2010年11月14日

シカゴ G2010 AHA ECC インストラクターコンファレンス出席報告

こんにちは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

今、シカゴでこれを書いています。
American Heart Association Scientific Sessions Conference 2010
に出席するため、11/10-11/15の滞在予定でこちらに来ています。

一昨日の11/12は、2010 AHA ECC Instructor Conferenceに出席しました。

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■(1)会場の雰囲気
会場は全米最大のコンベンションセンターのマコーミックプレイスです。幕張メッセが2
つあるような展示場で、シカゴの街中からバスで20分くらいのところにあります。朝6:30
から受付開始、8:00セッション開始というスケジュールです。私は6:40くらいに着いたの
ですが、当日受付の人が 20mくらい行列をなしていました。事前登録していたのですぐに
バッチ、プログラム、CPR50周年記念のDVD(Hands on Time Celebrating 50 Years of
CPR)を受け取ることができました。全体セッション会場は、 1700席くらい用意されてい
ましたが、参加者は約700人との発表だったと思います。
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■(2)全体セッション
Circulation誌S619のAHA G2010のSenior Science Editorの欄のトップは、
Ms.Mary Fran Haziskiさんです。(中年の看護師さんです。)この方が全体セッションのス
ピーカーの一人で、登壇前の笑顔が印象に残っています。Maryさんは、前述の50周年の
DVDにも出演されておられます。この DVDにはCPRについて何も分からなかった時代から
のCPRの開発についての歴史が綴られており、普段当たり前のように認識しているCPRが
先人達の身を通した尊い研究によって開発されてきたことについて敬服した次第です。
さて、全体セッションですが、Instructor Conference の中でこれが一番ボルテージが高
かったと思います。従来のCPRでも、胸骨圧迫だけのCPRでも変わりがない例として、
SOS-KantoとOsakaの論文を引用され、これら日本の論文が与えた影響の大きさをまた感じ
ました。Maryさんのお話は救命できなかった事例も含めてハートに訴える内容でした。
AHAのECCトレーニングコースについては、インストラクターはトレニングセンターによる
サイエンスアップデートを受けて、来年2011の3月1日には、Interim Traning
Marerial(暫定のトレーニング教材)を用いて、新しいコースを始めなければならないとの
ことでした。

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■(3)インストラクターアップデートセッション
ACLSコースでは、そのスピーカーの一人はハワイから来られた看護師さんで親しみも感じ
ました。セッションでは「It's all about high quality cpr」が繰り返され、BLSの重要
性が強調されていました。

■C-A-B手順デモビデオ
BLSコースでは、はじめてAHAによるG2010 C-A-Bシーケンスのデモビデオを見ました。
ガイドラインの記述だけでは不明な所があったので、これが今回の渡米で一番の収穫でし
た。

・今回のガイドラインでは「見て、聞いて、感じて」の呼吸確認の手順は削除されました。
呼吸の確認は心停止の確認の一部として手短に行われ、その後ヘルスケアプロバイダーは
救急対応システムに出動を要請し、AEDをとってきて(または誰かに取ってくるよう依頼
して)その後(すばやく)脈拍を確認してAEDを使用するとなっています。
しかし、具体的に呼吸の確認は、見るか、聞くか、感じるかしかありませんし、この手順
が削除されたので、どのように確認するのか、反応の確認と同時進行で調べるのか、反応
の確認後に呼吸の確認をするのかがわかりませんでした。
会場で、この部分を動画を記録し、何度か見て解析しました。
このデモでは、
・反応の確認をした後に、呼吸の確認をしています。
 (インストラクターがコースで使う新しいG2010スキルチェックシートでは、反応の確認
 の項目と呼吸の確認の項目は別になっています。)
・呼吸の確認は胸があがっているかどうかを「見る」ことのようです。
 「見る」という行為から得られるアウトプットは、
 (1)胸が上がっている、(2)胸が上がっていない、(3)わからないの3種類です。
 (1)以外は、緊急コールをするということだと思います。
・脈の確認は、G2005のBLSコースでは、5秒以上10秒以内でしたが、
 G2010では、「ヘルスケアプロバイダーは脈拍の確認に10秒以上かけてはならず、10秒
 以内に脈拍が確認できないと確信できなければ、CPRを開始すべきである」となってい
 ます。
 このデモでは5秒で行っていました。

・このC-A-Bデモ映像での、各手順の時間は以下の通りです。
C-A-Bデモ映像 時刻 時間
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(1)反応の確認 0:00 2秒 □□
(2)呼吸の確認 0:02 3秒 □□□
(3)緊急コール 0:05 3秒 □□□
(4)脈の確認  0:08 5秒 □□□□□
(5)圧迫開始  0:14
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圧迫開始まで約 14秒

このビデオでは、裸のマネキンでしたので胸をはだける行為はありませんでした。また、
ポケットマスクの組み立てや取出しはなく、はじめからその場にある設定でした。
(ACLSコースのDVDのBLS1次サーベイのデモと同じセッティングです。)

G2005の BLS-HCPコースのDVDでは、救急隊のリサさんのCPRデモでは、傷病者の横にひ
ざまづいてから、胸骨圧迫を開始するまでの時間は46秒でした。

・もし、このリサさんがG2010でCPRを開始したとすると、現場で予想されるC-A-B手順で
の時間は以下のようになると思います。

C-A-B現場予想 時間
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(1)反応の確認  3秒 □□□
(4)呼吸の確認  3秒 □□□
(2)緊急コール  3秒 □□□
(6)脈の確認   5秒 □□□□□
(7)胸を肌蹴る  4秒 □□□□
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圧迫開始まで約 18秒

・リサさんの事例を使うと、救助者が傷病者の横にひざまづいて、胸骨圧迫を開始するま
での時間は、
G2005・・・46秒
G2010・・・18秒
です。前回11/9に投稿した見積もり例
http://jemta.org/index_101109.html
に従って計算すると、G2010はG2005に比較して、救命率は
3.3%高いという見積もり結果になりました。(LOE9?.です。(^_^;))

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■今後のG2010 AHA BLSヘルスケアプロバイダーコースでの教材
遅くとも来年2011の3月1日には、Interim Traning Marerial (暫定のトレーニング
教材)を用いての、新しいG2010コースを始まります。

・受講生の方の教材
 1. 2006 BLS HCP Student Manual(現在販売されているマニュアルです。)
 2. 上記マニュアルの正誤表
   http://jemta.org/BLS-HCP_Errata0909.pdf
 3. (オプション) 2010 ECC ハンドブック
 4.(オプション)2010 ガイドラインハイライト
   http://tinyurl.com/24tlpy7
 5.(オプション) 2010 Guideline for CPR ans ECC
   http://circ.ahajournals.org/content/vol122/18_suppl_3/

・インストラクターの教材
1. 2006 HLS HCP Instructor Manual
2. 2006 BLS HCP Course DVD
3. 2010 Guidekine Highlight(available at www.heart.org/cpr
4. 2010 AHA Guideline for CPR and ECC
5. 2010 BLS HCP スキルチェックシート
  (AHA Instructornetworkから入手できます。12月の6日の週以降)
6. C-A-B 手順のビデオ
  (AHA Instructornetworkから入手できます。12月の6日の週以降)
7. Obtain Interm Written Exam from Training Center Coordinator

以上です。
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posted by jemta at 23:40| 日記