラインG2015のトピックス



本記事のURL
http://jemta.org/index_140501.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


■1.はじめに
ご存知のように
1960年に、初めて人工呼吸と胸骨圧迫と除細動の3つが統合され、
1974年に、AHAは、Guidelines for CPR and ECC(1974)を初めてJAMAで公表し、
その後、ERCと共同してILCOR組織を作り、
2000年にGuidelines 2000 for CPR and ECC(2000)が公表されました。
(日本も岡田先生らのご尽力により、RCAとして2010年から正式にILCORに加盟。)
http://jemta.org/index_ilcor.html

以降、国際コンセンサスと各国のガイドラインは2005年、2010年と改定され、
来年の11月に新ガイドラインG2015が出版される予定になっています。

G2010については、以前、ILCORのQuestions2010の項目名のみ和訳しました。
 ・原文の順序での和訳
   http://jemta.org/index_ilcor2010q.html
 ・TaskForce名(ACS,ALS,BLS,EIT,NRP,Peds)順序
   http://jemta.org/index_ilcor2010q_abc.html
  Questions2010の項目は全部で302個ありました。

項目だけでも膨大なので、この中の1個のタスクフォース
BLS-004B(パブリックアクセスのAEDプログラム)を選んで、和訳しました。
検索にヒットした論文をあげ、その一つ一つの論文に対して
レビューアーのコメントが書かれています。全部で56ページありました。
http://jemta.org/index_ilcor2010q_bls004b.html


■2.新ガイドライン2015のトピックス
以下は、3月に京都で行われた第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)の
参加メモです。

−−集中治療領域における蘇生科学の実践−−
会   長:氏家 良人(岡山大学救急医学)
実行委員長:野々木 宏(静岡県立総合病院)
実行委員 :一般社団法人日本集中治療医学会、非営利活動法人NPO救命おかやま

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点
1.BLS
http://jemta.org/index_140327.html
2.ALS
http://jemta.org/index_140328.html
3.EIT
http://jemta.org/index_140404.html
4.ACS
http://jemta.org/index_140410.html
5.小児
http://jemta.org/index_140415.html
6.新生児
http://jemta.org/index_140417.html

教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
1.なぜILCOR はGRADE (グレード)システムを導入したのか?
http://jemta.org/index_140418.html
2.ガイドライン作成に役立つGRADEシステム
http://jemta.org/index_140430.html


■3.最後に
JRC会長の岡田先生はこのシンポジウムの最後の挨拶で
・今度のCoSTR2015は、GRADEシステムで作成される。
・本J-Ressで発表された咽頭冷却装置
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1402/28/news136.html
 を初め、日本発論文の世界貢献に期待する。
との2点を強調されていました。

JRC岡田和夫会長の「第7回J-ReSS報告」
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20140311J-ReSS.pdf

尚、次回の第8回日本蘇生科学シンポジウム(J-RESS)は、
2015年6月4日(木)9:00-17:00、富山県民会館で行われるそうです。
http://www.med.u-toyama.ac.jp/tedm/top.html

また今回の小児のトピックスで最初に講演の予定だった
清水直樹先生(都立小児総合医療センター)ですが、
救命おかやまの第9回定時総会・記念講演会で
小児の心肺蘇生の特別講演として講演される予定だそうです。
2014年7月12日(土) 17:45-19:30
岡山プラザホテル 2F「吉備の間」
http://npo-ok.umin.jp/
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posted by jemta at 11:50| 日記

2014年04月30日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ8 [ガイドライン作成に役立つGRADEシステム]



本記事のURL
http://jemta.org/index_140430.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ7 [なぜILCORはGRADEを導入したのか?]
http://jemta.org/index_140418.html
に続き、

教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
「2.ガイドライン作成に役立つGRADEシステム」のメモです。[一部加筆しました]


尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。
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2.ガイドライン作成に役立つGRADEシステム
  大田えりか(国立成育医療研究センター)
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[大田えりか氏 略歴
2001年聖路加看護大卒、2002年日本赤十字社助産師学校卒、東京都三楽病院で助産師
2006年東京大学大学院母性看護学助産学教室 保健学修士、2008年同大学院で保健学博士 
2009年東京医科歯科大学大学院リプロダクティブヘルス分野特任助教、
2010年エイズ予防財団リサーチ・レジデント、世界保健機関ジュネーブ本部
リプロダクティブヘルス部門でインターンで WHOの妊婦健診ガイドライン作成に携わる]

私は助産師なんですけれども、3年前にインターンでWHO に行っていて、その時に
ガイドラインを作成するお手伝いして、GRADE を学びました。

日本はEvidence-base で遅れをとっていることに気付いた。上司である森臨太郎先生が、
コクランの共同計画を日本に持ってこようと3年前からワークショップを始め、先月、
ようやく日本支部の許可をもらった。今は、コクランレビューを書いて著者を増やす仕事
をしている。「GRADE がはじめての方はいらっしゃいますか?」(半分以上が挙手)。今日
は初めての方向けの資料で説明します。


■1.GRADEシステムとは何か
GRADEシステムは、カナダのMcMaster(マクマスター)大学のDr.Gordon H. Guyatt
(ゴードン・ガイヤット)先生によって作成された。[David SackettとGuyattはEBM提唱者]
http://therres.jp/3topics/2011/20110525165004.php
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%B9%E6%8B%A0%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%84%E3%81%9F%E5%8C%BB%E7%99%82

GRADEシステムとはは、システマティックレビューや診療ガイドラインなどのエビデンスの
質評価や推奨の役立つアプローチ。
一番大事なことは、点推定値、系統的なレビューを行ってメタアナリシスをして、
リスクレイショの推定値が確からしいのか、本当にそれが効果があるのか、ないのかを
エビデンスの基としなければならない。それをガイドラインでシステマティックレビュー
でちゃんと評価しよう、わかりやすい評価基準を作って評価しようということになった。

GRADE の流れは、システマティック(系統的)レビューを行って、メタ解析をして、質の評
価をして、エビデンスプロファイルという表を作って、アウトカムごとにその質が高いの
か、中くらいか、低いのか、非常に低いのか、4段階の質にわける。 それを?毎にまた
全体的なエビデンスの質をつけてパネル会議をする。但しこのパネル会議はエビデンスの
質とは別に考える。エビデンスの質はベースにあるが、分けて別に考える。

さきほど、インプリメンテーションができるのがGRADE はすごいとの話があったが、
エビデンスの質は、4つのクライテリア(尺度)の一つでしかない。それ以外に利害と害の
バランス。副作用が強い薬は簡単には推奨はできない。これはエビデンスはあるがさすが
に勧めることはできないんじゃないかとか、さきほど、低体温症の話があったが、
エビデンスがあるからと言って一概に推奨していいのかとの議論がある。それをちゃんと
パネルで決めましょうと。

あとはコストの問題。非常に有用性があって副作用が少ない。しかしものすごく高い。今
は医療費が膨大に増加している。日本は、高齢化社会でそれにどのような説明責任をつけ
て資源を配分していくかということが非常に重要になる。それにどのような理由で、この
ような理由で、GRADE を使ってパネル会議をして、有識者かつ医療消費者も入れるのが
GRADE のルールだが、医療を使う側も含め、多種多様な人が集まって話し合って
ガイドラインを作っていく。そういう一連の流れを作ったシステム。まだ発展途上のシス
テムでもある。2000年から始まったが、まだ日々改善していっている。今、治療介入の
ガイドラインを主に伝えているが、これから診断のレビューとか、他の領域にも広がって
いく予定。

GRADEを使っている機関は、年々増えてきている。60くらいの機関が採用している。WHO、
CDC など世界の名だたる国際機関がGRADE に準じてきている。日本もこの流れに乗り遅れ
ないようにしなければならない状況にある。ILCOR の部会でも恐らく世界的な流れに準じ
る姿勢だと思う。ビデオのβ/VHS/ブルーレイの規格に似ているが、ISOと同じで、国際的
に統一して評価することで比べられる。


■2.なぜGRADEが必要か
なぜGRADE なのか、今までの評価では何故いけないのか?WHO が何故GRADE を採用したの
か?3年くらい前、WHO も以前は、今日本で行われているようなナラティブな(物語りと
対話に基づく)ガイドラインを使用していた。プロジェクトも、専門家がこれがいいんじ
ゃないかと考えたプロジェクトを行っていた。ただ、多くの医療の臨床、ガイドライン、
政策の決定がエビデンスに基づいていないんじゃないかということが問題になった。そし
てちゃんと系統的レビューをして、網羅的に検索をして、すべての知識を統合して、信頼
性のあるもの、効果のあるものを皆さんにインプリメントしていかないといけないんじゃ
ないかと。

たくさんプロジェクトで失敗した。多額なお金をかけて色々なことをした。しかし、うま
くいかないプロジェクトが多発した。それで失敗したら説明責任が伴うということで、プ
ロジェクトもガイドラインも必ずエビデンスに基づく、いちばんエビデンスのレベルの高
い系統的レビューをする、RCT のそのまた上の系統的レビューをしっかりすることが大事。
WHOのトップの方(LEE Jong-wook WHO Director General 2003-2006)が、
「知識に基づかない行動は無駄な努力であり、同様に、知識があっても行動しないのは、
資源の無駄だ。」と言われた。

しっかり今まで積み重ねてきたRCT を見直して、よりよい医療を皆さんに提供していきま
しょうと発言された。それから徐々にGRADE になってきた。WHO のガイドラインは全て
GRADE を取り入れることになった。そして系統的レビュー、コクランと共同して、GRADE
を使ってガイドラインを作り、プロジェクトを立ち上げていく手法に変換していった。

■表1.Oxfordスタイルの研究デザインとエビデンスレベルの評価
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
T 低 RCTのメタアナリシス
U   ランダム化比較試験(RCT)
V   比較臨床試験(Clinical contorl traial)
Wa  コホート研究(Cohort study)
Wb   症例対照研究(Case control study)
X   症例集積研究(Case series, case report)
Y 高 エクスパート・オピニオン(Expert opinion)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■表2.Minds推奨グレード Oxford Centre for Evidence-based Medicine
推奨グレード      内容
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   A   強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。
   B   科学的根拠があり、行うよう勧められる。
   C1   科学的根拠はないが、行うよう勧められる。
   C2   科学的根拠がなく、行わないよう勧められる。
   D   無効性或いは害を示す科学的根拠があり、行わないよう勧められる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

上の表1.で、一番いいとされているのがRCT のメタアナリシス、次にRCT、比較臨床試験、
コホート研究、症例対照研究症、例集積研究、そして最後にエクスパート・オピニオン。
一番バイアスが低いのは、メタアナリシス、次にRCT 。研究のデザインでそれぞれの論文
を評価して、それに推奨グレードをつける。

表2.のMinds 推奨グレードのA は、「強い科学的根拠があり、行うよう強く勧められる。」
となっている。この「強い科学的根拠」というのが、推奨と科学的根拠が一緒になってい
る。これが、GRADE では離れている。先ほど話があったが、エビデンスレベルが低くても、
インプリメンテーションが高いのがあるではないかということで、それが今のスタイルだ
と全部その研究デザインが落とされてしまう。例えば、質の低いRCT が一つでもあれば、
それはすごい高い推奨になってしまう。これが問題点の一つ。質の高い観察研究の
エビデンスよりも、質の低いRCT のエビデンスがレベルが高くなってしまう。

例えば、救急の方だと、観察研究、コホート研究、大規模なものを多施設でやるのはすご
いエビデンスレベルが高いものがある。デザインだけで評価していいのか?という問題点
がある。推奨を科学的根拠だけで判断してよいのか?コストや好みも副作用もある。そし
てそれを医療消費者がどう受け取るかという事もあるので、推奨を科学的根拠だけで判断
するのは本当は違うんじゃないかということでGRADE システムはできた。

GRADE の特徴は、価値観、好み、医療資源(医療費)の配分などを考慮して判定することに
ある。エビデンスに基づく強い推奨、コホート研究で非常に大きいものがあれば高い
エビデンスとして評価することもできるし、低くても専門家としてそれが非常に重要だと
いうことであれば、強く推奨することができる。そしてそれをどうして判定したのかとい
う理由を述べていくことで、判定の透明性を高める。デザインだけで決めるというのは、
サンプルサイズはどうか、本当にそのRCT はきちっとランダム化されたものなのか、とい
うバイアスの問題を全く無視している。そこをGRADE では一つ一つクライテリアを作って
判定の透明性を高めている。


■何故、今までの評価のままではいけないのか?利益相反の問題
では、今までGRADE といままでのガイドラインとどういう問題が起きているか?との点。
今世界で非常に問題になっているのは、利益相反の問題。ガイドラインも利益に利用され
ている面が多々あり、それを臨床家は気づかないことも多い。

イギリスとドイツで起きたある薬の問題の例。
ドイツでは前のMinds の形のOxfordスタイルでレーティングをした。RCT が5本あったが、
全て一番高いエビデンスレベルと評価され、そして強く推奨された。そして、もちろん、
ポリシーメーカーはそれを読んで、その病気の人はその薬を無料で受けられる保険点数が
ついた。

ところがイギリスのNICE(ナイス)ガイドラインではGRADE を取り入れていた。質の評価を
きちっとしているので、RCT であっても質が低いものを見抜いているので、一番高い
エビデンスレベルにはならなかった。低いエビデンスレベル、限界点、副作用、患者の好
みを考慮して、もし標準薬が効かなければ使ってもいいという、条件付きの政策になった。
医療費も抑えることができた。ところが数年たってわかったが、ドイツのガイドラインを
作った方がその会社からお金をもらっていた利益相反(COI )が明らかになっている。そう
いう方が一人でもガイドラインのメンバーに入っていると、Oxfordスタイルでは、
ガイドラインがその意志にひっぱられてしまう可能性がある。実際に起きている。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■表3.高血圧の治療薬 標準薬と新薬の比較論文

       アウトカム1 アウトカム2    アウトカム3
       効能1    副作用1      副作用2
       血圧低下  脳卒中      突然死  
論文名 症例 標準 新薬 標準    新薬 標準 新薬
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 A   40  ○  ○  ×10/20  1/20   −
 B   120     ○    5/65 ×15/55     ×
 C   100     ○   20/55 ×28/45  ×  ×
 D   70  ○      3/38 ×9/32   −
 E   600     ○   -    -    −
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
○:より効果があった。   いずれもランダム化比較試験
×:より副作用があった。
−:記載なし

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
例えば、表3.は、高血圧の治療薬で、標準薬と新薬とどちらを推奨すればよいかとの論文
で、RCT が5つ見つかった場合。アウトカムとしては、血圧低下の効能、脳卒中の副作用、
突然死の副作用の3つがある。それぞれの論文はサンプルサイズも異なるし、実施国も異
なる。各アウトカム項目のないものもある。これをナラティブなレビューとして、以下の
表4.のように新薬に有効性があったトライアルだけを用いて、新薬を強く勧めることがで
きてしまう。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■表4.新薬を強く推奨する説明
       アウトカム1 アウトカム2    アウトカム3
       効能1    副作用1      副作用2
       血圧低下  脳卒中      突然死 
論文名 症例 標準 新薬 標準    新薬 標準 新薬
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 A            ×10/20  1/20
 B
 C                     ×  ×
 D
 E         ○
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
新薬は論文Aより、脳卒中の副作用が低く、
論文Eより、血圧低下の効能があり、
論文Cより、突然死の副作用は標準薬と同じなので
新薬を強く勧める。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


反対に標準薬を進めたかったら、以下の表5.のように標準薬が効果がでている論文だけ
を使って、標準薬を強く勧めることができる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■表5.標準薬を強く勧める説明
       アウトカム1 アウトカム2    アウトカム3
       効能1    副作用1      副作用2
       血圧低下  脳卒中      突然死  
論文名 症例 標準 新薬 標準    新薬 標準 新薬
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 A      ○  ○
 B              5/65 ×15/55     ×
 C             20/55 ×28/45  ×  ×
 D      ○      3/38 ×9/32 
 E 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
標準薬は、論文BCDにより脳卒中の副作用が少なく、
論文Dにより血圧低下の効能があり、
論文Bにより、突然死の副作用が少ないので
強く勧める。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

このように横に見ていくと、問題が起きてくる。論文ごとにアウトカムを選んで参考文献
をあげるのは問題がある。

そこでGRADE では、論文をならべて、アウトカム毎に、串刺しのように読む。メタ解析を
して、その信頼性が確からしいのかどうかを判断していく。ですので縦に論文をならべて、
それぞれのアウトカム毎に、串刺し図のように読む。アウトカム毎に統合した結果を読む。
GRADE のテーブルを作る資料を作成することと、その後に、診療ガイドラインの
パネル会議をしてガイドラインを作るという二つのプロセスがある。これは別々の人がや
ってもいいということになっている。海外ではなるべくシステマテックレビューは論文を
書いているような、大学のような機関に任せようということになっている。

■3.GRADE の長所と限界
・GRADE の長所は、国際的に共同して作成や評価ができる点がある。これによって比較が
 できるし、独りでやるよりも皆さんの財源を使ってできる。
・そしてエビデンスの質と推奨度を明確に分離している点。エビデンスレベルが低いとさ
 れても、強い推奨を出すことができる。または高いエビデンスレベルがあっても、弱い
 推奨を出すことができる。これが今までできなかった事。
・そして3つめに患者にとって重要なアウトカムは何かという、患者主体の視点に立って
 検討することができる。そしてパネル会議には必ず医療消費者の方を入れて議論し、
 医療消費者にもわかりやすく説明していく、説明責任につながっていく。
・4つ目はエビデンスの質の評価基準を明確化している。これには5つの要因がある。そ
 の基準を作っている。今までは研究デザインでしかみていなかったものを、しっかり中
 身まで見て、推定値の確からしさを検討していく。
・5つ目はエビデンスから推奨への移行プロセスを明確化している。こちらがパネル会議。
 そして、推奨書を作成するときに患者の価値観や好みも考慮している。医療消費者を入
 れてパネル会議をする。もちろん、最初のアウトカム設定のところでも、医療消費者を
 入れることができる。そして推奨度の解釈を明確化している。今まで推奨度の解釈はよ
 くわからなかったが、しっかり定義づけされている。

■では限界は何か?
・1つ目は、これは介入と治療に関して行われているので、予後や病因、リスクに関する
 疑問に対処していない。主に「治療と予防的な介入の効果をみているだけ」になる。
・2つ目は大義名分的な不明瞭に定義された一連の推奨事項に適用できない。エビデンス
 がないようなものに関してGRADE を適用していくのは非常に難しい。
 多くのガイドラインは、本当に検討が必要な事項だけをピックアップしてガイドライン
 を作り直している所が多い。本当にエビデンスがわからない所は、各臨床医の方に考え
 ていただくしかないので、そこがガイドラインとして必要なのか、そのガイドラインを
 出すことによって、本当に死亡率を下げることができるのか、影響する所だけをエッセ
 ンスをまとめて出す方が、医療の質の貢献になる。
・3つ目は、診断の研究は、エビデンスの質の判定基準の一部を改変する必要性が生じる。
 診断のレビューに関してのGRADE に関してはまた別のやり方が必要で、いま開発の途上
 にある。ただこれも徐々にできているので、論文がそろそろ発表されるのではないかと
 言われている。
・4つ目は、GRADE 適用対象外のステップについては、コクランなどに手引きを求める必
 要がある。他のものを参照する必要がある。コクランレビューやパネル会議後の推奨を
 モディファイ、デルファイ法を使うとか、GRADE 以外の他の手引きを求める必要がある。
・5つ目は、質判定の不一致を解消することを目的としたものではなく、その見解の不一
 致の本質的な理由を把握することを目的としている。


■4.GRADEの評価プロセス
まずシステマテックレビューをする。重要なのは網羅的な論文検索をすること。総説。
自分で検索して、MEDLINE でキーワードを入れてヒットしたもので、集めたエビデンスを
各論文と。コクランのシステマテックレビューでは、データベースを網羅的に検索する。
そしてデータベースごとに、キーワードを変えて、非常に大きな広い範囲で論文をとって
くる。特に日本の方が良く行っているのは、MEDLINE はPubMedを通して使うことができる
が、EMBASEというデータベースには、主にヨーロッパの論文が入っていて、MEDLINE には
収載されていない論文が多数入っている。EMBASEはデータベースに入っている期間が少な
いために、使われていないことが多い。

最強の3つのデータベースと呼ばれるものが、 MEDLINE、EMBASE、コクランのライブラリ
である。?http://jhes.umin.ac.jp/documents/3/report3.html
この3つで、ほとんどの重要なトライアル、RCT は網羅される。網羅的に検索している
システマテックレビューかどうかが非常に重要。

そして、疑問の定式機構と言われるPatient、Intervention、Control、Outcomeの4つの
リサーチクエスチョンをたてて、Outcomeを、重大、重要、重要でないに分けて、網羅的
にした検索の結果から、インクルードされる研究をアウトカム毎に評価して串刺しにする、
メタアナリシスをする。得られたメタアナリシスの結果から、RCT のエビデンスの質は、
Highからはじめ、観察研究はLowから始める。

グレードを下げる5要因は、@研究の限界、A結果の非一貫性、Bエビデンスの非直線性、
Cデータの不正確さ、D出版バイアスの5つ。

A結果の非一貫性は、リスコンバイアスという、系統的レビューで使う質の評価の項目を
見て決める。非一貫性は串刺し数がどのくらいひっせいがないかどうかを評価する。
Bエビデンスの非直線性は、直接にそのクリニカルクエスチョンの対象者を見ているのか
どうかで異なってくる。
Cデータの不正確さは、信頼区間がどのくらい狭いか広いか、これはサンプルサイズによ
るが、そこを評価する。
D出版バイアスは、発表されていない隠れた論文がないかどうか、ネガティブデータであ
るがゆえに出版されていない論文がないか調べる。それぞれについて、マイナス1、又は
マイナス2まで下げることができる。
-1.serious(likely)、-2.Very serious(likely)
下げた場合は、必ずその下げた理由を書いていく。この一つ一つについてどういう基準か
ということが細かく決められているので、それに準じて評価をしていく。

そして観察研究の場合は、「GRADE を上げる3要因」という復活性が残されている。これ
は、RCT の場合はつけない。観察研究の時のみ、例えば効果が非常に大きい場合、または
明らかな交絡因子があるので、本当は効果が高いのに低く見えている場合などはGRADE を
上げることができる。GRADE の特徴としては、観察研究でもエビデンスのレベルが高くな
る復活の可能性があることが、非常に以前とは違う動きになっている。

■エビデンスの質の評価
body of evidenceでは、エビデンスの質を4段階に評価する。これがエビデンスの質の評
価、GRADE のエビデンスのプロファイルの表を作るところまでになる。これを基に、
パネル会議で、エビデンスの質、利益/不利益のバランス、価値観や好み、コストや資源
の利用など、全部で4つの項目を基に推奨を出す。この推奨は2つのレベルしかない。強
い推奨を出すのか、弱い推奨を出すのか。又は、強く推奨しない、弱く推奨しないという
反対側もある。推奨というのは、エビデンスの質だけではなく、他のものを考慮してこの
4つで決める。

■ReVManとGRADEpro
ReVManというフリーソフトは系統的なレビューを作るためのソフト。ぜひ、皆さんご自分
で「ReVMan download」で検索してダウンロードしてみてください。
http://tech.cochrane.org/revman
MacでもWindows でも使用ができる。
これを用いて串刺し図を作り、それをGRADE profiler(グレードプロファイラ)に
エクスポートすることができる。エクスポートすると、非常に簡単に一瞬で表を作ること
ができる。GRADE で一番時間がかかるのは、系統的レビューを行うところ。網羅的に検索
して、その論文を1個1個チェックして、バイアスがあるかどうかを読み込んで、そして
評価するという、系統的レビューのプロセスが非常に時間がかかる。
もしそれが、コクランレビューで自分の Research Question(リサーチクエスチョン)が出
ていた場合は、非常にラッキーで、そのrevman(レブマン)のファイルをもらって、それを
GRADE profilerに入れて、さきほどの5段階の評価をするだけで、あっという間に評価で
きる。レビューさえあれば非常に簡単にできる。レビューを作るところまでが非常に大変。

■結論
・診療ガイドラインは、入手可能な最良なエビデンスに基づくべきである。
・意思決定や判断において透明性が鍵となる。
・GRADE アプローチ
 -simple、transparent、systematic

GRADE が望んでいることは、簡単に、これがシステマティックに行われていくこと。
コクランレビューもそうだが、1回ベースラインを作ってしまえば、あとはアップデート
だけしていけばいい。最初は時間がかかるが、その後10年後、20年後、ちょっとRCT がで
たら、自動的にグレーティングできるようなレベルまで行こうという方向性で考えている。

詳しくは、相原先生の教科書がAmazonで売られている。これは治療介入のみのGRADE だが、
非常に詳しく翻訳されてまとまっている。ぜひご覧ください。
また、GRADE のワークショップも東京で次回5月24日に行いますので、もし、参加され
たい方はぜひ参加していただけたらと思います。
http://ebm.umin.ne.jp/workshop.html
前回は、岡田先生と野々木先生が大雪の中、2月9日に来ていただきました。
ありがとうございました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

尚、これまでの参加メモ1〜8のまとめは、このあとの記事で投稿する予定です。
心肺蘇生の新ガイドラインG2015のトピックス
http://jemta.org/index_140501.html


posted by jemta at 16:38| 日記

2014年04月18日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ7 [なぜILCORはGRADEを導入したのか?]



本記事のURL
http://jemta.org/index_140418.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ6 [新生児]
http://jemta.org/index_140417.html
に続き、

教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
「1.なぜILCOR はGRADE (グレード)システムを導入したのか?」のメモです。


尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.なぜILCOR はGRADE (グレード)システムを導入したのか?
  野々木宏(静岡県立総合病院)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・よろしくお願いします。さきほどからGRADE (グレード)という言葉がでてきて、これは
 何だと思われたと思いますが、私たちもそうでした。さきほどの2015年の時にILCOR が
 GRADE を採用した際、GRADE とは何だろうと思いました。本来最初のセッションは十分
 時間をとっていましたので、たぶん時間があるだろうと思っていましたが大分遅れてい
 るので、私は短くしてその後の大田先生につなげたいと思います。

・GRADE とは何だろうと思った時に、日本の中で、国際的なGRADE のワーキンググループ
 に所属されている弘前の相原先生からテキストがでていることに驚いた。
 http://www.grade-jpn.com/
 そこで、相原先生にお願いをして、ILCOR がGRADE を導入したので勉強会をしたいので
 ぜひ私達に講義をしていただきたいと申し入れをした。しかし弘前から出てくるのが大
 変だとのことで、今日の大田先生を紹介いただいた。
・大田先生に2度3度と色々と教えていただいて、やっと私どもは概要がわかったので、
 後ほど太田先生にレクチャーをいただこうと思う。
・レビューに関してはさきほどからでているので、これ以上ILCOR が何故という説明は僕
 は要らないと思う。

・先ほどの低体温で、Randomized Study1編でこれほど左右されるかもしれない時に、今
 まで、RCT(Randomized Conrtrolled Trial;ランダム化比較試験)1編でガイドラインが
 引きずられる可能性があった。(RCT1編の報告で、Level1の勧告となっていた。)
・ところが、このGRADE を用いると、さきほどGabrielli 先生も仰った通り、アウトカム
 が重要だというところで、この1本に左右されるということが、恐らくなくなるだろう
 ということがGRADE を採用した大きな事だと思う。
・今までだと、論文を1編ずつを検討して、RCT があったり、メタ解析をやると、もう相
 当それでレベルがあがってしまう。ところが今回のこのGRADE を使うと、アウトカムの
 中に含まれている文献をすべてレビューをするわけなので、1編に引きずられることが
 ないところがGRADE の今回の大きな進歩だと思う。

・これはご存じの通り、ガイドライン2010の時のもので、このようなテーブルがあった。
 このスタディの中には、ここにRCT が入っている。結局このRCT に引きずられていた。
・今回それをなくそうということで、システムを導入した。今回はGRADE を使う。色んな
 アウトカムごとの評価が定まれば、その都度出していこうというのが今回の2015の特徴
 なので、おそらく2015年に間に合わないという恐れを、たぶんILCOR は思っていないの
 ではないかと私は思う。というのは、その都度出していこうということで、彼らはこれ
 をアイ・コスター(i-CoSTR?)と読んでいる。Web ベースでたぶん毎年毎年トピックスで
 出してくるのではないかと思う。
・あと負担の軽減と、GRADE を用いたことで、現在我々は、この作業をしている。GRADE
 は推奨しているのは、コクラン(Archibald Cochrane;コクラン共同計画の提唱者)
 ?http://en.wikipedia.org/wiki/Archie_Cochrane
 のレビューをそのまま使う。無料で誰でもダウンロードできる、このReview managerを
 使うとメタ分析が非常に容易になる。 
 ?http://tech.cochrane.org/revman/other-resources/gradepro/download
・いくつかの論文をアウトカム毎の評価をして、メタ分析をして、サマリーを作って、最
 終的にCoSTR に載せていくという形がとられる。今までの作業よりはずいぶん客観的な
 評価ができるようになるのではないかと思う。
・最終的にCoSTR を作るわけだが、最終的にこのように4段階の評価をする。
・これではGRADE とは何かというのがわからないと思うので、早速太田先生の方から、解
 説を賜りたいと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
「ガイドライン作成に役立つGRADEシステム」については、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ8
[ガイドライン作成に役立つGRADEシステム]
http://jemta.org/index_140430.html

posted by jemta at 17:12| 日記

2014年04月17日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ6 [新生児]



本記事のURL
http://jemta.org/index_140417.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ5 [小児]
http://jemta.org/index_140415.html
に続き、

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点 [新生児]のメモです。

尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
6.新生児 田村正徳(埼玉医科大学)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
・最初にお断りしておきますが、ILCOR と(秘密保持?)契約を結んでいない方もおられ
 るんじゃないかと聞かれたので、そうだと言うと「絶対余計なことをしゃべるな」(笑)
 と言われましたんで、非常にあいまいなことしか入っていません。ですのでPICO10を入
 れていません。期待されている方々には申し訳ありません。
・今日私が述べさせていただきますのは、Consensus 2010の時に新生児部門で、ずいぶん
 大きなカーブがありました。

・それまでは、生まれた時に赤ちゃんの胎便で羊水が混濁している時には、それを積極的
 に吸引しましょうということが2005年のガイドラインであったが、それがまずなくなっ
 た。
・生まれてすぐの赤ちゃんの皮膚の色は、SPO2が非常に低い所からだんだんあがってくる
 のであてにならない。ばっそく?をしめたり、きちんと測りながら評価することになっ
 ている。
・羊水が混濁している時も、気道内をルーチンに吸引する必要はないということがでたこ
 とに関しては、実はこれはやってはいけないということではなく、やったからといって、
 胎便吸引症候群(MAS) を防止できるエビデンスがないからということで、これが外され
 た。これに関して現在ILCOR のグループが中心になって、国際的な共同試験をやってお
 り、その結果によっては、ひょっとするとまた復活するかもしれない状況。

・それから、前回のCoSTR2010 で大きく変わったことの一つが、生まれてすぐの赤ちゃん
 の蘇生で、過剰な酸素投与は避けるという点。これは未熟児の網膜症については、昔か
 ら問題になっていたが、タームの赤ちゃんについても、神経学的にも、呼吸の誘発とい
 う点からも、色々問題があるということで、これも回避しなさいということ。これが大
 きく変わった点である。
・それに対して、2015年に向けて残されている問題は、もしこれを実施しようとすると、
 当然のことながら、パルスオキシメーターを分娩施設に全て用意しないといけないし、
 酸素ブレンダーも用意しないといけない。そのときの酸素のSPO2をつけなさいというの
 であるが、その時、どれくらいのSPO2をターゲットにすべきか、このあたりが実は課題
 として残っている。
・特に日本の場合は皆さんご存知のように、お産の半分くらいが病院ではなく、
 クリニックとか助産所などで行われている。当然そこには、小児科医がいないし、それ
 から、さきほどあげたパルスオキシメーターとか酸素ブレンダーがない状況。
・CoSTR が発表される前の2010年の段階と、昨年で、これは周産期センター、これは産科
 のクリニック、これは助産所であるが、ここに対してアンケート調査をした所、新しい
 CoSTR2010 がでて、助産所も70% くらいは用意できるところまでいっている。しかし、
 酸素ブレンダーとなると、周産期センターと言われている所でさえも、分娩室で用意さ
 れていない。助産所などではそれらは全く用意されていないこともわかった。

・そのような場合に、どういうふうにして、酸素の過剰投与を控えるかということが、
 実は今CoSTR2015 に向けて問題になっている。
・それにからめて、我々の研究グループでやっていることは、お金のかからない方法とし
 ては、自己膨張式のバックに酸素をつけて流すことである。これが一番お金のかからな
 い、100%酸素でない酸素を流すやりかた。これで酸素の流量と、新生児の場合は蘇生の
 時に1分間に40〜60回が推奨されているので、40〜60回の回数で、気道内圧も20〜35く
 らいが推奨されているので、そのあたりの圧と、酸素分量を組み合わせることによって、
 酸素ブレンダーがなくても、ある程度の酸素濃度を調節できないかと。
・実際に日本で使われている各種の自己膨張式のバックに、さきほどの手法を組み合わせ
 ることによって、それぞれのバックにおいて、流量がいくらで、換気回数がいくらで、
 吸気圧をどれくらいにしたらよいか、調査をして、データを出した。これを使えば、そ
 れぞれの施設で、ブレンダーがなくても吸入酸素濃度を調節できる。

・それから、どれくらいのサチュレーションをターゲットにするかについては、我々があ
 る会社と提携してパルスオキシメーターに蘇生を開始した時からのパルスオキシメーター
 の値がブレンドでひけるようになっている装置を使って、我々の施設で正常なタームの
 お産で、蘇生を必要としなかった子どもの酸素飽和度の生後10分間のデータを集積した。
 このデータが、標準的なターゲットとなるSPO2の指標を決めることに結びつくと思う。
 我々だけではなく、ILCOR に加盟している各国でターゲットとなるSPO2を議論するため
 に今、データを持ち寄っているところ。

・もうひとつ。CoSTR2010 の時は、Delayed Cord Clamping と言って、臍帯(さいたい)を
 結紮(けっさつ)するのを1分くらい待った方が、胎盤から赤ちゃんに十分血液がいって、
 赤ちゃんの循環動態が安定する、それから将来、貧血で輸血をする回数も減るので、臍
 帯の遅延結紮が推奨された。
 ?http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2011/01/post_dbd0.html
・これの問題点は、早産児の場合に、はたして遅延結紮に、メリットがあるのかどうか。
 それから特に蘇生を必要とする場合に、1分間蘇生を待って結紮を遅らせることは、危
 険ではないかとの議論がある。
・それに代わるものとして、これは、日本で始まった方法だが、臍帯血のMilking
 (ミルキング)といって、臍帯を30〜40cmくらいの所でクランプしたものをしごいて、時
 間がたたないうちに、できるだけ瞬時に胎盤から赤ちゃんの方に血液を輸血する方法が
 ある。
・これをすれば蘇生が必要な仮死の赤ちゃんでもDelayed Cord Clamping と同じ効果が得
 られるのではないか−−−。これがひとつの2015年に向けたトピックスになっている。
・これに関しては、今日も会場に来ておられる日本大学の細野先生が日本で多施設の共同
 研究をやっている。?http://www.aiiku.or.jp/~doc/houkoku/h24/19006B080.pdf
 ちょうど今データ集積が終わった所で、ミルキング群とコントロール群でそれぞれ100
 くらいのデータを得た。それで、今得られているデータに関しては、生まれた時の
 ヘモグロビンの値で有意にミルキングした方がいいという結果。このあと、輸血が必要
 になるか否か、循環動態については、これから解析していただく予定。

・最後に新生児領域においてはCoSTR2010 で中等度から重度の仮死に対して低体温療法が
 標準的な治療として推奨されるようになった。CoSTR2010の適用でよいのか、それから
 プラスアルファの治療法があるかが、今問題になっている。
・日本でもCoSTR2010 がでる前に我々が調査した所では、低体温療法をやる施設が全くな
 いような県も多かったが、昨年の調査では、そういうことが解消されている。一応日本
 でも、CoSTR が推奨するやり方が一般的になってきていることがわかっている。
・今、我々は登録事業をやっている。順調に低体温療法の登録症例がどんどん増えている。
 こういったものを分析することによって、CoSTR2010 で推奨した適用をもう少し広げる
 ことができるかもしれない。

・もう一つは、この低体温療法を行っても、実際に低体温療法を行ったことによって脳性
 麻痺を防げる患者は、9人から10人に1人ということになっている。つまり、あとの
 8人から9人くらいの子供は低体温療法だけでは脳性麻痺を防げないわけで、低体温療
 法と組み合わせた、プラスアルファの治療が重症仮死に対しては必要ではないか。
・これは我々がやっている動物実験だが、仮死のノーベルをつぐんで?、これに本人の
 骨髄から採ったステンドセル?を投与することによって、日数が2日とか3日とかたっ
 た後でも、そのような治療を加えることによって、脳性麻痺が軽減できるのではないか。

・この辺が、CoSTR2015 に向けての、今、新生児グループで話題になっているところ。
 以上です。どうもご静聴ありがとうございました。
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教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
「なぜILCORはGRADEを導入したのか?」については、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ7 [なぜILCORはGRADEを導入したのか?]
http://jemta.org/index_140418.html

;
posted by jemta at 18:06| 日記

2014年04月15日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ5 [小児]

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ5 [小児]


本記事のURL
http://jemta.org/index_140415.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ4 [ACS]
http://jemta.org/index_140410.html
に続き、

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点 [小児]のメモです。

尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。

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5.小児  新田雅彦(大阪医科大学)
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・岡田先生、過言なご紹介ありがとうございます。本来でしたら都立小児総合医療センター
 の清水直樹がお話するはずでしたが、日本集中治療医学会のほうでシンポジウムをやっ
 ていますので私が今回代理で発表させていただきます。
・はじめにお断りしておきますが、私はタスクフォースではありません。清水先生にどう
 いうお話をすればよいか相談したら、「だいたいこうゆうことを話しておいたほうがい
 いんじゃない」と言われました。今日は、皆さんには10トピックスをお示しできませ
 んし、その次のトピックスもお示しできません。
・ただ私はこの前のWorksheet Authorをやり、JRC のガイドラインを作成した立場から、
 どちらかというと皆さんに近い立場でお話させていただきたと思います。

・これが、CoSTRの2010。 小児のワークシートとしては約60のトピックスがでた。最終的
 には56のワークシートが完成された。2010年のトピックスとしては、CPR 、除細動、
 挿管、薬剤、酸素傷害、低体温、ECMO CPR、MET(Medical Emergency Team)、
 敗血症性ショック(septic shock)、エスカンナ?など。
・このCoSTRからJRCのガイドラインができた。ガイドラインを作成していく上では流れが
 大事なので、その流れを基に次の2015年はどういう論点なのか、自分なりに考えてみた。
・これは2005年のガイドライン。この時は、骨子(骨組み)だけ。それが5年後にはJRC
 のガイドラインでは、肉付けされて、非常に厚い本になった。僕も通勤途中に持ち歩い
 ているが非常に重くて、肩が凝るほど。
・2005年から2010年のガイドラインで一番大きなトピックスは、救命の連鎖が変わったと
 いうことは皆さんご存知だと思う。今までは成人の救命の連鎖、小児の救命の連鎖、そ
 の2つが日本にはあった。新しいJRC のガイドラインでは、成人と小児の救命の連鎖を
 分け隔てなく、一つの救命の連鎖にした。これに関しては我々小児のグループは、非常
 に大きな提言をした。小児の心停止の事象は非常に少ない。その少ない事象のために、
 二つの救命の連鎖を作ることが本当に正しいことなのか。できるだけ大人と子供で隔て
 なくシンプルにするコンセプトが非常に大事だと考えた。小児で一番大事なものは予防
 だが、救命の連鎖を予防にしていただいて、大人も子供も一緒にしましょうと提言して、
 JRC の救命の連鎖ができた。
・2010年のJRC 以外の他の国のガイドラインはどうか?アメリカではまだ子供と大人を分
 けている。4つの鎖が5つになっている。ERC は2005年から2010年に関しては、ロゴは
 変わっていないが、小児に関しては必ず注釈がついている。日本だけが大人、子ども、
 隔てなく一つの救命の連鎖であることは、我々としては非常に誇るべきことだと思う。
・AHAにはこれ以外に、ACSの救命の連鎖、Stroke(脳卒中)の救命の連鎖と、鎖がたくさん
 あって、こんがらがるのではないかと僕はちょっと心配している。
・次のトピックスの論点を一つご覧ください。日本は、救命の連鎖のロゴをもっとカッコ
 よくできないかというのを論点にしていただきたいと思う。(笑)
・冗談はさておき、BLSから話していきたい。
・これは日本版のアルゴリズムで、2005年、2010年のもの。ここでは心停止の判断基準が
 変わった。CPR は胸骨圧迫から開始する。−−−「そんなことやってて本当にいいの?」
 僕は実際このガイドラインを作って、小児グループからひょっとして、ギロチンにかけ
 られるんじゃないかと危惧した。そんな想いの中、このアルゴリズムを作った。
・これはガイドラインからの引用だが、成人および小児のCPR で、2回の人工呼吸から開
 始するのではなく、30回の胸骨圧迫から始めた方がいいとするエビデンスはない。
・小児は呼吸原性なので、人工呼吸付きのCPR がいいということは皆さんご存知だと思う。
 これを実際に証明したのは、今回の演者である石見先生や後半である北村先生のLancet
 の論文 。呼吸原性の心停止に関してはCC-OnlyよりもCC+RBの方が5.5倍オッズがいい。
 ?http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtnews/2010/M43200521/
・小児のグループとしてはどういうことを考えるかというと、よくよくこの論文を見てみ
 ると、院外心停止のケースで、No-CPRよりも、CPR をしてもらった方が、オッズとして
 は3倍近く予後がよくなっている点がある。如何にCPR を実践してもらうかということ
 が小児においても大事だと思う。
・実際このシーケンスが変わったので、シーケンスが変わったあとで、どちらがいいのか、
 ということが恐らくこのトピックスの中に挙げられていると思う。
・清水先生からは10トピックを全く教えてもらっていない。今回の坂本先生、石見先生、
 野々木先生の講演は10トピックが最大のうりなので、教えてくれてもよかったかなと
 思っている。恐らく、CABのCPRとABCのCPRとどちらがいいのかといことも議論されてい
 ることだと思う。
・その次に胸骨圧迫のみのCPR について。まさにこのデータが示しているように、
 人工呼吸付のCPR の方がよいというのは結構だが、市民救助者で人工呼吸ができない時
 は、少なくとも胸骨圧迫のみのCPR を施行すべきである。これは小児の蘇生も同様。
 やはり、さきほど示したように市民救助者が如何にCPR をしてくれるかが大事。小児に
 おいても。さきほど石見先生がだされたが、これはAHA の戦略だが、僕らはAHA と相談
 したわけではないが、やはり如何に市民救助者がCPR をしていただくかを考えていかな
 くてはいけない。子どもにおいても、胸骨圧迫のみCPR の効果を考慮すべき。
・これは先ほどの論文だが、心原性の心停止に限れば、ほとんどCC+RB とCC-Only で変わ
 らない。
・これはCoSTRのCompression Only のCPR のknowledge gap を引用しているが、CC-Only
 のCPR が市民救助者にどれくらい効果があって、それがどれぐらい実践に、どういうふ
 うに予後に反映されているかという点が、次の問題点になる。

・以上BLS の話をしたが、次にALS の話をする。
・これは2005年、2010年のアルゴリズムのボックスだけをもってきたもの。ここで変わっ
 てくるのは、皆さんご存知のように、小児の除細動のエネルギーが変わった。しかし、
 除細動のエネルギーに関しては、現在のエビデンスでは適切かつ安全有効なエネルギー
 量はいまだに不明。
・この5年間に新しい論文がでていると思うが、それがこの図にどう反映されるかはまだ
 議論があるところ。
・このアルゴリズムのもうひとつの大きな違い。それは、一つ箱が大きくなっている。こ
 こは、集中治療学会の会員の皆さんが非常に得意とされる所だと思うが、心拍再開後の
 モニタリングと管理。これのそれぞれ一つ一つがトピックスになっていると思うが、特
 に吸入酸素濃度と体温管理に関しては、子どもにおいても、やはり一番大きなトピック
 スになっているようだ。
・蘇生後の吸入酸素濃度に関しては、今日の夕方、黒田先生からお話があると思う。
 2010年のガイドライン出版の時点では、まだ動物実験のレベルまでしかエビデンスがな
 かった。
・ところがガイドラインが出るか出ないかくらいの時点で、皆さんご存知のように、JAMA
 の論文がでた。?http://intmed.exblog.jp/page/424/
 蘇生後の高酸素血症は成人のICU においては、正常と比較して高酸素血症は院内死亡率
 リスクの増加と独立して相関している。
・それから約1年後、イギリスのグループが、小児においても、同じようなコホートの研
 究を行っている。小児においても低酸素血症のみならず、高酸素血症は死亡率の上昇に
 影響するという論文がでている。次のガイドラインは、小児においてもこのへんは非常
 に大きなトピックスになると思う。

・あとは低体温療法。
・低体温療法に関しては、新生児を除いて子どもにおいては、高体温は積極的に治療する
 べきであるというエビデンスはでている。小児においてはこの段階でもやはりエビデン
 スはなかった。それから5年たつが、これは2013年に出されたコクラン・レビュー。
 このレビューでも低体温を奨励や否定をするエビデンスはこの段階では全くない。
 低体温療法の導入を試みたこと自体、何のコントロールスタディが全くないので、ガイ
 ドラインで、本当にこんなこと言っていいのかとの議論がある。
・最近、成人領域では低体温と平常体温との効果があまりかわらないということもあるの
 で、一時、低体温の方に流れが向かっていたが、成人においても小児においても低体温
 に関してどうなのか、非常に注目したいところだと思う。
・あとは特殊な治療。まだ日本では、ECPRができる子どもの施設は限られている。これを
 次の日本のガイドラインではどのように活用していくのか。
・あとEIT 、MET 、CCRT。この件に関しても、どちらかというと、小児病院のデータが結
 構多くなっている。これを日本に関してどういうふうに導入するか、小児にとっても、
 考えていかねばならない。
・以上、簡単ですが、BLS 、ALS に関して僕の立場から見た論点を説明した。ありがとう
 ございました。
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新生児については、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ6 [新生児]
http://jemta.org/index_140417.html

*追記
救命おかやまの第9回定時総会・記念講演会で
清水直樹先生(都立小児総合医療センター) の
小児の心肺蘇生に関する特別講演が予定されています。
2014年7月12日(土) 17:45-19:30
岡山プラザホテル 2F「吉備の間」
http://npo-ok.umin.jp/


posted by jemta at 17:24| 日記

2014年04月10日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ4 [ACS]



本記事のURL
http://jemta.org/index_140410.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ3 [EIT]
http://jemta.org/index_140404.html
に続き、

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点 [ACS]のメモです。
(急性冠症候群 ACS :acute coronary syndrome)

尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。

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4.ACS   野々木宏(静岡県立総合病院)
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・ACSのタスクフォースを担当しています野々木です。よろしくおねがいします。
・2010年11月に、ILCORのCoSTRに沿ってAHA、JRC、ERCのガイドラインが同時に作られた。
・次回は2015年11月に予定されている。
・いままでのお話を聞いていると本当に間に合うのかと思われるかもしれないが、これか
 らの1年というのは、私たちは大変だと感じている。
・先ほど坂本先生から話された通り、JRCは2010年には英語版も作ってILCORのホームペー
 ジに掲載された。英語で各領域のものを作成した。本来はこれはアジア蘇生協議会RCA
 からでるべき内容だったが、JRCが率先して行った。
・2015年はRCA がどの程度、英語版のものを作るか、これから議論になる。それに応じて
 日本版を作る形になると思う。
・2010年に各タスクでは、ギャップという形で課題を残したものがあった。
・これはACS の領域のもの。
・残された課題の中から優先的に、皆で投票して、まず10個のPICOを選ぶ作業をした。
・その中で、ここに赤字で示したものが、今回議論になりそうなもので以下紹介する。
・例えばこれは日本でも課題になるが、救急隊員による12誘導心電図の判読、あるいは、
 伝送の話題。判読と伝送とコンピュータによる自動解析でどの方法がよいのかが課題。
・あとは再灌流療法を如何に時間を早くするか。今はPCI がかなりメインになっている。
 しかしPCI をやろうとすると相当の時間が必要になってくるので、それを行うための時
 間を短縮する作業が必要。この中には、血栓溶解療法も見直すべきという議論もある。
・それから、新しい薬物(血小板薬、抗凝固薬)を救急の場面でどう使うかの議論。
・これらは前回課題として残ったもので、それを優先的に検討しようとしている。
・時間経過については、2010年のJRC のガイドラインにもあったように、こういうことが
 2010年に謳われていているが、まだまだ解決していない状況がある。
 例えば、ACS を発症して、再灌流療法までの時間がかかりすぎるという状況がある。今
 勧告がでているのは発症から2時間以内であるが、これはほとんど達成できていない。
 2015に至っても、おそらくこれは課題として残ってくる。
・その中で、例えば救急隊接触からカテーテル治療までを90分以内にしなさいとの勧告を
 守ろうとすると、かなり、地域の救急システムを作り直す必要がある。
 その中にも12誘導心電図を救急隊が採って、それを何らかの方法で情報伝達することが
 謳われている。
・2010年と2015年の間の、2013年に各国のACS に関するガイドラインがでている。
 ILCOR、AHAのガイドラインを大きく参照することになる。ERC やヨーロッパ蘇生協議会
 以外のヨーロッパ心臓病学会(ESC:European Society of Cardiology)のガイドラインを
 参考にする。
・2013年のAHA のガイドラインでは、ST上昇型の心筋梗塞では、まずトリアージで、
 カテーテル治療が可能な病院を選択しなさいと勧告されている。そこでさきほどの話で
 接触からカテーテル治療まで90分以内にしなさいとの勧告がされているわけだが、例え
 ばトリアージできなくて、PCI ができない施設に行った時にどうするのか。ここは今回
 でてきたのが、PCI のできる病院に転送するときに、最初に搬送された病院から、次の
 転送先までの時間(door-inからdoor-out )を30分以内にしなさいという勧告。ここが
 時間が時間がかかりすぎている。
・そこから以降、2時間以内というデータがあるようで、ここが勧告されている。
・じゃあ、「これが間に合わない、30分以上かかりそう」な時にどうするか。その場合は
 30分以内に血栓溶解療法をしなさいという組み合わせが勧告されているので、
 ガイドラインでこのように勧告されたら、恐らく日本でも、見直す必要がある。
・GRADE システムについては、あとで大田先生の方から解説がある。今回この点が大きく
 変わってきた。ILCOR はこの作業がでてきたために、システムの改変にかなり作業が遅
 れていた。しかし、やっと完成したようなので、これから作業がスピードアップされる
 と思う。
・今回、ILCOR はGRADE を導入したと共に、個人の負担をできるだけ取ろうということで
 一つは このようにsearch strategy(文献検索)は、ライブラリアン(librarian: 専門的
 文献管理責任者?)がきちんと作って、タスクフォースで決めることになったので、ここ
 は個人の負担がとれてかつ、文献収集もライブラリアンがするので、ここでも若干負担
 がとれるという話になっている。
・ただ、各文献の評価は各Worksheet Authorに委ねられるので、そこは前回と負担は変わ
 らない。それからレビューをして、 コクランのレビュー(Archibald Cochraneによって
 提唱されたEBM に基づいたシステマティック・レビュー? )と全く同じような作業をす
 る。今回コクラン・レビューのような国際的に標準化されたレビューシステムを使う。
・それから推奨もGRADE に応じたものを使う。
・これはILCOR のACS のタスクフォースで、さきほどお話があった通り、各協議会から2
 名出ているが、ここに私がでている。それぞれのタスクに日本から必ず1名入っている。
・さきほどからでているように、トップ10のPICOが投票で選ばれている。
・さきほどお話した通り、前回2010年のギャップの課題があり、再灌流療法の方法と時間
 遅延をどうするか、ここだけでも再灌流療法の7つの課題があり、再灌流療法が一番大
 きな課題。
・それから、抗血栓薬と診断(プレホスピタルの12誘導心電図をどうするか)。
・次の10個のPICOも既に選ばれている。この中には、さきほどの抗凝固療法を救急の場面
 でどう使うか、或いは救急隊がこれを使うのか、使わないのかが議論されている。
・それから診断に関しては、12誘導心電図。先ほど話した通り、これをコンピュータの
 自動解析をするのか、或いは救急隊が判読するのか、或いは伝送して医師が診断するの
 か、これから議論される。
・ACS ガイドラインの論点のまとめとしては、発症から再灌流療法までを定義?するのが、
 2015年の大きなガイドラインの議論になりそう。その中のテーマとして、12誘導心電図
 をどうするのかという点と、カテーテル治療、血栓溶解療法がある。
・それから心拍再開後のケアの中に、低体温療法とともに、カテーテル治療の組み合わせ
 が、ACS のほうでも、検討される。
・それから抗血栓薬、適切な診断方法として新しいバイオマーカーとか、画像診断に、
 (これは全体に通じるが)GRADE システムを使用していく。
・以上がACS の報告。
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小児については、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ5 [小児]
http://jemta.org/index_140415.html


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posted by jemta at 18:16| 日記

2014年04月04日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ3 [EIT]



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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)
参加メモ2 [ALS]
http://jemta.org/index_140328.html
に続き、

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点 [EIT]のメモです。

尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。

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3.EIT   石見 拓(京都大学)
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・さきほど坂本先生は「BLS はまだここまで」と言われましたが、もうそこまでいってい
 るのかとかとその進捗に驚いている。
・EITは、まず2012年10月にミーティングがありました。
・まず例示の意味で、座長の方で2つのトピックを選んでディスカッションをしている。
 Cardiac Arrest CenterとHigh Fidelity(忠実度の高い) Training?についてレビューア
 が評価した。
・G2010と同様にsimulation studyのアウトカムをどう評価するのか、枠組みを議論した。
 クリニカルでないアウトカムの重みづけをどうするのかを議論した。
・すべてのワークシートがPICO形式。PICOの決め方についてかなり議論している。
・EITの10個のトピックス。
 心停止センター、High Fidelity Training、蘇生システム測定など、曖昧な項目が多い
・10個のトピックスを具体的にどう決めるか? web上でタスクフォースのメンバーが投票
 し点数をつけて選ぶ。前回G2010の時はEITは30数個のトピックスが割り当てられている。
 今回もまず前回のトピックスの中から点数づけをした。34点をとった心停止センターが
 1番、High Fidelityが33点という形で10個が選ばれて、それぞれに担当のレビューアー
 が決められた。
・続けて2013年の4月にメルボルンで2回目のミィーティングがあった。ここでEIT に限ら
 ず全体のスケージュールの説明があった。昔からおられるモーンゴメリー(Montgomery?)
 先生が司会をされ、これまでの経過を説明され、今度は 7月のカナダであると説明され
 た。先ほど坂本先生が言われたように、少なくともカナダまでに、それぞれのグループ
 で、「10個のPICOを完成させる、レビューを一通り終わらせる」と言われていたと思う。
 次の20個のPICOもカナダまでには決めると言われていた。
・しかし、これは国際コンセンサスであるのに、我々がFly Meeting(急ぎ?/同時処理?の
 会議、立ち話的な情報交換?)(フライ会議)を実際行ったのは、2回しかないし、今度の
 カナダが3回目という状況で、今後の1年で会議が全くなくて、ほとんどの参加者はこ
 れで大丈夫かなと内心思っているのではないか。
・EITはこの1年間で、具体的な進捗が少なく、実際あまり進んでいない状況。
 10個のトピックは決まっているが残りの20個はほぼ議論が進んでいないのがEIT の現状
・ただ会うと色んな議論ができる。メルボルンでは、2つ目のトピックス:High Fidelity
 について議論ができた。そもそもこのHigh Fidelity という定義が何なのか?レビュー
 するには定義が大事。EIT のトピックスはほとんど、その定義づけが明確でないので、
 そもそも比較をするのが困難。アウトカムの評価が難しい。あとでグレーディングの説
 明があるかもしれないが、複数のアウトカムを同時に評価するので、アウトカムの重み
 づけが重要。EIT の場合はクリティカルなアウトカム(臨床転帰?)とシミュレーション
 でのアウトカムの重みづけが難しい。
・私が拙い英語で主張したのは「patient(患者)?のアウトカムとシミュレーションのアウ
 トカムのレベルを最初に一緒にしたらいいんじゃないか」との議論はよくないのではな
 いかという点。いくらEIT であってもクリティカルなアウトカムにより重きを置かない
 と、真実に近づかないんじゃないかとの議論をしている。その意味で、具体的な所に入
 る前の“プロセスの議論”が中心になっている。
・個人的な提案になるが、次の具体的なPICOを日本の皆さんにも相談していきたい。
 例えばEIT の中では、心肺蘇生をしてくれる人を増やすために、「市民に対しては少な
 くとも胸骨圧迫のみの心肺蘇生を活用していく」と日本版ガイドラインには書いてある。
 コミュニティに対する心肺蘇生の普及の方策に関しては、他のガイドラインではあまり
 言及されていないので、このような日本の進んだ所を伝えていって、次のコンセンサス
 作りを議論する必要がある。コミュニティーのCPR トレーニングの戦略。
・これはEIT のグループの中で紹介してみたが、まだまだトピックスとして取り上げても
 らえるかはわからないが、先ほどのBLS の中では胸骨圧迫のみの心肺蘇生と、人工呼吸
 付きがトップトピックスになっているとの紹介があった。BLS の心肺蘇生の手技として
 の比較ではなく、CPR トレーニングの戦略としての胸骨圧迫のみの心肺蘇生と、人工呼
 吸付きをどう位置づけるのか、EIT 特有の普及戦略としてトピックに入れるべきではな
 いかとの提案をしている。
・コミュニティの中でのアウトカムを最小にして、インターベンションをどうするかとい
 う話。具体的には、坂本班でついこのあいだ報告したもので、我々のグループで担当し
 たものがある。心肺蘇生をどこまで教えるか、ターゲットをはっきりしていない中で、
 このグループでは、「人口の16% で何かをすると物事がブレークスルーする」というこ
 とがあるので、短期間で地域の人口の16% 心肺蘇生を教えたらどうなるかという評価を
 している。
・この灰色の部分が従来の教え方。(この地域は従来の教え方でも他の地域より倍くらい
 教えている)それに上乗せする形で胸骨圧迫のみの心肺蘇生を短期間に教えていって、
 4年くらいかけて人口の16% に教えていったらどうなったかというと、バイスタンダー
 CPR の割合は変わらなかったが、実施者の中で良質なCPR が増えたという結果になった。
 これはついこの前、単純な結果をまとめただけなので、論文にして、EIT の重要なトピ
 ックとして取り上げていきたいと個人的に思っている。
・さらに提案したいこととしては、日本は世界で一番AED が普及していて、その結果、
 AED を使う上での課題が明らかになってきている。これは埼玉の小学生で、AED があっ
 た学校で心停止になったが現場にいた人が心停止と認識できずにAED が使われず、救命
 できなかった事例。こういう経験も恐らく日本が一番していると思う。
・そもそも救助者の心停止の認識がどうなのか。心停止を認識したら心肺蘇生を始めて
 AED を使うというプロセスではいけないのではないかという議論がある。こういうこと
 が課題であるとのコンセンサスが欲しい。日本の中で得られたものを積極的に提案して
 いきたい。いずれにしても心停止の認識について議論していく必要がある。
・このような国際コンセンサスだけではなく、特に教育普及の分野では、倫理的な国内特
 有な問題もある。具体的には、特に終末期関連で、前回2010年ガイドラインの中では、
 「わが国においては、救急蘇生の根本事項である蘇生の適用中止に関する国民的なコン
 センサスは存在しない」と書かれている。実は表に出る前にEIT のグループの中で膨大
 なレポートをまとめたが、これは重い課題であるし、全体としてのコンセンサスが得ら
 れないとガイドラインには載せられないだろうとのことで、大幅にカットされた。EIT
 グループの中では、今の段階では時期尚早だが、次回までにはしっかりとした国民的な
 議論をして充実させていきたいとの議論があった。これは全体に共有するが、もう2014
 年なので、急いで2015年のことを検討するチームを国内に立ち上げていきたい。チーム
 EIT として頑張りたいので皆さんぜひよろしくお願いします。
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ACSについては、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ4 [ACS]
http://jemta.org/index_140410.html

posted by jemta at 17:37| 日記

2014年03月28日

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ2 [ALS]



本記事のURL
http://jemta.org/index_140328.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

前回投稿の
第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ1 [BLS]
http://jemta.org/index_140327.html
に続き、

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点 [ALS]のメモです。

尚、以下は如是我聞の私のメモですので、信ぴょう性には欠けます。
(このALSの発表はプログラム上では2番目なので、本メモでも2番目に挙げましたが、
 当日は順序が変更され、ACS、小児、新生児の後で、トピックスの最後でした。)

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2.ALS   相引眞幸(愛媛大学)
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・さきほどの新生児の分野では、内容はできるだけ伏せるようにとのことだったが、ALS
 はそれほど厳格ではない。
・ILCORは1992年に心肺蘇生科学のFirstMeetingがあった。(AHA,ERC,HSFC,ARC,RCSA)
・JRCは1999/7/16に第1回の日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が行われた。
 当時は旧厚生省も比較的協力的だったが途中で梯子を外されたという話も聞いている。
 結論としては、JRCは他の組織から独立して日本の代表者をILCORに派遣すべきとなった。
 2000年のILCORの会議に岡田会長がオブザーバーとして参加されたがILCORの会員となる
 にはJRCではダメだとのことで、RCAを立ち上げられた。
 2005年に日本、韓国、台湾、シンガポールの4か国で立ち上がった。
・RCAのILCORの正式加盟により、COSTORの内容を事前に知ることができるようになった。
 これは岡田先生のご尽力の賜物。又RCAの調印式では野口先生のご尽力があったと聞く。
 2010年のガイドラインはRCAの一員であるJRCが、独立に作ったという点で意義がある。
 今はRCAには、フィリピン、タイも入り、組織が大きくなった。
・ICLORのホームページ http://www.ilcor.org/ にはRCAも出ている。
 先ほどの新田先生の話にもあったが、(救命の連鎖において)小児と成人を一つにして、
 最初の任務を「心停止の予防」にしたことは、RCAの中では色んな議論があったが、
 JRCとしては誇るべきことであろう。プレホスピタルケアを含め、これはきわめて重要。
・来年の10月11月にはガイドラインを作らなくてはいけない。間に合うのかという感じ。
・昨年の4月にメルボルンで一般会議があった。今年は4月末から5月の初めまである。
・ALSはBLSより少し進んでいる感じ。インクルージョン(包摂)エクスクルージョン(排除)
 は終わって、そのまま行こうという感じ。
 Included Articleのアイエスアセスメントに入っている。
・私の担当は、ECPRとマニュアルCPRの比較。このPICOは坂本先生のグループで作成。
・J-PULSE-HYPO(心停止後に低体温32〜34℃療法を施行された患者の予後の追跡登録研究)
 が、resuscitation誌にアクセプトされた。これは必ずはいると思う。
 (注意:以下のリンクは本発言の論文か否か不明です。参考用)
 http://circ.ahajournals.org/cgi/content/meeting_abstract/122/21_MeetingAbstracts/A13937
・当初はIABP(補助循環装置)?の項目もあったが、IABPだけものが少なく、外している。
 今回は、ECPR vs マニュアルCPRということ。
・PICOで、問題は、Pending Search Strategy Developmentがまだ最初だということ。
・Morrison?のグループのバソプレッシンはPending COSTOR。
 draft developmentで一番進んでいる。
・我々と台湾のワンさんと一緒のものは、今はPending、full evidence reviewで評価中
・shockの領域でも、Lipid Therapyが非常に新しいトピックとしてでてきている。
・現在28個のPICOがある。それぞれに2-3人のタスクフォースが割り当てられ、評価中。
・来年の2月にダラスで、international consensus conferenceがある。
・2015年の10月11月にCOSTORが発行される。
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EITについては、このあとの記事で投稿する予定です。

第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)参加メモ3 [EIT]
http://jemta.org/index_140404.html


posted by jemta at 16:42| 日記