2017年11月08日

AHAガイドラインのアップデート2017 成人と小児のBLSおよび心肺蘇生の質の要点粗訳



The 2017 AHA Focused Updates on Adult and Pediatric Basic Life Support
and Cardiopulmonary Resuscitation Quality

本記事のURL
http://jemta.org/index_171108.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
岡山県北の蒜山高原や備前の閑谷学校では、今、紅葉が見ごろになっています。
市内の後楽園でも、色づき始めています。
天高く、過ごしやすい季節ですね。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?



■[1]はじめに
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アメリカ心臓協会AHA(American Heart Association)は、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と
協力して、昨日、CPRガイドラインを更新(アップデート)しました。
AHAは過去に「心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン」を4本出版しています。
G2000,G2005,G2010,G2015の4本です。5年毎にガイドラインを新しくしてきたわけですが、
G2010までは、過去のガイドラインは一掃して、新らしいものとして出版しましたが、
G2015からは、それまでのガイドラインを基にして、差分(アップデート)として、出版し
必要に応じて、アップデートするという形に変わっています。
このリリースは科学的なアップデートに加えて、国際的な蘇生連絡委員会(ILCOR)とAHAに
よる継続的なエビデンス評価プロセスと焦点を絞った更新になっています。 ILCORが新し
い科学に基づく文献審査を完了したときに更新が公表されるそうです。

今回の2017アップデートの要点は3つです。

1.救急指令は、胸骨圧迫のみのCPR命令を電話で提供する
2.小児は、少なくとも胸骨圧迫を受けるべきである。
 しかし、もし救助者が喜んでできるのであれば、人工呼吸を行うべきである。
3.成人が卒倒し、心停止が疑われる場合は胸骨圧迫を即座に開始する。

アップデートの内容は、ECC Guidelines website
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/
で閲覧できます。

今回のアップデートのハイライトは
成人
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-5-adult-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
小児
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-11-pediatric-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
の「highlight」の項目をご覧ください。

詳細を知るには、
成人
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000539
小児
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000540
の論文を読む必要があります。個人的に全部読んでみましたが、間接的・遠回しな表現で
ガイドライン作成者が何故アップデートを出したのかは、よく考えてみないと、難しいの
ではないかと思いました。


2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
Karl Kern, MD カール・ケーン医師(AHA緊急心臓血管ケア委員会)
(2017/11/7にAHAによって発表されたCPRの最新の推奨事項について説明しています。
また、継続的なエビデンス評価プロセスへの移行についての考えを示しています。)

AHA News (新ガイドライン2017勧告 119番指令は、電話でCPRの口頭指導を!)
https://news.heart.org/911-operators-should-provide-cpr-instructions-guidelines-say/
https://goo.gl/ioMu2Y (翻訳)



以下に、
「2017年アメリカ心臓協会のハイライト成人および小児基礎生活支援と心肺蘇生の質に関
する最新情報」の要点の粗訳を書いています。粗訳なのでご自身で別途検証ください。
以下のハイライトでは、成人および小児基礎生活支援(BLS)2017に焦点を当て、心肺蘇生
(CPR)および救急心臓血管ケア(ECC)のための米国心臓協会(AHA)のガイドラインに焦点が
当てられています。



■[2]成人BLSおよびCPRの質
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主要な課題と大きな変化の要約
ここで検討されているトピックは次のとおりです。

・救急指令支援CPR
・緊急医療サービス(EMS)提供者による継続的な胸骨圧迫の使用
・胸骨圧迫のみ(HandsOnly)CPRと胸骨圧迫を併用したCPRと
 院内および院外の両方の設定で換気を使用する

AHAトレーニングネットワークの要請により、
市民救助者の説明を次のように明確にしました。
1.訓練されていない
2.胸骨圧迫のみのCPRを訓練
3.胸骨圧迫と人工呼吸のCPRを訓練

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救急指令支援CPR

2017(更新):
救急指令の指示が必要な場合、救急指令は、院外心停止(OHCA)が疑われる成人の発呼者に
胸骨圧迫のみのCPR指示を提供することを推奨します。

2015年(旧):
救急指令は、OHCA疑いのある成人の場合、胸骨圧迫のみのCPR指示を発信者に提供する
必要があります。

理由:2017年のBLS国際コンセンサスでのCPRとECCサイエンス治療勧告(CoSTR)要約と体系
的レビューでは、OHCAの救急指令による胸骨圧迫のみCPR のためのガイドラインが考慮さ
れました。このトピックでは新しい研究はレビューされていません。


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バイスタンダーCPR

2017(更新):
1.OHCAの成人の場合、訓練されていない救助者は、救急指令の援助の有無にかかわらず、
 胸骨圧迫のみのCPRを提供すべきである。
2.胸骨圧迫のみのCPRで訓練された救助者にとっては、OHCAの成人に対して胸骨圧迫のみ
 のCPRを提供することを推奨する。
3.胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用してCPRに訓練された救助者にとって、OHCAの成人の
 ために胸骨圧迫に加え換気(救助呼吸)を提供することは妥当である。

2015年(旧):
1.救助者にとって、圧迫のみのCPRは、成人の心停止患者の従来のCPRに対する妥当な代替
 手段である。
2.訓練された市民救助者にとって、心停止時に、成人のために胸骨圧迫に加えて換気を提
 供することは妥当である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約と体系的なレビューは、バイスタンダーによる胸骨圧迫のみのCPR
と胸骨圧迫と換気(レスキュー呼吸)とが比較されています。


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EMSによるCPR

2017(更新):
1.先進的な気道(声門上気道または気管チューブ)が留置される前に、EMSプロバイダーは、
 30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことを推奨する。
 代替手段として、EMSプロバイダーが人工呼吸をするために胸骨圧迫を中断することな
 く、30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことは合理的である。
 EMSプロバイダーは、高度な気道確保をする前に、連続的な胸骨圧迫の間に非同期換気
 を提供するために毎分10回の呼吸( 6秒毎に1回の呼吸)の割合で行うことは、合理的で
 あるかもしれない。
2.これらの更新された勧告は、2015年勧告のEMSの合理的な選択肢である、目撃された
 ショック可能なOHCAのための最小限の胸骨圧迫の中断(例えば換気の遅延)の最初の適用
 を排除するものではない。

2015年(旧):
1.患者が高度な気道確保がなされていない限り、救助者はCPR中に30回の圧迫と2回の呼吸
 サイクルを提供すべきである。救助者は胸骨圧迫を一時的に中断し、約 1秒以上かけて
 人工呼吸をする。
2.しかし、一連の連続的な胸骨圧迫を行うEMSシステムでは、受動換気の利用はその一連
 の一部とみなせるかもしれない。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、高度な気道確保をする前に、
EMSプロバイダーが胸骨圧迫および換気をする際に、胸骨圧迫を中断する場合と、連続し
て胸骨圧迫を続ける場合が考慮された。


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心停止のためのCPR

2017(更新):
CPR中に高度な気道(気管チューブまたは声門上デバイス)を挿入する際、胸骨圧迫を一時
停止することなく、陽圧換気で継続的な圧迫を行うことはプロバイダにとって合理的で
ある。

2017(変更なし):
継続的な胸骨圧迫が行われている間に、6秒ごとに1回の呼吸(毎分10回の呼吸)を提供する
ことは、妥当である。

2015年(旧):
心肺蘇生(CPR)の時に傷病者に高度な気道確保されている場合は、救助者は30回の圧迫・
2回の人工呼吸をすることはない。(例、2回の呼吸を行うために、胸骨圧迫を中断するこ
とはない)
代わりに、継続的な胸骨圧迫が行われている間に、プロバイダーは6秒ごとに1回の呼吸
(毎分10回の呼吸)をすることは合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、病院内で高度な気道を配置した後に、
連続的な胸骨圧迫と中断を伴う胸骨圧迫とが考慮されました。このトピックでは新しい
研究はレビューされていません。


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胸骨圧迫対換気比
2017(更新):
CPRの訓練を受けた救助者は、胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用して、心停止時の成人の
換気率を30:2にすることは合理的です。

2015年(旧):
救助者は、心停止時の成人に対して30:2の圧縮換気比を提供することが合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、成人BLSの圧換気比を考慮した。
このトピックでは新しい研究はレビューされていません。



■[3]小児BLSおよびCPRの質
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主要な課題と大きな変化の要約
小児BLSの変更点は、胸骨圧迫のみのCPRに対する人工呼吸をしない場合と比較して、人工
呼吸を伴う胸骨圧迫を使用したCPRの生存率重視の結果であり、人工呼吸の益々の利点は
明確な勧告が正当化されました。
ここで検討されているトピックは次のとおりです。
・心停止時の幼児および小児のために圧迫および換気が必要であることを再確認する
・レスキュー呼吸を希望しない、または救助できない傍観者が、幼児および小児に胸骨圧
 迫を提供することを強く勧告する

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質の高いCPRの要素:小児BLS
2017(更新):
心停止の幼児および小児には、人工呼吸を伴う胸骨圧迫を提供する必要があります。

2015年(旧):
従来のCPR(胸骨圧迫および人工呼吸)は、小児心停止のために提供されるべきである。

理由:
2015年ガイドライン・アップデート刊行されてから、エビデンスが増えていることから、
人工呼吸を伴う胸骨圧迫を心肺蘇生時の幼児や小児に使用する推奨は妥当である。


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質の高いCPRの要素:
胸骨圧迫のみのCPR

2017(更新):
救助者が人工呼吸をしたくない、またはできない場合、救助者は心停止時に幼児および
小児に対して胸骨圧迫を行うことを推奨する。

2015年(旧):
心原性心停止の傷病者には圧縮のみのCPRが有効であるため、救助者が人工呼吸をしたく
ない、又はできない場合、救助者は心停止の幼児および小児に対して圧迫のみのCPRを行
うことを推奨する。

理由:
人工呼吸を伴うCPRと成人に推奨されている胸骨圧迫のみのCPRの生存率を比べて、人工呼
吸の恩恵が増えれば、異なる勧告が正当化されると結論づけました。


■最後に
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尚、今回のAHAのアップデートにより、AHAのBLS,ACLS,PALSコースの内容が変更されるこ
とはありません。
但し、EMS向けのコースにおいては、受講生のローカルプロトコルと一致するコース
(BLS、ACLS、ACLS EP)においては、連続した胸骨圧迫を行い、胸骨圧迫の中断なく
(非同期に)、6秒ごとに 1回換気を行う、連続胸骨圧迫・非同期換気の練習もしてもよい
ことになっています。但し、実技試験では、従来通り30:2の同期換気で行います。


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AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
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FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 20:28| 日記