2018年11月06日

AHA蘇生ガイドライン2018アップデート更新

AHA蘇生ガイドライン2018アップデート更新


2018 Resuscitation Guidelines Focused Updates
本記事のURL
http://jemta.org/index_181106.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

■はじめに
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AHA は1924年に設立されて以来、1974年に、膨大なデータに基づく蘇生法をJAMAに発表し、
その後ERCと協力して、ILCORを結成し、2000年に心肺蘇生のガイドライン2000を出版しま
した。
その後、5年ごとにガイドラインを一から見直し、G2005/G2010/G2015を発表してきまし
た。但し、G2015 以降は、前ガイドラインのアップデート部分を追記する形式に変更し、
Web ベースで発表し、5年毎の大改定という形ではなく、エビデンスが出た時点で、アッ
プデートを発表するやりかたに変更しています。

G2015以降は、昨年2017年に、G2017を発表しました。(以下の記事参照)
「AHAガイドラインのアップデート2017 成人と小児のBLSおよび心肺蘇生の質の要点粗訳」
http://jemta.org/index_171108.html

2018/11/01にAHAは、AHAのインストラクター向けの定期的なメール(ECC Beat?November 1,
2018 Editionで、ガイドラインG2018アップデートを11/5に発表する予告を行いました。
その後、日本時間2018/11/06 0:02(米国ダラス時間 2018/11/5 9:02)に、AHAのインス
トラクターに対し、ガイドライン更新を発表しました。
(現時点で、日本のITCのインストラクターに対しての連絡はまだないようです。)
尚、今回のアップデートでは、日本語版のハイライトも公表されています。
また、今回のアップデートが公表されているのは、AHAのホームページのみのようです。
ILCORのホームページの更新もまだのようです。 http://www.ilcor.org/
更新部分はACLS/PALSの薬剤使用などです。BLSに変更はありません。
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■AHA蘇生ガイドライン2018アップデート
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https://goo.gl/JEkgR1


AHAの声明                               2018/11/5
親愛なるAHAトレーニングネットワークとボランティアの皆様

本日、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と協力して、AHAは心肺蘇生と救急心血管治療のための
ガイドラインの成人/小児の二次救命処置に対する重点的アップデート2018を出版しまし
た。
2018年に焦点を当てたアップデートは、継続的なエビデンス評価プロセスへ移行し、より
頻繁に焦点を当てたアップデートです。継続的なエビデンス評価は、できるだけリアルタ
イムで、包括的なレビューと専門的な合意の厳格さを可能にします。 2017年までは、CPR
とECCに関するAHAの公式ガイドラインは5年ごとに更新されていました。

アップデートには以下が含まれます:

■アップデートの要点
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1.アミオダロンまたはリドカインは、除細動に反応しない心室細動/無脈性心室頻拍
 (VF/pVT)のために考慮され得る。これらの薬物は、卒倒から投与までの時間が短い、目
 撃された心停止の患者に特に有効です。

2.リドカインは、耐ショック性 VF/pVTの治療のために、ACLS心臓停止アルゴリズムおよ
 びACLS心停止アルゴリズムに追加されました。

3.成人患者では、心停止のためにマグネシウムのルーチン使用は推奨されません。
 トルサード・ド・ポアンツ(QT延長症多形性心室頻拍)では、マグネシウムが考慮され
 てもよい。

4.自己心拍再開(ROSC)の復帰後早期に(最初の1時間以内に)βブロッカー+のルーチン
 使用を支持または反論する証拠は不十分である。

5.ROSC後の早い(最初の1時間以内に)リドカインのルーチン使用を支持または反論する
 証拠は不十分である。禁忌がなければリドカインの予防的使用は再発性のVF/pVTの治療
 が困難な特定の状況(例えば、救急医療サービスの輸送中など)で考慮され得る。

6.2015年のPALSアルゴリズムのシーケンスと治療法の表現に、変更はありませんが、ACLS
 心停止アルゴリズムの用語と一致するように、2018年のPALS心停止アルゴリズムは若干
 の編集が加えられました。

  ・インストラクターは、ACLS、ACLS EP、PALSコースのCPR中にアミオダロン、または
   リドカインのいずれかを使用して練習することができます。

  ・試験のために、AHAインストラクターは引き続き、ACLSとPALSスキルテストチェック
   リストとスキルテストクリティカルスキル名称を使用します。

詳細については、AHAインストラクターはAHAインストラクターネットワーク
https://goo.gl/mqfFhB (ニュース&アーカイブスセクション)にアクセスして、この文書
「2018年の焦点を絞ったアップデート:ACLSとPALSプロバイダーのトレーニングへの含意」
およびFAQを参照してください。
また、翻訳されたツールをcprverify.org
https://cprverify.org/
で見ることもできます。
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2018 Focused Updatesと 2018 Focused Updatesのハイライトを表示するには、ECCガイド
ラインのWebサイトをご覧ください。
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/



日本語版
ハイライト American Heart Association心肺蘇生と救急心血管治療のための
ガイドラインの成人/小児の二次救命処置に対する重点的アップデート2018
https://goo.gl/2snFU7


生命を救うという使命に貢献するためにあなたがしているすべてのことに感謝します。

敬具、
AHA CPR&ECC
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AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清
〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1
ゆうあいセンターL32 
mail:kuga@jemta.org
fax :086-228-3727
-----------------------------------------
・岡山市でAHAのBLSコースを毎週開催
 http://jemta.org/ (PC用)
 http://aha-bls.jp/ (スマホ用)
・4名以上なら職場でBLSを開催できます
 http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
・AHA-FA ファーストエイド(応急手当)
 毎月第4日曜開催;米国労働省法定講習
 http://jemta.org/fa.html (PC用)
 http://aha-bls.jp/first_aid/ (スマホ用)
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。



posted by jemta at 16:38| 日記

2018年07月18日

梅坪小学校の校外学習で1年生男児(6歳)が熱中症で亡くなった事故について



本記事のURL
http://jemta.org/index_180718.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

■はじめに
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昨日、17日正午頃、愛知県豊田市の市立梅坪小学校の教室で、小学一年生の男子児童(6歳)
が意識不明で倒れ、病院に運ばれましたが約一時間後に亡くなる事故がありました。原因
は熱中症の中でも重症な「熱射病」とみられています。男児は、学校近くの公園で午前中
にあった校外活動で疲れを訴え、教室に戻った後に容体が悪化したとのことです。
http://www.chunichi.co.jp/article/front/list/CK2018071802000071.html

まだまだこれからというときに、亡くなってしまい、謹んで追善供養を申し上げます。
今日も国内で40℃を観測された地域もあり、最近の異常気象には厳重に注意する必要が
あると思います。尊い若い命が犠牲になることがないように、事前の予防や事後の応急手
当の普及の必要性を切に感じます。個別の事故について、身近なソースからの情報だけで、
議論することは、真実からそれることがあるかもしれませんが、何か、今後のためになれ
ばと感じ、乱文ながら、この事故に関連して、熱中症の予防と応急手当について書きたい
と思います。


事故の顛末を幾つかのソースから調べました。(不正確な点はあると思います。)

2018年7月17日
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9:00     豊田市の気温30℃越え
       高温注意情報がでていた
       出発前に児童たちに持参させた水筒の水を飲ませる。
       10:00前に学校で測った気温は32℃
10:05-10:25 1年生110人(4クラス)で、校外学習で、学校から和合公園まで1km歩く。
       (気温33℃)道中はトイレが無いため、飲用は控え。
       児童は、遅れぎみで歩き、「疲れた」と発言。担任が手を引き歩く
10:20-11:10 児童は他の児童と共に、公園内で虫取りや遊具などで遊ぶ(11:00気温33℃)
11:10-11:30 学校まで歩いて戻る。児童「疲れた」と。
       屋外活動:合計90分。
11:30    教室内37℃(教室内クーラーなし、扇風機4台のみ)
       学校に戻った直後、容体がおかしかったので、
       担任が教室で児童に付き添う    
11:50    担任が対面していると児童の唇が紫色に変わってきた。
       床に座らせたら意識がなくなった。
       養護教諭が来て、AEDを使った。ショック不適用
11:53    119番通報、保護者通報 (12:00気温35℃)
12:09    消防隊到着、心停止認識
12:10過   病院到着
12:56    病院内で医師が死亡確認
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国立成育医療研究センターのHPによると、
『子どもは体温調節機能が未発達です。特に、汗をかく機能が未熟で、体に熱がこもりや
すく、体温が上昇しやすくなります。全身に占める水分の割合が大人より高いため、外気
温の影響を受けやすく、気温が体表温度より高くなると熱を逃がすことができず、反対に
周りの熱を吸収してしまう恐れもあります。
また、幼少期の子どもは大人よりも身長が低い為、地面からの照り返しの影響を強くうけ
ます。このため、大人が暑いと感じているとき、子どもはさらに高温の環境下にいること
になります。たとえば大人の顔の高さで32℃の時、子どもの顔の高さでは35℃程度の感覚
です。』とのことです。
http://www.ncchd.go.jp/hospital/sickness/children/heatstroke.html

【予防】
・7月17日の校外学習に出かける前に学校で測った気温は 32℃で、この時点で校長や学年
 主任が熱中症のことを熟知していれば、校外学習を中止する選択肢があったと思います。
・水筒と帽子は持参させていたようですが、例えばダイソーで百円で2個入りで売られてい
 る霧吹きスプレーノズル(*2)を500mlの水を入れたペットボトルに取り付けて、児童の頭
 首、胸、背中、手足に吹きかけたり、団扇で扇げる様な事前の準備が必要だと思います。
・和合公園まで1km 歩く途中で、児童が「疲れた」と言い、他の児童より遅れ気味になっ
 たことで、担任は本人の体調不良を認識して、児童の校外学習を中止して、保健室に連
 れ帰るという選択肢も考えられますが、4 クラス全体の行動の中で、担任が抜けるとい
 うことが許される状況だったかどうか、引率人数の制限の問題があります。
 子供が自分の体調を正確にいう事は難しいと思います。「疲れた」という表現でしたが
 歩いたから疲れたのではなく、「体がだるい」、「体調不良」ということかもしれない
 と読み替える必要があると思います。
・児童は公園内では他の児童と遊んでいたということですが、帰りも「疲れた」と言って
 いるので、この時点で、担任は熱中症の疑いを持つべきです。

【応急手当】
・11:30 に教室に戻った直後に、容体がおかしくなったので、教室で担任が本人に付き添
ったということですが、熱中症が疑われる状況で、意識状態が何か変になったというこ
 とは、この時点で「V度熱中症」を疑い、すぐに、プールに連れて行って、冷水につけ
 るとか 積極的に体温を下げる手当を行うべきでした。(*1)

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熱中症か否かは、直腸温のプローブを肛門から10〜12cm入れて、測らないとわかりません。
口腔温、腋窩温は全く役にたたず、熱中症が疑われる中では測ってはいけないと思います。
(労作性熱中症の場合は、表面は平熱で、深部体温が高いのが普通です)
しかし、直腸温を測れるのは、病院の中でもERだけくらいですし、殆どの医師、看護師の
方は、直腸温を測った経験がなく、救急隊も訓練されていません。重症度の正確な判断は
現場では、できませんので、本人の意識状態から類推するしかありません。

熱中症環境保健マニュアル(P18)では
「重症度を判定するときに重要な点は、意識がしっかりしているかどうかです。少しでも
意識がおかしい場合には、U度以上と判断し病院への搬送が必要です。意識がない場合は、
全てV度(重症)に分類し、絶対に見逃さないことが重要です。呼びかけや刺激への反応
がおかしい、体にガクガクとひきつけがある(全身のけいれん)、真直ぐ走れない・歩けな
い等。」と書かれています。




日本救急医学会熱中症分類2015では、分類は以下のようになっています。
T度(熱痙攣)JCS=0 意識は清明
U度(熱疲労)JCS≦1 大体清明であるが、今一つはっきりしない
V度(熱射病)JCS≧2 見当識障害あり(場所日付名前生年月日が言えず。開眼してない)

T度、U度の場合は、まだ体温調整機能が働いていますので、水分塩分を取り、涼しい所
に移動します。その後U度の場合は救急車を呼んだ方がよいです。

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問題はこのV度です。重症Vの定義はJCS≧2となっています。V度がいわゆる熱中症です
が、この場合は、体温調整機能が破綻し、汗をかけず、体温を下げることはできません。
積極的に冷やす必要があります。今回は 11:30過ぎの段階で、このV度だっただろうと思
います。V度の場合は、深部体温が40℃を越えていますので、これを30分以内に39℃以下
に下げないと、ほぼ助かりません。
アメリカのフォルマースマラソン大会では、1984〜2011年まで、重症熱中症患者が 274人
出ていますが、その場で 10℃の氷水のバスタブに浸漬させることで、0.2℃ /分で体を冷
却させ、全員救命できており、冷却後にそのまま帰宅できています。
日本ではこの冷水浸漬法CWIはERでも殆ど行われていません。 熱中症治療は日本は米国に
遅れています。

日本救急医学会 熱中症診療ガイドライン2015では、「意識障害を伴う重症熱中症に対し
ては、病院に搬送する以前より、積極的な冷却処置を開始し、病院到着後は直腸温をモニ
タリングし深部体温が38℃台になるまで全身管理の下に冷却処置を効果的に行うことが後
遺症を生じないためにも重要となる。」と書かれていますが、実際に救急隊は現場で直腸
温を測ることはできず、運ぶことしかできません。救急車を呼べば平均 8分で到着します
が、平均病院収容時間は38分もかかっています。30分以内に39℃以下に下げないといけな
いのに、救急車の中で死亡予後が確定してしまいます。現場で深部体温を下げないといけ
ません。昨年AHA の研修で渡米した時に現地の救急隊の方に聞きましたが、熱中症ではま
ずその場で冷水に漬けるといっていました。Cool(Ice tub) First!,Transport Second!.

ですので、この場合は、プールに連れて行って冷やすなどの処置が必要でした。可能であ
れば、4m四方程度のブルーシートに傷病者を入れ、水と氷を入れて、体を冷やす方法も
あります。(タコスメソッド)
暑い中で、熱中症の可能性がある場合は、こういう機材をまず用意して行うべきです。そ
ういう意識があれば、初めから校外学習を中止するという選択をしたと思います。

■熱中症治療・応急手当については、以下をご参照ください。
(*1)労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬(CWI法)
http://jemta.org/index_170820.html
(*2)労作性熱中症の予防 グッズ(スプレー・ミスト等)の例
http://jemta.org/index_180529.html


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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

20180719 霧吹きスプレー、団扇追記


posted by jemta at 21:02| 日記

2018年06月27日

AHA 蘇生教育科学の科学声明ハイライト(個人による和訳)



New AHA Education Statement on Best Practices in Resuscitation Training
Highlights From the Resuscitation Education Science Scientific Statement

本記事は、限定公開です。著作権法の著作物の照会に関わらず、本記事を紹介するための
リンク等を禁じます。リンク可能なのは、著作者のみとします。
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本記事のURLの一例
http://jemta.org/index_180627.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

本記事は、題記の英語原本を和訳したものです。和訳が出ることはHPで予告されていたの
ですが、どれくらいかかるのかわからなかったので、自分で訳しました。しかし、訳した
後で既に、公式の日本語訳がでていることに気づきました。以下をご覧ください。

Resuscitation Education Science に基づく科学的な提言(公式和訳版)
https://cpr.heart.org/idc/groups/ahaecc-public/@wcm/@ecc/documents/downloadable/ucm_501753.pdf

上記が公式版で、重要です。
故に、本記事はあまり意味がありませんが、内容を比較すると、公式版とは違う所があり、
勉強になりました。これは、単に私個人の記録の為に記事にしたものです。


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New AHA Education Statement on Best Practices in Resuscitation Training
最も優れた蘇生トレーニングに関する新しいAHAの教育声明
http://Heart.org/EducationStatement
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■AHAによる本声明の要旨(トレーニングセンター向け)2018/06/21
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Dear AHA Training Network:

CPRの質の低下は損害をもたらしますが、AHAは、それは予防可能であると考えています。
私たちの狙いは、 2020年までに心停止からの生存率を2倍にするための救命の質と患者の
転帰の改善です。
我々は Circulation誌において、蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善するための教育
戦略をリリースしました。この声明では、教育における最良の訓練を検証し、蘇生に適用
し、心停止傷病者の生存率低下を招く訓練のギャップに取り組んでいます。
すべての訓練プログラムおよび蘇生インストラクターがこの資料の指針を実施する場合、
救命処置の基本の向上と心停止からの生存率の向上に役立ちます。

AHAの教育声明では、以下に定義する8つの重要な概念のトレーニングの改善のための提案
を提供しています。これらの概念は、すべての蘇生訓練プログラムに適用され、 AHAに限
定されるものではありません。

*マスタリー学習と熟考練習(学習者がスキルの習得を示すまでの練習)
*練習の間隔(短く、頻繁な学習セッション)
*状況学習(学習者が認知する「現実世界」の訓練経験を生かす)
*フィードバックとデブリーフィング
(内省とフィードバックのための構造化された機会の提供)
*評価(さまざまなツールを使用して、コース全体を通した能力を測定)
*革新的な教育戦略
(学習を定着化するためのゲーム感覚練習、SNS、デジタルプラットフォームを模索)
*教員養成(インストラクターの継続的なコーチングとトレーニング)
*知識の翻訳と実現(学習者のニーズに合わせた、現場対応のプログラム)

AHA は、教育的な要請を受け、この声明と推進の中で、この戦略を活用することを宣言し
ています。目下、CPRおよびECCコースには、現場状況への対応や観察可能な行動に基づく
標準的なパフォーマンスなど、8つの重要な概念のいくつかが含まれます。
今後数ヶ月で、私たちはトレーニングネットワークと協力して、これらのコンセプトを現
在のコースで強化していきます。
現時点では、AHA製品に変更はなく、新しい資料は必要ありません。
私たちは、今後も製品、コース、サービスを進化させ、改善していきます。
AHAの教育声明の詳細については、Heart.org / Education Statementをご覧ください。
このサイトには、「Circulation」の全文、教育声明文書のハイライト、FAQなどへのリン
クが含まれています。
生命を救うという使命に貢献するためにあなたがしているすべてのことに感謝します。
Sincerely,
AHA CPR & ECC

改良された蘇生教育の公式図


蘇生教育で重要な8つの要素と心停止蘇生の2020年の目標





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Highlights From the Resuscitation Education Science Scientific Statement
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■蘇生教育科学の科学声明ハイライト
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Cheng A, Nadkarni VM, Mancini MB, et al;
アメリカ心臓協会の教育科学研究者、アメリカ心臓協会の教育科学プログラム委員会、
心肺蘇生協議会、救命救急診療、周術期蘇生;心肺蘇生と脳卒中看護協議会、
治療の質と転帰協議会;のための蘇生教育科学:
心停止からの転帰を改善するための教育戦略:アメリカ心臓協会
[2018年6月21日 オンラインで公開] Circulation. doi:10.1161/CIR.0000000000000583.
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重要な知見の要旨
2018年、アメリカ心臓協会(AHA )は、「蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善する
ための教育戦略」と題した科学声明を発表しました。
プロバイダーが標準化された蘇生訓練コースを受講すると、オンラインコースでも、人に
よるコースでも、そのスキルは時間の経過とともに減衰するというエビデンスをこの声明
は示しています。
これにより、心停止患者への適切な臨床介入ができなかったり、生存転帰が不良になる可
能性があります。また、医療機関は、これらのコースの指針を必ずしも意図どおり実施す
るとは限りません。
AHAは、ここに要約された概念を適用することで、プロバイダーが、これらの重要なスキ
ルを学んだり保持できるか、改善できることを見出しました。


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Mastery Learning and Deliberate Practice
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スキルの習得と練習の評価
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学習者が重要な蘇生スキルを本当に獲得できるように、インストラクターは、スキルを習
得するまで、練習を続けるように指示してもよい。

・完璧な練習が理想的
 学習者が主要なスキルを発揮することができる熟練学習モデルを使い、マスターするの
 に必要な最低ラインを設定します。

・学習者に対する動機付けのためにパフォーマンスを測定する。
 観察可能な行動に基づく標準のパフォーマンス基準を設定する。時間、正確性、および
 ベストな事例などの患者アウトカムおよび一連の行動基準の最も重要な尺度を決定しま
 す。

・意図的な練習をする。
 熟練が難しい、または自動的に行われるべき行動を教えるために、意図的な練習と呼ば
 れるフィードバックと演習とペアになったスキルの繰り返しを使用します。

・記憶保持率を向上させるために過剰学習を使用する。
 忘れるかもしれないスキルについて、最低限の基準ではなく、過剰学習となるよう学習
 者を訓練する。熟達のレベルに達するには、さらなる訓練が必要である。

 (訳注:*過剰学習とは教育学用語で、すでに獲得した知識、技能についてさらに反復・
  継続して学習し、それを強固なものとすること)


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Spaced Learning
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定期的な学習
---------------

2-3年ごとに1-2日間の蘇生訓練の現在のスケジュールは、短期間の学習に効果的です。
しかし、学習者はしばしばこのスキルを長期間に渡って保持しません。より短く、数ヶ月
に 1回の学習セッションを行うと、学習成果が向上する可能性があります。

・旧来のやり方から新しい方式へ。
 プロバイダーが時間の経過とともに忘れてしまった情報を新しい情報で置き換えること
 ができるように、より短い、より頻繁なセッション(例えば、3−6ヶ月ごとに1−2時間
 のトレーニング)で学習をスケジュールするようにしてください。

・臨床環境での学習を活用する。
 臨床現場で起こる実際の臨床事象またはシミュレーションの後に、デブリーフィングす
 ることにより、スケジュールされた訓練の外で学習を増やします。

・学習者に訓練を提供することで、練習を容易にする。
 トレーニングステーション、 eラーニング、定期的な再教育の勉強会、およびシミュレ
 ーションを通じて、職場での学習の機会を作ります。

・単一のスケール間隔では、適切とは言えません。
 臨床的役割と要求に合わせて、学習イベントの開催間隔を調整します。


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Contextual Learning
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対応を学ぶ
-------------------

蘇生訓練の核心は、実際の現場での行動に適用できる訓練を経験することです。

・それぞれの人が、それぞれの視点で関連性を学びます。
 受講生の職種、背景、現場にある使用可能なリソースによって、体験する学習内容を調
 整します。

・マネキンの忠実度だけでは不十分です
 蘇生のシミュレーションでは、そのことに留意してマネキンの特徴を生かしてください。
 これらの特徴は学習者の関心を引き、学習目標に通じている必要があります。

・チームでの訓練のリアリズムを強調
 その学習者チームとって、チームの構成、役割、状況が、適切になるようにします。

・学習者にストレスを与えるのを恐れないでください(ある程度まで)
 ほどよい緊張感と経験的知識に基づくプレッシャーは、受講者への激励を最大限にする
 ことによって学習体験を強化することもできます。

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医療従事者が標準化された蘇生コースを受講した後は、そのスキルは低下して、臨床ケア
が貧弱になり、患者の生存率が低下する可能性があります。

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Feedback and Debriefing
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フィードバックとデブリーフィング
-----------------------

プレブリーフィング(事前打ち合わせ)、フィードバック、およびデブリーフィング (振り
返り)は、蘇生教育を改善することができます。


・成功のためのプレブリーフィング
 プレブリーフィングと呼ばれる、学習会の前の効果的なブリーフィングは、学習のため
 の安全な環境を確立するのに役立ちます。

・フィードバックデータを使用してパフォーマンスを向上させる。
 フィードバックデバイスからの CPRの質のデータを提供し、学習者が自分で改善できる
 支援をします。

・デブリーフィングの方法をニーズと状況に合わせて調整する。
 インストラクターは、学習者によるディブリーフィングの方法と内容を彼らが必要とす
 るものに基づいて設定する必要があります。

・ディブリーフィングの定型シナリオを使うことにより、インストラクターをサポートす
 る。学習成果を改善するよう示唆されたデブリーフィングの定型シナリオ、またはツー
 ルを 使用する。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Assessment
--------------
評価
--------------

学習者の能力を評価することは、質の高い蘇生チームを育てるための重要な要素です。

・些細なことではなく、重要なことを測定する。
 患者の転帰を本当に重要なものとして評価する − 学習者のパフォーマンスを評価する
 人を、選択・訓練するための適切なツールを開発する。

・質の高い評価の優先順位付け
 すべての蘇生インストラクターは、彼らの受講生の能力についての評価をする必要があ
 ります。そのためには、高品質で評価することが必要です。

・広い視野で評価する
 個々の評価は、パズルの一部に過ぎません。
 インストラクターは、種々の観点からの知識とスキルの評価により、学習者の能力を、
 広い視野で評価することがができます。

・評価は学習を促進する。
 評価は、コース終了時のアドオンであってはなりません。むしろ、それは教材設計に織
 り込まれ、コースの中のいたるところで、評価されるべきです。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Innovative Educational Strategies
----------------------------------------
革新的な教育戦略
----------------------------------------

新しい方法とデジタルプラットフォームは、心停止の際の、バイスタンダーの行動意欲、
プロバイダーのパフォーマンス、生存率を改善することができます。

・蘇生訓練をゲーム感覚の学習で定着させる。
 学習者の参加とスキル保持を改善するために、ゲームの属性を適用し、定期的に更新を
 促します。

・ソーシャルメディアを活用し、最新の状態を保つ。
 知識を普及させ、蘇生教育のコミュニティに誘うためにソーシャルメディアを使用する。

・昨日の教科書より、今日のブログやポッドキャストを選択する。
 ブログやポッドキャストは、簡単にアクセスできるリソースなので、伝統的な教育をも
 補完できます。

・教育科学のためのクラウドソース
 主にインターネットを通して、多くの異なる人々から、情報を得ることは、クラウドソ
 ーシングとして知られている。
 このアプローチは、蘇生訓練コースの開発に役立ちます。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Faculty Development
-------------------
ファカルティ(教員指導者)の育成
-------------------

ファカルティの育成では、教育科学に基づいて情報を伝えるべきであり、救命に不可欠な
スキルをインストラクターに提供する必要があります。

・学ぶための科学があることを理解する。
 インストラクターは、蘇生コースを教え始める前に指導スキルを披露するのと同様に、
 基本的な教育理論や学習理論を理解しなければなりません。

・初めてのインストラクター訓練の重要性を理解する。
 効果的であるためには、初めてのインストラクター訓練には、体験学習、フィードバッ
 ク、ロールモデルとして同僚に手伝ってもらうこと、が含まれるべきである。

・蘇生インストラクターの育成を継続する。
 自分一人で練習してみる、同僚を相手にして教える、練習仲間、練習を強化するための
 転帰ベースの教育を活用する。

・現場の状況が全てであることを忘れないでください。
 効果的なインストラクターは、生徒がガイドラインを適用できるようにするために、合
 理的な判断ができるように現場の状況を整理する必要があります。

・インストラクターとして、全力で優秀な人材を目指す。
 蘇生の成果を向上させるために、インストラクターは全力で、生涯学習に取り組む必要
 があります。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

Knowledge Translation and Implementation
----------------------------------------
知識の翻訳と実現
----------------------------------------

知識の翻訳と実現科学の原理(臨床実践でのエビデンスベースの研究の適用)は、身近な
職場での試みを示すべきです。

・主体的なテクニックで、受動的な知識の翻訳を強化する。
 組織は、受動的かつ能動的な、知識の翻訳技術を組み合わせて、科学的なガイドライン
 の認識と導入を改善すべきである。

・デザイン思考を採用する。
 組織は、トレーニングを計画する際に、人的な要因、人間工学、物理的空間を考慮する
 必要があります。
 このようにして、彼らはやるべき簡単な事を行うために、正しいことをすることで、人
 々を支援することができます。

・パフォーマンス測定を実施
 組織は、ベンチマーク、フィードバック、および公開報告を備えたパフォーマンス測定
 プログラムに参加する必要があります。
 コラボレーションとデータ共有は、ケアのシステムを強化するのに役立ちます。

・継続的な品質改善を受け入れる。
 組織は、心停止に対応する人の救命責任の要点を説明した正式な継続的品質改善プログ
 ラムを採用すべきです。

・見返り(インセンティブ)とペナルティを考慮する。
 制度は、見返りとペナルティが、個人、チーム、または組織の業績評価の査定に、その
 機能を果たすかどうかを検討すべきです。

・採用撤回の戦略を適用する。
 組織は、科学がもはやサポートしていない治療法を迅速に中止または廃止するための現
 場の戦略を持つべきです。

・心理的マーケティングを使用する。
 マーケティング戦略により、地域社会のために、地元および国民全体がバイスタンダー
  CPRのような措置を行うことができ、また、優秀な人は、プロバイダーの信念や感情に
 直接的に訴えるローカルな措置を促進することができます。


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2018教育声明のフルバージョンをダウンロードするには、
http://circ.ahajournals.org/lookup/doi/10.1161/CIR.0000000000000583
にアクセスするか、QRコードリーダーアプリをダウンロードし、このQRコードをスマート
フォンでスキャンしてください。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。



posted by jemta at 18:01| 日記

2018年05月29日

労作性熱中症の予防 グッズ(スプレー・ミスト等)の例



本記事のURL
http://jemta.org/index_180529.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

■はじめに
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
今年5月の全国6都市の日最高暑さ指数は、過去10年の平均より高い傾向にあり、既に
1日の熱中症搬送者数が2百人を越えた日もあり、また、7月も平年より気温が高いと予
想されています。

昨年の8月に労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬(CWI法)
について投稿しました。
http://jemta.org/index_170820.html

この要点は、
・深部体温が40℃を超えるV度の労作性熱中症では、30分以内に深部体温を39℃ま
 で下げないと、ほぼ助からない。
(日本では、通報から病院収容まで平均38分。ガイドライン通り現場で冷やす必要あり)
・熱中症患者の体表面温度と深部の体温にはギャップがあり、通常、体表面は平温であり
 深部の高温が表面に出てくるまでは時間がかかる。腋窩や口腔温度を測っても熱中症か
 否かわからない。直腸に10~12cm、直腸温度計を入れて測るしかない。
・例えば、傷病者の深部体温が43℃の場合は、30分以内に、4℃下げる必要がある。
 これには、冷却速度0.13[℃/分]以上の冷却が必要になる。
 日本のERでよく使われているのはアイスパック、カテーテル、ジェルパッド法等です。
 ジェルパッドの冷却装置の価格は420万円〜600万円と高価ですが、その冷却速度は、
 0.03〜0.06[℃/分]しか下がらない。一方、ICWは安価で、効果は3倍もあります。
・米国のフォルマースロードレースで、約3百人の人を救った実績のある、冷水浸漬法
 (CWI法)なら、10℃の水に傷病者をつけることで、0.2[℃/分]の冷却速度で下げるこ
 とができる。フォルマースでの救命率は100%。誰も亡くなっていない。
ということでした。

個人的な感想としては、
・日本のERでは冷水浸漬(CWI)の設備を用意しておらず、AHAのFAガイドライン、NATA
(全米アスレチックトレーナー協会)ガイドライン、日本医師会発行国際マラソン医学協会
 医療救護マニュアル、日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015の記述に従って
 いるとはいえない。
・CWIについて、学校でも教えていないようであり、救急の現場で適切な治療が行われて
 いないようにみえる。
・厚労省の見解は、5~7cm挿入する浣腸は医療行為の範囲外となっており、それから
 類推される結果としては、10cm程度入れる直腸温の検温は医療行為となるが、医療
 行為であるのに、医師も看護師もやり方を学校で習っておらず、殆どの医師は直腸温を
 測ったことがない。殆どの看護師も、救急救命士も、直腸温を測れない状況にある。
・理想としては、労作性熱中症の発生が予想される現場のスタッフおよび救急隊は、現場
 で直腸温を測れるように法を改正し・訓練し、CWIの設備を現場に用意して、現場で、
 体温を下げてから、病院に搬送すべき。
・CWIの設備は、簡易バスタブや保冷庫、氷などを全て入れても10万円以下でできる。
 20万円以上するAEDを導入している病院なら、導入できない額ではない。

2013年8月8日11時20分に、京都府宇治市内で気温 32℃を超える中で行われていたアメ
フト部の練習試合で、3年生の男子部員(17)が熱中症で倒れ亡くなってしまった事故があ
りました。このようなことが二度とないように、事前に対策を行う必要があると思います。
http://www.sports-parents-japan.com/stopaccident/highschoolfootballheat/
例えばスマホにYahoo防災速報のアプリ等を入れておけば、設定した地域の暑さ指数
(WBGT:湿球黒球温度)が設定値を越えた場合に危険度が通知されますので、予防に役
立ちます。



熱中症の予防グッズ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

CWI が標準になっている米国なら助かるはずの、重症なV度熱中症の傷病者は、CWI が
ほとんど知られていない日本では、亡くなる可能性もありますので、重症化する前に、予
防を心掛けることが大切だと思います。

本投稿では、具体的に熱中症を予防するグッズの一例をご紹介します。
具体的に製品例をご紹介しますが、これは一例として選んだ結果であり、個別な製品と、
著者との間に利害関係はありません。

ご家族が、学校の体育会系の部活をされている場合や、ご出身の学校の部活動の後輩への
激励品としてご検討されてはいかがでしょうか?

尚、以下は、ネット検索しただけですので、実際に使用したわけでなく、推奨するもので
はありません。このようなグッズが選択肢の一つになるかもしれないとの参考用です。
導入にあたっては、ご自身で十分に御吟味ください。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■[0]情報の入手
Yahoo防災速報

スマホに入れておけば、災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報をプッシュ通知
でお知らせ。
自宅、実家、勤務先など3カ所を指定可能。熱中症だけでなく、地震、津波、豪雨、火山
自治体からの緊急情報をキャッチできる。熱中症警戒は環境省の暑さ指数WBGTに基づく。
警戒(暑さ指数25)、厳重警戒(28)、危険(31以上)の3つから通知レベルを選択可能。

iPhone版(App Stre)
https://itunes.apple.com/jp/app/id481914139
Android版(Google Play)
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.co.yahoo.android.emg

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■[1]水分・塩分補給
熱中症T度、U度の場合は、まだ体温調整機能が働いていますので、早期に適切な水分と
塩分をとることで、汗をかき、気化熱によって体温を下げることができます。

経口補水パウダーダブルエイド10包 ¥964
http://amzn.asia/99SgJZn

水やスポーツドリンクよりも、経口補水液の方が吸収されやすいです。
この製品はファーストエイドコースでも紹介しています。実際に味を確認していただいて
いますが、OS1よりも飲みやすいようです。パウダーなので、かさばりません。
スポーツドリンクでは、塩分が不足します。
水1Lに、砂糖40g、食塩 3gを入れても、経口補水液を作れます。
経口補水液のドリンクも、薬局で売られています。500mlで120円~200円程度です。
パウダーは、別途、水を用意する必要がありますが、水は傷口の洗浄にも使えますし、
熱中症にも使えますので便利です。


[2]個人用ミスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■ダイソー 霧吹きヘッド2個入り ¥108
http://100s.siso-lab.net/daiso-spray-head-2p/

ペットボトルの口に直接回しながら取り付けることができます。
ペットボトルに水を入れておき、これで服にミストすれば、体温低下を助けます。
安価ですが、霧が細かくないかもしれません。

尚、霧吹きは傷口の洗浄にも使えます。米国AHRQの勧告では、傷口の洗浄圧は4~15PSI
です。15PSIという圧力は、0.1MPaですが、これは日本の家庭の水道圧に相当します。
霧吹きの圧力による傷口洗浄は、この範囲内に入っていると思います。

 
■大王製作所 クールミスト ミニサイズ ¥270+個数に関わらず送料\648
http://amzn.asia/d5212BC

送料が高いので、複数個でないと非経済的。
通常の霧吹きよりも細かい霧状なので、べったり濡れることがないとのこと


■東出漆器 ハンディクーラー(S) 05-7363 75ml  ¥1,080
http://amzn.asia/cpGCXFW

霧のサイズは小さいようですが、容器が75mlしかありません。



[3]小数用ミスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■手動ポンプ圧力式シャワー SPLASH-SHOWER オレンジ MCO-2OR 3L ¥1,356
http://amzn.asia/7gfiEbp

取っ手を何度か押して、容器内を加圧し、あとは空気圧で水がでます。



[4]大人数用ミスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■BUNDOK(バンドック) シャワー & ミスト 16L MS-34  ¥3,480+送料600
http://amzn.asia/fHrfvpO

手動蓄圧式 。ハサミやカッターなどをつかい、ミストを組み立てます。
ホース長さ:約1.6m(シャワー先端まで) ミスト時:6m
重量:2.1kg 適正容量:16L 手動蓄圧式



■グリーンライフ 形状自在ミストホース(ライムグリーン) MH-25(LG)  ¥1,637 
http://amzn.asia/hriMqKg

水道の蛇口にとりつけてミストを噴出します。
ホースは、自立型なので、自在に固定できます。柱などに巻きつけても使用可。


■ひんやりミストシャワー 噴出し口360度調整 熱中症対策 (20m) ¥4,480
http://amzn.asia/bKhDO5q

水道の蛇口に接続します。20mの長さがあり、ミストノズルを10個つけられます。


■遠心式ミストファン MISF-45 ¥40,024 
http://amzn.asia/hc1NVg2

重量12.9kg タンク容量30L 
高価ですが、AEDよりはかなり安価です。
タンクは水道直結ホースで給水可能。満水停止フロート付


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■(株)空調服 空調服 ¥19,650
http://amzn.asia/2CJArke
上記の商品が欠品になっていても、「空調服」で検索すると多数でます。

メーカー(株)空調服のホームページ
https://www.9229.co.jp/
空調服は、多くの販売店から出ていますが、上記メーカーのホームページが詳しいです。
作業現場に応じた服などもあります。


ポリエステル100%(2018年新型ファン+日本製リチウムイオンバッテリーセット/保冷剤2個付)

【熱中症対策】空調服 商品説明
https://www.youtube.com/watch?v=2QFTGUfy6-M


【熱中症対策】空調服プロモーションビデオ(性能の実験)
https://www.youtube.com/watch?v=OeT2K5OMza4




「生理クーラー理論」による空調服の有効範囲に岡山市の気象条件を追記した上記グラフ。
気象庁の岡山市の2017年8月の記録によると、8月の日ごとの最高気温の平均は33.7℃で、
湿度のデータは日ごとの最高一覧がなかったため、日ごとの平均を平均した所、71%。
これをグラフに適用すると、岡山市でも、軽作業ならこの空調服は十分に機能しそうです。

空調服の開発者
ソニーを早期退職後、セフト研究所を設立し、「生理クーラー理論」を着想した社長の
市ヶ谷氏が空調服を開発。
https://www.9229.co.jp/about/story

(株)空調服の製品は、その卸である、NSP、トラスト等からも販売されています。
空調服は高価ですが、熱中症になって入院したり、納期遅れ責任よりずっと安価です。
建設現場や駐車場整理など、冷房のない現場作業の熱中症対策として会社購入検討を。
かいた汗に送風することで気化熱で体を冷やす原理なので、汗を一時的に留める肌着を着
用し、汗をかけるように、水分・塩分を十分にとる必要があります。また、サイズについ
ては、ファンの風が、首と両腕からちゃんと抜けるようなサイズを選ぶ必要があります。

尚、空調服の下は、肌にぴったりの肌着を着た方がよいようです。私も、空調服と下記の
肌着を3着買って、プレゼントしました。
おたふく手袋 ボディータフネス 冷感・消臭 パワーストレッチ 長袖ハイネックシャツ
JW-625 ¥839
http://amzn.asia/iFE2Erp

【体験談】
空調服を買いました!(買ってみた!)
https://www.youtube.com/watch?v=-ZlnQG7e8DU
空調服の下に着て最も涼しいコンプレッションウェアはどれ??
https://www.youtube.com/watch?v=iwhYJ-mAGRQ
バートルの空調服の試着だよ!2018 07 15
https://www.youtube.com/watch?v=LsoaJC-zJdU
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■熱中症治療・応急手当
尚、熱中症がV度まで進んだ場合の、簡易バスタブを使った冷水浸漬(CWI)や、ブルー
シートの中に傷病者を入れて、その中に氷水を入れて冷やすタコス法、氷水バスタオルに
よる代替法は昨年の投稿をご覧ください。
http://jemta.org/index_170820.html

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。
20180618 追記 大王製作所 クールミスト
20180629 追記 Yahoo防災速報、空調服


posted by jemta at 19:47| 日記

2017年11月12日

AHAガイドラインアップデート2017 カール・ケーンECC委員長の説明動画の粗訳



2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
The video outlining the new focused updates by Karl Kern, MD
本記事のURL
http://jemta.org/index_171112.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
岡山市内でも、この1週間は最高気温が20℃を下回り、空気が澄んできました。
暖かいものがおいしくなる季節ですね。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?



■[1]はじめに
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前回の投稿 http://jemta.org/index_171108.html
で、ご紹介したように、アメリカ心臓協会AHA(American Heart Association)は、
国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と協力して、昨日、CPRガイドラインを更新(アップデート)し
ECC委員会の委員長、カール・ケーン医師の説明の動画をリリースしています。


2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
Karl Kern, MD カール・ケーン医師(AHA緊急心臓血管ケア委員会委員長)
(2017/11/7にAHAによって発表されたCPRの最新の推奨事項について説明しています。
また、継続的なエビデンス評価プロセスへの移行についての考えを示しています。)
以下に、動画内容の粗訳を書いています。



■[2]動画のテロップと説明の内容(粗訳)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
00:00(←分と秒)
2017成人および小児のBLSおよびCPRの質に関するAHAの最新情報。
00:05
AHAガイドラインは、世界中の2200万人以上の人々を訓練するために使用されています。
00:13
このアップデートでは、心停止からの生存率を高めるために重要な要素が再び強調されて
います。
00:19
Karl Kern、医師、
AHA緊急心臓血管ケア委員会委員長
アリゾナ大学医学部
ツーソン・サルバーハートセンター

================================================================================
00:24
アップデート#1
救急指令によるCPRの口頭指導
================================================================================
00:25
今年のアップデートは、2015年に発表され出版されました
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
00:27
彼らの努力が増すほど、より多くの人々が救われるでしょう。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
00:30
それは胸骨圧迫のみのCPRの重要性です
00:34
あなたが9-1-1に電話をした際の、救急の指令は明確になりました。
00:39
オペレーターは訓練を受けており、基本的なCPRをするように指示します。
00:47
その指示には確実に、基本的な胸骨圧迫の手技が含まれます。
00:54
市民救助者にとって、より簡単になるように、救急隊が到着するまでは、人工呼吸は後回
しにされます。
01:02
そして、彼らは、もっと自信をもって、頑張ろうとし、救急指令も簡単な手段で救命を支
援できるようになります。

================================================================================
01:13
アップデート#2
乳児と小児のための人工呼吸を伴う胸骨圧迫
================================================================================
生理学的に異なる小児では、非常に明確です。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
01:16
小児には...本当に呼吸が必要です
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
我々は通常、小児の心停止は呼吸原性によるものであるとしています。
01:24
小児はしばしば、かなり低酸素になり、そして心臓が止まります。
01:31
小児は特殊であり、小児には、人工呼吸が本当に必要です。
01:35
私たちはまだ、成人と小児の両方で、何もないより、圧迫した方がよいという考え方に立
っています

================================================================================
01:43
アップデート#3
迅速な成人のための胸骨圧迫のみのCPR  迅速な循環によって、救命できます。
================================================================================
01:44
私たちが以前に述べたように、成人への人工呼吸に関しては、最初の数分間においては、
救急隊が到着するまでに、人工呼吸をされなくても、循環は保たれます。
01:57
これは、多くの人が知っているように、過去5年から7年のサイクルの中においては、大
きな変化になります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
01:59
即時バイスタンダーのCPRは、毎年、35万人以上の院外心停止のアメリカ人の生存率を、
2倍または3倍にすることができます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
2:06
なぜILCORとAHAは継続的なエビデンス評価プロセスを実行するのか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
02:10
科学は連続している
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
02:17
アメリカ心臓協会は、大きな努力を払い、科学の見直しのための会議を開催し、何が異な
るかを考えています。
02:28
その進歩とは何か。それは約5年ごとに改定されています。
02:34
しかし、科学は5年ごとに機能するということはありません。科学は連続して変化します。
02:36
最後の5年の会議の直後に、2016年の直後に重要なことが出てくると、私たちは2020年ま
でそれを実際にプロバイダーの知識習得や訓練に生かすことはできません。待てません。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
02:50
これは、継続的なエビデンス評価に基づく、最初の努力です
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これは継続的なエビデンス評価に伴う、最初の努力です
02:53
そして1年に一度、成果を要約するように、突然の心停止の傷病者のための生存率に違い
をもたらすことができることに対して、私は本当に興奮しています
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
03:07
継続的なエビデンス評価プロセスにより、包括的なレビューとエキスパートコンセンサス
の厳格さが、可能な限り、リアルタイムで可能になります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
03:13
緊急2020改革目標
病院外心停止において、2倍の15.8%まで生存率改善。
バイスタンダーによる蘇生行為を2倍の62%へ
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アメリカ心臓協会の2020年の目標は、突然の心臓死からの生存率を倍増させることです。
03:22
CPRの取り組みは確かに目に見えるものの、徐々に改善されていますが、 2020年までにそ
れを2倍にする目標はあまりありません。
03:31
私たちは実際に努力を重ねて、一般の人々を助けて、実践できるよう、推奨できることを
本当に望んでいます
03:41
これは非常に衝撃的な体験であることがわかります。
03:44
まだ誰かがあなたのそばに来るようなことはないかもしれませんが、私が自分自身を助け
ることができなくなったときに彼女が私を助けてくれることに感謝するでしょう。

■最後に
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
心肺蘇生に関する国際協議団体については以下に書いています。
http://jemta.org/index_ilcor.html
AHA以外の他の団体のガイドラインアップデートについて、見てみましたが、ILCORでは、
アップデートのニュースが少しだけ、アップされているようです。
ILCOR国際蘇生連絡協議会
http://www.ilcor.org/home/
http://www.ilcor.org/news/latest-news/

しかし、以下の団体は、アップデートを出していないようです。
ERCヨーロッパ蘇生協議会
https://www.erc.edu/
RCAアジア蘇生協議会
http://www.resuscitationcouncil.asia/index.html
JRC日本蘇生協議会
http://www.japanresuscitationcouncil.org/

===================================================================
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
FirstAid HP:http://jemta.org/fa.html
FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
===================================================================
免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 21:13| 日記

2017年11月08日

AHAガイドラインのアップデート2017 成人と小児のBLSおよび心肺蘇生の質の要点粗訳



The 2017 AHA Focused Updates on Adult and Pediatric Basic Life Support
and Cardiopulmonary Resuscitation Quality

本記事のURL
http://jemta.org/index_171108.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
岡山県北の蒜山高原や備前の閑谷学校では、今、紅葉が見ごろになっています。
市内の後楽園でも、色づき始めています。
天高く、過ごしやすい季節ですね。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?



■[1]はじめに
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
アメリカ心臓協会AHA(American Heart Association)は、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と
協力して、昨日、CPRガイドラインを更新(アップデート)しました。
AHAは過去に「心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン」を4本出版しています。
G2000,G2005,G2010,G2015の4本です。5年毎にガイドラインを新しくしてきたわけですが、
G2010までは、過去のガイドラインは一掃して、新らしいものとして出版しましたが、
G2015からは、それまでのガイドラインを基にして、差分(アップデート)として、出版し
必要に応じて、アップデートするという形に変わっています。
このリリースは科学的なアップデートに加えて、国際的な蘇生連絡委員会(ILCOR)とAHAに
よる継続的なエビデンス評価プロセスと焦点を絞った更新になっています。 ILCORが新し
い科学に基づく文献審査を完了したときに更新が公表されるそうです。

今回の2017アップデートの要点は3つです。

1.救急指令は、胸骨圧迫のみのCPR命令を電話で提供する
2.小児は、少なくとも胸骨圧迫を受けるべきである。
 しかし、もし救助者が喜んでできるのであれば、人工呼吸を行うべきである。
3.成人が卒倒し、心停止が疑われる場合は胸骨圧迫を即座に開始する。

アップデートの内容は、ECC Guidelines website
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/
で閲覧できます。

今回のアップデートのハイライトは
成人
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-5-adult-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
小児
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-11-pediatric-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
の「highlight」の項目をご覧ください。

詳細を知るには、
成人
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000539
小児
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000540
の論文を読む必要があります。個人的に全部読んでみましたが、間接的・遠回しな表現で
ガイドライン作成者が何故アップデートを出したのかは、よく考えてみないと、難しいの
ではないかと思いました。


2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
Karl Kern, MD カール・ケーン医師(AHA緊急心臓血管ケア委員会)
(2017/11/7にAHAによって発表されたCPRの最新の推奨事項について説明しています。
また、継続的なエビデンス評価プロセスへの移行についての考えを示しています。)

AHA News (新ガイドライン2017勧告 119番指令は、電話でCPRの口頭指導を!)
https://news.heart.org/911-operators-should-provide-cpr-instructions-guidelines-say/
https://goo.gl/ioMu2Y (翻訳)



以下に、
「2017年アメリカ心臓協会のハイライト成人および小児基礎生活支援と心肺蘇生の質に関
する最新情報」の要点の粗訳を書いています。粗訳なのでご自身で別途検証ください。
以下のハイライトでは、成人および小児基礎生活支援(BLS)2017に焦点を当て、心肺蘇生
(CPR)および救急心臓血管ケア(ECC)のための米国心臓協会(AHA)のガイドラインに焦点が
当てられています。



■[2]成人BLSおよびCPRの質
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
-------------------------------------------------------------------
主要な課題と大きな変化の要約
ここで検討されているトピックは次のとおりです。

・救急指令支援CPR
・緊急医療サービス(EMS)提供者による継続的な胸骨圧迫の使用
・胸骨圧迫のみ(HandsOnly)CPRと胸骨圧迫を併用したCPRと
 院内および院外の両方の設定で換気を使用する

AHAトレーニングネットワークの要請により、
市民救助者の説明を次のように明確にしました。
1.訓練されていない
2.胸骨圧迫のみのCPRを訓練
3.胸骨圧迫と人工呼吸のCPRを訓練

-------------------------------------------------------------------
救急指令支援CPR

2017(更新):
救急指令の指示が必要な場合、救急指令は、院外心停止(OHCA)が疑われる成人の発呼者に
胸骨圧迫のみのCPR指示を提供することを推奨します。

2015年(旧):
救急指令は、OHCA疑いのある成人の場合、胸骨圧迫のみのCPR指示を発信者に提供する
必要があります。

理由:2017年のBLS国際コンセンサスでのCPRとECCサイエンス治療勧告(CoSTR)要約と体系
的レビューでは、OHCAの救急指令による胸骨圧迫のみCPR のためのガイドラインが考慮さ
れました。このトピックでは新しい研究はレビューされていません。


-------------------------------------------------------------------
バイスタンダーCPR

2017(更新):
1.OHCAの成人の場合、訓練されていない救助者は、救急指令の援助の有無にかかわらず、
 胸骨圧迫のみのCPRを提供すべきである。
2.胸骨圧迫のみのCPRで訓練された救助者にとっては、OHCAの成人に対して胸骨圧迫のみ
 のCPRを提供することを推奨する。
3.胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用してCPRに訓練された救助者にとって、OHCAの成人の
 ために胸骨圧迫に加え換気(救助呼吸)を提供することは妥当である。

2015年(旧):
1.救助者にとって、圧迫のみのCPRは、成人の心停止患者の従来のCPRに対する妥当な代替
 手段である。
2.訓練された市民救助者にとって、心停止時に、成人のために胸骨圧迫に加えて換気を提
 供することは妥当である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約と体系的なレビューは、バイスタンダーによる胸骨圧迫のみのCPR
と胸骨圧迫と換気(レスキュー呼吸)とが比較されています。


-------------------------------------------------------------------
EMSによるCPR

2017(更新):
1.先進的な気道(声門上気道または気管チューブ)が留置される前に、EMSプロバイダーは、
 30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことを推奨する。
 代替手段として、EMSプロバイダーが人工呼吸をするために胸骨圧迫を中断することな
 く、30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことは合理的である。
 EMSプロバイダーは、高度な気道確保をする前に、連続的な胸骨圧迫の間に非同期換気
 を提供するために毎分10回の呼吸( 6秒毎に1回の呼吸)の割合で行うことは、合理的で
 あるかもしれない。
2.これらの更新された勧告は、2015年勧告のEMSの合理的な選択肢である、目撃された
 ショック可能なOHCAのための最小限の胸骨圧迫の中断(例えば換気の遅延)の最初の適用
 を排除するものではない。

2015年(旧):
1.患者が高度な気道確保がなされていない限り、救助者はCPR中に30回の圧迫と2回の呼吸
 サイクルを提供すべきである。救助者は胸骨圧迫を一時的に中断し、約 1秒以上かけて
 人工呼吸をする。
2.しかし、一連の連続的な胸骨圧迫を行うEMSシステムでは、受動換気の利用はその一連
 の一部とみなせるかもしれない。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、高度な気道確保をする前に、
EMSプロバイダーが胸骨圧迫および換気をする際に、胸骨圧迫を中断する場合と、連続し
て胸骨圧迫を続ける場合が考慮された。


-------------------------------------------------------------------
心停止のためのCPR

2017(更新):
CPR中に高度な気道(気管チューブまたは声門上デバイス)を挿入する際、胸骨圧迫を一時
停止することなく、陽圧換気で継続的な圧迫を行うことはプロバイダにとって合理的で
ある。

2017(変更なし):
継続的な胸骨圧迫が行われている間に、6秒ごとに1回の呼吸(毎分10回の呼吸)を提供する
ことは、妥当である。

2015年(旧):
心肺蘇生(CPR)の時に傷病者に高度な気道確保されている場合は、救助者は30回の圧迫・
2回の人工呼吸をすることはない。(例、2回の呼吸を行うために、胸骨圧迫を中断するこ
とはない)
代わりに、継続的な胸骨圧迫が行われている間に、プロバイダーは6秒ごとに1回の呼吸
(毎分10回の呼吸)をすることは合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、病院内で高度な気道を配置した後に、
連続的な胸骨圧迫と中断を伴う胸骨圧迫とが考慮されました。このトピックでは新しい
研究はレビューされていません。


-------------------------------------------------------------------
胸骨圧迫対換気比
2017(更新):
CPRの訓練を受けた救助者は、胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用して、心停止時の成人の
換気率を30:2にすることは合理的です。

2015年(旧):
救助者は、心停止時の成人に対して30:2の圧縮換気比を提供することが合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、成人BLSの圧換気比を考慮した。
このトピックでは新しい研究はレビューされていません。



■[3]小児BLSおよびCPRの質
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
-------------------------------------------------------------------
主要な課題と大きな変化の要約
小児BLSの変更点は、胸骨圧迫のみのCPRに対する人工呼吸をしない場合と比較して、人工
呼吸を伴う胸骨圧迫を使用したCPRの生存率重視の結果であり、人工呼吸の益々の利点は
明確な勧告が正当化されました。
ここで検討されているトピックは次のとおりです。
・心停止時の幼児および小児のために圧迫および換気が必要であることを再確認する
・レスキュー呼吸を希望しない、または救助できない傍観者が、幼児および小児に胸骨圧
 迫を提供することを強く勧告する

-------------------------------------------------------------------
質の高いCPRの要素:小児BLS
2017(更新):
心停止の幼児および小児には、人工呼吸を伴う胸骨圧迫を提供する必要があります。

2015年(旧):
従来のCPR(胸骨圧迫および人工呼吸)は、小児心停止のために提供されるべきである。

理由:
2015年ガイドライン・アップデート刊行されてから、エビデンスが増えていることから、
人工呼吸を伴う胸骨圧迫を心肺蘇生時の幼児や小児に使用する推奨は妥当である。


-------------------------------------------------------------------
質の高いCPRの要素:
胸骨圧迫のみのCPR

2017(更新):
救助者が人工呼吸をしたくない、またはできない場合、救助者は心停止時に幼児および
小児に対して胸骨圧迫を行うことを推奨する。

2015年(旧):
心原性心停止の傷病者には圧縮のみのCPRが有効であるため、救助者が人工呼吸をしたく
ない、又はできない場合、救助者は心停止の幼児および小児に対して圧迫のみのCPRを行
うことを推奨する。

理由:
人工呼吸を伴うCPRと成人に推奨されている胸骨圧迫のみのCPRの生存率を比べて、人工呼
吸の恩恵が増えれば、異なる勧告が正当化されると結論づけました。


■最後に
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
尚、今回のAHAのアップデートにより、AHAのBLS,ACLS,PALSコースの内容が変更されるこ
とはありません。
但し、EMS向けのコースにおいては、受講生のローカルプロトコルと一致するコース
(BLS、ACLS、ACLS EP)においては、連続した胸骨圧迫を行い、胸骨圧迫の中断なく
(非同期に)、6秒ごとに 1回換気を行う、連続胸骨圧迫・非同期換気の練習もしてもよい
ことになっています。但し、実技試験では、従来通り30:2の同期換気で行います。


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AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
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・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 20:28| 日記

2017年10月27日

心停止直後のアドレナリン投与と生存退院率



Time to administration of epinephrine and outcome
after in-hospital cardiac arrest with non-shockable rhythms

本記事のURL
http://jemta.org/index_171027.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
最近朝晩はとても冷え込むようになりましたが
日中は過ごしやすく、秋の夜長の季節ですね。


■[1]はじめに
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Dr.林とDr.Goldmanの笑劇的臨床論文放談
http://www.carenet.com/report/carenetvch/carenetv_ch4.html
第4回 Prehospital Epinephrine(病院前アドレナリン投与)
の動画がリリースされました。
(閲覧には会員登録が必要です。無料で登録できます。)

病院外心肺停止患者への病院前エピネフリン(アドレナリン)投与と生存率に関してですが、
『心肺停止患者への切り札として使われるエピネフリンは実は使わない方がいい!? 』
日本の41万7,188人という膨大なデータから導き出された結果を、Dr.林とDr.Goldmanは、
どう解釈するのか!...
一昨日、ケアネットのCareNeTVチャンネルから、上記対談が無料リリースされています。
この記事は、医師の注目順の週間総合ランキングで今週1位になっているそうです。
毎月5400円を支払ってCareNeTV会員になっておられる方は別ですが、そうでない方はいず
れ削除されると思いますので、今の内にご覧になられてはと思います。


■[2]九州大学 萩原明人先生らの論文
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Akihito Hagihara, et al.,
Prehospital Epinephrine Use and SurvivalAmong Patients
With Out-of-Hospital Cardiac Arrest
JAMA, March 21, 2012?Vol 307, No. 11 1161-1168
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/1105081

著者らは、2005-2008年の救急隊の「救急活動記録・検証票」の院外心肺停止の約42万人
のデータを使用し、アドレナリンの有効性を研究しました。
(検証票は書くのが大変なので、このようなデータを出せるのは日本だけです。)
エピネフリン使用群と非使用群を比較し、心拍再開率、1カ月の生存率、および
1カ月神経予後良好率を調べました。
予想通り、アドレナリンを使えば、心肺再開率は高くて、使った群では2.3〜2.5倍も心臓
は動きました。

          使用  非使用  OR
自己心拍再開ROSC  18.5%   5.7%  2.36
 propensity-match 16.3%  10.5%  2.51
1カ月生存率     5.1%   7.0%  0.54
脳機能カテゴリー   1.3%   3.1%  0.21
全身機能カテゴリー  1.3%   3.1%  0.23

ところが、1カ月生存率や脳機能に関しては、アドレナリンを使わない方が予後はよいと
の結果でした。上表のように、1カ月後の生存率、脳機能の予後、全身機能予後は、どれ
もアドレナリンを使わない方がいいとの結果でした。これまで救急医が使ってきた一番の
武器がダメだったとの結果。やせ馬に鞭を打ってその場でアドレナリンを打って心臓を動
かすことはできますが、心臓が戻ってから、このアドレナリンの環境は結局心臓に悪いと
いうことのようです。

【Dr.Goldman】の解釈
この結果の解釈については、慎重にすべき。容易に結果に走らない方がいい。現在、我々
には、エピネフリン以外の代替薬がない。本研究は病院前の設定で、院内のデータではな
い。解析の交絡要因があることを頭においておくことが重要。その上で情報を解釈すべき。
例えば、病院前の救命士がアドレナリン静注にどれくらい習熟しているか、わからない。
彼らの静注処置が遅ければ、胸骨圧迫も遅れてしまう。

【Dr.林】の解釈
救急隊に聞くと、現場には3人しかいないので、点滴を入れたりすると、胸骨圧迫がおろ
そかになる傾向は、たしかにあるようだとのこと。

参考文献
永田高志(この論文の4th author) 医学新聞寄稿
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03033_02
慈恵ICU勉強会資料
http://www.jseptic.com/journal/jreview_117.pdf

【私】の解釈
僭越ですが、少しだけですが両氏の解釈には、違和感を感じました。Dr.Goldmanのご意見
では、「日本の救急隊は遅いから、救急隊は、皆、エピネフリンは使わない方がいい」と
いう印象を与えます。
この論文は、現場の玉石混合の成果を全部まとめて、平均値だけを議論しており、心停止
からエピネフリン投与までの時間の分布を分けて、エピネフリン投与の成果を議論してい
ません。(通報から現場到着時間と、通報から病院収容時間の、両群の平均値のみが書か
れています。到着:使用7.37分vs非6.72分、収容:使用40.01分vs非40.43分)

本投稿の以下の■[5]に、別途追記していますが、エピネフリンを使った方が予後がよ
くないのは、エピネフリンの「遅延投与」に原因があります。つまり、早く投与すれば予
後が良いけれども、遅く投与すれば予後が悪く、しかもこの遅延投与の事例の方が多いの
で、全体としては、エピネフリンを使った方が、平均値として、「使うと予後が悪くなる」
という結果になっているのです。Dr.Goldmanの「胸骨圧迫が遅れるから」と言う発言は、
早計と思われてもしかたないと思います。

非常に膨大なデータから平均値を出されたのは意味があると思いますが、平均だけを議論
すると、改善の方向性を見誤ります。
正確に言えば、「救命率を上げるためにエピネフリンを早く投与すべきであり、もし、
遅くなるようであれば、使わない方がよい」という結果になると思います。

■[5]の論文が日本語で書かれており、Dr.Goldmanがお読みになれないのが原因かもし
れませんが、日本の■[1]の論文を紹介されるのなら、■[5]の論文を紹介されない
のは手落ちではないかと思います。
『心肺停止患者への切り札として使われるエピネフリンは実は使わない方がいい!? 』と
いう表現はとても人目につくフレーズですが、正確さを欠き、この表現では誤解を与えま
す。


■[3]ボストンのドニノ先生らの論文
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Michael W Donnino, et al.,
Time to administration of epinephrine and outcome
after in-hospital cardiac arrest with non-shockable rhythms:
retrospective analysis of large in-hospital data registry
BMJ 2014; 348 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.g3028 (Published 20 May 2014)

心肺停止後3分以内のアドレナリン投与が、除細動適用外リズムの心肺停止患者の
自己心拍再開(ROSC)の改善や良好な神経予後に関与している。

・院内心肺停止 除細動適用のない波形 25,095人
・3分以内にアドレナリン投与するとよい
・継時的にROSCは低下する
・神経予後も良好


図1.心停止からアドレナリン投与までの時間と生存退院率


■[4]ギリシャのメンツェロポロス先生らの論文
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mentzelopoulos SD, et al.,
Vasopressin, steroids, and epinephrine and neurologically favorable survival
after in-hospital cardiac arrest: a randomized clinical trial.
JAMA. 2013 Jul 17;310(3):270-9. doi: https://doi.org/10.1001/jama.2013.7832

・院内心停止
・Vasopressin+Epi+methyl-PSL
・ROSC          83.9% vs 65.9% OR2.98
・神経予後良好生存退院率 13.9% vs 5.1% OR3.28

ギリシャの研究では、アドレナリン、ステロイド、バソプレッシンのカクテル注射が院内
心肺停止に良い効果があると報告しています。


図2.アドレナリン+ステロイド+バソプレッシン投与と生存率

【Dr.林】談
結局、病院前でのアドレナリンはあまり効果がなく、まだ不明の点も多く、アドレナリン
については今後も目が離せない。
院外で心拍再開がない心停止で、神経学的予後がいいのは、わずか0.49%で、 200人に1人
しかいない。だから除細動ができたとしても、それが効かなければ、元気になる見込みは
1%以下しかない。
もっと科学的な根拠が必要で、もっと画期的な治療が必要です。

【Dr.Goldman】談
心停止の研究についてはまだ少し遅れていると思います。有効な胸骨圧迫はいくら強調し
ても、しすぎるということはありません。


■[5]国士舘大学の植田広樹先生らの研究
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これは、上記のCareNeTVでは、紹介されてはいませんでしたが、昨年、発表された新しい
日本の研究です。
ACLSプロバイダーマニュアルG2015 p.99には、「血管収縮薬(アドレナリン)がVF/無脈性
VTからの生存を向上させることはない。」との記述がありますが、以下は、このことを調
べている時に見つけた文献です。

病院外心停止症例におけるアドレナリン投与の脳機能予後に対する効果(第一報)
2016日臨救急医会誌2016:19:578-85
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/19/4/19_578/_pdf

・これまでの論文ではアドレナリンは、心拍再開には有効であるが、社会復帰率は寄与し
 ないとされてきた。
・この原因は、早期投与の症例が少なく、遅延投与の数が多く、遅延投与では復帰率が悪
 くなるので、全体としては遅延投与の成績のほうに引っ張られて、全体的に悪いとされ
 てきたから。
・今回は、投与時間毎の解析をした結果、早期投与だと社会復帰率が高いことがわかった。
 VF/VT およびPEA/心静止の全体でみると、救急隊が接触して約8分以内にアドレナリン
 を投与すると、投与しないより、社会復帰率が高くなることがわかった。
・グラフの左側は症例数が少ないのでばらつくのは当然ですが、右側の症例数の多い領域
 でも、VF/VTにおいては、早期投与優位の傾向が明快にでています。

この論文の解釈について
上記論文のグラフに手を入れて、以下に書いています。


上(図3.アドレナリン投与と社会復帰率) 下図4.(図3のPEA/心静止の部分の拡大)

・もともとの論文では、投与群に関しては、VF/VT およびPEA/心静止を分けて書いていま
 すが、非投与群については、上記二つをまとめて、復帰率を 3.2%とし、そこから、
 アドレナリンが効果的となるスレショルド7.9分を導いています。
・VF/VTおよびPEA/心静止では効果が違いますし、PEA/心静止の方が多いので、復帰率3.2
 %は、PEA/心静止の方に引っ張られています。
・VF/VTにおいては、投与の時間効果も非常に大きいので、初期波形がVF/VTの場合で、
 非投与の場合の社会復帰率(13.4%)でスレショルドを求めると、VF/VTの場合では、救急
 隊接触後、5分以内にアドレナリンを打てば、社会復帰率は向上するということになる
 と思います。
・図4は、図3の下の部分を拡大したものです。
 初期波形がPEA/心静止の場合で非投与の場合の社会復帰率(1.6%)で、近似式からスレシ
 ョルドを求めると、救急隊接触−2分前になります。確知から現場到着までは8分かか
 っていますので、心停止から(8−2=6分)6分以内にアドレナリンを打てば、社会
 復帰率は向上することになります。6分以降に打っても、社会復帰率は下がりますので、
 その場合は打たない方がよいことになります。
 尚、近似式ではなく生データから求めると救急隊接触4分後になります。
 (生データ採用の場合は、心停止後8+4=12分)

・本研究を個人的に解釈すると、確知から現場到着までは8分かかっていますので、
 心停止からの時間を起点とすると
 「心停止になったら、すぐに CPR/AEDを開始、
  初期解析が除細動の適用なら、(準備できているなら)すぐにアドレナリンを投与し、
  初期解析でショックが必要でなかったら、その後はアドレナリンは投与しない。
  すぐにアドレナリンが使用できなかった場合で、その後、通報から(8+5=13分)
  13分以内に打てるなら打ち、それまでに使用できなかった場合は、その後は打たな
  い方がよいという結果になると思います

・但し、「救急隊接触後、5分以内に打つ」というスレショルドは、生データを近似式で
 補正した線を用いています。曲線1本で、べき乗関数で近似するというこに科学的根拠
 はないと思います。自然界にはy=f(x)ではなく、y=f(x)+g(x) の振舞いをみせるものも
 あります。3〜7分までの症例数は、9千事例くらいありますので、これを無視するの
 ではなく、そのまま尊重して使うべきではないかと思います。
 生のデータを尊重して、そのまま使うと「救急隊接触後、7分以内に打つべき」という
 ことになります。
 つまり、(8+7=15分)ですので、心停止後15分以内に打つべきということです。

・結論としては、
 @心停止を発見したら、すぐにCPR/AEDを開始する
 救命率向上のために、アドレナリンを投与すべきか否かの判断基準は、
 A初期波形=除細動適用の時、心停止後15分以内に投与完了できる場合のみ投与。
 B初期波形=PEA/心静止の時、心停止後 6分(12分?)以内に投与完了できる場合のみ投与
 上記のリミット以前に打てないのなら、予後が悪くなるので、投与しない。


■最後に
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AHAガイドラインP145の右の方にも、アドレナリン早期投与の推奨が書かれています。
引用された文献は主に日本の文献で、日本はデータをちゃんととっているので、時間分布
のような議論をする上で、他国と比べて貴重なソースとなっていると思います。

2015ガイドラインでは、初期ECG波形がショック非適応リズムの心停止において、
アドレナリンを投与する場合は、心停止後可能な限り速やかに投与することを提案してい
ます。

===================================================================
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
FirstAid HP:http://jemta.org/fa.html
FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
===================================================================
免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 19:08| 日記

2017年08月20日

労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬法(CWI法)



FirstAid for Exertional Heat Stroke(EHS). Cool(Ice tub) First,Transport Second.
本記事のURL
http://jemta.org/index_170820.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
お盆休みも終わって、来週からは、仕事開始ですね。

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■[1]はじめに
米国のボストン近くのファルマスという港町で、今日8月20日に11km マラソン大会が開催
されます。1万人以上が参加するロードレースです。平均気温は23℃、湿度70%です。
距離が短く、参加者が頑張るため、毎年平均15人くらいの労作性熱中症の傷病者がでます。
深部体温が40℃を越えた時間が15〜30分続くと生存率は50%しかありません。一刻も早く
冷やす必要があります。ファルマスロードレースでは、1984年から 18年間で合計274名の
熱中症患者がでていますが、1人の死亡者もでていません。救命率は100%です。
その理由は、米国スポーツ医学会(ACSM)、全米アスレティック・トレーナーズ協会(NATA)
が推奨するCWI(Cold Water Immersion) を実施しているからです。

図1.ファルマス・ロードレース


医療テント内には、予め、多数の浴槽と氷が用意され、傷病者に中枢神経障害があり、熱
中症の疑いがある場合には直腸温を測定し、40℃を超えていればCWIを実施し、水温10℃
の浴槽に10分〜15分ほど浸漬します。0.22℃/分の冷却速度で冷却され、直腸温が 38.8℃
になれば浴槽から出します。倒れてから約2分以内にCWIは実施されており、治療実施者の
93%は、病院に行くことなく、現場の医療テントからそのまま帰宅できています。

過去50〜100年前までは、熱中症傷病者に冷水浸漬(CWI)はよくないと誤解されてきました。
急に冷やされると、傷病者が嫌がるのではないか、末梢血管収縮(PVC)と震えのために冷え
ないのではないか(Currie response) 、という誤解です。
しかしこのファルマスロードレースでは、冷水/氷水浸漬による急速冷却が、卒倒後数分
以内に実施されれば救命できることが実証されています。
正常な人が冷水浸漬された場合と、高体温の人が浸漬された場合の生体の反応は違います。
高体温の冷水浸漬では、震えは観測されず、傷病者からの低温に対するクレームはなかっ
たそうです。
深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、EHS労作性熱中症治療の第一の目標です。
"Cool first, Transport second"(冷却第一、輸送はそのあと)のスローガンは強く推奨さ
れています。

AHAのFAガイドライン
では「できれば顎まで冷水につからせる(G2010,S964) 」と推奨され
ています。
Heat Emergencies
The most important action by a first aid provider for a victim of heat stroke is
to begin immediate cooling, preferably by immersing the victim up to the chin in
cold water.
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015
でも「病院に搬送する前に水槽に浸漬させ
る(水温2℃で9分浸漬の事例を紹介)P13」を推奨しています。
日本医師会発行の国際マラソン医学協会医療救護マニュアルP83
にも、ファルマスのよ
うな方法が具体的に示されています。

日本はAEDのPAD導入が欧米に比較して10年以上遅れました。熱中症の分野においても米国
の方が10年程以上、進んでいるのではないかと思います。
救急医@ER/ICU氏のブログ「対熱中症 総力戦」
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11312235241.html
以下の動画は削除されましたが、Dr林先生も氷水でのクーリングは厳禁と言われていまし
た。(熱中症と脱水)
https://www.youtube.com/watch?v=G8_g1BNclHA

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文献:冷水浸水:演習熱中症治療のゴールドスタンダード
Exerc Sport Sci Rev. 2007 Jul;35(3):141-9.
Casa DJ,et al.,Cold Water Immersion: The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatment
http://journals.lww.com/acsm-essr/Fulltext/2007/07000/Cold_Water_Immersion__The_Gold_Standard_for.9.aspx
----------------------------------------------------------------------------
ファルマス ロードレース大会で労作性重症熱中症に対するCWI冷水浸漬の治療結果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24983342
Demartini,Casa et al.,Med Sci Sports Exerc. 2015 Feb;47(2):240-5    (カ)
Effectiveness of Cold Water Immersion in the Treatment of Exertional Heat Stroke at the Falmouth Road Race
・米国ボストンから、車で90分のファルマス(緯度は函館と同じ)で毎年開催されるマラソン
・8月開催(18回の大会の平均気温23.3℃、湿度70%)、毎回1万人(プロ/アマ)参加。
・(1984-2011)18年分のマラソン大会を解析。
・距離が11kmと短く、ランナーは早く走るため、熱中症が多い。2.1人/完走者千人
・合計274例の労作性重症熱中症。平均15人/大会。テント治療の40%が熱中症。平均15歳
・事前に、CWI用の冷水浴槽を医療テント内に準備(温度10℃、容量190L)。
・直腸温が40℃以上で重症熱中症と判断。すぐにCWI(冷水浸漬)を実施。
・浸漬中は、2分毎に直腸温、HR、BPを測定
・直腸温が38.8℃以下になったら、CWIを中止
・重症熱中症患者の生存率100%、93%はテントから帰宅できた。
・平均冷却速度は0.22℃/minを記録でき、この値は性別、年齢、初期直腸温度と無関係
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■[1-2]熱中症の分類

◆l熱中症の発生原因による分類では、以下の2つに分けることができます。
労作性 :運動や作業で自ら産生した熱と環境熱によるもの(Exertional Heat Stroke)
非労作性:環境熱によるもの(Passive Heat Stroke)

◆熱中症の重症度分類は、例えばAHAのファーストエイド(国際分類)では、
@熱失神(heat syncope)熱痙攣(heat cramps):入院の必要なし。冷却し・水分補給する。
A熱疲労(heat exhaustion):病院に行くべき。体温調整機能あり。汗はかいている。
B熱中症(heat stroke):集中治療が必要。体温調整機能破綻。汗はかかない。
の3つに分けており、日本救急医学会のガイドラインでは、上記をT度、U度、V度に分
類しています。

この投稿では、労作性の重症V度熱中症の現場でのファーストエイドと初期治療について
述べます。
労作性熱中症の定義は、深部体温が40.5℃以上と定義されます。低ナトリウム血症も考え
られ、高体温を放置すると体温調整機能が破綻し、サイトカインが活性化され、全身が炎
症をおこし、多臓器不全を起こし、死亡します。

本投稿を書こうと思った淵源は、2013年8月8日11時20分に、京都府宇治市内で気温32℃を
超える中で行われていたアメフト部の練習試合で、3年生の男子部員(17)が熱中症で倒れ
亡くなってしまった事故にあります。
http://www.sports-parents-japan.com/stopaccident/highschoolfootballheat/

この男子高校生の体温は43℃で、現場でもアイスパックを使った応急手当がされていたか
もしれませんし、病院での治療の結果38℃まで下がったとのことですが、(公開されてい
る情報だけから判断するのは誤りがあるの可能性があるとは思いますが)要するに、体温
を下げる速度が低く、高体温の状態が長く続いたからではないかと思いました。もちろん、
倒れる前の「試合をする判断」自体に問題があると思いますが、ファーストエイド的にみ
ると、米国のように科学的根拠に基づいて、適切に熱中症の初期治療をしていれば、もし
かしたら、助かったのではないかと、非常に残念に感じていました。初めは自分自身もよ
くわかっていなかったと思いますが、ファーストエイドのガイドラインを読んでいて気づ
きました。

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■[1-3]労作性熱中症の生存率
スポーツ中や野外の作業中などで、深部体温が40℃を超えて倒れた場合に、助かるかどう
かは、何℃まで体温が上がったかではなく、40℃を超えた状態(Critical Temp.)が何分続
いたかによります。
以下のグラフは、熱中症関連の記述によくあるグラフです。


図2.熱中症の生存率 http://jap.physiology.org/content/42/6/809

深部体温40℃を超える状態が20分以上続くと生存率は5割以下になり、50分以上続くと2割
以下になります。日本の場合は、救急車を呼んで病院に収容されるまでの時間は約40分か
かっています。初めから、倒れないように予防することが最も大事ですが、倒れてから病
院に運んでいても助かる可能性は低いです。心室細動で卒倒した場合に現場で AEDを使う
応急手当と同じで、現場でのファーストエイドが最も大事です。
図2では、臨界高温が15〜30分続いた時の生存率は50ですが、これを中間の22.5分での救命
率が50としてプロットし直したのが次の図3です。


図3.心室細動と労作性熱中症の救命率

心室細動の場合は、10分何もしないとほぼその場で亡くなります。10分間で予後が決まり
ます。但し労作性熱中症の場合は、倒れてすぐ救急車を呼んでも、日本の場合、病院に着
くまでに40分くらいかかります。普通は、電話するまでにももっと時間はかかるはずです。
この見積もりでは40分で、救命率は3割です。病院に運んでから冷やしても間に合いません。
しかも心室細動ではその場で結果がでるのに対して、熱中症の場合は倒れてから、1時間
の処置で予後は決まるのですが、すぐには亡くなりません。通常亡くなるのは半日から、
1週間後です。ですので適切な初期治療がされたか否かが、評価されにくいのです。

「Cool First!! Transport Second!.」です。
具体的には、深部体温が40.5℃以上なら、氷風呂(2〜13℃)に浸漬させ、倒れてから 30分
以内に体温を39℃まで下げる必要があります。
日本医師会発行、国際マラソン医学協会医療救護マニュアル P81労作性熱中症チャート

以下は、ファルマス・ロードレースでの冷水浸漬のデータです。

図4.ファルマス・ロードレースでその有効性が実証されたCWI(冷水浸漬)  (カ)
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■[2]体温測定(直腸温度/口腔温度/腋窩温度)
恒温動物は体温を一定に保っていますが、3次元空間的には温度の分布があります。


図5.ヒトの体内温度分布

温度を測る部位によっては、値が違っています。

図6.測定場所ごとの正常な体温範囲(SureTemp Plus 690/692マニュアルより)

■[2-2]腋窩/口腔体温では深部体温を測れない
以下のグラフは、体内に直腸温度計を入れて、マラソンした時の温度変化です。

図7.奥本先生が計測されたマラソン走行時の直腸温(名桜大学広報P13)

以下のグラフは、運動した時の直腸温および口腔・腋窩温を同時に測定した事例です。

図8.運動中の直腸温および口腔・腋窩温の比較
(図中に挿入した温度計は論文に記述されている製品ではなく、一例です。)

見て分かる通り、直腸温はあがっていますが、口腔・腋窩温は変化がありません。つまり
『口腔・腋窩温で測定して、その値に何度か足すと直腸温になる』という推測は一切なり
たちません。熱中症の診断には、必ず、直腸温を測る必要があります。逆に言うと、誤解
を与えるので、口腔・腋窩温を測っても意味がなく、測るべきではありません、。

2002 National Athletic Trainers' Association 声明
「ATCは、運動中および運動後の体内温度の不正確で非効果的な測定値であるため、
運動者の口腔、鼓膜、腋の下の温度に依存してはならない」
皮膚の温度、汗の蒸発、体液の摂取、および風の影響を受ける可能性があるため、
正確性についての疑義が生じる。


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■[3]直腸温測定のための温度計

以下に温度計の一例を示します。

図9.直腸温が測れる温度計の例

◆ER(救急外来)の例
@フクダ電子 生体情報モニターHBP-2070/2071 \960,000
http://www.fukuda.co.jp/colin/products/basic/103.html
@日機装サーモ(株) 体腔挿入型温度プローブ YSI-401J 
http://www.nktherm.com/products/tm_probes/400_700series.html
@日機装サーモ(株) ゴムカバーの装着方法
http://www.nktherm.com/img/latex_cover.pdf
ラテックスアレルギーに注意
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11588579600.html
◆乾電池式なので、持ち運び使用可
Aテルモファイナー CTM-303 \99,000
http://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me95.html
◆手軽な廉価版
Bテルモ電子体温計C405 (口中,直腸用)Amazon¥2,916
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B008KZIGEO/
C数字医療温度計(口中,直腸) Amazon¥2,280
https://www.amazon.co.jp/dp/B07125HKKC/
◆個人輸入で入手できる温度計
DWelch Allyn SureTemp Model690 ebay32,031円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/192190946966/
http://goo.gl/Z8Jg5q
Dカバー ebay3,041円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/252665982333/
◆その他の直腸温度計
E日機装サーモ(株)(8ch)データ収集型ハンディタイプ温度計N543
直腸温プローブITP010-11(先端球5mmφ、チューブ3.5mmφ長さ25cm、ケーブル長2m)
http://www.nktherm.com/products/meters/n540-datalogger.html
F3M ベアーハガー深部温モニタリングシステム
http://goo.gl/FwzhJf
 この温度計が熱中症に対応し普及すれば直腸温を測らなくてもすむかも。
Gグラム(株) 2ch高精度温度計LT-2 Amazon82,620円+直腸温センサーLT-2N-11 24,840円
http://gram-corp.co.jp/product_f/product_f0.html
H[膀胱温測定]導尿用(温度センサー付)膀胱留置カテーテル[YSI-400準拠]
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/780045/780045_221ADBZX00098000_B_01_02.pdf
J安立計器 温度計 HD-1100E ¥48,600 (合計64,800〜)
http://www.anritsu-meter.co.jp/instrument/ha/ha-100.htm
K安立計器 温度センサー1600E-TS3-ASP(全長3m)16,200円〜 3mmφ,10cm長シリコンゴム
http://www.anritsu-meter.co.jp/sensor/sp/tc1600.htm

◆滑りをよくするために挿入部分の先にあらかじめ塗っておく
Lワセリン Amazon¥411
https://www.amazon.co.jp/dp/B000FQUJM8/
◆氷風呂の温度測定用(注意!直腸温ではありません。)
M隔測(かくそく)式温度計(プローブ+レシーバ式)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01C2QUDSS/
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E01RB8Y/

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■[3-2]直腸温の測り方
ERやICU 以外の医療現場で直腸温を測ることはあまりないと思います。看護師さんも学校
で実習した記憶はあまりないと思いますし、実際に1回も経験されたことのない方もおら
れました。ただし、膀胱カテーテルの留置や浣腸についてはほとんど経験があるのではな
いかと思います。温度プローブを肛門から直腸に入れるには、浣腸のやり方が参考になる
と思います。注意すべきことは、過去、グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔の医療事故が
起きており、起立したまま行ったり、挿入の時に抵抗があった場合にそのまま入れてしま
うと、穴があく危険性があります。
http://www.med-safe.jp/pdf/report_2012_3_R002.pdf
また直腸には痛みを感じる神経がないため、せん孔になっても出血するだけで、その時点
では痛みを感じないので、わかりにくいです。
Casa先生が書かれた献では、直腸温の測定は医師がすべきと書かれたものがありましたが、
競技や大会を主催する側は、どの医師でもいいというわけではなく、経験のある人に依頼
するべきだと思います。それぞれ専門があります。例えば医師の3割は AEDをうまく使え
るか否かわからないとのアンケート結果もあります。



図10.直腸温の測り方(参考図:浣腸の取扱い)

但し、図10では足の曲げ方が少し不十分ではないかと思います。起立に近い状態だと、
直腸と肛門がなす角度が直角に近いので、直線に近づけるためには、ひざをぐっと曲げた
スクワッド姿勢の方が温度センサーを入れやすいと思います。


図11.座位とスクワッド姿勢の時の直腸肛門角

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フランスや北米では、直腸温を市民が測っている国があるそうですが、日本では一般的で
はありません。普及品の温度計では、肛門部分しか入らないので、正確に測れないと思い
ます。看護師さん用のサイトを見ると、温度プローブは肛門から 6cm入れると書いてあり
ます。しかし、Casa先生が書かれた論文をはじめ、私が今回見た論文は和洋共、肛門から
10〜12cm入れていました。
直腸の長さは20cmくらいです。直腸は便の貯蔵庫であり、骨格との関係もあるかもしれま
せんが、簡単に外にでないように、管がくねっているのではないかと思います。挿入直線
路から見ると、ヒダが3つでており、10cm 入れるためには、すくなくとも2つのヒダを越
える必要があります。

医療用温度プローブとしては、例えばYSI400等ですが、全長3m程度で、先の温度センサー
の部分も、フレキシブルで柔らかく、電線のコードのように、楽に曲がります。バルーン
アートの細長い風船のようなゴムカバーを温度センサーにつけ、滑りやすいように、白色
ワセリンを塗って事前準備をします。傷病者の羞恥心に最大に配慮して(バスタオル等?)
左側臥位でなってもらい、口呼吸をしてもらうということは、一般的な注意点だと思いま
す。どこまで挿入するかわかるようにしておきます。挿入を始めて抵抗を感じたら、その
まま無理に入れようとせず、一旦引き戻して、方向の再調整が必要です。温度プローブを
留置してから、温度を読み取るまでは時間がかかりますので、マニュアルに従います。
中枢神経障害があり、40℃を越えて熱中症と判断された場合は、冷水につけますが、浸漬
中もずっと温度をモニターし、38.8℃以下になったら浴槽から出します。



図12.直腸の構造と直腸温プローブの挿入


■[3-3]医師法と直腸検温
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うこと
http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf
・直腸検温を医療者以外が反復継続の意思を持って行えば、医師法違反の恐れがあり。
(逆に言えば、反復継続の意思がなく、臨機応変の手当てとすれば医師法違反にはないが
 測定の時に腸を傷つけたり、救助行為によって被害がでれば傷害罪の恐れもあり)
・上記の通知によれば、市販の使い捨て浣腸器で、6cm までいれることは医師法には反し
 ないことになっています。医療行為とそれ以外を分ける理由は、「その行為によって、
 誤ったやり方をすると重大な損傷を与える可能性があるから」ということであれば、
 管を入れるのは、浣腸も直腸検温も同じであり、直腸検温は薬物を入れるわけではない
 ので、温度プローブを6cm 入れるのは医師法違反にはならないかもしれません。しかし
 日本では直腸温検温が一般的でないため、どうなのかは裁判官の判断によると思います。


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[4]熱中症の生理

熱中症の生理については、以下の論文の内容を示します。
Journal of Emergency Medical Services
Identification and Treatment of Exertional Heat Stroke in the Prehospital Setting
http://goo.gl/K2eqij

労作性熱中症(EHS)の病態生理学は、骨格筋収縮および環境因子を介した熱収量の割合が
熱損失のそれを超えるときに、物理的に発揮している個体において起こるという点で、
非労作性熱卒中とは根本的に異なる。
細胞レベルでは、臨界閾値(>40.8℃)を超える過剰な熱は、膜脂質の変性および液化を引
き起こし、脳症、横紋筋融解および肝臓および腎不全を含む多臓器機能不全をもたらす。
この損傷は、不可逆性になり、温熱療法が迅速にされなければ、最終的に致命的となる。
十分に訓練された選手は熱馴化の保護効果により、40.6℃を超える中核温度に耐えること
ができ、心血管のひずみを減少させ、直腸温を低下させる。熱性または胃腸疾患、薬物使
用(例えば、利尿薬、特定の精神医学的薬物療法、喘息薬)および肥満のような既存の状
態は、EHSを発症するリスクが高くなる。
研究により、多臓器不全は、熱細胞傷害性、凝固障害および内毒素媒介性全身性炎症反応
の複合効果に起因することが示唆されている。高体温に対する最初の心血管応答は末梢血
管の拡張であり、皮膚への血流を増加させて蒸発冷却を最大にする。これは、内臓の血流
の減少によって増強される。この血液は末梢循環に分流されて全身血圧を維持し、熱損失
に寄与する。

しかしながら、脾臓血流の長期的な減少は、虚血環境をもたらし、胃腸管へのニトロソ化
および酸化ストレスをもたらし、その後、循環および腸のバリア機能不全を引き起こす。
腸はますます透過性になり、腸内細菌は全身循環に漏れる。増加したサイトカインレベル
と結合したこのエンドトキシン血症は、激しい熱ストレスの間に訓練を受けた者および訓
練されていない者の両方で起こり、敗血症性ショックの間に見られるもののEHS を反映す
る炎症プロファイルになる。
EHS が進行するにつれて、播種された血管内凝固セットおよび複雑な細胞応答カスケード
は凝固経路を活性化し、過度のフィブリン沈着および血小板凝集を引き起こし、微小血管
血栓を引き起こす。これらの血栓は、末梢組織への虚血性損傷を引き起こし、最終的な器
官の機能不全、そして最終的には機能不全をもたらす。血小板および凝固蛋白質の消費量
は最終的には生産量を上回り、過剰な出血のリスクが高まる。これは、致命的なEHS で観
察されている胸膜、角膜、および腸間膜出血を説明する。
脳への直接的な熱傷害はまた、変化した意識レベル、発汗メカニズムの喪失、および制限
された瞳孔を含む中枢神経系の異常を導く。胃腸系と同様に、血液脳関門の完全性は失わ
れ、浸透性の増加は脳浮腫、昏睡、そして最終的には不可逆的な脳損傷および死をもたら
す。これらの生理学的変化は急速に進行する。動物モデルでは、死亡率の増加は直腸温で
はなく高体温の持続時間に関連していた。

即座に冷却すると、身体はこの鋭い損傷からほとんど回復することができます。しかし、
40.8℃の細胞の臨界閾値を超える長期間の高体温は、不可逆的な臓器損傷および又は死を
もたらす可能性がある。

高熱患者は、温熱患者と比較して正常体温の異なる温度調節反応を示す。
冷水中での突然の浸漬の副作用として、
「急速な交感神経反応のために心臓不整脈および心臓血管ショック、突然の血管収縮」等
が懸念されているが、これらの副作用(徐脈、末梢血管収縮、および中核血流)を経験する
ことは見出されなかった。
正常体温者は、PVC とシバリング(震え)を介して体温を守りますが、体温が高い人はこ
れらの反応を鈍らせて急速に冷やします。(温度が急激に低下するのと同様に CWIに従う)。
PVCとシバリングはある程度発生する可能性があるが、CWIの重度の温熱患者に見られる急
速な冷却は、CWIの間に中心的な応答が最初は正常体温者とは全く異なることを示している。


図13.高体温の傷病者と正常体温の人を冷水に浸漬させた時の体温変化の比較
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自分の体温が正常な時に、冷水に入ると体は震えその産生した熱で体温を保とうとします。
しかし、自分の体温が高体温の場合、前者とは反応が違い、シバリングは現れず、体はそ
の冷却を受け入れます。
人の体はよくできています。熱中症とは違う領域ですが、例えば心停止の時に胸骨圧迫す
ると、通常は体全体に流れる血流が、脳や心臓等の中心部位に流れるようになるそうです
(文献)。JRCの岡田和夫元会長はこれを神の摂理と言われていました。
(救命おかやま特別講演2013/6/29近代蘇生法の確立1960年から2015ガイドラインまでの道)
熱中症の時の冷水浸漬の際も、この「神の摂理」が働くのではないかと思います。

最後に、この手法の問題として、他の高体温の合併症を管理するためのCWI 中の不適切な
アクセスが挙げられます。心臓モニタリングおよびIV流体投与は、CWI 中に首尾よく行う
ことができる。CWI使用経験のある者は、挿管の発生率を<1%、嘔吐<10%、発作<5%、お
よび闘争的態度15-20%と推定している。これらの合併症を管理している間は、高熱状態に
起因することが多いため、冷却を停止してはなりません。

大部分の患者は、提示時には頻拍性であるが、全てが低血圧ではないが、生命徴候は典型
的には高体温の解決後に正常化する。病院前の環境では、IVアクセスはほとんど必要とさ
れず、熱ストレスによって脱水が促進され、EHS患者は IV液の恩恵を受けることがありま
すが、これは救急部への輸送が必要な患者にのみ必要です。ほとんどの患者は、CWI の後
にオンサイト治療から直接放出され得る。
現場でのCWIは100%の生存率で安全かつ効果的であることが示されています。

EHS のリスクが補足的治療のリスクまたは不都合をはるかに上回る緊急事態です。酸素お
よび静脈内投与は、浸漬中でも可能である。 口と腕に簡単にアクセスできます。
自動体外式除細動器(AED) の潜在的な使用はより大きな懸念事項である。幸いにも、積極
的な冷却によって急速に治療されるEHSを持つ運動選手は、AEDを必要とする心臓血管の問
題を有することはまれである。

直腸温度計が利用できず、臨床シナリオがEHSを強力に示唆している場合は、CWIを開始す
ることを推奨します。病院前の環境におけるこれらの取り組みの終点は、大部分の患者に
十分な冷却をもたらすので、震えの開始、または15〜20分の冷却のいずれかでなければな
りません。
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[5]冷却の手法



図14.種々の冷却方法による冷却速度

米国の数多くの州のEMS プロトコルでは、患者を扇状にしたり、窓を開けたり、脇の下、
頸部、鼠径部に冷たいパックを貼るなどの効果的な冷却方法の使用を推奨しています。
しかし、これらの方法は、上記の図を見れば効果が低すぎることがわかります。
ケミカルコールドパック(CCP) は冷却後の冷却速度が遅く、冷却の主要な方法として使用
すべきではありません。CCPを使用して直腸直腸温41.44℃のEHS患者を治療する場合、
Falmouth Road Raceで見られた平均値で、38.9℃の目標温度に達するまでに70分以上かか
ります。

深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、 EHS労作性熱中症治療の第一目標です。
例えば、初期温度が43℃の傷病者を30分以内に40℃未満に下げるには少なくとも、
43℃−(0.10℃/分)*30分=40℃
ですので、冷却速度>0.10℃/分の冷却方法を使う必要があります。図14だと少なくとも赤
色の縦線より、右側にある冷却手法であれば、この目標を満足します。
図14は、幾つかの実験を寄せ合わせなので、実験の違いによる矛盾も少しあります。しか
し、脇の下や鼠蹊部に氷を入れるような応急処置では、冷水浸漬の効果の2割以下であり
全く不十分です。
一方、ファルマスロードレースでは、38.8℃未満を目標に、水温10℃の浴槽に浸漬させ、
冷却速度0.22℃/分で、浸漬時間20分未満で、救命率100を達成しています。


又、冷水浸漬CWIは、以下の日経メディカル記事で紹介されている救急処置室の方法より、
3倍以上の効果があります。
重症熱中症患者を救う新冷却法(カテーテルやジェルパッドで体温を迅速に下げる)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201508/543357.html

図15.冷水浸漬CWI vs サーモガイドシステム/アークティック・サンの比較


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以下にバスタブ浸漬の例を示します。
温度センサーと温度計本体が分離している隔測式温度計で、直腸温をモニターしています。

図16.バスタブ冷水浸漬の例 CWI(Cold Water Immersion)
http://www.nata.org/sites/default/files/HeatIllnessOverview.pdf

冷水浸漬の動画は以下で見れます。
浴槽に入れる前、傷病者の体から、直腸温の温度センサーのコードがでているのがわかり
ます。長いバスタオルを傷病者の胸から両脇を通して、後ろ側の浴槽の縁で押さえていま
すが、これは傷病者が溺れないようにするためです。
UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)

https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80

(Casa先生も出演されています。)
Preventing Sudden Death in Sport

https://www.youtube.com/watch?v=KzerHULhZ64

New Technique to Cool Down Athletes(アスリートを冷やす新しい技術)

https://www.youtube.com/watch?v=NQgVbbrtUpM&t=9s


尚、冷水浸漬により、40℃から正常温に戻るまでの時間は、
2℃の冷水で10分、8℃で15分かかります。


図17.水温と冷水浸漬の深部体温の時間変化

出典:図17./図18.
Effect of water temperature on cooling efficiency during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf


冷水に浸漬させると、深部体温が正常値まで下がるのには時間がかかります。この時、
表面の温度は10℃程度になります。これくらいまで下がらないと深部を正常にできません。



図18.水温と冷水浸漬の表面温度の時間変化
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[6]重症熱中症のファーストエイド/初期治療の具体例



図19.冷水浸漬のための機材例
重症V度熱中症(熱射病)患者に対する応急手当(初期治療)のシミュレーション例
*リソースの予算を見積もるために、価格の例も入れています。

予め準備しておく器材例
■ビニールエアー浴槽¥7,380  梱包サイズ:35x30x12cm3.7kg(使い捨て使用)
TheChoice 折り畳み式 PVC エアー浴槽 浴槽 AC100Vエアーポンプ付(空気入れの時間要)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N74RPBE/
別案:子供用プール ¥1,279 大人が足を延ばして居れる
https://www.amazon.co.jp/dp/B000OV0X48

■冷凍庫198L ¥43,468円 NORFROST ノーフロスト チェストフリーザー 198L JH198CR
庫内寸法(mm)605×395×665=159Lリットル
(クラッシュアイス(47×31×21cm)は、3箱入るハズ)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0088WS1G2/

■ストレッチャー
緑十字 救い帯 \3,163
https://www.amazon.co.jp/dp/B00COZMK0M/
アズワンNW-S ストレッチャー \3,015
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MDT87NV/

■クラッシュ氷 2s×6袋×4箱=48kg ¥10,560円 クール便(関東〜九州)送料無料
1箱[2s×6袋(12kg)]で2,640円。4箱(48kg)で10560円。 
https://www.hyohan.com/crash/164.html
1個47×31×21cm 3個47×31×63 4個47×31×84cm=122リットル

合計¥67,586
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■[6-2]必要な氷の計算
下記に計算例を示します。
結論としては、上記の浴槽の場合は、
・浴槽に水を6割入れ(水152L(底から24cm高さ))
・-20℃の氷を2箱(21kg)
入れるとファルマスと同じ10℃の浴槽を作れます。

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■2℃の水を作る場合
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(水の初期温度24℃とし、氷の温度は冷凍庫の温度-20℃とする。)
24℃で、浴槽を200Lとし、その水200000gの水が失う熱量は
Q1=200000*4.19*(24-2)=18436000 [J]

48kgで、-20℃の氷が0℃になるのに必要な熱量は
Q2=48000*2.085*20=2001600 [J]

48kgで、0℃の氷が0℃の水になるために必要な熱量は
Q3=48000*333.5=16008000 [J]

溶けた48kgの氷から出来た水がt℃の水になるために必要な熱量
Q4=48000*4.19*2=402240 [J]

Q1 =18436000 [J]
Q2+Q3+Q4=18411840 [J]

人の体は60kgとし、頭の体積は7%なので、首から下は56リットル。
200L+48L+56L=304L
浴槽は260Lなので、9割だと230L。(200+48)*0.7+56=230なので、結局
この浴槽に満杯の9割の2℃の冷水を作るには、
●水140L(底から22cm高さ)と-20℃の氷34kgが必要

-------------------------------------------------------------
■10℃の水を作る場合
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上記の同じに計算すると氷は28kgで、
Q1=11732000 [J]
Q2+Q3+Q4=11678800 [J]
でほぼ釣り合う。200L+28L+56L=284。(200+28)*0.76+56=230
この浴槽に満杯の9割の10℃の冷水を作るには、
●水152L(底から24cm高さ)と-20℃の氷21kg
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■[6-3]使い方
運動熱中症患者のための冷水浸漬を実施するための実践ガイドライン。
(The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatmentより)
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1. 最初の応答。
  激しい熱中症が疑われる場合は、患者を冷やして
  緊急医療サービス(EMS)に連絡する準備をします。

2. 氷水浸漬の準備。
  畑や一時的な医療用テントでは、水や氷で満たした水槽や水槽に半分を満たして下さい
 (緊急の前に、水源を調べて水槽にどれくらいの時間で水が入るか確認して下さい)。
  a。 貯蔵タンクは、イベントの前に氷と冷たい水で満たされてもよい
    (または、水槽と水槽との間に3-4クーラーの氷が満たされていて、
    その日の間に桶が寒くならないようにする)。
  b。 氷は常に水の表面を覆う必要があります。
  c。 アスリートが運動訓練室の近くで倒れた場合、
    ジェットバスや冷水シャワーを使用することができます。

3. バイタルサインの決定。
  熱中症患者に没頭する直前に、生命徴候を起こしてください。
  a。 直腸サーミスタを用いて中核体温を評価する。
  b。 気道、呼吸、脈拍、血圧を点検する。
  c。 中枢神経系の機能不全のレベルを評価する。

4. 氷水浸漬を開始する。
  アスリートを氷水浸漬槽に入れる。
  医療従事者、ボランティア、およびチームメイトが、円滑で安全な入退室を支援する
  ために必要な場合があります。

5. 全身のカバレッジ。
  冷却しながらできるだけ多くの体を氷水で覆う。
  a。 コンテナのために全身をカバーすることができない場合は、できるだけ胴を覆う。
  b。 アスリートの頭と首を水の上に保つために、
    助手は、胸や腕の下に包まれたタオルまたはシートで腋窩下に傷病者を抱きつけ
    てもよい。

6. 水の循環
  冷却中、水と皮膚の温度勾配を増加させるために連続的に循環させなければならない。
  助手が冷却中に水を旋回させる。

7. 継続的な医療評価。
  バイタルサインは定期的に監視する必要があります。
  a。 アスリートが戦闘になった場合に助手が近くに立つのが役に立ちます。
  b。 他のアシスタントは、嘔吐が起きた場合に、アスリートを持ち上げたり、転がした
    りする必要があります。

8. 静脈内投与。
  医療従事者がいる場合は、水分補給と心臓血管機能のサポートのために、
  静脈内投与をすることができます。
  a。 水浸漬槽の側面に腕を置きます。

9. 冷却時間。
  患者の直腸温が39℃に下がるまで冷却を続ける。
  a。直腸温度を測定できず、冷水浸漬が指示された場合は、
   10-15分間冷やしてから医療施設に搬送してください。
  b。あまり効果的でない冷却様式が投与された場合、
   25-45分間冷やしてから、医療施設に輸送してください。

10. 患者の搬送。
  直腸温が39℃に達した後にのみ浸漬槽から患者を取り出し、できるだけ早く EMS経由
  で最寄りの医療施設に移す。
   a。冷却は輸送前の第一の目標でなければならない。
    EMSまたは病院に氷水浸漬で冷却する設備がない場合は、
    現場で安全な直腸温に冷却を続けてください。

11. 高度な医療サポート。
  輸送中、直腸温度計により体温を連続的に監視することができます。
   a。アスリートが病院に到着すると、検査やその他の治療は、高体温の結果生じる問
    題に対処します。
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■[6-4]バスタブがないときの代替方法(タコス法:Taco Method)


図20.タコス法によるCWI(冷水浸漬)
救急隊でPA連携している場合は、シートと氷さえ用意すれば、ポンプ車の水を使って、
タコス法は実現可能ではないでしょうか?

タコ法の実演動画 UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)
https://youtu.be/sFocmPvWm80?t=1m13s

■[6-4]バスタブもブルーシートもない時(氷水バスタオルによる代替)
CWIがない場合、氷水に浸したタオルを傷病者の皮膚全身にあてます。
1分あたり0.11℃の冷却速度で効果的だがゆっくりとした代替物が得られます。
タオルは、背中を含む身体の最大部分をカバーし、数分ごとに交換する必要があります。

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他の参考文献
【Sayuriさんのブログ】スポーツ中の熱中症対策、できてますか?
Exertional Heat Strokeについて考える。
 http://innervate.exblog.jp/24438239/
Falmouth Road Raceから熱射病ケアを学ぶ
 http://www.chainon.me/falmouth-road-race/
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。



posted by jemta at 17:36| 日記

2017年06月21日

Yさん (70代男性、老人施設事務、BLS更新2回)、76歳の入所者の窒息を救う



本記事のURL
http://jemta.org/index_170621.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

このお話は、先週、弊会の AHA-BLSコースに来られたリピーター受講生の方が、コース初
めの自己紹介のコーナーで語られたお話です。

Yさんは70代の男性で、岡山市内まで、車で3時間もかかる遠方から来られました。ご自身
で高齢者施設を立ち上げられました。医療従事者でもなく、介護資格をもたれているわけ
ではありません。町内の役場によく通っているなかで、町立病院の看護師さんとよく話す
機会があり、その看護師さんが弊会の BLSコースに行くという話をしたら、自分も是非参
加したいと申し出られたそうです。Yさんは、看護師さんとご一緒に合計3回、弊会のBLS
コースに参加されました。

このお話は、2回目のBLSコースを受けたあと、1カ月後のことだそうです。
ご自身の施設の76歳の入所者の方が、食事中に窒息をおこしました。施設の看護師さんは
入所者の口の中を描き出して、異物を取り出そうとしたり、吸引器を使おうとしたそうす。
しかし、異物を出すことはできず、仕方ないのでベッドに連れて行こうとしたそうです。
入所者さんの顔色はみるみる青くなっていきました。

それを見たYさんは、これはまずいと思い、 BLSコースで学んだ腹部突き上げ法を自分で
行い、その後、CPRを開始しました。 119番通報してから7分後に救急車が到着したのです
が、到着する少し前に、入所者は息を取り戻し、救急隊は患者を見て、「もう大丈夫です
ね」と言われたそうです。Yさんは、BLSコースに来てよかったと話されました。
このお話では、医療者は患者を救うことができず、事務方が患者を救っています。

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日本は BLSの教育が遅れており、医療従事者でも、救命処置を適切に行えないことは多い
と思います。その問題が表面に出ていないだけです。
米国では、就職する際に、医療従事者免許のカードと BLSやACLSカードを提出しないと入
職できませんし、また、定期的に更新しないと勤務を続けることができません。日本での
問題点は、(1)制度の問題と、(2)職業人としての自己研鑽の必然性の2つあると思います。

(1)制度の問題
一般市民としては、医療者は、救急が専門であるかどうかに関わらず、ERにつなぐ、最初
の第1次の救命は完璧にできるはずだと期待されていますが、実際に現場で適切に行われ
ておらず、適切ではないことが表面にでていないだけです。1次救命スキル保持「制度」
としては十分に機能していません。教育行政を行う人たちが、まずそこを理解していない
と思います。医療者なら必須のスキルである、現場での第一次の救命処置のスキルが必須
だと思われていないのです。
まず、入職の前に1次救命を行うトレーニングを十分につんでいるのかどうかです。
(例えば学科の実習で50人の学生を相手に1時間程度の練習では不十分です。)
(実習後に、適切な試験を行い、その学生のスキル保持を対外的に証明するしくみが必要)
入職後に、定期的にトレーニングと試験を行う必要があります。

現状の制度としては、入職前にスキルや知識を持っていなくても日本では不問ですし、日
本の医師免許・看護師免許は、米国と違って、更新制度がなく、何も訓練しなくても勤め
ることが可能であり、1次救命に関しても定期的な訓練制度がありません。一度免許を取
得すれば、あと何もしなくても一生保証の国家制度になっています。
日本社会では、例えば一般市民でも、事故をおこして他の人を傷つけてはいけないからと、
運転免許ですら、更新制度があります。航空機の機長も人の命を預かる仕事なので、免許
更新制度があります。医療者は患者の命を直接預かる仕事で、侵襲的な行為も認められて
いるのに、医療資格を更新する必要がありません。国交省は、更新制度を作っているのに、
国民の生命を守るべき厚労省は制度を作っていません。米国の CDCやOSHAは積極的に国民
のために動いていると思いますが、厚労省は米国情報を引用するだけで自ら積極的に動い
ていないと感じます。一例ですが、日本蘇生協議会 (JRC)の元会長の岡田和夫先生は2008
年NPO救命おかやまの特別講演において、日本のILCOR関連の対応に関して、厚生省からは
途中で梯子をはずされて困ったとのお話をされておられました。
2千人医師へのアンケートによると、2割の医師はAEDを使う自信がないといっていますし、
院外での心停止を10秒以内に判断できると答えた医師は6割にとどまっています。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2014/06/News_20140612.pdf

(2)職業人としての自己研鑽の必要性
ILCORが世界最初の Advisory Statement(心肺蘇生に関する勧告)を出したのが1997年です
から、それよりずっと前に医療免許を取った方は、1次救命を一度も習っておらず、訓練
したこともないと思います。新しいことは、自ら選択して、自分の意志で訓練しないと、
できないはずです。院内でされている講習会の例を伺うと、短時間で大人数で行うため、
訓練が十分でなく、また最後にどういう実技試験をしてスキルを取得したか、対外的な証
明ができていません。
医学知識が2倍になるのに、1950年には50年もかかっていましたが、2010年には3.5年、
2020年にはわずか73日で、医学知識が2倍に増えるとの試算がでています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21686208
現場でご自身がご苦労された経験は、容易に忘れることはないと思いますが、新しいこと
を吸収して自分を絶えず進化させないと遅れをとります。学生の時に学んだ知識はすぐに
陳腐化します。知識やスキルを持っていないと態度や経験だけでは人を救えません。
一方、ネットの普及で、一般市民は容易に知識を検索できるようになり、職業人のスキル
を見る目は一層厳しくなっています。
「生きるために学ぶ」時代から、「学ぶことが生きること」と変容できるように自己研鑽
を深める必要があると思います。
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医療者だけについて書きましたが、これは業務の一環として、生命に関わる初期の対応が
求められる職業の方も同じです。(学校の先生、企業の安全衛生担当、警察官・公務員等)

以上です。


posted by jemta at 17:20| 日記

2016年08月23日

重度の熱中症で深部体温が40℃の患者を冷やすには、2℃の水風呂に浸けても、10分かかる。



本記事のURL
http://jemta.org/index_160823.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・日本救命協会の久我です。先日、以下のツイートを拝見しました。



https://twitter.com/mariaicu/status/766089297694908416

>熱中症で運ばれてきた学生、大量の発汗洋服がびしよびしょかとおもいきゃ、
>救急隊から、ちがうんですよ。学校で大量の氷と水をかけたので、
>直腸温38、6℃身体もあつい。逆に末梢がしまってしまいルート困難に。
>冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。
>こもったままになってしまうのです。
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上記のツイートを見て、一般の方は、現場の看護師さんが言われるのだから『なるほど』
と思われた方もおられるかもしれませんし、
又、熱中症診療ガイドライン2015にも参考として書かれているゲルパッド水冷式体表冷却
装置を既に導入されて、冷却の温度勾配の感覚がわかっておられるERの方は、すぐさま、
上記の「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。」という部分は正しくないと感
じられたかもしれません。

結論から言うと、「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。こもったままになっ
てしまうのです。」という考えは科学的根拠がなく、物理法則に反します。
真実は、『冷却がまだ足りなかった』という事だと思います。恐らく皮膚表面が濡れて一
部は冷たかったのに、深部体温が高かったので、そう思われたのではないかと思います。
例えば、ゆであがったばかりの卵を、綿製の軍手の中に入れて、上から水をかけたり、氷
で囲んでも、すぐにはゆで卵の温度は下がりません。冷水につけてしばらく置かないと下
がりません。

・成人の体の6割以上は、「水」からできています。(比熱 = 4 [cal/(g・K)])
・熱力学の第2法則により、熱エネルギーは、高温から低温側に方に必ず移動します。

V度熱中症のように、例えば深部体温41℃の患者を氷水ほどの冷たい水につけても、深部
体温を3℃下げるのには9分〜24分かかります。(参考*2*3にある0.12〜0.35℃/分で計算)
学校で、大量の水や氷をかけたとしても、ずっとかけ続けなければ深部体温の下降はそう
期待できません。学校で大量の氷と水をかけた処置は大変良く、氷も使って冷やした処置
は適切でしたが、冷やす時間が短すぎて、深部体温を38.6℃までしか、下げることができ
なかったというのが真実ではないかと思います。

冷やし過ぎてシバリング(ふるえ)が起きて逆に体温が上がったり、低体温になるのは避け
るべきですが、人の体の比熱は大きくて、体表を冷やしても、深部体温はすぐには下がり
ません。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
AHAファーストエイドガイドライン(G2010日本語版S964)には以下のように書かれています。

「熱中症の傷病者に対し応急手当員がすべき最も重要な処置は 傷病者をただちに冷却す
ること。できれば顎(あご)まで冷水につからせる」
尚、このガイドラインの引用文献には、2℃の冷水が最も効果的と書かれています。

(ファーストエイドのガイドラインををよく御存じでない方にこの数値を示すと、大体、
皆驚かれます。医療従事者でさえ、もっと高い温度でやんわり冷やすべきだと思われてい
ます。ガイドラインは医療研究の結果を評価して、勧告が作られています。事実を誤解す
ることなく、理解するには、医療者は、最低でもガイドラインを読んだり、このベースと
なっている研究論文に目を通すべきです。AHAはEBMですから、少なくともAHA のインスト
ラクターは、AHA のガイドラインを読むべきです。現場で最も困るのは、責任ある立場の
方が、要旨も読まず、論文も読まず、ガイドラインも読まず、自分が正しいと信じて、疑
うことなく、確認せずに情報発信したり、立場の低い方におしつけることです。)
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以下に、参考文献*1に書かれているグラフを示します。

あごまで2℃の冷水につかると、平均皮膚表面温度は10分で約10℃になる。皮膚はとても
冷たくなります。




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直腸温(rectal temp)が40℃の時に、2℃の冷水につかっても、37.5℃に下がるまで10分も
かかります。




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体表面から腋窩や大腿動脈を氷嚢などで冷やす方法は簡便で行いやすい治療法ですが、冷
却効果が少なく、水風呂に比べて大きな効果は期待できません。

水風呂などで、体表面を冷やすことにより、体表温度が下がることはあたりまえです。
熱中症V度のように重症の場合、深部体温を正常値に下げるまでには、体表面はかなり冷
たくなるまで(10℃? or 20℃?)、 冷やさないといけません。冷やし過ぎかどうかは深部
体温を測らないとわかりませんが、シバリングを起こす前に冷却を止めるなどの注意は必
要だと思います。
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現場で深部体温を測るのは難しいでしょうし、詳細はわからないので、個人的な一般論で
すが、救急隊はMC医師と連携を取り、MC判断下で、可能であれば現場で、(氷)水風呂につ
けて、ある程度(10分未満)体温を下げてから、病院に運んだ方が予後がよいのではないで
しょうか?
ERの処置室に、水冷式体表冷却装置Arctic Sun 5000(400万円)のような設備
http://imimed.jp/product_review/page_24.html
を導入できている施設はあまりないと思います。本来は重度熱中症の治療には、水風呂に
氷を入れて浸漬させるのが最も効果的です。(水温が10℃未満であれば、直腸温38.6℃、
10℃以上であれば37.8℃で冷却を止めれば、低体温を生じることなく、安全であった報告
があります。*4)しかし、ERの処置室に水風呂をおくスペースを確保することは困難な状
況だと思います。

熱中症ではなく、心停止の場合は、病院に運ぶ前にバイスタンダーや救急隊がその場で、
CPR/除細動することは、既に一般的になっています。熱中症の場合も同じで、救急隊は病
院に運ぶことより、現場で水風呂につけ、深部体温を下げてから病院に運ぶべきです。日
本の場合、119番通報して、救急車が来るまで8分かかり、病院収容までは38分かか
っています。今後は、消防は熱中症の時期は、消防署に氷の備蓄をし、熱中症の通報があ
ったら、PA連携で、タンク付消防車を救急車に同行させ、熱中症の評価をMC下で行い、使
用できる風呂を探して、そこにポンプ車からすぐに水を入れて、傷病者をあごまでつけて
氷を入れて、かき混ぜながら、9分 未満で冷やすべきだと考えます。(シバリングがでた
ら中止)

熱中症診療ガイドライン2015には、以下のように書かれています。
労作性熱中症に対しては、ショック状態など生命を脅かす合併症が存在しない限り、病院
に搬送する前に水槽に浸漬させる、または大量の水を噴霧させるなどして、できるだけ早
期から冷却処置を行うことが推奨されている*4
冷水への浸漬の効果に関する研究では、2℃の水に約9分浸漬させることで直腸温が39.5℃
から38.6℃まで低下すること、目標温度を直腸温38.6℃とした場合は処置を終えた後に低
体温に陥らないことも報告されている*4


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
P.S.
本投稿で初めに紹介した上記のツイートを見られた方が、熱中症の時に『冷やし過ぎはよ
くないんだ』と過剰に思われて、冷却が不十分になると、予後が悪くなります。重度の熱
中症の場合は生命の危険があります。
本投稿では、他人のツィートに突っ込んで大変申し訳ありませんでしたが、予後が悪くな
る傷病者が今後増えるといけないと思い、本投稿をしました。


参考文献
*1
Effect of water temperature on cooling efficiency
during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf

*2
Exertional Heat Stroke: New Concepts Regarding Cause and Care
http://journals.lww.com/acsm-csmr/pages/articleviewer.aspx?year=2012&issue=05000&article=00006&type=abstract

*3
猛威を振るう熱中症! 治療はどうする?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/201607/547608_2.html

*4
熱中症診療ガイドライン2015
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。


posted by jemta at 23:08| 日記

2016年05月05日

30回の胸骨圧迫時間は14.5〜17.4秒であり、15〜18ではない



30 Compresstins time is "14.5-17.4sec", not "15-18" on AHA 2015 BLS Skill Testing Checklist.
本記事のURL
http://jemta.org/index_160505.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


[1]胸骨圧迫のテンポ
  Chest Compression Rate
ガイドライン2015では、胸骨圧迫のテンポは100回/分から120回/分が推奨されます。
2015 Recommendation Updated
Perform chest compressions at a rate of 100/min to 120/min


[2]AHA BLS Courseでのチェック
 BLS Skill Testing on the course
>[BLSインストラクターマニュアルP32]
>[BLS Inst.Manual P32]
>ストップウォッチの使用
>Using Stopwatch
>
>(a)受講生が最初に胸を押したときに、ストップウォッチをスタート
>  Start your Stopwatch when the student first compression the breastbone
>(b)胸骨圧迫が最後の30回目になった時にストップウォッチを止める
>  Stop your Stopwatch at the end of the 30th compression.
>(c)秒数が15秒〜18秒であれば合格とする
>  Mark the step correct if the number of seconds is between 15 and 18 secons,

[3]上記の(a)(b)の操作でストップウォッチの記録時間(c)は29周期分であり、30周期分でない
  If instructor operate avove (a)(b),
  the number of seconds(c) means for 29-cycle,not 30.

テンポ対29回の周期合計と30回
_______++__1T__++__29T__++__30T__++
120/min__0.5sec__14.5sec__15sec__
100/min__0.6sec__17.4sec__18sec__
_______++______++_______++_______++

[4]結論
  Conclusion
スキルテストリストの30回胸骨圧迫の秒数の「15秒から18秒」は不適切
14.5秒から17.4秒に変更すべき
The number of seconds "15-18" on Skill Testing Checklist is inadequacy.
It should be updated to "14.5-17.4"
========================================




尚、本件はAHAには連絡済みです。
又AHA instructor networkのInstructor CommunityのTeaching CPR Courseの
Disussionsにも投稿しました。
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/250?post_id=791
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/259?post_id=822
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Postscript 05/10/2016
[Consideration}

If AHA's idea is following the first decimal place of the stopwatch
to round the number, and fill out the skill sheet
It becomes such as the following discussion.

BLS Pass Range;BPR
StopWatch;SW
Compression Rate;CR

(1)
BPR: 18 -- 15 sec(current range)
SW : 18.49--14.50 sec
CR : 94 -- 120/min

(2)
BPR: 17 -- 15 sec
SW : 17.49 -- 14.50 sec
CR : 99 -- 120/min

(3)
BPR: 18 -- 14 sec
SW : 18.49 -- 13.50 sec
CR : 94 -- 129/min

(1) If BPR Pass Range is current value,it permit 94/min to 120/min
It is maybe too slow ,and poor balance between upper and lower.

(2) If Pass Range is between 17 and 15 sec,it permit 99/min to 120/min.
It is good balance, there is no margin for measurement error.

(3) If Pass Range is between 18 and 14 sec,it permit 94/min to 129/min.
It is enough balance, there is margin.

So we recommend (3) or (2) as BLS Pass Range on Skill Testing Checklist.


[Conclusion]
BLS Skill Testing Checklist
[AHA Now]
30 compressions in no less than 15 and no more than 18 seconds.
It is poor balance between upper and lower.

So,
{We recommend in the wide range]
30 compressions in no less than 14 and no more than 18 seconds.
or

{We recommend in the narrow range]
30 compressions in no less than 15 and no more than 17 seconds.



追記 2016/5/10
【考察】
もし、AHAの意図がストップウォッチの小数第一位以下を数値を四捨五入して、
スキルシートに記入せよという意味であれば以下のような議論になります。

BLS Pass Range;BPR BLS合格範囲
StopWatch;SW    ストップウォッチの値
Compression Rate;CR 圧迫のテンポ

(1)
BPR: 18 -- 15秒 (現状値)
SW : 18.49--14.50秒
CR : 94 -- 120/分

(2)
BPR: 17 -- 15秒
SW : 17.49 -- 14.50秒
CR : 99 -- 120/分

(3)
BPR: 18 -- 14秒
SW : 18.49 -- 13.50秒
CR : 94 -- 129/分

(1) もし合格範囲が18〜15秒なら、実際のテンポが94〜120/minの範囲内なら合格になる。
  しかしこれではテンポが遅すぎる傾向になり、上限下限のバランスが悪い。

(2) もし合格範囲が17〜15秒なら、実際のテンポが99〜120/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスはよいが、測定誤差のマージンがない。

(3) もし合格範囲が18〜14秒なら、実際のテンポが94〜129/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスもよいし、測定誤差のマージンもある。

BLSスキルチェックシートの上限下限値としては、(3) か (2) が
推奨されるのではないかと思います。


【結論】
BLSスキル試験チェックリスト
[現在のAHA規定]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上18秒以下」
 上限下限値のバランスが悪い。

AHAはチェックリストを以下に変更すべきだと思います。
[広い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「14秒以上18秒以下」
 又は
[狭い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上17秒以下」


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posted by jemta at 19:32| 日記

2015年12月05日

AHA AMRトレーニングセンターでインストラクターになるには



本記事のURL
http://jemta.org/index_151205.html
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おはようございます。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

BLS受講生の方から、AMRでインストラクターになるにはどうすればよいかとのご質問があ
ったので、以下まとめました。
AHAのインストラクターになるルールは基本的にPAMというルールブックで規定されていま
す。また、各トレーニングセンターはPAMのルールを守る必要がありますが、PAMとは別個
に、ローカルルールを設定している場合もあります。AHA のインストラクター資格は、
AHAの管理下にあり、AHAとしての資格なので、他のトレーニングセンターに移籍しても、
その資格は有効です。但し、AHA は直接、インストラクターの養成をしていませんので、
現実としては、どこかのトレーニングセンターに属し、そのローカルルールに従った上で
そのトレーニングセンターで、AHAのインストラクターになる必要があります。
尚、トレーニングセンターには、米国のAHAのトレーニングセンターと、米国外のITCの
トレーニングがあります。ルールブックは、AHAとITCの別個に規定されおり、AHA のイン
ストラクターは、PAM(US版)に従い、ITCのインストラクターはPAM(ITC版)に従う必要があ
ります。日本のITCの場合に、AHAのインストラクターと名乗っておられる場合もあります
が、正確にはITCのインストラクターです。AHAのインストラクターというのは、USのトレ
ーニングセンターに属しているインストラクターです。
AMRトレーニングセンターは、USのトレーニングセンターです。


(1)プロバイダー資格の取得
インストラクションを行う各々のプロバイダーコースのプロバイダー資格を取得します。
尚、BLSインストの資格を取得するには、BLS-HCPプロバイダー資格以外に、
・ハートセイバーCPR/AED
・ハートセイバーFirstAid
の資格を取得する必要があります。これは、AMRのローカルルールです。

(2)インストラクターコースの受講
・各インストラクターマニュアルを購入し、勉強します。
・上記の資格があれば、インストラクターコースを受講できます。
 本人の意志があればコースディレクターの推薦は必要ありません。
 (AHAのルール通りです。)
・トレーニングセンターのコーディネーターがコースを行います。
 (コーディネータは英語しか話せませんが、言語ギャップがあることは理解しておられ
  意志の疎通には、努力をされていると思います)
 AMR-Hawaiiの場合は、通常はAMR事務所(99-840 Iwaiwa st., Aiea, HI 96701)
 で行われています。
 8月と3月に行われることが多いです。(不定期です。募集があればHPに出しています。)
 私が参加した中では、最低3人〜最高10人くらいでした。
 現地の方も参加されますので、日本人だけではない場合もあります。
 2人でペアを組んで、実技試験を行いますので、参加者は少ない方がお得です。
 初めて参加される場合は、日本人とペアを組んだ方が楽だと思います。
 なれれば、相手が現地の方でも楽しくできると思います。

(3)インストラクションの勉強
・インストラクターコースでは、各コースの具体的なインストラクションのやり方を
 学ぶことはできません。実際に各プロバイダーコースで、DVDを操作し、受講生が実技
 練習ができるように案内したり、正しくできている場合に手技を褒めたり、修正したり
 学べる環境をどう創っていくのかは、自分で練習する必要があります。
・具体的には、モニター評価を行うファカルティが指導するコースへ参加されて、インス
 トラクションのやり方を学んで、自分の言葉でできるように、勉強する必要があります。
・AHA のルールでは「タスク参加」という義務はありませんので、何回コースへでないと
 いけないとかいう義務はありません。自分が1人でできるようになることが必要です。

(4)モニター試験を受ける
・ファカルティが見ている中で、実際にコースへでて、インストラクションを行い、OKが
 でたら、インストラクターになることができます。
・AHAのルールでは、インストラクターになれば、自分でコースを開催できるのですが、
 ローカルルールで、そうでない場合が多いです。AMRでは、インストラクターになると
 コースで教えることはできますが、自分でコースを開催できるようになるには、リード
 インストになる必要があります。日本の ITCではコースディレクターと呼んでいる場合
 もあります。

(5)資格取得後
・プロバーダーと同じく、2年毎に更新する必要があります。
・また、ガイドラインが変更されると、ガイドラインのアップデートを受ける必要があり
 ます。

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以上です。


posted by jemta at 09:26| 日記

2015年10月19日

JRCガイドライン2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151019.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

先週の10/16にJRCガイドライン2015が発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/
 
JRC予告は16日12:00でしたが、1秒の遅れもなく、予告通りに発表されました。 ERCもAHA
も予告した時刻(又は予想された発表時刻)からは遅れました。予告通りだったのは、今回
は JRCだけでした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ERCは予告ページでは、発表時刻までの秒まで詳細にカウントダウンさせて表示させてい
ましたが、10/15 14:00 00秒になっても、ダウンロードのリンクは表示されず、カウント
の数字は+表示になりましたが、14:03頃にERC Guidelines 2015 have arrived!が表示さ
れダウンロードできるようになりました。

AHAは、初めから発表時刻を予告していませんでしたが、いつもERCと同じ時刻に発表して
いますので、今回も14:00発表で ERCと合意できていたのかもしれません。実際には14:20
頃に、発表されました。また、 AHAはインストラクター向けに事前に出した文書やホーム
ページでのスケジュールでは、2015 Guidelines Highlightsは11月か12月に出すと予告し
ていました。https://goo.gl/hME7Lz
しかし当日 10/15 21:00頃にインストラクター向けに、このハイライトのリンクの案内が
ありました。当日に発表するのは事前に計画されていたと思いますが、予定変更の告知は
ありませんでした。『早い分はかまわないだろう』との趣旨かもしれませんし、読む側か
らしても、すぐ日本語で読めるので、ありがたいことに変わりはないです。同時発表に変
更されたのには、何か事情があったのかもしれないと思います。

ILCORのホームページは、恐らく現在でもAHAが管理しているのだと思いますが、 G2015の
の表示に代わったのは14:20頃だったと思います。G2010の時は、 ERC、AHA、JRCの3つの
リンクが書かれていましたが、G2015発表と同時に、JRCのリンクは削除されました。現在
も JRCのリンクは消去されたままです。 JRCは、日本語ではガイドラインを発表されまし
たが、またこれを英語に翻訳しなおして発表しないと、 ILCORのリンクには載せることが
できないということではないかと思います。
AHAもERCもJRCも、ガイドラインの基はCostrです。 Costrの原意を知るのには JRCのガイ
ドラインは非常に参考になります。日本語なので非常に読みやすいです。

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作業部会員のリストが同時に発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/2015member_list.pdf

編集委員長(ACS担当)野々木宏
静岡県立総合病院 院長代理 昭和51年京都大学卒
https://www.facebook.com/hnonogi

編集委員(ALS担当)相引眞幸 
愛媛大学医学部 1978金沢医科大学卒
http://pc.rnb.co.jp/konnichiwa/2014/09/ 上から4つ目。9月20日放送分音声

編集委員(EIT担当)石見拓 
京都大学 平成8年群馬大学卒
http://aed-project.jp/message/message2.html

編集委員(BLS担当)坂本哲也
帝京大学 1983東京大学卒
https://www.facebook.com/tetsuya.sakamoto.7169

編集委員(PLS担当)清水直樹
東京都立小児総合医療センター 1990千葉大学卒
https://www.facebook.com/naokiishimizu?fref=pb&hc_location=friends_tab

編集委員(FA担当)田邉晴山 1998日本医大
救急救命東京研修所 1998卒
https://www.youtube.com/watch?v=soZBX_picTs 3:40くらいから講演

編集委員(NCPR担当)田村正徳
埼玉医科大学 1974東京大学卒
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2585dir/n2585_12.htm

編集委員(脳神経蘇生担当)永山正雄
国際医療福祉大学 昭和58年東海大学卒
https://www.facebook.com/masao.nagayama.3
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1011084032288928&set=pcb.1011089338955064&type=3

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国際蘇生協議会ILCORには、AHAとERCの他に、カナダ心臓・卒中財団、
オーストラリア蘇生協議会、ニュージーランド蘇生委員会、南アフリカ蘇生協議会、
中南米心臓財団、アジア蘇生協議会が参加していますが、ガイドラインを出しているのは
AHAとERC以外にはJRCだけだと思います。日本がRCAを作って、ILCORに正式加盟したのは
2008年です。岡田和夫先生は、2008年NPO救命おかやまの特別講演で、日本が加盟するま
での講演をされました。http://npo-ok.umin.jp/pdf/629npo.pdf
私が聞いた限りの印象では、ILCORが結成された後、岡田先生が私費を投じて、積極的に
ILCORの会合に通い、単なる机上討論だけでなく、プライドは横において、個人的にもメ
ンバーと全人格的に交流し、そうやって得た信頼の上に、RCAがILCORへ参加でき、日本が
ガイドラインを出すような道筋を作ってこられたのではないかと思いました。厚生省から
ILCOR関連の対応に関して、途中で梯子をはずされて、後ろ盾もないのにも関わらず、謙
虚に友好を続けてこられたその人格があったからではないかと思います。 5年以上前に、
来日した AHAのメンバーの講演会が東京の大学講堂であり、私も参加させていただきまし
た。その時、岡田先生が司会をしておられました。休憩の時間に、一緒に行った方から岡
田先生を紹介されたのですが、突然行ったのにも関わらず、ご自身が岡大医学部出身であ
ることなどをきさくに話して頂いた上に、非常にご丁寧に名刺もいただきました。その腰
の低さに意外な思いをしたことを印象深く覚えています。

JRCの作業部会員の皆さま、大変にお疲れ様でございました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。

posted by jemta at 23:03| 日記

2015年10月15日

新しいAHAのガイドラインアップデート2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151015.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

ERCのガイドライン発表の予告時刻は、日本時間で、本日10/15(木)14:00でした。
・ERCは予告より数分遅れて発表され、
・AHAとILCORはERCより、10数分遅れて発表されました。
 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
・AHAは「Science News」のメール配信を本日20:54にUSインスト宛て、21:07分にITCイン
 スト宛てに行ったようで、ガイドライン2015が公式アナウンスされました。
 http://networking.americanheart.org/blogs/6/1141

■AHAのガイドライン2015紹介のページ
https://eccguidelines.heart.org/index.php/american-heart-association/
 
■日本語のハイライト(全36ページ)
https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2015/10/2015-AHA-Guidelines-Highlights-Japanese.pdf
AHAはこれまで、11/12月に発表するとアナウンスしていましたが、ガイドライン発表後の
7時間後にハイライトをアナウンスしたことになります。日本語で概要を読めるのは大変
にありがたいことです。

■NEW Web-Based Integrated Guidelines
https://eccguidelines.heart.org/
AHAはこれまで、5年毎にガイドラインを固定された PDFファイルベースで出してきました
が、今回から、新しくウェブベースのページを作り、このページは継続的に更新されるよ
うです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■雑感(余談ですが、私が今回気になったトピックは以下の通りです。)
・胸骨圧迫のテンポは1分間に100〜120回
・胸骨圧迫の深さは5cm以上6cm以下
・胸骨圧迫比CCFが可能な限り60%以上になるようにCPRを行う
*BLSに関しては圧迫のテンポの上限値は、 AHAは2013年のステートメントで既に言って
 いましたし、深さの上限もERCの従来と同じです。 CCFに関しては既に弊会のBLSコース
 では実技試験の評価は G2010準拠の上で、可能な方には努力目標として取り入れていま
 した。 http://jemta.org/index_cpr.html  ですので今回の改定はあまり変化は無い
 印象です。
・エピネフリンと同等な為、バソプレシンはアルゴリズムから削除
・30秒以上の遅延臍帯クランプは合理的
・35週未満児蘇生は低酸素(21-30%)で開始
・最初にエピペンを打っても改善しない時、5〜10分以内に救急隊が来ない場合は2度目の
 エピペンを考慮。
・圧迫止血しても止血できない場合は、止血剤を含有させた包帯の使用を考慮してもよい。
 (弊会のファーストエイドコースでは Celox製のこの包帯を受講生の方に手に取ってご
  覧いただいていますが、1万円近くしますし、日本では入手が容易ではありません。)
・ガイドラインをまとめたのは今回も前回と同じMary Fran Hazinski(ハジンスキー)さん。
 2015年に、シカゴで開催された AHAのカンファレンスでは真っ赤な服でにこやかな笑顔
 で登壇されていたと思います。小児科の看護師さんだったと思います。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■AHAガイドライン2015
http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
(*原文のPDF以外に、Googleの機械翻訳のリンクも併記しています)
( 機械翻訳なので参考程度ですが、カーソルを持っていけば原文が表示されます。)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
●Part_00 編集委員会
Editorial Board
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S313.full.pdf

●Part_01 要旨
Executive Summary
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S315.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oA75

●Part_02 エビデンスの評価と利益相反管理
Evidence Evaluation and Management of Conflicts of Interest
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S368.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkr

●Part_03 倫理的な問題
Ethical Issues
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S383.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkz

●Part_04 治療のシステムと継続的な質の改善
Systems of Care and Continuous Quality Improvement
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S397.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkK

●Part_05 成人の1次救命とCPRの質
Adult Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S414.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkN

●Part_06 CPRの代替手技と補助的器具
Alternative Techniques and Ancillary Devices for Cardiopulmonary Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S436.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkT

●Part_07 成人の2次救命
Adult Advanced Cardiovascular Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S444.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAl7

●Part_08 心拍再開後のケア
Post–Cardiac Arrest Care
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S465.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlh

●Part_09 急性冠症候群
Acute Coronary Syndromes
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S483.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlo

●Part_10 特殊な蘇生の状況
Special Circumstances of Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S501.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlC

●Part_11 小児の1次救命とCPRの質
Pediatric Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S519.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlL

●Part_12 小児の2次救命
Pediatric Advanced Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S526.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlU

●Part_13 新生児の蘇生
Neonatal Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S543.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAm3

●Part_14 教育
Education
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S561.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmf

●Part_15 応急処置
First Aid
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S574.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmp
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。


posted by jemta at 22:32| 日記

2015年10月14日

ILCOR CoSTR2015/AHA・ERC・JRCのガイドライン2015が発表されます。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151014.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。いよいよガイドライン2015が
明日、公表されます。今回でまだ3回目ですが、ガイドライン改定の時はいつも楽しみです。

前回のガイドライン2010の改定の時は、以下の記事にまとめました。
ILCOR CoSTR2010 / AHA ガイドライン2010
 http://jemta.org/index_101017.html
2010 AHA Guidelines for CPR and ECCの公表(日本語版ハイライト)
 http://jemta.org/index_101018.html
AHAの新しいガイドラインG2010と個人的な所感
 http://jemta.org/index_101109.html

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■前回と今回の主な違い
・前回のG2010改定
AHAはガイドライン2010発表と同時に12言語でガイドラインのハイライトを発表しました。
http://goo.gl/e7W5nu
日本が始めて ILCORに参加し、日本も日本版ガイドラインを発表しました。ただ、日本版
の発表は予定より少し遅れて発表され、単にCoSTR を和訳した程度の所もあったように記
憶しています。
 
・今回の2015改定
従来はナラティブな(物語りと対話に基づく)ガイドラインを使用していた為、例えば、
RCT(Randomized Conrtrolled Trial;ランダム化比較試験)1編でガイドラインが引きずら
れる可能性がありましたが、今回から、名だたる国際機関も採用している GRADEシステム
で作成されるようになったため、従来より、公正・妥当な勧告が期待できると思います。
http://jemta.org/index_140430.html
AHAのハイライトに関しては、残難ながら今回の発表はガイドラインと同時ではなく、遅
れて11/12月に発表される予定になっています。尚、言語の種類は前回より5言語増えて17
言語ということです。
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■ホームページの比較
ILCORのホームページ
http://www.ilcor.org/
からリンクされているERCとAHAの新ガイドラインの発表には温度差があるようです。

・ERCは前回2010のERC Guidelinesと同じURL
http://www.cprguidelines.eu/
で、派手な新版のカウントダウンのホームページを作っています。 5年毎のガイドライン
改定を織り込んで、 URLを変えずに、新しいガイドラインを紹介する戦略的な手法だと思
います。カウントダウンにより発表時刻も予告していますし、準備万端のように感じます。
また、ERCの公式ホームである
http://www.erc.edu/
の中央正面に、新ガイドライン2015用のURLの予告もしています。

・AHAは前回のガイドライン2010のURLリンクは古いままですし、AHAの公式ホームである
http://www.heart.org/
には、新版用URLや発表時刻の予告もなく、別のページで、単に改定の日付10/15を公開し
ているだけのようです。(しかし、ガイドライン発表後の BLS等の講習会の改定のスケジ
ュール予定は詳細に発表しています。)
https://goo.gl/hME7Lz
前回改定時は、家電の新製品発表のような派手さもあったように感じましたが、今回は、
AHAはそれを止めて静かに改定を計画しているのか、或いはまだ準備が十分に進んでいな
いのかの、いずれかだと感じました。

・ILCORのホームページは元々は、AHAのドメインの中にありましたので、実質的に AHAが
管理していたと思います。現在のホームページはドメインは AHAから独立していますが、
ホームページには単に2015のスケジュール表があるだけで、体裁は古いままです。 AHAの
ページと同じで、派手さが全くありませんので、現在も AHAがこのホームページを管理し
ているように感じました。

・JRCのホームページ
http://jrc.umin.ac.jp/
では、ホームページ正面のトピックで、 JRCガイドライン2015を10月16日(金)の 12:00に
発表すると予告されています。当日はプレスリリースも予定され、又、当日のオンライン
版に加除修正を加えた完成版を、 2016年2月に医学書院から出版すると予告されてます。


■AHA/ERC/JRCのガイドライン2015発表時刻
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ERCのオフィスは、欧州のベルギーにあり、AHAの本部はダラス(米国中部時間)にあります。
日付変更線の関係で各国の現地時間15日への日付は、日本、ベルギー、米国の順で変わり
ます。 ERCガイドライン2015が発表される時刻は、各国の現地時刻でいうと以下のように
なります。

ERCガイドライン2015発表時の現地時刻
・米(中部) 15日 00:00
・ベルギー 15日 07:00早朝
・日本   15日 14:00

発表される時刻は、ベルギーの現地時間で朝7:00ですので、かなり早朝です。不思議に思
いましたが、この時刻はダラスが15日に日付が変わる時にあたります。。ということは、
AHAのガイドライン2015は、15日00:00に発表されるのかもしれません。 AHAが15日00:00
に発表するので、 ERCもそれに合わせたと考えると納得できるスケジュールです。各国の
ガイドラインは、ILCORのCoSTR2015に基づいて作成されます。 AHAもERCもCoSTRは共有し
ていますが、自国のガイドラインに関しては、公開前は共有していないはずです。前回は、
AHAもERCも同じ時刻にガイドラインを発表していたと思います。互いに相手の出方を見て
出すのではなく、独立して出すという姿勢です。この姿勢は歴史的に初めからのものです。
一方、日本はJRCガイドラインの発表は今回で2回目なのですが、前回の初回発表は AHA/
ERCの発表の後でした。残念ながら、今回も発表は16日12:00で、 AHA/ERCの発表の22時間
後です。AHA/ERCの独立した発表とは違うスタンスをとっていることがわかります。

尚、ILCOR CoSTR2015 と各国のガイドラインの発表時刻は日本時間では以下のようになり
ます。
・ILCOR 不明(下記ERCと同時刻?)
・AHA  不明(下記ERCと同時刻?)
・ERC  15日 14:00
・JRC  16日 12:00

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以上です。


posted by jemta at 21:10| 日記

2015年09月27日

成人の院外CPRは35分以上53分まで 欧州心臓病学会:金沢大の後藤由和教授の発表和訳



本記事のURL
http://jemta.org/index_150927.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

先月、ロンドンで行われたヨーロッパ心臓学会(European Society of Cardiology)2015
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/ESC-Congresses/press-conference-schedule-including-details
での金沢大学病院救急部長の後藤由和教授の発表
「CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
 minutes」 (院外心停止のCPRは35分以上行うべき)
のプレスリリースと発表のスライドを以下和訳しました。

【要旨は】
成人の院外心停止において、
「CPRを35分行えば、助かる人は 99%助かる」
「CPRを53分行えば、助かる人は100%助かる」
(逆に言うと、CPRを53分行っても蘇生しない場合は、100%助からない)
但し
・小児は別
・体外循環使用は別
(低体温や中毒はもっと長く!?)
救急隊員のCPRにより病院到着前に自己心拍を再開した18歳以上の成人1万7,238例。
消防庁のウツタイン様式住民ベース研究に登録された2011〜2012年のデータ解析
科研費助成:「院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究」

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ESC Congress 2015 London, UK, 29 August - 02 September
FP Number     :1321
Embargo BST    :30 Aug. 2015 at 11:00
Presenter     :Associate Prof. Yoshikazu Goto(http://goo.gl/SDvg5i
Presentation Title:CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted
for at least 35 minutes


■Press release 報道発表
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Last-5-years/CPR-for-out-of-hospital-cardiac-arrest-should-be-conducted-for-at-least-35-minutes
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CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
minutes
院外心停止のCPRは35分以上行うべき
                                  30 Aug 2015
                             London, UK 30 Aug 2015:
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Cardiopulmonary resuscitation (CPR) for out-of-hospital cardiac arrest should be
conducted for at least 35 minutes,according to research presented at ESC
Congress today by Dr Yoshikazu Goto,associate professor and director of the
Department of Emergency and Critical Care Medicine at Kanazawa University
Hospital in Kanazawa, Japan.1 The study in more than 17 000 patients found that
nearly all survivals were achieved within 35 minutes and longer CPR achieved
little benefit.

院外心停止の心肺蘇生(CPR) は、35分間以上は実施されるべきです。金沢大学附属病院の
救急部長・病院臨床教授の後藤由和氏が、本日ヨーロッパ心臓病学会で発表した研究によ
ると、17,000人以上の患者研究では、ほとんどの蘇生は35分以内に達成され、それ以上
CPRを行っても得られる利益は少ないということです。
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Ischemic Heart Disease and Acute Cardiac Care
虚血性心疾患・緊急心疾患治療
EMBARGO : 30 August 2015 at 11:09 BST

Dr Goto said:
"The decision regarding when to stop resuscitation efforts is one of the biggest
challenges for emergency medical services (EMS) personnel or clinicians.
However,the appropriate duration of CPR is not clear.
Clinicians have raised concerns that lengthy resuscitation efforts might be
futile. We investigated how long CPR should be conducted to achieve maximum
survival and favourable neurological outcome."

後藤教授の説明:
いつ蘇生を中止するかの決断は、救急隊や臨床医の最大の課題です。しかし、 CPRの最適
な時間は明らかになっていません。臨床医は長い時間の蘇生努力は無駄かもしれないと懸
念しています。我々はどのくらい長く CPRを実施すれば最大の蘇生率と良好な神経学的転
帰が得られるかを調べました。

This prospective, population-based study included 17 238 adults who received CPR
by EMS personnel in the field in 2011 and 2012. Patient records were obtained
from a national database. The researchers analysed the relationship between the
duration of pre-hospital CPR by EMS personnel (time from EMS-initiated CPR to
return of spontaneous circulation) and two endpoints: one month survival and one
month favourable neurological outcome after cardiac arrest.

この前向き・集団ベースの研究は、2011年と2012年において、救急隊からCPRを受けた
17238人の成人を対象としています。患者のデータは国のデータベースより得ました。
救急隊による病院前CPRの期間(CPR開始から自己心拍再開まで)と2つの評価項目(1カ月
後生存と心停止後の1カ月の良好な神経学的所見)との関係を調べました。

The study found that the probability of survival declined with each minute of
CPR (Figure 1). It also showed that 99.1% of all survivors and 99.2% of
survivors with favourable neurological outcomes achieved return of spontaneous
circulation within 35 minutes of EMS-initiated CPR (Figure 2). No patient with a
CPR duration of 53 minutes survived one month after cardiac arrest (Figure 2).

本研究により、 CPR継続時間が長くなるにつれて、蘇生率が低下することがわかりました
(図1.) 全ての生存者の99.1%と神経学的予後が良好な生存者の99.2%が、救急隊が CPRを
開始してから35分以内に自己心拍の再開が得られました。(図2.)53分間CPR を施行した患
者で、心停止後に1か月間生存された方はいませんでした。(図2.)

Dr Goto said: “Our study shows that EMS personnel or clinicians should continue
CPR for at least 35 minutes in patients who suffer cardiac arrest outside the
hospital. More than 99% of survivals and favourable neurological outcomes were
achieved by 35 minutes with minimal gains afterwards. CPR leads to absolutely no
benefit from 53 minutes onwards.”

後藤教授の説明:
我々の研究では、救急隊や臨床医は、院外心停止の患者には35分以上は CPRを続けるべき
であることを示唆しています。

“Our finding that the likelihood of surviving with a favourable neurological
outcome declines with each minute of CPR indicates that the time from cardiac
arrest to CPR is a crucial factor in determining whether a patient will return
to a normal life,” added Dr Goto. “This implies that we need to start CPR as
soon as possible.”

「良好な神経学的転帰での蘇生の可能性が、 CPRを続ける時間と共に低下しているという
我々の発見は、心停止から CPRまでの時間が患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める
重要な要因であることを示唆しています。」後藤教授は「このことは、できるだけ CPRを
早く開始することが必要だということを暗示しています」と付け加えました。

He concluded: “We hope our findings give EMS personnel and clinicians the
confidence that if they stop CPR after 35 minutes they have done everything they
can do for a patient. This should help them know when it is appropriate to move
on to the next medical emergency.”

後藤教授は「我々の発見によって、救急隊員や臨床医が、少なくとも35分間CPRを続けれ
ば、彼らは患者にできることは全て行ったと確信を持てるようになることを希望します」
と結論しました。



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Figure 1. Dynamic probability of 1-month survival and 1-month favourable
neurological outcomes
図1. 1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の動的確率
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰率(%)

【*訳注】例えば、心停止後CPRを行って蘇生できた人のうち、
1分以上CPRを行って1カ月間生存できたのは蘇生者全体の36.8%、
1カ月後の神経学的転帰もよかったのは蘇生者全体の21.8%
(つまり、CPR1分以上で蘇生できた人を、その後の1カ月間で見ると、
・神経学的転帰もよかった人は蘇生者全体の22%、
・神経学的予後が悪かった人は蘇生者全体の15%、
・1カ月以内に亡くなった方は63%。
まとめると、心停止後に一時的に蘇生できても、
助かるのは4割、社会復帰は2割。死亡は6割。)

例えば、CPR20分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の4.6%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは1.9%
(生存できたとしても、神経学的転帰は当然、生存率より低くなる)
例えば、CPR30分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の0.8%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは0.4%
例えば、CPR53分以上行って生存できた人は0%。
例えば、CPR9分以上行って、1カ月生存できたのは全体の20%
例えば、CPR3分以上行って、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは全体20%
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Figure 2. Cumulative proportion of survivors and survivors with favourable
neurological outcomes 1 month after cardiac arrest
図2. 心停止後、1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の累積割合
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰の累積割合

【*訳注】
例えば、生存者の52.8%は  CPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の63.9%はCPR10分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の87.6%は  CPR20分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の91.3%はCPR20分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の99.1%は  CPR35分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の99.2%はCPR35分以内で蘇生できている。

例えば、  生存者の50%はCPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の50%はCPR 8分以内で蘇生できている。 
(早く蘇生したほど、予後がいい)
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○References 参考
1Dr Goto will present the abstract ‘Duration of resuscitation efforts and
survival after out-of-hospital cardiac arrest: an observational study’ during:
・The press conference ‘Cardiac Arrest: Improving Outcomes’ on Sunday 30
August at 14:30
・The session ‘Syncope and sudden death’ on Sunday 30 August at 11:00 in the
Agora, Poster Area (presentation at 11:09)

後藤教授は、院外心停止後の蘇生努力の持続時間と生存の観察研究を発表を予定。
・記者会見 心停止:治療成績の改善 8/30(日) 14:00
・失神と突然死会議 8/30(日) 11:00 会場内、ポスター会場(説明11:09)
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○Notes to editor 編集者への注記
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SOURCES OF FUNDING: This work was supported by the Japan Society for the Promoti
on of Science (JSPS) KAKENHI grant number 15K08543.
DISCLOSURES: None.
本研究は、日本学術振興会の科研費 研究課題番号:15K08543の支援を受けた。
院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543.ja.html
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543/2015/1/ja.ja.html
開示項目:なし


ESC Press Office
For background information or assistance, please contact the ESC Press Office.
For independent comment on site or interviews, please contact the ESC
spokesperson coordinator: +44 7785 467 947
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About the European Society of Cardiology
The European Society of Cardiology (ESC) represents more than 90 000 cardiology
professionals across Europe and worldwide. Its mission is to reduce the burden
of cardiovascular disease in Europe.

About ESC Congress 2015
ESC Congress is the world’s largest and most influential cardiovascular event
contributing to global awareness of the latest clinical trials and breakthrough
discoveries. ESC Congress 2015 takes place 29 August to 2 September at ExCel
London in London, UK. Access the scientific programme. More information is
available from the ESC Press Office at press@escardio.org.
To access all the scientific resources from the sessions during the congress,
visit ESC Congress 365.
This press release accompanies both a presentation and an ESC press conference
at the ESC Congress 2015. Edited by the ESC from material supplied by the
investigators themselves, this press release does not necessarily reflect the
opinion of the European Society of Cardiology. The content of the press release
has been approved by the presenter.


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■スライドの和訳
http://www.escardio.org/static_file/Escardio/Press-media/Press%20releases/2015/Congress/Yoshikazu-Goto.pdf

●院外心停止後の蘇生努力の継続時間と生存:観察研究
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Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest
: an observational study
Background and Purpose
・The decision regarding when to stop resuscitation efforts for patients with
 out-of-hospital cardiac arrest is one of the biggest challenges for emergency
 medical services (EMS) personnel or clinicians.
・Moreover, the appropriate duration of cardiopulmonary resuscitation (CPR)
 remains unclear.
・Clinicians have also raised concerns that prolonged resuscitation efforts
 might actually be futile.
・In this study, we investigated how long CPR should be conducted to achieve
 maximum survival and favourable neurological outcome.
Y GOTO, T Maeda, A Funada, Y Nakatsu-Goto
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kanazawa University Hospital
, Kanazawa, Japan

背景と目的
・院外停止患者に対して、蘇生努力をいつやめればよいかの判断は、救急隊員と臨床医に
 とって最大の課題のひとつである。
・さらに、CPRの最適な継続時間はいまだによくわかっていない。
・臨床医はまた、蘇生努力を長く行っても実際には無益かもしれないとの懸念を提起して
 いる。
・本研究では、どのくらい長く CPRを行えば、最大の蘇生率と良好な神経学転帰の結果を
 得られるのかを調べた。
後藤由和、前田哲生、舟田晃
金沢大学附属病院救急部

●declaration of interest
I have nothing to declare 利益相反なし
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●Methods and Results 方法と結果
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Methods 方法
2-year-long, nationwide, population-based observational study conducted in
Japan (2011-2012) N = 17,238 adults who experienced a prehospital return of
spontaneous circulation (ROSC) after EMS-treated out-of-hospital cardiac arrest
Endpoints: 1-month survival and 1-month favourable neurological outcomes
2011年から2012年の2年間の日本全国、集団ベースの観察研究
院外心停止で、救急隊によって治療され病院到着前に自己心拍が再開した成人17,238人
エンドポイント(評価項目)
Results 結果
1-month survival rate 36.8% (6,347/17,238)
1カ月生存率
1-minth favourable neurological outcomes rate 21.8% (3,771/17,238)
1カ月後の良好な神経学的所見
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●Figure1.CPR duration(*) and outcomes CPR経過時間と結果
横軸:CPR duration(min) CPR継続時間
Time from the initiation of CPR by EMS personnel to pre-hospital ROSC
救急隊によってCPRを開始してから病院前に自己心拍が再開するまでの時間

Survivors 10(IQR 6-16)
【*訳注】1カ月間生存していた方で何分CPRを行ったのかのデータを小さい順に並べると
小さい方から1/4の位置のデータは6分。第1四分位値 (1st quartile, Q1)=6
小さい方から3/4の位置のデータは16分。第3四分位値 (3rd quartile, Q3)=16
Q3-Q1=16-6=10となります。標準偏差SDは、各データからの平均値からのずれから計算し
ますが、interquartile range(IQR)四分位範囲は、Q3-Q1の値です。SDはデータ両端が、
離れていると大きな値になりますが、IQR四分位範囲は両側の1/4ずつは外しますので、大
きな値にはなりません。データのバラつきの範囲を示す簡易的な指標です。
この場合の中央値は、6+(16-6)/2=11くらいでしょうか。
1カ月生存できた方は、11±10分くらいは、CPRをしていたことになります。
Non-Survivors 10(IQR 6-16)
1カ月間の内に亡くなった方は、IQR=17で生存できた方の場合よりばらつきが大きいです。
1カ月後の良好な神経学的所見の方はIOR=8で、生存者全体より早い蘇生だったことがわか
ります。
神経学的所見の悪かった方のIOR=16であり、良好な方より長くCPRをしていたことがわか
ります。

All p<0.0001
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●Figure 2. Odds ratios of CPR duration(*) CPR経過時間のオッズ比
Survivors 生存
 Crude 未調整オッズ比 0.91 (0.91-0.92)
 Adjusted調整オッズ比 0.93 (0.92-0.93)
Favourable 神経学的転帰良好
 Crude 未調整オッズ比 0.89 (0.89-0.90)
 Adjusted調整オッズ比 0.91 (0.90-0.92)

Odds ratio (95% CI)
*for 1-unit increment
【*訳注】
このFig2は、オッズ比のグラフが書かれていますが、比を求める分子/分母のオッズをど
うやって計算されたのか定義が不明です。又予後に関わらず救急隊が行った CPR継続時間
の分布の図がないのでイメージしにくいのですが、CPR durationのオッズ比となっていま
すので、仮に CPR経過時間が35分以下か以上かで、死亡/生存かでオッズを求めたのかと
考えてみました。生存のオッズ比が0.93になるように試行してみました。 CPR継続時間が
35分以下の場合を 85%程度から始めて、少しずつ増やして試行計算してみたのですが、な
かなかつじつまが合わなかったのですが、 99%で仮定すると、なんとなくそれらしくなり
ました。結果の表を以下に示します。




しかし、これだと35分以上 CPRを行ったケースが少なかったのにも関わらず、そのデータ
群を用いて、CPRが短かった所から外挿してCPR蘇生時間の限界値を出していることになり
ますので、この試行は全くの見当違いかもしれません。正式なペーパーのパブリッシュを
期待している所です。

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●Conclusion 結論
The likelihood of survival with a favourable neurological outcome declines with
every 1-minute increase in CPR time after out-of-hospital cardiac arrest.
→ CPR duration is a crucial factor in determining whether a patient will
returen to a nomal life.
院外心停止後のCPRの時間が1分増すごとに、良好な神経学的転帰の可能性は減少します。
→ CPR継続時間は患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める重要な要因です。

To achieve maximum survival and favourable neurological outcome, EMS personnel
should administer at least 35 minutes pre-hospital CPR for patients with
out-of-hospital cardiac arrest.
→ If EMS personnel stop CPR after 35 minutes,they have done everything they can
do for a patient.
院外心停止の傷病者に対して、救急隊員は蘇生率と神経学的転帰が最大になるように、35
分以上はCPRを続けるべきです。
→ 救急隊員が35分後にCPRを止めたとしても、彼らは傷病者に対して、できることは手を
尽くした言えます。
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【*訳註】
AHAガイドライン2010の3章では、「倫理」の勧告の章があり、以下関連部分の抜粋です。

「アメリカ救急医学会(National Association of EMS Physicians:ABEM)ではALSを20分間
行っても反応しない患者の場合、蘇生努力を中止できることを示唆している。(中略)
このルールは米国、カナダ、およびヨーロッパの複数の地域で、成人患者に対して後ろ向
きかつ外部的に確認されており、すべての ALSサービスでこのルールを採用することが合
理的といえる(クラスUa、LOE B)」S670ページ

「1990年、医学的無益の客観的基準は、治療介入および薬剤による生存の可能性が、1%を
下回る場合と定義された。この基準には議論の余地があるかもしれないが、現時点ではこ
れが医学的無駄の研究の基盤となっている。」S668

「現場で蘇生を終了することで、救命救急士が誤ってバイオハザードにさらされる危険性
や、救急部での死亡判定かかる高額なコストを下げることができる。より重要なのは、搬
送中に CPRの質が低下することであり、救命率は病院へ急ぐことよりも、現場でのケアを
最適化することに結びついている点である」S670

「蘇生行為を意図的に遅らせたり、見かけ上行っているような形だけの努力、いわゆる
「 Slow-code(スローコード)」(無効な蘇生と知りながら蘇生)を行うことは適切ではな
い。このような行為は医療従事者の倫理的誠実さを傷つけ、欺瞞によって誤った印象を生
み、医師と患者の関係を損なうことにつながる。「疑似蘇生」行為はプレホスピタルDNAR
および蘇生中止プロトコルが実施されていない地域で、心停止の 27%で行われると救急救
命士によって自己報告されている」S669

「(新生児 蘇生努力の中止)心拍を検出できない新生児では、10分間心拍数を検出できな
いままの場合」、蘇生の中止を考慮するのが最適である(クラスUb LOE C) 心拍を検出で
きない新生児に10分を超えて蘇生の努力を継続する場合、推定される心停止の原因、新生
児の在胎週数、合併症の有無、低体温症の潜在的な役割、許容できる病態のリスクについ
て両親が事前に示した感情などの要因を考慮しなければならない」S938


【*私見 以下は完全なる私見です。】
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
スローコードについて
CPRは本人の介入同意を仮定しての侵襲性の高い行為です。蘇生の見込みがない状態でCPR
を続けることは、スローコードであり、個人の尊厳を傷つけることになると思います。本
人が心停止してからの臨終から死への遷移は、周囲の人の医学観から宗教観・生死観への
切替えが必要であり、自然科学の物質観より、個人や家族の宗教的価値観への配慮がなさ
れるべきだと思います。家族への配慮や医療者に関することは文献にありますが、臨終を
迎える本人の事に関する宗教の文献を調べた所、日本の最大の仏教団体の臨終に関する文
献には、臨終の時に指一本でもさわると、本人は、大磐石を投げられたように痛く感じる
とあります。だから亡くなってから、半日は遺体を動かすべきでないと昔から戒められて
いると書かれています。(日寛上人著 臨終用心抄(富士宗学用集第3巻P259〜269))
http://sgi.daa.jp/makiisi/9410rinjyu.html
一方、ご家族への配慮について、 CPRとは違いますが、例えば「死後直後の死体による訓
練に関する倫理S673」では、「死亡直後の死体を訓練に用いることは、倫理的、法的に重
大な問題が絡んでいる。(中略)死体は人ではなく自律や関心をもたないため、同意は必
要ないという意見もある。しかしこれらの主張は、死んだばかりの愛する人を訓練や研究
用に使うことに反対するするかもしれない残された家族を傷つける可能性を十分に重視し
ていない。(中略)最終的には、医療従事者の救命技術を訓練する必要性よりも個人に関
する配慮を優先すべきである」とも書かれています。
もし、ご家族が納得するようにとスローコードを強行すれば、家族によっては、『本人が
見ず知らずの他人から胸を押されて痛がっているのではないか』と感じるかもしれず、家
族の心を傷つけ、不信を抱く結果になる可能性もあります。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
新生児のCPR中止基準「10分」
AHAのガイドライン2005の第2部第2部 倫理上の問題では、「新生児の新生児では、継続
的なまた適切な蘇生努力を10分以上行なっても生命徴候が認められない場合、蘇生を中止
する事は許容されうる。 10分以上の徹底した蘇生努力を行なっても反応が無い場合には、
生存する見込みや障害なく生存する見込みはきわめて低い[8-11]。これまで小児において
は蘇生が長時間にわたり2回のアドレナリン投与 によっても自己心拍の再開(ROSC)が得ら
れなかった場合には、生存の見込みはないと考えられていたが[12]、院内で非常に長時間
にわたる蘇生を行なった後に神経学的に異常なく生存した例が報告されてきている[13-15]
http://plaza.umin.ac.jp/GHDNet/05/aha-020.htm
と書かれています。

AHA岡山BLSで、 BLS-HCPを受講された看護師さんから過去に印象深い体験を伺ったことが
あります。「私は、ドクターと一緒に新生児の蘇生を始めましたが蘇生できず、ドクター
は時計を見て「もう10分経ったよなぁ」と言って部屋を出ていかれましたが、私は『いや
この児は絶対助かる』と決めて、一人で部屋に残ってずっとCPR を続けました。45分くら
いしたら、赤ちゃんの顔が急にぱーっと赤くなり、その赤ちゃんは助かりました。私は喜
んでドクターの所に走って行って、「先生、助かりましたよ!」と言ったら、ドクターは
「あっそぅ」と生返事をされました。しかし、この事が私の看護師としての誇りになって
います」と涙ぐんでお話しをされました。

個人的には、新生児のこの10分という中止基準は少し早すぎるのではないかと思っていま
す。AHAガイドライン2010 新生児蘇生
http://circ.ahajournals.org/content/122/18_suppl_3/S909.full.pdf
のS915ページのこの「10分」勧告のベースは3つの文献です。それぞれ93/42/208児の少数事例
93児
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022347605800460
42児
http://fn.bmj.com/content/78/2/F112.abstract
208児
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19948631
『成人が35分 /53分なのに、何故、新生児は10分と短いのか。早くあきらめているのでは
ないか?産科医は新生児を「意識」や「心」のある人と捉えているのか?』という素朴な
疑問は、産婦人科医の池川先生の著作を何冊か読んで逆説的に感じました。例えば「生ま
れた赤ちゃんのお尻を強く叩くと赤ちゃんが怒った顔をするのがわかった。それから対応
を変えると、赤ちゃんの反応もよくなった」という文や、子どもが自分の出産の時の記憶
を語った文章が特に印象に残っています。池川先生も、大規模に子供に胎児記憶のアンケ
ートを行ってから、それまでの考え方が変わったと書かれていましたから、逆説的に普通
の産科医の考え方を推測して、この疑問を持った次第です。
http://www.30ans.com/memory/
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

【*訳注 参考文献】
・Medical-Tribune 院外心停止例へのCPRは何分続けるべきか(ESC2015の本発表の紹介)
https://medical-tribune.co.jp/news/2015/0908024236/
・Duration of Resuscitation Efforts and Functional Outcome after Out-of-Hospital
 Cardiac Arrest: When Should We Change to Novel Therapies?
http://circ.ahajournals.org/content/128/23/2488.full
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4004337/


・CPRをやめるとき 最新救急事情2000/01月号 OPS(30分が中止目安)
http://ops.umin.ac.jp/ops/jijou/jijo_10.html
・一般内科医のお勉強ブログ&日々の徒然 心肺蘇生はいつ止めたら良いのか(最低20分) 
http://pannai.blog.fc2.com/blog-entry-72.html
・救急科専門医の独り言 いつまで蘇生を続けるべきか?(20分で中止検討)
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-07-01
・低体温下のヒト脳は長い心肺蘇生法でも回復する
 CPR2時間45分後にほぼ完全な脳蘇生に成功した1 成人例
http://www.anesth.hama-med.ac.jp/Anedepartment/soseigakkai-25th-%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A01%EF%BC%88%E5%B2%A9%E4%B8%8B%EF%BC%89.pdf
・心停止82分奇跡の生還 西予61歳男性 後遺症がなく回復
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6126357
・Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest:
 an observational study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)60862-9/fulltext?rss=yes
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以上です。



posted by jemta at 20:04| 日記

2014年05月13日

食物によるアナフィラキシーの時系列症状とエピペン治療介入



本記事のURL
http://jemta.org/index_140513.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


■1.初めに
一昨日、市民公開講座が開かれました。
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市民公開講座『食物アレルギーとアナフィラキシーへの対応』
(第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
2014/05/11(日) 14:00 〜 16:00
国立京都国際会館(アネックス2)
(京都市左京区岩倉大鷺町422番地)
[主催] 一般社団法人 日本アレルギー学会
http://eventregist.com/e/jsa2014
Ustream公開録画[2h:04m:48s]
http://www.ustream.tv/recorded/47400848
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■2.「アナフィラキシーへの対応」講演
以下は、講演2のメモです。メモですので、信ぴょう性には欠けます。また、一部加筆し
ています。
                                    [49:38]
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講演2:アナフィラキシーへの対応
演者:亀田誠(大阪府立呼吸器アレルギー医療センター小児科)
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                                    [52:04]

表1.即時型食物アレルギーの症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
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皮膚症状   89.7% (蕁麻疹じんましん)
呼吸器症状  32.1% (咳、ゼィゼィ、ヒューヒュー、息苦しい)
粘膜症状   27.9% (口の中がかゆい、鼻水、鼻づまり、涙、目がむくむ)
消化器症状  17.5% (お腹の症状)
ショック症状 11.8% 
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表1は、ある食べ物を食べて、どんな症状が1時間以内にでてきたかの調査結果。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、食事後に運動した時にあらわれる。おきる頻度
は、小学生=0.005%、中学生=0.02%、高校生=0.009%で中学生が多い。学校で初発すること
も多い疾患。
アナフィラキシーは、原因となる物質に暴露されてから短時間で生じる急性の全身反応で
狭義には IgE抗体を介するアレルギー反応を示す。 原因、誘因は、食物、アルコール、
刺虫(ハチなど)、刺咬(ハムスターなど)、ラテックス、薬剤、運動などがある。
食物アレルギーの場合、食事の最中から食後2時間程度までの間に、いろいろな症状が身
体のあちこちに出現し、急速に悪化する状態。

                                    [56:22]
アナフィラキシーショックは、アナフィラキシーの内で、ショック症状を呈する状態。
ショックとは種々原因で循環動態に異常を生じ、全身の臓器に必要な酸素を供給すること
ができない状態。一般に血液低下、意識低下(喪失)などの症状で示される。

以下の表2は、私たちが経験した一例。
                  (出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
表2.4歳男児 小麦(そうめん)負荷テスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
時間  小麦摂取 症状         治療
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30分後 0,05g   症状なし
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    0.1g 
20分後      咳込み        ○気管支拡張薬吸入
                    ▽抗ヒスタミン薬内服
35分後      咳が続く       ○気管支拡張薬吸入
40分後      咳が悪化       ●アドレナリン注射
         顔面紅潮、蕁麻疹出現 △ステロイド薬内服
50分後      咳は改善傾向
70分後      蕁麻疹が全身に広がる ◎生理食塩水点滴 
         手足冷たい、意識低下 ●アドレナリン注射
95分後      蕁麻疹改善傾向
         呼びかけに答える
180分後      皮膚の紅潮は残存
         呼吸症状はなし
         意識は清明
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このお子さんは小麦のアレルギーを持っておられ、2年ほど除去を続けていたが、そろそ
ろ食べられないかということで、私たちの所を受診された。実際に食べたのは小麦の乾麺
量で0.1g程度。うどん1杯が小麦乾麺50〜60gなので、かなり少ない量。この量を食べて、
20分くらいしたら、コンコン咳込み始めた。お薬を使ったけれども、なお具合が悪くなっ
た。40分たつと、呼吸器の症状に加えて皮膚の症状まで起きてきた。いろんな症状がどん
どん悪くなってきており、つまりアナフィラキシー症状。ここでアドレナリンの注射を行
った。別のお薬も使った。一旦よくなったが、注射30分後にまた具合が悪くなった。今
度は呼吸器ではなく、手足が冷たくなって、意識が低下した。これはショック。ここで再
度アドレナリンの注射などを行って、ようやく落ち着いてきた。このお子さんはごく微量
の摂取で症状がでており、症状の発現から症状の進行がきわめて急速。一旦よくなった後
に、この子の場合は再度悪くなっている。こんなこともある。


[☆加筆]
前回投稿した薬によるアナフィラキシーでは、最初に蕁麻疹がでましたが、この食物
アレルギーの場合は、最初に呼吸器症状(A) がでています。次に蕁麻疹もでたため、
アドレナリン注射をしています。次に蕁麻疹が拡がり意識が低下したため(ショック)、
再度アドレナリン注射をしています。最初のアドレナリンの効果は30分のみです。30分後
に2回目のアドレナリン注射をしています。
[/☆]

                                    [59:46]

食物アレルギー症状発現時の対応:
いつでも医療機関を受診できる体制を持っておきましょう!
自宅だけではなく、学校ではどうするか、旅先ではどうするかといったプランを持つこと

アレルゲンを誤って口に入れてしまった場合、体や目についてしまった場合は、落ち着い
てまずは洗い流す。

・口に入れた時⇒口から出せるものは出して、口をすすぐ。(口内違和感は重要な症状)
・皮膚に付いた時⇒洗い流す(タオルで拭かない)(さわった手で目をこすらないように)
・目症状が出た時⇒洗顔。(かゆみ、充血、球結膜浮腫)
できるだけ、お子さんをその場から動かさないで対応する。急速な悪化を防ぐことが可能。

短時間の間に急速に悪くなるので、できるだけ子どもから目を離さないことが重要。最初
に緊急性が高いアレルギーか否かを判断する。緊急性が高いアレルギー症状は、昨年の7
月にだされた日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」としてリリースさせ
ていただいた。

[☆加筆 日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす
[/☆]

おなかが痛いと訴えた時は、トイレに連れて行くのではなく、その場でエピペンを打つこ
と。子どもを見ていて、息苦しそうだと感じた場合は、上記の表の呼吸器の症状にあては
まる。上記の表のどの項目のどれに相当するかと考えていると、いつまでたっても答えは
でてこない。『息苦しそうかなぁ』と見えたら、迷わずエピペンを打つ。全身の症状で、
「唇や爪が青白い」というのはとてもだいじ。具合が悪い時には、「だいじょうぶ?」と
言ってぜひ手を握ってみてください。食べた後に手足が冷たいということは通常は起こり
えない。それはアナフィラキシーだと判断する。血液が手足の末端までしっかりめぐって
いないということを示していると考えて、エピペンを打たねばならないタイミングである。
強いお腹の症状、息が苦しそう、全身を見て・触れて具合が悪いと思えば、エピペンを。

                                   [1:07:01]
いずれにしてもこのような症状があれば、子どもたちをできるだけ寝かせて下さい。なぜ
かというと、立っていると、頭への血液が循環しなくなるから。頭を心臓と同じ高さにも
ってくる。(足の下に枕などを引き、末梢の循環を犠牲にしても頭などの中心循環を保つ)
そして、ただちにエピペンを使用する。救急車も要請する。ここで救急車をためらう必要
はない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆]
AHAのファーストエイドコースG2005では、ショックの時に寝かせた後、足の拳上をしてい
ましたが、G2010コースでは足の拳上はなくなりました。しかし、AHAのガイドライン2010
では、以下のように書かれています。
AHA G2010日本語版 S960
傷病者がショック状態にあることが明らかな場合は、傷病者を仰臥位にする。外傷がない
ことが明らかであれば、足を30-45°/ 15-30cm程持ち上げる。この持ち上げる動きや得ら
れた体位によって傷病者が苦痛を訴える場合は足を持ち上げないようにする。
[/☆]

                                   [1:08:36]
エピペンの有効性は極めて高く、82% というデータがある。ただし、エピペンが効かない
場合もあるので、打つのと救急車を呼ぶのは同時。副作用は3.7%しかない。これは、痛い
とか血がでた、お薬自体の作用で心臓がドキドキするなどで、ごく一時的な、おおまかに
は30以内にはほとんどおさまってしまうような副作用のみ。エピペンは極めて有効で安全
なお薬。だからためらわずに打っていただいていい。

もし、上記のような症状がなくても、緊張をきらせないでいただきたい。その理由の一例
を以下に示す。

表3.鶏卵チャレンジ症例(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
接種後 症状 使用薬
直後  のどのかゆみ、イガイガ感 ⇒ 頓服
↓   無症状

60分  腹痛
90分  喘息発作、腹痛      ⇒ 吸入
100分  喘息発作、腹痛      ⇒ 点滴開始
150分  改善
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この子は卵をほんのひとかけら食べた。1gも食べていない。そうすると食べた直後から、
のどのかゆみ、イガイガ感がでてきたが、飲み薬を飲んだら落ち着いた。以前はもっとひ
どかったので今回はよかったと思っていると、60分後にお腹が痛くなり、90分後に喘息発
作を起こしてきた。(もし、これが自宅だったらエピペンの適用になるが)、この子の場
合は古い症例だったこともあり、吸入と輸液で治まっている。このようにあとになってか
ら症状が表れてくる場合もある。少なくとも気がついてから2時間から3時間はしっかり
見守る必要がある。アナフィラキー反応は接種後すぐに生じるわけではない。最低でも、
2時間、念のためには3時間見ておくとよい。数回の軽い咳であってもアナフィラキシー
が疑われるならば、食物アレルギーが疑われるならば、ためらわずに速やかに医療機関を
受診していただいてかまわない。ここが一番のポイント。
特に、目、口、鼻の粘膜症状や皮膚の症状だけで、必ずしもエピペンを打つ必要はないが、
経過を見ていて悪くなるようだったら、エピペンを打つことを考慮する。

                                   [1:12:38]
こんな経験がある。学校で誤食をした子がいた。一度食べた時には大変な症状を起こした。
アナフィラキシーショックを起こした。それからしばらくしてまた本人が同じような訴え
をした。唇がピリピリすると。それだけだった。しかし、その訴えを聞いて養護教諭の先
生が『これはもしかしたらアナフィラキシーで、またショックになるかもしれない』と、
病院を受診させてくれた。病院で診ていると徐々に悪くなってきて、一番よいタイミング
で、アドレナリンを投与することができたことがある。

                                   [1:18:30]
緊急時にエピペンを落ち着いて使えるか否かは、もう練習するしかない。何度も何度も、
ケースから出して打つ模擬練習が必要。中には処方して1年間、封さえも開けていない方
もおられると聞いている。何のために処方されているのかわからない。ぜひ出して訓練器
(トレーナー)を使って練習していただきたい。万が一の時のために使えるようになるよう
に。

                                   [1:19:03]
個々人がどのような特徴を持って、食物アナフィラキシーを起こすかということについて
以下の表4のようにまとめられるといいのではないか。

表4.食物アレルギーの診断 問診(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.何をたべたか?
   初めから原因食材を決めつけない。調理方法も確認する。
2.どれだけ食べたか?
3.食べてから症状発現までの時間とその間の過ごし方
   即時型反応はおおむね2時間以内に発症する
   運動の有無に注意(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
4.症状の有無は?(特徴は?皮膚から出るか、呼吸器から出るか)
   接触性に生じた症状の可能性はあるか?
5.症状の再現性(既往歴の確認)
6.最後のエピソードはいつか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の表をまとめて、親戚や学校や園に渡しておけばそれだけで、しっかりとした
情報共有ができる。

                                   [1:20:15]
食物アレルギーは食物によって症状の出方がまったく違う。
図1.卵白陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_egg_ana.jpg


卵で言うと、消化器症状の、お腹が痛いが一番多い。そして皮膚の症状が次。呼吸器の症
状は、全体でも33%。これは負荷テストの結果だけれども、この程度しかない。

それに対して小麦はどうかというと、
図2.小麦陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_wheat_ana.jpg



消化器はほとんどない。皮膚症状あるいは、皮膚+呼吸器症状が多く、呼吸器の症状は全
体で6割もある。卵の場合と倍違う。このようなことを知りながら、皮膚症状がないから
大丈夫とか、そんなことはない。この子の場合はお腹から来る。この子の場合は呼吸器か
ら来る。このような情報を共有すればいいのではないか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上講演メモ終わり


以下は、前回投稿の、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲です。
http://jemta.org/index_140503.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆 エピネフリン(エピペン)を打つタイミング]
[林先生は、全身蕁麻疹があり、かつ、ABCDのうちどれかの症状があればエピネフリンを
[打てと言われています。また、蕁麻疹だけの場合はエピネフリンは不要だと。

[■以下は、薬物によるアナフィラキシーショックの時系列の例です。
[【症例】20歳代女性
[     (出典: 厚労省H19重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシーP26)
[             http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4h.pdf
[近医で気管支炎の診断にて抗菌薬、セフジトレン・ピボキシルが処方され(現在は
[カゼインを含有していない)、内服したところ20分後に全身蕁麻疹が出現しため受診。
[抗菌薬によるアナフィラキシーを考え、クロルフェニラミン(5 mg)の点滴を開始した。
[抗菌薬内服45分後に喘鳴が出現し、SpO2(room air)85%、収縮期血圧89 mmHgとなり
[アナフィラキシー・ショックの治療のため、直ちに酸素投与(マスク6L/分)、
[アドレナリン 0.3 mg筋注、生理食塩水500 mL(10分)と同時にメチルプレドニゾロン
[40 mgの点滴投与と塩酸プロカテロール 0.3 mgを吸入させた。内服55分後には、
[SpO2(マスク6 L/分)93%、血圧110 mmHgとなり、以後、乳酸リンゲル 500 mL/時間の
[持続点滴し、抗菌剤内服120分後には、蕁麻疹は消退傾向で、喘鳴は消失し、
[SpO2(鼻カテーテル2 L/分)98%、血圧120 mmHgまで改善し、内服180分後には、呼吸、
[循環状態は改善した。

140503_anaphylaxy.jpg


[この例で、抗菌薬によるアナフィラキシー症状は、まず蕁麻疹が先に表れています。
[次に、喘鳴が現れ、SPO2(血液中の酸素飽和度)と血圧が急に下がっています。この例で
[はアドレナリン(エピネフリン:エピペンと同じ)と輸液の治療介入により、その5分後
[くらいから、SPO2と血圧は改善し始めます。

[日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」では、
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす

[上記のアレルギー学会の指針でも林先生の講義と同じで、蕁麻疹がでたら打てとは書い
[てありません。アレルギー学会と林先生の指針を比較すると、
[消火器の症状=D、呼吸器の症状=A/B、全身の症状=C に相当すると思います。もし、
[学会の指針の、「消化器の症状」の項目が一番下に書かれていれば、上からABCDの順に
[チェックできるので、そのように並び替えて覚えておいた方が覚えやすいかもしれませ
[ん。

■Dr.林のアナフィラキシーのABCD
エピネフリンを早く使えというのは、一体どういう時か?

全身蕁麻疹+アナフィラキシーのABCD(以下のどれかがあれば…)
      A:Airway    喉頭浮腫
      B:Breathing  喘息
      C:Circulation ショック
      D:Diarrhea   下痢、腹痛

結局、アナフィラキシーの何を診たいのか? 全身の血管が腫れているかを診たい。死ぬ
のは、喉、肺、全身の血圧のC 、あとおなかの中の血管も腫れているかどうかを診るのも
大事。「おなかが痛い」とか、「下痢してきた」という場合は、実はただの蕁麻疹だけで
はなくて、おなかの中の血管も腫れているという事。この時は筋注の適用だと思った方が
いい。比較的早めに使う。本当に蕁麻疹だけでそれほどたいしたことはない場合は、
エピネフリンはいりません。上記の図でABCDにひっかかる、全身の蕁麻疹があった場合は、
エピネフリンを筋注でオーダーすることがすごく大事。なるべくでかい筋肉に0.3m筋注。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲終わり。


■3.最後に
林寛之先生の講義で、エピネフリンを使うタイミングは、全身蕁麻疹にプラスして、
アナフィラキシーのABCDのどれか一つ症状があれば、エピネフリンを打てということでし
た。(つまり、細かな議論では、皮膚症状があることが前提条件となっています)

但し今回の亀田誠先生の講演にあった図1の卵による食物アレルギーの症状では、全体で
も、約40%に皮膚症状は表れていません。また図2の小麦アレルギーの場合は、全体の20%
には、皮膚症状が表れていません。
この場合は、林先生の指針ではエピネフリンの適用にあてはめることはできないと考えら
れます。林先生はこれまでのご経験から、アナフィラキーには蕁麻疹症状が多いので、こ
のように講義されたと思いますが、アナフィラキシーを食物アレルギー領域まで敷延して
考えれば、日本小児アレルギー学会が出している指針通り、
『皮膚症状の前提条件にとらわれることなく、アナフィラキシーのABCDの症状が一つでも
あれば、すぐにエピネフリンを適用する』とするほうが適切ではないかと考えられます。

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posted by jemta at 18:35| 日記

2014年05月03日

林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモ



本記事のURL
http://jemta.org/index_140503.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

■1.初めに
2012年12月20日に東京都調布市立富士見台小学校で、食物アレルギーを持つ5年生の女児
Sさんが、給食の配膳後に担任から「食べる人いない?」と案内されたおかわりのチヂミ
を、チーズ入りとは知らずに誤って食べて、アナフィラキーショックをおこし、本人が、
「先生、気持ちが悪い」と訴えた14分後に、校長がエピペンを打ちましたが、結局、搬
送先の病院で亡くなるという事故がありました。未来のあるちいさなお子さんが亡くなっ
たことを知った時は何故そのなったのかと非常にショックを受けたことを覚えています。
http://www.city.chofu.tokyo.jp/www/contents/1363069358235/

これまで、このヘルスケア通信でも、エピペンに関わる記事を投稿してきました。
・文科省、児童らへのアレルギー対応ガイドライン(教職員のエピペン使用)公表
  http://jemta.org/index_080426.html
・仮説:エピペンをズボンの上から打つ時はポケットの中身をだしてから
  http://jemta.org/index_100312.html
・『給食でのアレルギー事故から どう守る』 米国での誤食防止・エピペン最新事情
  http://jemta.org/index_130603.html

アメリカでは労働省のOSHAが一定規模以上の企業には一定の安全管理担当者を置き、担当
者にAHAのファーストエイド講習を受けることを義務付けており、ファーストエイドコース
の中でエピペンの使用を含むアレルギーの応急対応もできるように、制度化されています。
ファーストエイドコースでは講義とエピペントレーナーを使った実技訓練をしています。
日本では本人が打てない時に、処方された本人や家族以外にも、学校や幼稚園の職員が代
わって打つことは、反復継続の意思がないことから、医師法には反しないとの解釈が出さ
れ、エピペンの研修を受け、訓練されている職員もおられます。救急救命士も救急救命処
置範囲の改正により、処方された本人に代わって打つことができるようになっています。
尚、処方する側の医師は PfizerPROのHPなどから、エピペン処方の講習と登録をすれば処
方できます。歯科医の先生方は患者さんに処方することはできませんが、同様の講習と登
録をすれば、クリニックにエピペンを常備でき、局所麻酔時のアナフィラキーショック等
に対応できます。
米国のファーストエイドでは、医療機器や薬は使わないことが前提ですがAED とエピペン
とアスピリン(急性冠症候群(ACS)時)の3つだけは別です。BLSやACLSだけでは緊急時に人
を救うことができません。心停止になる前のファーストエイド(応急手当)が必要です。
(AHA ファーストエイドコース http://jemta.org/fa.html

厚労省の人口動態統計によると日本のアナフィラキシーによる1年あたりの平均死亡者は
薬物=27人/年、蜂毒=17人、食物=5人、血清=0.5人、不明=10人(平成18〜23年)であり、
薬物によるものが最も多いです。死亡せずに治癒した人は、年間5000〜6000人です。
又、アレルゲンによる心停止までの平均時間(中央値)は、
薬物=5分、蜂毒=15分、食物=30分となっています。
緊急時に落ち着いて対処するには、事前に、アナフィラキシーのことをよく理解しておく
ことが必要です。


■2.林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモ
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CareNet>連載企画>CareneTVチャンネル>名作チャンネル(無料視聴)
 Dr.林の笑劇的救急問答 [Season1]
 第3回 落としアナいっぱい!アナフィラキシーショック
 http://www.carenet.com/report/carenetvch/carenetv_ch2.html
 (視聴するには、無料の会員登録が必要です。)

本投稿は、福井県立病院 救命救急センター 林寛之先生の講義(研修医向け)のメモです
[☆尚、本メモは一部加筆しています。]
尚、林先生のDVDは購入も可能。(今回の分は救急問答7<上巻>にも収録されています)
https://www.carenet.com/fullsearch?type=dvd&sort=f&bt=&kw=Dr.%E6%9E%97
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■アナフィラキシーの語源
ギリシャ語のana(反対 against)+phylax(保護 protect)
体の免疫状態が保護できない状態にある。

Anaphylaxy vs Anaphylactoid reaction
アナフィラキシーと類アナフィラキシー反応

アナフィラキシー:
抗原と肥満細胞固定抗体が主にIgEと結合して開始される。
IgEを介して、IgEにくっついて、肥満細胞から、Histamine(ヒスタミン),ECF-A,HMW-NCF,
tryptase,kallikrein,PAF,arachidonic acid metabolites,prostaglandin D2,adenosine
などが出る。

[☆加筆]
■肥満細胞:
肥満細胞(ひまんさいぼう)は哺乳類の粘膜下組織や結合組織等に存在する造血幹細胞由来
の細胞。ランゲルハンス細胞と共に炎症や免疫反応などの生体防御機構に重要な役割を持
つ。この肥満という名称は、“肥満”とは関係が無く、膨れた様が肥満を想起させるので
つけられた。顆粒細胞(mast cell:マスト細胞)とも呼ばれる。
[☆]

Anaphylactoid reaction:
IgEを介さずに開始される反応
IgEを介さずに直接、肥満細胞(粘膜下組織や結合組織等に存在する造血幹細胞由来の細胞)
や好塩基球(白血球の一種。血液中に極少量含まれている。大型の顆粒をもつもの)
Anaphylactoid reactionで有名なものは、造影剤によるショック。

■アナフィラキシーの原因
・食べ物、ピーナッツ、魚介類、卵、果物、穀類、そば
・蜂、蛇、蟻(あり)などの毒
・薬剤、ペニシリン、NSAIDs、抗癌剤、プロタミン、局所麻酔
・環境因子:ハウスダスト、花粉
・まむし抗毒素
・ラテックス
・その他:寒冷、温熱、光

■類アナフィラキシー反応の原因
・薬剤:麻薬、アリチル酸、NSAIDs
・放射線検査用造影剤
・プロタミン
・運動

Rusznak C, et al,Anaphylaxis and anaphyiactoid reactions.
Postgraduate Med 2002,111(5) 101-114
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/12040857

日本はピーナッツアレルギーは少ない。外国の場合は、小さい時からピーナッツバターを
塗って使っているので多い。日本はそばアレルギーは結構多い。修学旅行で信州に行って
蕎麦屋の前でふーっと倒れる例もある。じゃがいもみたいに顔が腫れあがって、毛穴がぶ
つぶつと引っ込んでしまう腫れ方をする例など。医療従事者はスタンダードプリコーショ
ンで手袋をしているので、ラテックスアレルギーが増えている。アナフィラキシーと
類アナフィラキシー反応は治療は同じ。

[☆加筆 ■ヒスタミン(C5H9N3):]
普段は細胞内の顆粒に貯蔵されており、細胞表面の抗体に抗原が結合すると細胞外に放出
される。血圧降下、血管透過性亢進、平滑筋収縮、血管拡張、腺分泌促進などの薬理作用
があり、アレルギー反応や炎症の発現に介在物質として働く。
[☆]

ヒスタミンの受容体(受容体は3つある)
・H1 血管透過性↑、平滑筋収縮、PG↑
・H2 血管透過性↑、胃酸分泌↑、ヒスタミン分泌↑、サプレッサーリンパ球刺激
・H3 中枢神経、末梢神経伝達物質抑制、ヒスタミン遊離抑制
普段使う抗ヒスタミン剤はH1ブロッカー、胃潰瘍に使うのはH2ブロッカー、抗ヒスタミン
剤を飲むとと眠くなるのはH3の作用。


■アナフィラキシーでどうして死ぬのか?
救急のABC
・喉頭浮腫 Airway (気道がふさがる
・呼吸不全 Breathing (喘息、換気ができない
・ショック shoCk   (血管が拡がって、水が血管から出てて行く。distributive shock
           血液分布異常性ショック。循環が悪くなる)
上記の3つで死ぬ。ということは、「先生、すいません。蕁麻疹です」と言ってきた場合
に、じんましんの治療だけするのではダメで、皮膚の血管だけではなく、中の血管も腫れ
ているのかどうかを調べるのが大事。喉の血管が腫れてつまらないか、肺の血管が腫れあ
がって気管の浮腫ができて息ができなくならないか、全身の血管が拡がってショックにな
らないか。

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[☆加筆 喉頭浮腫]
[咽頭(いんとう)上咽頭 鼻の奥でのどの上。口から直接見えない
[       中咽頭 口をあけた時に見える場所。扁桃腺、のどちんこの向こうが後壁
[       下咽頭 口から直接見えない。のど仏の後ろ側。食堂入口。

[喉頭(こうとう)咽頭と気管の間の部分
[       咽喉から気管に至る部分。中ほどに声帯がある。
http://www.raijin.com/kenko-tsushin/kenko00170jp1.html

[喉頭浮腫(こうとうふしゅ)
[「喉頭浮腫」は、いわゆる「のどぼとけ」に相当する部位にあたる喉頭の内部の粘膜がはれ
[       呼吸が障害される病態であり、医薬品によって引き起こされることがあり
[       ます。喉頭浮腫は咽頭炎や扁桃腺炎など、のどの炎症に続発しやすく、こ
[       れらの症状を併せ持ちます。
[咽頭と喉頭は、上気道に属します。

[PALSコースで、息を吸うとき(吸気)に喘鳴(ぜいめい)が聞こえるのは、鼻から上気道まで
[の間に狭窄部位があるため、息を吐くとき(呼気)に喘鳴(ぜいめい)が聞こえるのは
[下気道の圧迫や狭窄があるためと習うと思います。その理由は、吸気では、上気道内が陰
[圧になるので狭窄するが、下気道は胸腔内圧が陰圧のため広がる。呼気ではその逆で、上
[気道内は陽圧になるので広がるが、下気道は肺の弾性力によって狭窄するためです。
http://med.atsuhiro-me.net/2013/06/blog-post_16.html
[林先生は、CASETの寸劇で、
[A初めに、患者さんに息がつらくないかを聞かれた後、口の中(口蓋垂? )をペンライト
[ をあてて、息を吸わせて、診ておられました。
[B次に聴診器を胸にあてて、患者さんに大きく息を吸ってフーッと大きく息を吐かせて
[ 胸の音を聞いておられました。(左胸と左胸の2回)もし下気道(肺の気管支)が狭窄
[ していれば、吐くときに異常音が聞こえるはずだと思います。
[Dその次にお腹がいたくないか/下痢をしていないと症状を聞かれていました。
[C次に看護師さんに血圧を聞いて、再度測るよう指示しておられました。
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■喉頭浮腫はどうやって診るか?(喉頭浮腫の臨床所見)
くちびるがタラコになっているか否かはあまり関係ない。
・後咽頭浮腫(口をア〜ンと開けてと言った時に喉の奥が腫れていないか)
・口蓋垂浮腫(のどちんこが腫れていないかどうか)
・のどの締め付け感
・嗄声(させい) (かれ声、しわがれ声)

■アナフィラキシーの治療
・エピネフリン
・輸液
・抗ヒスタミン H1 & H2
・ステロイド
   ハイドロコルチゾン 100〜500mg
   メチルプレドニゾロン 125〜250mg
   プレドニゾロン 1mg/kg

蕁麻疹の治療が圧倒的に頻度が多いので、蕁麻疹の治療に慣れていると、抗ヒスタミンや
ステロイドを使う、のんびとした治療に慣れている人が多い。しかし、目の前で死んでし
まうような人、例えばエアウェイがやられる人、ブリージングがやられる人、
サーキュレーションがやられる人は急激に悪くなる。やられてしまうのにかかる時間はど
れくらいか?。多くの場合アナフィラキシーで心肺停止に至るのは約30分〜1時間以内。
三重県の会社員が蜂に耳たぶを刺されて5分で心停止になった。血流がいいところは、要
注意。時間的に早い。診ているうちにあっという間に亡くなる。血管がワーッと拡がって
しまう。戦う一番大事なのはエピネフリン。血管が拡がってしまうdistributive shockで
あるから拡がるボリュームを戻してやる輸液が大切。エピネフリンと輸液はあわてないと
いけない。

■抗ヒスタミンはどれくらいで効いてくるか?
4時間くらいかかる。ステロイドも4時間くらいかかる。1時間から効いてくるが、
ピークは、4〜6時間。効いてくる時間を例えると、エピネフリンはジェット機、
抗ヒスタミン剤は自動車、ステロイドは人力車。

■何故エピネフリンはいいのか?
アドレナリン受容体(Adrenergic receptor )とは、アドレナリン、ノルアドレナリンを始
めとするカテコールアミン類によって活性化される Gタンパク共役型の受容体である。
主に心筋や平滑筋に存在し、脳や脂肪細胞にもある。

α1受容体:血管収縮、粘膜浮腫軽減
α2受容体:インスリン分泌低下、ノルエピネフリン分泌低下
β1受容体:心収縮力増強、脈拍増加
β2受容体:気管支拡張、脱顆粒抑制、血管拡張、糖新生

*脱顆粒……肥満細胞の中にはヒスタミンなどがあり、細胞表面のIgEに抗原が結合すると
その内容物であるヒスタミンなどが放出されること。
心収縮力増強、血管収縮、粘膜浮腫軽減は、皆さん頭に入っていると思うが、実は、肥満
細胞(マストセル)から脱顆粒を抑制する。根っこの部分で、ヒスタミンがでてくるのを抑
える。抗ヒスタミン剤というのはレセプタのレベルで今起こっている反応を抑えるが、基
の肥満細胞や好塩基球からヒスタミンが出るのを抑える薬がエピネフリン。

■エピネフリンが効かないのはどういう時か?
・エピネフリン投与が遅れた場合……呼吸症状やショックが悪くなるのを待ってはダメ
 (一番大事。ヒスタミンとステロイドで様子を見ようとしているとすぐに悪くなる。
  悪くなってからエピネフリンを打っても効かない。早いうちに使わないといけない)
・アナフィラキシーの進行が速すぎる場合……間に合わなかった!
・エピネフリンの投与量が不十分な場合……繰り返し必要な場合がある。
 (1回投与で良くなる思っていると大間違い。2回、3回と必要な場合もある。大体、
  2回くらい。)
・筋注ではなく皮下注した場合……吸収が遅くて間に合わない!
 (よく教科書にも皮下注と書いてあるが、皮下注は効果が遅い。皮下注は血管を収縮さ
  せるため、吸収が悪く、効果発現が遅くなる。)
・患者が立位の場合……立位では静脈還流が減る
 (これが本当かどうか、僕にはよくわからない。)
・薬剤が期限切れの場合……薬効の低下
 (一般の方が持ち歩くエピペンは1年ちょっとたつと期限切れになる。また、診療所に
  ストックしておいて期限切れになることもある。)
・β遮断薬(降圧薬/狭心症状予防薬)やα遮断薬(高血圧治療/排尿障害治療)、 ACE阻害薬
 を服用している場合。
 (一番上の投与が遅れた場合とこの場合は覚えて下さい。βブロッカー、αブロッカー
  ACE-inhibitor(心臓の収縮が落ちている)を飲んで場合は、やはり交感神経の
  カテコラミン系は効きにくい。その時にアナフィラキシーがどんどん悪くなってくる
  場合は、エピネフリンだけでは戦えないことがある。

■エピネフリン
・タイミングが命! 早期につかうべし 遅いのはダメ!
・◎筋注 0.3〜0.5mg 10〜20分後効果判定
  (僕は15分たったら待ちきれないので次を使ってしまう)
   必要なら繰り返す
・×皮下注はダメ。めちゃくちゃ遅い!
・△静注0.1mgずつ 心肺停止、重症ショックで難治になる例あり。
 (実は、静注するのは本当にヤバい時以外はやめといた方がいい。血圧はふれるという
  時に静注すると、ヒドイ目にあうことがある。エピネフリンを10倍にのばして、その
  1/10ずつ使う。結局0.1mgずつ使う。0.1mgちょっと静注して、効かないので、時間が
  たつのでもう効いているはずだと思ってもまだ効かない、血圧低いという時に、もう
  一回使おうと0.1mg追加して、合計で0.2mg使ったら、使った瞬間、血圧が急に200に
  なったり、脈拍が 200にあがったりすることがある。そのような経験がある。あと、
  基礎疾患にもよる。虚血性心疾患を持っている人の場合は、やはり静注はこわい。
  筋注は5分以内に効いてくるわけなので、筋注でいい。脈がふれる場合は筋注。静注
  はよほどの場合でないと、コントロールされた環境で使うべきだと思う。

■筋注は肩の筋肉がよいのか、大きい大腿(だいたい)の外側広筋(がいそくこうきん)がよ
いのか?
調べたスタディでは、外側広筋の方が吸収がよかった。日本の場合は、殿筋(でんきん:
お尻の筋肉) も使う。殿筋もでかい。でかい筋肉の方が吸収がいい。患者さんがズボンを
おろすのを嫌がった場合に肩に打つと吸収が遅い。筋肉がでかい方が血流がよいから吸収
が早いのを知ってた方がよい。お尻の筋注でズボンをガバッとおろす人がいるが、あまり
おろさなくても十分できる。
エピネフリンは、タイミングが命だというのは以下にあるのでぜひ読んでおいて下さい。
非常にいいレビュー
Adrenaline in the treatment of anaphylaxis: what is the evidence?
BMJ 2003 327 1332-1335
http://www.bmj.com/content/327/7427/1332

蜂さされの文献は以下にある。これもぜひ読んで下さい。
Freeman TM Hypersensitivity to hymenoptea strings
N Engl J Med 2004 351(19) 1979-84
http://navyemergencymedicine.com/wp-content/uploads/2010/01/Hymenoptera-stings.pdf

■Dr.林のアナフィラキシーのABCD
エピネフリンを早く使えというのは、一体どういう時か?

全身蕁麻疹+アナフィラキシーのABCD(以下のどれかがあれば…)
      A:Airway    喉頭浮腫
      B:Breathing  喘息
      C:Circulation ショック
      D:Diarrhea   下痢、腹痛

結局、アナフィラキシーの何を診たいのか? 全身の血管が腫れているかを診たい。死ぬ
のは、喉、肺、全身の血圧のC 、あとおなかの中の血管も腫れているかどうかを診るのも
大事。「おなかが痛い」とか、「下痢してきた」という場合は、実はただの蕁麻疹だけで
はなくて、おなかの中の血管も腫れているという事。この時は筋注の適用だと思った方が
いい。比較的早めに使う。本当に蕁麻疹だけでそれほどたいしたことはない場合は、
エピネフリンはいりません。上記の図でABCDにひっかかる、全身の蕁麻疹があった場合は、
エピネフリンを筋注でオーダーすることがすごく大事。なるべくでかい筋肉に0.3m筋注。

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[☆加筆 エピネフリン(エピペン)を打つタイミング]
[林先生は、全身蕁麻疹があり、かつ、ABCDのうちどれかの症状があればエピネフリンを
[打てと言われています。また、蕁麻疹だけの場合はエピネフリンは不要だと。

[■以下は、薬物によるアナフィラキシーショックの時系列の例です。
[【症例】20歳代女性
[     (出典: 厚労省H19重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシーP26)
[             http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4h.pdf
[近医で気管支炎の診断にて抗菌薬、セフジトレン・ピボキシルが処方され(現在は
[カゼインを含有していない)、内服したところ20分後に全身蕁麻疹が出現しため受診。
[抗菌薬によるアナフィラキシーを考え、クロルフェニラミン(5 mg)の点滴を開始した。
[抗菌薬内服45分後に喘鳴が出現し、SpO2(room air)85%、収縮期血圧89 mmHgとなり
[アナフィラキシー・ショックの治療のため、直ちに酸素投与(マスク6L/分)、
[アドレナリン 0.3 mg筋注、生理食塩水500 mL(10分)と同時にメチルプレドニゾロン
[40 mgの点滴投与と塩酸プロカテロール 0.3 mgを吸入させた。内服55分後には、
[SpO2(マスク6 L/分)93%、血圧110 mmHgとなり、以後、乳酸リンゲル 500 mL/時間の
[持続点滴し、抗菌剤内服120分後には、蕁麻疹は消退傾向で、喘鳴は消失し、
[SpO2(鼻カテーテル2 L/分)98%、血圧120 mmHgまで改善し、内服180分後には、呼吸、
[循環状態は改善した。

140503_anaphylaxy.jpg


[この例で、抗菌薬によるアナフィラキシー症状は、まず蕁麻疹が先に表れています。
[次に、喘鳴が現れ、SPO2(血液中の酸素飽和度)と血圧が急に下がっています。この例で
[はアドレナリン(エピネフリン:エピペンと同じ)と輸液の治療介入により、その5分後
[くらいから、SPO2と血圧は改善し始めます。

[日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」では、
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消火器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす

[上記のアレルギー学会の指針でも林先生の講義と同じで、蕁麻疹がでたら打てとは書い
[てありません。アレルギー学会と林先生の指針を比較すると、
[消火器の症状=D、呼吸器の症状=A/B、全身の症状=C に相当すると思います。もし、
[学会の指針の、「消化器の症状」の項目が一番下に書かれていれば、上からABCDの順に
[チェックできるので、そのように並び替えて覚えておいた方が覚えやすいかもしれませ
[ん。

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■救急の大原則
危ない薬は医師が自分で打つこと。(口頭指示で人に頼むのはダメ!)危ない薬は全部自
分でつめて自分で打つ。これはクセにして下さい。医療事故を防ぐためにも。すごく大事
な薬ですから口頭指示ではなく、自分で打つ。

■Monophasic(単相)? Biphasic(2相)? Protracted(長期化)?
・5〜20%は二峰性
・ステロイドは必ずしも遅発反応を予防できるとは限らない。
・喉頭浮腫は二峰性で40% 、遷延性で57% に認めたという報告もあり
・6〜8時間経過観察を。重症例は24時間。

アナフィラキシーの反応は文献によって言い方が違う。二峰性(ふたこぶラクダ)になって
くる。今の反応がおさまったと思ってもまたあとででてくる場合が5〜20%ある。又は1/3
くらいあると言われている。ステロイドは、今の反応を抑えるのではなく、4〜6時間後
の後の反応を抑えるために使う。または遷延性の長い慢性の蕁麻疹の反応の場合は
ステロイドはよい。今目の前の蕁麻疹を治すため・今の目の前のアナフィラキシーを治す
ためのステロイドの有用性は実は疑問である。では使ってはいけないのか?二峰性のもの
があるわけだから、使ってもよい。後の反応を抑えるのが大事。
喉頭浮腫は二峰性で40%に出現する 、遷延性で57% に認めたという報告もあるので、喉頭
浮腫も後からでてくることがある。だから全身性のひどい、強い症例はやっぱり経過観察
しないといけない。普通の二峰性の蕁麻疹は6〜8時間看ればよいが、ショックになったり、
喉頭浮腫など、すごい呼吸不全まできた症例は、やはり必ず24時間経過観察しないといけ
ない。抗ヒスタミン剤やステロイドは、2こぶラクダの2つめのコブを抑えるための薬だ
ということを頭に入れておかないといけない。経過観察の時間は知っておいて下さい。す
ごい悪かったアナフィラキシーの患者を帰すことはやめて下さい。

■難治性のアナフィラキシー
・エピネフリン、輸液、昇圧剤を使っても血圧が上がってこない!
・カテコールアミン抵抗性ショック!
 ☆グルカゴン
  =>β遮断薬使用中
  =>難治性ショック
  1〜5mg 静注

目の前のアナフィラキシーを治すためにやっぱり一番大事なのはエピネフリン。そして、
輸液も大事。それでも効かなかったら、カテコラミン(昇圧剤)を使いますよね。それでも
血圧が上がってこない。

・カテコラミンが効かない時は、何を使うか?
グルカゴンを使う。
[☆体内では、低血糖時に分泌され、貯蔵燃料を動員するホルモン。インシュリンの逆。]
グルカカゴンがなぜ効くのか?これは、交感神経を介さずにサイクリックAMP(cAMP) を増
やして効く。cAMPを増やすことによって心筋の収縮力を上げる。難治性のショックの時に
使う。エピネフリンが全然効かない時に使う。
βブロッカーを飲んでいる時はエピネフリンは効かない。それから何しても効かない場合
は試してみる価値がある。一投1mg 。1mg 使ってみる。効かなかったらもう一回使ってみ
る。ダメだったらもう一回使ってみる。効いてきたら、今度は状況によっては持続点滴で
1時間1mgとか、1時間5mgくらいのペースで点滴する。結構高い薬。(薬価2381円?) お金
のことも大事ですので考えておきましょう。

■蜂刺症
・蜂毒 50μg  致死量1500回
・アナフィラキシーは少量で発症
 2回目でアナフィラキシー 35〜60%↑
・毒袋は潰さないように取る!
・50回以上刺されたら、遅発性中毒+
 24時間観察を → 腎不全、肝障害、横紋筋融解症、DIC()

Kolecki P.,Delayed toxic reaction following massive bee envenomation.
Ann Emerg Med. 1999 Jan;33(1):114-6.
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(99)70428-2/abstract

こんなことを知っていなくてもいいのだが、蜂は1回に50μg の毒が出る。これではすぐ
には死なない。アナフィラキシーが起こらない、アレルギーを持っていない人なら、1500
回刺されないと死ぬことはない。しかしアレルギー反応を持っている人は微量でも反応が
出る。1回目刺されてある程度反応が強かったという人は、2回目刺されてちょっと腫れ
るだけでもアナフィラキシーになる人が実は半分近くいる。35〜60% と言われている。な
りやすい人は何回も刺されるとどんどん悪くなる。予防がすごく大事。医師が「毎回治し
て俺は偉いなぁ」と思っていてはダメ。その人が次に刺されたらもっと悪くなる。それを
なんとかしなくてはいけないことを考慮しなければならない。
あと蜂(ミツバチ)は毒袋を残して逃げていく。刺された所を見ると毒袋と黒い針が残って
いる。
毒袋の筋肉はヒコヒコと動いている。毒袋にはまだ毒が残っている。それを抜くときに、
指で毒袋をつまんでジュッと毒を押して針を抜くと、余計反応が強くなる。絶対にそのよ
うな事をしてはいけない。昔の救急の教科書には「クレジットカードを出して、そぐよう
にして取りましょう」と書いてある。本当か否か疑問である。刺されて気が動転している
時に財布からクレジットカードを出すのは時間がかかるのではないかと思っていた。
Lancetに載っていた面白い研究があった。実際にクレジットカードを出して針をとった人
とつぶさないように指ではじいた人とどちらが効くか、ボランティアの大学生を使って調
べた研究。こういうスタディをぜひしてみたいものだ。早く取った方がやっぱりよかった
との結論。あたりまえだ(笑)。
これは、アナフィラキシーとは関係ないが50以上刺されると結構毒が入るので、遅発性の
中毒が起きる。何が起きるかというと、腎不全、肝障害、横紋筋融解症と結構こわいのが
起こってしまう。山ほど刺された人は、アナフィラキシーを別にして、毒の中毒がおきる
ことを注意する必要がある。(文献参照)

■蜂 Tips 蜂が嫌う、好む服は?
・服装
 ×黒、×花柄  ○白
・匂い
 ×香水、×匂いの強い果実、×発酵飲料、×アルコール
・エピペン ……携帯用
  1ドーズ 0.3mg
  キャップをはずし、大腿外側に刺入
  基本的に使い捨て

蜂がいるかもしれない山にピクニックに行くときに、どんな服装がよいか? 黒と花柄は
ダメ。黒は熊と間違えられる。熊は蜂蜜が好きだから、蜂の巣を狙う。だから蜂としては
熊はイヤ。だから熊を襲う。黒はダメ。花柄は蜜を集めたいから寄ってくる。だから白っ
ぽい服がよい。
匂いは、当然だが、匂いがいいとダメ。香水とか、匂いの強い果実、発酵飲料、
アルコールという匂いをプンプンさせて歩いてはダメ。
先ほど言ったが、蜂に刺されてアナフィラキシーになる人は、刺されるたびに、どんどん
悪くなる。病院に行くまで間に合わない時のためにエピペンがある。これは医師の処方が
必要。エピペンを打つとちょうど0.3mg 出る。ペン型でキャップを外し、先端の黒い所を
大腿の外側にポンとあてると、針が出る。針は22ゲージ。結構太い。1.7cmくらい出る。
医療者がこのことを知っていると「おぉこわい」と思ってしまう。
どうでもよい知識だが、中の薬液(エピネフリン)は2cc入っている。そのうちの0.3mgがは
いる。一回使ったら再使用(リユース)はできない。使ったあとは捨てるしかない。1回だ
けで効かない人がいるので2本処方されている人もいる。分解して使ったらいいじゃない
かというと、業者さんは「そう簡単には分解できませんよ」と言っていた。もし分解して
1.7ccとったものを飲んだらいいかというと、飲んでも効かないというデータがあるので、
分解しないで下さい。無駄な知識でした。

[☆加筆 蜂が毒針を刺した瞬間の写真と動画
[以下のページに、@蜂が針を刺した後に逃げる写真、A腕に毒袋と針が刺さった写真、
[B実際に刺した毒袋と針が抜ける瞬間の動画があります。
[ http://www.gekiyaku.com/archives/8920526.html

■その他のアナフィラキシー
・食品 → 1/3が二峰性に
  注意:scombroid fish poisoning(サバ科の魚中毒)はアレルギーじゃない。
  サバ科の魚に含まれるヒスタミン類似物質によりアナフィラキシー様症状を起こす場
  合がある
・ラテックス
  医療関係者 日本は1.7%(+アトピー3.6%) 二分脊椎症患者↑
  食べ物にも:アボカド、キウイ、バナナ、くるみ
  oral allergy syndrome(OAS:口腔アレルギー症候群)を併発する場合がある。
・ジャンガリアンハムスター
  リポカリン……馬、牛、鶏、猫にも+

Kevin J Kelly, et al.,Latex allergy: a patient and health care system emergency.
Ann Emerg Med 1998,32,723-729
http://www.annemergmed.com/article/S0196-0644(98)70073-3/abstract

その他のアナフィラキシーについて。食品の1/3 が二峰性になる。よく「青魚を食べて
蕁麻疹でましたのでこれアナフィラキシーですね」と言われるが実はこれは違う。
scombroid fish poisoningと言って、サバとかサバ科の魚にはヒスタミンが入っている。
ヒスチジン(histidine:C6H9N3O2)というアミノ酸が入っており、細菌感染とかによって
ヒスタミンに変わってしまう。口からヒスタミンを入れれば当然蕁麻疹になる。これは、
アナフィラキシーではない。だいたい魚釣ってすぐ冷凍しない場合、室温に置いて温度が
上がると細菌が繁殖して、ヒスチジンがヒスタミンに変わってしまう。ヒスタミンをたく
さん飲んだ場合は、抗ヒスタミン剤やステロイドを使えばよい。ヒスタミンをたくさん飲
んだ中毒ということ。文献的にはアナフィラキシーだったら、他にプロスタグランジンが
でるはずだからそれを調べれば差がわかるとある。あと、ラテックス。我々は知っておか
ないといけない。医療関係者は多くなっている。ラテックスアレルギーの人は食べ物と
交差がある。Oral Allergy Syndrome と言って、食べ物を食べて口がかゆくなったり、腫
れたりする反応がでやすい人がいる。アボカド、キウイ、バナナ、くるみが食べれないと
いう先生はラテックスアレルギーがいるかもしれない。アボカドはアボガドではなく、
アボカド。点々が抜けている。また、舌をかみそうだが、ジャンガリアンハムスター。
ジャンガリアンハムスターは口の中にリポカリンというタンパクがある。これでなる。
2004年9月 に会社員がジャンガリアンハムスターに噛まれて、アナフィラキシーで死亡し
た例があった。これは動物を飼っている人には有名な話。

■まとめ
・Dr.林のアナフィラキシーのABCD
    Airway
    Breathing
   shoCk
    Diarrhea
・エピネフリンの使用法に強くなる
・薬の効果発現時期を知る。
    エピネフリン、輸液、抗ヒスタミン剤、ステロイドの使用法をマスターしよう   

まとめです。Dr.林のアナフィラキシーのABCDは絶対覚えて下さい。Airway喉頭浮腫、
Breathingがやられるもの、喘息みたいになっているもの、Circulation、ショックになる
もの、Diarrheaおなかが痛くなる、このような場合は、早期にエピネフリンを筋注で使っ
て下さい。筋注が一番。薬の効果発現時期を知って、エピネフリン、輸液、抗ヒスタミン
剤、ステロイドの使い方をぜひ覚えて下さい。裏ワザとしてエピネフリンが効かない場合
はグルカゴンもあるということを覚えておいて下さい。
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posted by jemta at 19:31| 日記

2014年05月02日

経済学雑誌に投稿された経済学者による生死観



本記事のURL
http://jemta.org/index_140502.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

温かくなり、山肌が一斉に若々しい黄緑に輝く季節になりました。一般社会は
連休の狭間で、後半のお休みに期待されてる方も多いかもしれません。

本投稿はこのブログの趣旨から少しはずれるかもしれませんが、ご興味とお時
間があればご覧ください。職種的に人の生死に立ち会う場面が多く、また、
心的なストレスを感じることが多い方にも以下の論文はご参考になるかもしれ
ません。


飯田史彦(福島大学経済学部助教授)「いきがい」の夜明け
福島大学経済学会・「商学論集 1995年9月 第64巻 第1号」
 PDF版(A4版30ページ)
  http://www.sol.dti.ne.jp/~sam/realaim/daybreak.pdf
 Web版(上記のPDFは字が小さいのでこちらの方が見やすいかも知れません。)
  http://www.sol.dti.ne.jp/~sam/realaim/Lifeindex.html

ご存じの方もおられるかもしれませんが、
この論文は蘇生科学者でもなく、特定の宗教関係者でもなく、元福島大学教授
の飯田史彦さんが1995年に出されたものです。

内容は、主に海外で、退行催眠によって語られた、自分が生まれる前の過去世
の体験証言を、第三者の研究者が追跡研究し、その証言が単なる虚言では説明
できない事、「死後の生命」や「生まれ変わり」が確かに存在することを検証
する近年の科学的研究成果を紹介したものです。
これらの研究は心肺蘇生法と同じで、まだ浅くここ半世紀くらいだと思います。


(以下は最終章等の一部抜粋)
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「死後の生命」や「生まれ変わり」に関する研究は、その科学的正当性の議論
とは別の次元で、研究成果の存在そのものが大きな社会的役割を有している。

私は、「死後の生命」や「生まれ変わり」に関する近年の科学的研究成果の内
容について、試みに、各所でそれとなく話しをしてみることにした。その結果、
その情報を伝えた人々が、目を丸くし、時には涙を浮かべながら、真剣に聞き
入ってくれることを発見した。ある経営者は、「それこそが私の求めていたも
のです。社員に何をしてもらえるかではなく、社員に何をしてやれるかという、
すっかり忘れていた問題意識がよみがえってきました」とうなづいた。また、
ある管理職は「ぜひ、部下ばかりではなく家族や知人にも教えてあげたい」と
目を輝かせ、ある学生は「これで何も怖くなくなりました。これからは下宿に
帰って一人きりでいても、寂しくありません」とよろこぶのであった。

臨死体験をした自殺未遂者は二度と自殺を企てようとはしないことがわかった。
その理由について、コネティカット大学医学部精神科のグレイソン教授は、
「死が終わりではない」ということを知った結果、あるいは、「何らかの理由
で自分は死後の世界から送り出されたのだ」と信じることからくる効果である
と分析し、この効果によって、人は自分自身をより許容するようになり、「自
殺が問題からの逃げ道にはならないのだ」という事実を知るようになると指摘
する。

「死後の生命」や「生まれ変わり」の仕組みを理解すると、全ての悲劇に貴重
な意味が生まれ、単なる不幸が成長への機会と変貌する。(中略)
数多くの退行催眠の事例をもとに、ブライアン・L・ワイス博士は次のような
結論を出している。「重い精神病や肉体的な欠陥などのように深刻な問題を持
つことは、進歩のしるしであり、退歩を意味しない。私の見解では、こうした
重荷を背負うことを選んだ人は、大変に強い魂の持ち主だ。最も大きな成長の
機会が与えられるからである。もしも、普通の人生を学校での一年間だとすれ
ば、このような大変な人生は、大学院での一年間に相当する。退行催眠をかけ
ると、苦しい人生の方がずっと多く現れてくるのは、そのためである。安楽な
人生、つまり休息の時は、普通はそれほど意味を持たないのである。」

また、まもなく死を迎える時、「死後の生命」や「生まれ変わり」の仕組みを
知っていれば、どれほど心安らぐことだろう。「死ぬ」ということは、ただ
「肉体」という衣服を脱いで取り替えるだけにすぎないこと、次にどのような
衣服を着るかは自分で選択できること、先立った懐かしい人々との再会が待っ
ていること、この世に残す家族はやがて自分が迎えに来ればよいことを知って
いれば、死の瞬間をどんなに大らかな気持ちで待つことができるだろうか。
「さて、次はどんな人生を計画してみようかな」と、洋々たる未来を想像する
ことができれば、死に際しても楽しい気分でいることができるに違いない。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

同様の参考文献
■池川明(産婦人科医)「子どもは親を選んで生まれてくる」
http://www.amazon.co.jp/dp/4531064070/
(上記HPで「なか見!検索」で一部、読めます)

この本は、上記のような検証はありませんが、産婦人科医である著者が実際に
患者さんのお子さんから聞かれた証言をまとめられています。生まれる前の記
憶を持つ子供から聞かれた事例が書かれています。

P170 赤ちゃんが亡くなると、医者は無力感に打ちのめされます。「命を救う
こと」だけを医者のミッションだと考えると、死は医者の敗北にすぎないから
です。
P182 100% 安全なお産は決してありません。その事実をどう受け止めるか?
お母さんも医者も生死観が問われています。そもそも命あるものは、必ず死を
迎えますし、その意味で死とは生の対極にあるものではなく、常に表裏にある
ものです。死をタブー視して忌み嫌うと真実の半分しか見えなくなってしまう
のだと思います。
P211 私たちは、なぜ生まれ、どこに還っていくのかという生死観が必要なの
です。

■NHKスペシャル超常現象 科学者たちの挑戦
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2014/0322/
http://www.nhk.or.jp/bs-blog/100/176720.html
https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014054673SA000/
生まれ変わりの子どもたち
−−−「前世はイギリス人だった。本当のお母さんに会いたい」そう話してい
たという日本人の少年。目元の涼しい、頭脳明晰(めいせき)な男の子です。
アメリカのバージニア大学では、2500例以上の生まれ変わり現象を記録してい
ます。

■五島勉『カルマの法則』1978年7月
http://www.amazon.co.jp/dp/4396310366
人が死んだらどうなるのか−−−1950年代の米国でニューヨークタイムズやラ
イフでも取り上げた話題、コロラド大学が調査を公表し、バージニア大学は20
年かけて2000例を調査し、『前世を記憶する20人の子ども』として大学出版局
から出版されたことなどが書かれています。

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posted by jemta at 16:29| 日記

2014年05月01日

心肺蘇生の新ガイドラインG2015のトピックス



本記事のURL
http://jemta.org/index_140501.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


■1.はじめに
ご存知のように
1960年に、初めて人工呼吸と胸骨圧迫と除細動の3つが統合され、
1974年に、AHAは、Guidelines for CPR and ECC(1974)を初めてJAMAで公表し、
その後、ERCと共同してILCOR組織を作り、
2000年にGuidelines 2000 for CPR and ECC(2000)が公表されました。
(日本も岡田先生らのご尽力により、RCAとして2010年から正式にILCORに加盟。)
http://jemta.org/index_ilcor.html

以降、国際コンセンサスと各国のガイドラインは2005年、2010年と改定され、
来年の11月に新ガイドラインG2015が出版される予定になっています。

G2010については、以前、ILCORのQuestions2010の項目名のみ和訳しました。
 ・原文の順序での和訳
   http://jemta.org/index_ilcor2010q.html
 ・TaskForce名(ACS,ALS,BLS,EIT,NRP,Peds)順序
   http://jemta.org/index_ilcor2010q_abc.html
  Questions2010の項目は全部で302個ありました。

項目だけでも膨大なので、この中の1個のタスクフォース
BLS-004B(パブリックアクセスのAEDプログラム)を選んで、和訳しました。
検索にヒットした論文をあげ、その一つ一つの論文に対して
レビューアーのコメントが書かれています。全部で56ページありました。
http://jemta.org/index_ilcor2010q_bls004b.html


■2.新ガイドライン2015のトピックス
以下は、3月に京都で行われた第7回日本蘇生科学シンポジウム(J-ReSS)の
参加メモです。

−−集中治療領域における蘇生科学の実践−−
会   長:氏家 良人(岡山大学救急医学)
実行委員長:野々木 宏(静岡県立総合病院)
実行委員 :一般社団法人日本集中治療医学会、非営利活動法人NPO救命おかやま

トピックス:2015年ガイドライン作成での論点
1.BLS
http://jemta.org/index_140327.html
2.ALS
http://jemta.org/index_140328.html
3.EIT
http://jemta.org/index_140404.html
4.ACS
http://jemta.org/index_140410.html
5.小児
http://jemta.org/index_140415.html
6.新生児
http://jemta.org/index_140417.html

教育講演:ガイドライン作成方法の潮流
1.なぜILCOR はGRADE (グレード)システムを導入したのか?
http://jemta.org/index_140418.html
2.ガイドライン作成に役立つGRADEシステム
http://jemta.org/index_140430.html


■3.最後に
JRC会長の岡田先生はこのシンポジウムの最後の挨拶で
・今度のCoSTR2015は、GRADEシステムで作成される。
・本J-Ressで発表された咽頭冷却装置
 http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1402/28/news136.html
 を初め、日本発論文の世界貢献に期待する。
との2点を強調されていました。

JRC岡田和夫会長の「第7回J-ReSS報告」
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20140311J-ReSS.pdf

尚、次回の第8回日本蘇生科学シンポジウム(J-RESS)は、
2015年6月4日(木)9:00-17:00、富山県民会館で行われるそうです。
http://www.med.u-toyama.ac.jp/tedm/top.html

また今回の小児のトピックスで最初に講演の予定だった
清水直樹先生(都立小児総合医療センター)ですが、
救命おかやまの第9回定時総会・記念講演会で
小児の心肺蘇生の特別講演として講演される予定だそうです。
2014年7月12日(土) 17:45-19:30
岡山プラザホテル 2F「吉備の間」
http://npo-ok.umin.jp/
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posted by jemta at 11:50| 日記