New AHA Education Statement on Best Practices in Resuscitation Training
Highlights From the Resuscitation Education Science Scientific Statement
本記事は、限定公開です。著作権法の著作物の照会に関わらず、本記事を紹介するための
リンク等を禁じます。リンク可能なのは、著作者のみとします。
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本記事のURLの一例
http://jemta.org/index_180627.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
本記事は、題記の英語原本を和訳したものです。和訳が出ることはHPで予告されていたの
ですが、どれくらいかかるのかわからなかったので、自分で訳しました。しかし、訳した
後で既に、公式の日本語訳がでていることに気づきました。以下をご覧ください。
Resuscitation Education Science に基づく科学的な提言(公式和訳版)
https://cpr.heart.org/idc/groups/ahaecc-public/@wcm/@ecc/documents/downloadable/ucm_501753.pdf
上記が公式版で、重要です。
故に、本記事はあまり意味がありませんが、内容を比較すると、公式版とは違う所があり、
勉強になりました。これは、単に私個人の記録の為に記事にしたものです。
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New AHA Education Statement on Best Practices in Resuscitation Training
最も優れた蘇生トレーニングに関する新しいAHAの教育声明
http://Heart.org/EducationStatement
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■AHAによる本声明の要旨(トレーニングセンター向け)2018/06/21
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Dear AHA Training Network:
CPRの質の低下は損害をもたらしますが、AHAは、それは予防可能であると考えています。
私たちの狙いは、 2020年までに心停止からの生存率を2倍にするための救命の質と患者の
転帰の改善です。
我々は Circulation誌において、蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善するための教育
戦略をリリースしました。この声明では、教育における最良の訓練を検証し、蘇生に適用
し、心停止傷病者の生存率低下を招く訓練のギャップに取り組んでいます。
すべての訓練プログラムおよび蘇生インストラクターがこの資料の指針を実施する場合、
救命処置の基本の向上と心停止からの生存率の向上に役立ちます。
AHAの教育声明では、以下に定義する8つの重要な概念のトレーニングの改善のための提案
を提供しています。これらの概念は、すべての蘇生訓練プログラムに適用され、 AHAに限
定されるものではありません。
*マスタリー学習と熟考練習(学習者がスキルの習得を示すまでの練習)
*練習の間隔(短く、頻繁な学習セッション)
*状況学習(学習者が認知する「現実世界」の訓練経験を生かす)
*フィードバックとデブリーフィング
(内省とフィードバックのための構造化された機会の提供)
*評価(さまざまなツールを使用して、コース全体を通した能力を測定)
*革新的な教育戦略
(学習を定着化するためのゲーム感覚練習、SNS、デジタルプラットフォームを模索)
*教員養成(インストラクターの継続的なコーチングとトレーニング)
*知識の翻訳と実現(学習者のニーズに合わせた、現場対応のプログラム)
AHA は、教育的な要請を受け、この声明と推進の中で、この戦略を活用することを宣言し
ています。目下、CPRおよびECCコースには、現場状況への対応や観察可能な行動に基づく
標準的なパフォーマンスなど、8つの重要な概念のいくつかが含まれます。
今後数ヶ月で、私たちはトレーニングネットワークと協力して、これらのコンセプトを現
在のコースで強化していきます。
現時点では、AHA製品に変更はなく、新しい資料は必要ありません。
私たちは、今後も製品、コース、サービスを進化させ、改善していきます。
AHAの教育声明の詳細については、Heart.org / Education Statementをご覧ください。
このサイトには、「Circulation」の全文、教育声明文書のハイライト、FAQなどへのリン
クが含まれています。
生命を救うという使命に貢献するためにあなたがしているすべてのことに感謝します。
Sincerely,
AHA CPR & ECC
改良された蘇生教育の公式図

蘇生教育で重要な8つの要素と心停止蘇生の2020年の目標

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Highlights From the Resuscitation Education Science Scientific Statement
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■蘇生教育科学の科学声明ハイライト
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Cheng A, Nadkarni VM, Mancini MB, et al;
アメリカ心臓協会の教育科学研究者、アメリカ心臓協会の教育科学プログラム委員会、
心肺蘇生協議会、救命救急診療、周術期蘇生;心肺蘇生と脳卒中看護協議会、
治療の質と転帰協議会;のための蘇生教育科学:
心停止からの転帰を改善するための教育戦略:アメリカ心臓協会
[2018年6月21日 オンラインで公開] Circulation. doi:10.1161/CIR.0000000000000583.
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重要な知見の要旨
2018年、アメリカ心臓協会(AHA )は、「蘇生教育科学:心停止からの転帰を改善する
ための教育戦略」と題した科学声明を発表しました。
プロバイダーが標準化された蘇生訓練コースを受講すると、オンラインコースでも、人に
よるコースでも、そのスキルは時間の経過とともに減衰するというエビデンスをこの声明
は示しています。
これにより、心停止患者への適切な臨床介入ができなかったり、生存転帰が不良になる可
能性があります。また、医療機関は、これらのコースの指針を必ずしも意図どおり実施す
るとは限りません。
AHAは、ここに要約された概念を適用することで、プロバイダーが、これらの重要なスキ
ルを学んだり保持できるか、改善できることを見出しました。
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Mastery Learning and Deliberate Practice
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スキルの習得と練習の評価
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学習者が重要な蘇生スキルを本当に獲得できるように、インストラクターは、スキルを習
得するまで、練習を続けるように指示してもよい。
・完璧な練習が理想的
学習者が主要なスキルを発揮することができる熟練学習モデルを使い、マスターするの
に必要な最低ラインを設定します。
・学習者に対する動機付けのためにパフォーマンスを測定する。
観察可能な行動に基づく標準のパフォーマンス基準を設定する。時間、正確性、および
ベストな事例などの患者アウトカムおよび一連の行動基準の最も重要な尺度を決定しま
す。
・意図的な練習をする。
熟練が難しい、または自動的に行われるべき行動を教えるために、意図的な練習と呼ば
れるフィードバックと演習とペアになったスキルの繰り返しを使用します。
・記憶保持率を向上させるために過剰学習を使用する。
忘れるかもしれないスキルについて、最低限の基準ではなく、過剰学習となるよう学習
者を訓練する。熟達のレベルに達するには、さらなる訓練が必要である。
(訳注:*過剰学習とは教育学用語で、すでに獲得した知識、技能についてさらに反復・
継続して学習し、それを強固なものとすること)
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Spaced Learning
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定期的な学習
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2-3年ごとに1-2日間の蘇生訓練の現在のスケジュールは、短期間の学習に効果的です。
しかし、学習者はしばしばこのスキルを長期間に渡って保持しません。より短く、数ヶ月
に 1回の学習セッションを行うと、学習成果が向上する可能性があります。
・旧来のやり方から新しい方式へ。
プロバイダーが時間の経過とともに忘れてしまった情報を新しい情報で置き換えること
ができるように、より短い、より頻繁なセッション(例えば、3−6ヶ月ごとに1−2時間
のトレーニング)で学習をスケジュールするようにしてください。
・臨床環境での学習を活用する。
臨床現場で起こる実際の臨床事象またはシミュレーションの後に、デブリーフィングす
ることにより、スケジュールされた訓練の外で学習を増やします。
・学習者に訓練を提供することで、練習を容易にする。
トレーニングステーション、 eラーニング、定期的な再教育の勉強会、およびシミュレ
ーションを通じて、職場での学習の機会を作ります。
・単一のスケール間隔では、適切とは言えません。
臨床的役割と要求に合わせて、学習イベントの開催間隔を調整します。
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Contextual Learning
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対応を学ぶ
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蘇生訓練の核心は、実際の現場での行動に適用できる訓練を経験することです。
・それぞれの人が、それぞれの視点で関連性を学びます。
受講生の職種、背景、現場にある使用可能なリソースによって、体験する学習内容を調
整します。
・マネキンの忠実度だけでは不十分です
蘇生のシミュレーションでは、そのことに留意してマネキンの特徴を生かしてください。
これらの特徴は学習者の関心を引き、学習目標に通じている必要があります。
・チームでの訓練のリアリズムを強調
その学習者チームとって、チームの構成、役割、状況が、適切になるようにします。
・学習者にストレスを与えるのを恐れないでください(ある程度まで)
ほどよい緊張感と経験的知識に基づくプレッシャーは、受講者への激励を最大限にする
ことによって学習体験を強化することもできます。
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医療従事者が標準化された蘇生コースを受講した後は、そのスキルは低下して、臨床ケア
が貧弱になり、患者の生存率が低下する可能性があります。
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Feedback and Debriefing
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フィードバックとデブリーフィング
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プレブリーフィング(事前打ち合わせ)、フィードバック、およびデブリーフィング (振り
返り)は、蘇生教育を改善することができます。
・成功のためのプレブリーフィング
プレブリーフィングと呼ばれる、学習会の前の効果的なブリーフィングは、学習のため
の安全な環境を確立するのに役立ちます。
・フィードバックデータを使用してパフォーマンスを向上させる。
フィードバックデバイスからの CPRの質のデータを提供し、学習者が自分で改善できる
支援をします。
・デブリーフィングの方法をニーズと状況に合わせて調整する。
インストラクターは、学習者によるディブリーフィングの方法と内容を彼らが必要とす
るものに基づいて設定する必要があります。
・ディブリーフィングの定型シナリオを使うことにより、インストラクターをサポートす
る。学習成果を改善するよう示唆されたデブリーフィングの定型シナリオ、またはツー
ルを 使用する。
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Assessment
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評価
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学習者の能力を評価することは、質の高い蘇生チームを育てるための重要な要素です。
・些細なことではなく、重要なことを測定する。
患者の転帰を本当に重要なものとして評価する − 学習者のパフォーマンスを評価する
人を、選択・訓練するための適切なツールを開発する。
・質の高い評価の優先順位付け
すべての蘇生インストラクターは、彼らの受講生の能力についての評価をする必要があ
ります。そのためには、高品質で評価することが必要です。
・広い視野で評価する
個々の評価は、パズルの一部に過ぎません。
インストラクターは、種々の観点からの知識とスキルの評価により、学習者の能力を、
広い視野で評価することがができます。
・評価は学習を促進する。
評価は、コース終了時のアドオンであってはなりません。むしろ、それは教材設計に織
り込まれ、コースの中のいたるところで、評価されるべきです。
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Innovative Educational Strategies
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革新的な教育戦略
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新しい方法とデジタルプラットフォームは、心停止の際の、バイスタンダーの行動意欲、
プロバイダーのパフォーマンス、生存率を改善することができます。
・蘇生訓練をゲーム感覚の学習で定着させる。
学習者の参加とスキル保持を改善するために、ゲームの属性を適用し、定期的に更新を
促します。
・ソーシャルメディアを活用し、最新の状態を保つ。
知識を普及させ、蘇生教育のコミュニティに誘うためにソーシャルメディアを使用する。
・昨日の教科書より、今日のブログやポッドキャストを選択する。
ブログやポッドキャストは、簡単にアクセスできるリソースなので、伝統的な教育をも
補完できます。
・教育科学のためのクラウドソース
主にインターネットを通して、多くの異なる人々から、情報を得ることは、クラウドソ
ーシングとして知られている。
このアプローチは、蘇生訓練コースの開発に役立ちます。
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Faculty Development
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ファカルティ(教員指導者)の育成
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ファカルティの育成では、教育科学に基づいて情報を伝えるべきであり、救命に不可欠な
スキルをインストラクターに提供する必要があります。
・学ぶための科学があることを理解する。
インストラクターは、蘇生コースを教え始める前に指導スキルを披露するのと同様に、
基本的な教育理論や学習理論を理解しなければなりません。
・初めてのインストラクター訓練の重要性を理解する。
効果的であるためには、初めてのインストラクター訓練には、体験学習、フィードバッ
ク、ロールモデルとして同僚に手伝ってもらうこと、が含まれるべきである。
・蘇生インストラクターの育成を継続する。
自分一人で練習してみる、同僚を相手にして教える、練習仲間、練習を強化するための
転帰ベースの教育を活用する。
・現場の状況が全てであることを忘れないでください。
効果的なインストラクターは、生徒がガイドラインを適用できるようにするために、合
理的な判断ができるように現場の状況を整理する必要があります。
・インストラクターとして、全力で優秀な人材を目指す。
蘇生の成果を向上させるために、インストラクターは全力で、生涯学習に取り組む必要
があります。
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Knowledge Translation and Implementation
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知識の翻訳と実現
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知識の翻訳と実現科学の原理(臨床実践でのエビデンスベースの研究の適用)は、身近な
職場での試みを示すべきです。
・主体的なテクニックで、受動的な知識の翻訳を強化する。
組織は、受動的かつ能動的な、知識の翻訳技術を組み合わせて、科学的なガイドライン
の認識と導入を改善すべきである。
・デザイン思考を採用する。
組織は、トレーニングを計画する際に、人的な要因、人間工学、物理的空間を考慮する
必要があります。
このようにして、彼らはやるべき簡単な事を行うために、正しいことをすることで、人
々を支援することができます。
・パフォーマンス測定を実施
組織は、ベンチマーク、フィードバック、および公開報告を備えたパフォーマンス測定
プログラムに参加する必要があります。
コラボレーションとデータ共有は、ケアのシステムを強化するのに役立ちます。
・継続的な品質改善を受け入れる。
組織は、心停止に対応する人の救命責任の要点を説明した正式な継続的品質改善プログ
ラムを採用すべきです。
・見返り(インセンティブ)とペナルティを考慮する。
制度は、見返りとペナルティが、個人、チーム、または組織の業績評価の査定に、その
機能を果たすかどうかを検討すべきです。
・採用撤回の戦略を適用する。
組織は、科学がもはやサポートしていない治療法を迅速に中止または廃止するための現
場の戦略を持つべきです。
・心理的マーケティングを使用する。
マーケティング戦略により、地域社会のために、地元および国民全体がバイスタンダー
CPRのような措置を行うことができ、また、優秀な人は、プロバイダーの信念や感情に
直接的に訴えるローカルな措置を促進することができます。
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以上です。