2017年11月12日

AHAガイドラインアップデート2017 カール・ケーンECC委員長の説明動画の粗訳



2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
The video outlining the new focused updates by Karl Kern, MD
本記事のURL
http://jemta.org/index_171112.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
岡山市内でも、この1週間は最高気温が20℃を下回り、空気が澄んできました。
暖かいものがおいしくなる季節ですね。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?



■[1]はじめに
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前回の投稿 http://jemta.org/index_171108.html
で、ご紹介したように、アメリカ心臓協会AHA(American Heart Association)は、
国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と協力して、昨日、CPRガイドラインを更新(アップデート)し
ECC委員会の委員長、カール・ケーン医師の説明の動画をリリースしています。


2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
Karl Kern, MD カール・ケーン医師(AHA緊急心臓血管ケア委員会委員長)
(2017/11/7にAHAによって発表されたCPRの最新の推奨事項について説明しています。
また、継続的なエビデンス評価プロセスへの移行についての考えを示しています。)
以下に、動画内容の粗訳を書いています。



■[2]動画のテロップと説明の内容(粗訳)
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00:00(←分と秒)
2017成人および小児のBLSおよびCPRの質に関するAHAの最新情報。
00:05
AHAガイドラインは、世界中の2200万人以上の人々を訓練するために使用されています。
00:13
このアップデートでは、心停止からの生存率を高めるために重要な要素が再び強調されて
います。
00:19
Karl Kern、医師、
AHA緊急心臓血管ケア委員会委員長
アリゾナ大学医学部
ツーソン・サルバーハートセンター

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00:24
アップデート#1
救急指令によるCPRの口頭指導
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00:25
今年のアップデートは、2015年に発表され出版されました
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00:27
彼らの努力が増すほど、より多くの人々が救われるでしょう。
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00:30
それは胸骨圧迫のみのCPRの重要性です
00:34
あなたが9-1-1に電話をした際の、救急の指令は明確になりました。
00:39
オペレーターは訓練を受けており、基本的なCPRをするように指示します。
00:47
その指示には確実に、基本的な胸骨圧迫の手技が含まれます。
00:54
市民救助者にとって、より簡単になるように、救急隊が到着するまでは、人工呼吸は後回
しにされます。
01:02
そして、彼らは、もっと自信をもって、頑張ろうとし、救急指令も簡単な手段で救命を支
援できるようになります。

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01:13
アップデート#2
乳児と小児のための人工呼吸を伴う胸骨圧迫
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生理学的に異なる小児では、非常に明確です。
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01:16
小児には...本当に呼吸が必要です
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我々は通常、小児の心停止は呼吸原性によるものであるとしています。
01:24
小児はしばしば、かなり低酸素になり、そして心臓が止まります。
01:31
小児は特殊であり、小児には、人工呼吸が本当に必要です。
01:35
私たちはまだ、成人と小児の両方で、何もないより、圧迫した方がよいという考え方に立
っています

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01:43
アップデート#3
迅速な成人のための胸骨圧迫のみのCPR  迅速な循環によって、救命できます。
================================================================================
01:44
私たちが以前に述べたように、成人への人工呼吸に関しては、最初の数分間においては、
救急隊が到着するまでに、人工呼吸をされなくても、循環は保たれます。
01:57
これは、多くの人が知っているように、過去5年から7年のサイクルの中においては、大
きな変化になります。
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01:59
即時バイスタンダーのCPRは、毎年、35万人以上の院外心停止のアメリカ人の生存率を、
2倍または3倍にすることができます。
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2:06
なぜILCORとAHAは継続的なエビデンス評価プロセスを実行するのか?
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02:10
科学は連続している
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02:17
アメリカ心臓協会は、大きな努力を払い、科学の見直しのための会議を開催し、何が異な
るかを考えています。
02:28
その進歩とは何か。それは約5年ごとに改定されています。
02:34
しかし、科学は5年ごとに機能するということはありません。科学は連続して変化します。
02:36
最後の5年の会議の直後に、2016年の直後に重要なことが出てくると、私たちは2020年ま
でそれを実際にプロバイダーの知識習得や訓練に生かすことはできません。待てません。
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02:50
これは、継続的なエビデンス評価に基づく、最初の努力です
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これは継続的なエビデンス評価に伴う、最初の努力です
02:53
そして1年に一度、成果を要約するように、突然の心停止の傷病者のための生存率に違い
をもたらすことができることに対して、私は本当に興奮しています
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03:07
継続的なエビデンス評価プロセスにより、包括的なレビューとエキスパートコンセンサス
の厳格さが、可能な限り、リアルタイムで可能になります。
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03:13
緊急2020改革目標
病院外心停止において、2倍の15.8%まで生存率改善。
バイスタンダーによる蘇生行為を2倍の62%へ
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アメリカ心臓協会の2020年の目標は、突然の心臓死からの生存率を倍増させることです。
03:22
CPRの取り組みは確かに目に見えるものの、徐々に改善されていますが、 2020年までにそ
れを2倍にする目標はあまりありません。
03:31
私たちは実際に努力を重ねて、一般の人々を助けて、実践できるよう、推奨できることを
本当に望んでいます
03:41
これは非常に衝撃的な体験であることがわかります。
03:44
まだ誰かがあなたのそばに来るようなことはないかもしれませんが、私が自分自身を助け
ることができなくなったときに彼女が私を助けてくれることに感謝するでしょう。

■最後に
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心肺蘇生に関する国際協議団体については以下に書いています。
http://jemta.org/index_ilcor.html
AHA以外の他の団体のガイドラインアップデートについて、見てみましたが、ILCORでは、
アップデートのニュースが少しだけ、アップされているようです。
ILCOR国際蘇生連絡協議会
http://www.ilcor.org/home/
http://www.ilcor.org/news/latest-news/

しかし、以下の団体は、アップデートを出していないようです。
ERCヨーロッパ蘇生協議会
https://www.erc.edu/
RCAアジア蘇生協議会
http://www.resuscitationcouncil.asia/index.html
JRC日本蘇生協議会
http://www.japanresuscitationcouncil.org/

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AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
FirstAid HP:http://jemta.org/fa.html
FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
===================================================================
免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 21:13| 日記

2017年11月08日

AHAガイドラインのアップデート2017 成人と小児のBLSおよび心肺蘇生の質の要点粗訳



The 2017 AHA Focused Updates on Adult and Pediatric Basic Life Support
and Cardiopulmonary Resuscitation Quality

本記事のURL
http://jemta.org/index_171108.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
岡山県北の蒜山高原や備前の閑谷学校では、今、紅葉が見ごろになっています。
市内の後楽園でも、色づき始めています。
天高く、過ごしやすい季節ですね。皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?



■[1]はじめに
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アメリカ心臓協会AHA(American Heart Association)は、国際蘇生連絡協議会(ILCOR)と
協力して、昨日、CPRガイドラインを更新(アップデート)しました。
AHAは過去に「心肺蘇生と救急心血管治療のためのガイドライン」を4本出版しています。
G2000,G2005,G2010,G2015の4本です。5年毎にガイドラインを新しくしてきたわけですが、
G2010までは、過去のガイドラインは一掃して、新らしいものとして出版しましたが、
G2015からは、それまでのガイドラインを基にして、差分(アップデート)として、出版し
必要に応じて、アップデートするという形に変わっています。
このリリースは科学的なアップデートに加えて、国際的な蘇生連絡委員会(ILCOR)とAHAに
よる継続的なエビデンス評価プロセスと焦点を絞った更新になっています。 ILCORが新し
い科学に基づく文献審査を完了したときに更新が公表されるそうです。

今回の2017アップデートの要点は3つです。

1.救急指令は、胸骨圧迫のみのCPR命令を電話で提供する
2.小児は、少なくとも胸骨圧迫を受けるべきである。
 しかし、もし救助者が喜んでできるのであれば、人工呼吸を行うべきである。
3.成人が卒倒し、心停止が疑われる場合は胸骨圧迫を即座に開始する。

アップデートの内容は、ECC Guidelines website
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/
で閲覧できます。

今回のアップデートのハイライトは
成人
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-5-adult-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
小児
https://eccguidelines.heart.org/index.php/circulation/cpr-ecc-guidelines-2/part-11-pediatric-basic-life-support-and-cardiopulmonary-resuscitation-quality/
の「highlight」の項目をご覧ください。

詳細を知るには、
成人
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000539
小児
http://circ.ahajournals.org/content/early/2017/11/06/CIR.0000000000000540
の論文を読む必要があります。個人的に全部読んでみましたが、間接的・遠回しな表現で
ガイドライン作成者が何故アップデートを出したのかは、よく考えてみないと、難しいの
ではないかと思いました。


2017 Focused Updates on Adult & Pediatric BLS & CPR Quality
Karl Kern, MD カール・ケーン医師(AHA緊急心臓血管ケア委員会)
(2017/11/7にAHAによって発表されたCPRの最新の推奨事項について説明しています。
また、継続的なエビデンス評価プロセスへの移行についての考えを示しています。)

AHA News (新ガイドライン2017勧告 119番指令は、電話でCPRの口頭指導を!)
https://news.heart.org/911-operators-should-provide-cpr-instructions-guidelines-say/
https://goo.gl/ioMu2Y (翻訳)



以下に、
「2017年アメリカ心臓協会のハイライト成人および小児基礎生活支援と心肺蘇生の質に関
する最新情報」の要点の粗訳を書いています。粗訳なのでご自身で別途検証ください。
以下のハイライトでは、成人および小児基礎生活支援(BLS)2017に焦点を当て、心肺蘇生
(CPR)および救急心臓血管ケア(ECC)のための米国心臓協会(AHA)のガイドラインに焦点が
当てられています。



■[2]成人BLSおよびCPRの質
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主要な課題と大きな変化の要約
ここで検討されているトピックは次のとおりです。

・救急指令支援CPR
・緊急医療サービス(EMS)提供者による継続的な胸骨圧迫の使用
・胸骨圧迫のみ(HandsOnly)CPRと胸骨圧迫を併用したCPRと
 院内および院外の両方の設定で換気を使用する

AHAトレーニングネットワークの要請により、
市民救助者の説明を次のように明確にしました。
1.訓練されていない
2.胸骨圧迫のみのCPRを訓練
3.胸骨圧迫と人工呼吸のCPRを訓練

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救急指令支援CPR

2017(更新):
救急指令の指示が必要な場合、救急指令は、院外心停止(OHCA)が疑われる成人の発呼者に
胸骨圧迫のみのCPR指示を提供することを推奨します。

2015年(旧):
救急指令は、OHCA疑いのある成人の場合、胸骨圧迫のみのCPR指示を発信者に提供する
必要があります。

理由:2017年のBLS国際コンセンサスでのCPRとECCサイエンス治療勧告(CoSTR)要約と体系
的レビューでは、OHCAの救急指令による胸骨圧迫のみCPR のためのガイドラインが考慮さ
れました。このトピックでは新しい研究はレビューされていません。


-------------------------------------------------------------------
バイスタンダーCPR

2017(更新):
1.OHCAの成人の場合、訓練されていない救助者は、救急指令の援助の有無にかかわらず、
 胸骨圧迫のみのCPRを提供すべきである。
2.胸骨圧迫のみのCPRで訓練された救助者にとっては、OHCAの成人に対して胸骨圧迫のみ
 のCPRを提供することを推奨する。
3.胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用してCPRに訓練された救助者にとって、OHCAの成人の
 ために胸骨圧迫に加え換気(救助呼吸)を提供することは妥当である。

2015年(旧):
1.救助者にとって、圧迫のみのCPRは、成人の心停止患者の従来のCPRに対する妥当な代替
 手段である。
2.訓練された市民救助者にとって、心停止時に、成人のために胸骨圧迫に加えて換気を提
 供することは妥当である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約と体系的なレビューは、バイスタンダーによる胸骨圧迫のみのCPR
と胸骨圧迫と換気(レスキュー呼吸)とが比較されています。


-------------------------------------------------------------------
EMSによるCPR

2017(更新):
1.先進的な気道(声門上気道または気管チューブ)が留置される前に、EMSプロバイダーは、
 30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことを推奨する。
 代替手段として、EMSプロバイダーが人工呼吸をするために胸骨圧迫を中断することな
 く、30回の圧迫と2回の呼吸サイクルでCPRを行うことは合理的である。
 EMSプロバイダーは、高度な気道確保をする前に、連続的な胸骨圧迫の間に非同期換気
 を提供するために毎分10回の呼吸( 6秒毎に1回の呼吸)の割合で行うことは、合理的で
 あるかもしれない。
2.これらの更新された勧告は、2015年勧告のEMSの合理的な選択肢である、目撃された
 ショック可能なOHCAのための最小限の胸骨圧迫の中断(例えば換気の遅延)の最初の適用
 を排除するものではない。

2015年(旧):
1.患者が高度な気道確保がなされていない限り、救助者はCPR中に30回の圧迫と2回の呼吸
 サイクルを提供すべきである。救助者は胸骨圧迫を一時的に中断し、約 1秒以上かけて
 人工呼吸をする。
2.しかし、一連の連続的な胸骨圧迫を行うEMSシステムでは、受動換気の利用はその一連
 の一部とみなせるかもしれない。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、高度な気道確保をする前に、
EMSプロバイダーが胸骨圧迫および換気をする際に、胸骨圧迫を中断する場合と、連続し
て胸骨圧迫を続ける場合が考慮された。


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心停止のためのCPR

2017(更新):
CPR中に高度な気道(気管チューブまたは声門上デバイス)を挿入する際、胸骨圧迫を一時
停止することなく、陽圧換気で継続的な圧迫を行うことはプロバイダにとって合理的で
ある。

2017(変更なし):
継続的な胸骨圧迫が行われている間に、6秒ごとに1回の呼吸(毎分10回の呼吸)を提供する
ことは、妥当である。

2015年(旧):
心肺蘇生(CPR)の時に傷病者に高度な気道確保されている場合は、救助者は30回の圧迫・
2回の人工呼吸をすることはない。(例、2回の呼吸を行うために、胸骨圧迫を中断するこ
とはない)
代わりに、継続的な胸骨圧迫が行われている間に、プロバイダーは6秒ごとに1回の呼吸
(毎分10回の呼吸)をすることは合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、病院内で高度な気道を配置した後に、
連続的な胸骨圧迫と中断を伴う胸骨圧迫とが考慮されました。このトピックでは新しい
研究はレビューされていません。


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胸骨圧迫対換気比
2017(更新):
CPRの訓練を受けた救助者は、胸骨圧迫と換気(救助呼吸)を使用して、心停止時の成人の
換気率を30:2にすることは合理的です。

2015年(旧):
救助者は、心停止時の成人に対して30:2の圧縮換気比を提供することが合理的である。

理由:
2017 BLS CoSTRの要約および系統的レビューでは、成人BLSの圧換気比を考慮した。
このトピックでは新しい研究はレビューされていません。



■[3]小児BLSおよびCPRの質
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主要な課題と大きな変化の要約
小児BLSの変更点は、胸骨圧迫のみのCPRに対する人工呼吸をしない場合と比較して、人工
呼吸を伴う胸骨圧迫を使用したCPRの生存率重視の結果であり、人工呼吸の益々の利点は
明確な勧告が正当化されました。
ここで検討されているトピックは次のとおりです。
・心停止時の幼児および小児のために圧迫および換気が必要であることを再確認する
・レスキュー呼吸を希望しない、または救助できない傍観者が、幼児および小児に胸骨圧
 迫を提供することを強く勧告する

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質の高いCPRの要素:小児BLS
2017(更新):
心停止の幼児および小児には、人工呼吸を伴う胸骨圧迫を提供する必要があります。

2015年(旧):
従来のCPR(胸骨圧迫および人工呼吸)は、小児心停止のために提供されるべきである。

理由:
2015年ガイドライン・アップデート刊行されてから、エビデンスが増えていることから、
人工呼吸を伴う胸骨圧迫を心肺蘇生時の幼児や小児に使用する推奨は妥当である。


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質の高いCPRの要素:
胸骨圧迫のみのCPR

2017(更新):
救助者が人工呼吸をしたくない、またはできない場合、救助者は心停止時に幼児および
小児に対して胸骨圧迫を行うことを推奨する。

2015年(旧):
心原性心停止の傷病者には圧縮のみのCPRが有効であるため、救助者が人工呼吸をしたく
ない、又はできない場合、救助者は心停止の幼児および小児に対して圧迫のみのCPRを行
うことを推奨する。

理由:
人工呼吸を伴うCPRと成人に推奨されている胸骨圧迫のみのCPRの生存率を比べて、人工呼
吸の恩恵が増えれば、異なる勧告が正当化されると結論づけました。


■最後に
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尚、今回のAHAのアップデートにより、AHAのBLS,ACLS,PALSコースの内容が変更されるこ
とはありません。
但し、EMS向けのコースにおいては、受講生のローカルプロトコルと一致するコース
(BLS、ACLS、ACLS EP)においては、連続した胸骨圧迫を行い、胸骨圧迫の中断なく
(非同期に)、6秒ごとに 1回換気を行う、連続胸骨圧迫・非同期換気の練習もしてもよい
ことになっています。但し、実技試験では、従来通り30:2の同期換気で行います。


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AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
FirstAid HP:http://jemta.org/fa.html
FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 20:28| 日記

2017年10月27日

心停止直後のアドレナリン投与と生存退院率



Time to administration of epinephrine and outcome
after in-hospital cardiac arrest with non-shockable rhythms

本記事のURL
http://jemta.org/index_171027.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
最近朝晩はとても冷え込むようになりましたが
日中は過ごしやすく、秋の夜長の季節ですね。


■[1]はじめに
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Dr.林とDr.Goldmanの笑劇的臨床論文放談
http://www.carenet.com/report/carenetvch/carenetv_ch4.html
第4回 Prehospital Epinephrine(病院前アドレナリン投与)
の動画がリリースされました。
(閲覧には会員登録が必要です。無料で登録できます。)

病院外心肺停止患者への病院前エピネフリン(アドレナリン)投与と生存率に関してですが、
『心肺停止患者への切り札として使われるエピネフリンは実は使わない方がいい!? 』
日本の41万7,188人という膨大なデータから導き出された結果を、Dr.林とDr.Goldmanは、
どう解釈するのか!...
一昨日、ケアネットのCareNeTVチャンネルから、上記対談が無料リリースされています。
この記事は、医師の注目順の週間総合ランキングで今週1位になっているそうです。
毎月5400円を支払ってCareNeTV会員になっておられる方は別ですが、そうでない方はいず
れ削除されると思いますので、今の内にご覧になられてはと思います。


■[2]九州大学 萩原明人先生らの論文
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Akihito Hagihara, et al.,
Prehospital Epinephrine Use and SurvivalAmong Patients
With Out-of-Hospital Cardiac Arrest
JAMA, March 21, 2012?Vol 307, No. 11 1161-1168
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/1105081

著者らは、2005-2008年の救急隊の「救急活動記録・検証票」の院外心肺停止の約42万人
のデータを使用し、アドレナリンの有効性を研究しました。
(検証票は書くのが大変なので、このようなデータを出せるのは日本だけです。)
エピネフリン使用群と非使用群を比較し、心拍再開率、1カ月の生存率、および
1カ月神経予後良好率を調べました。
予想通り、アドレナリンを使えば、心肺再開率は高くて、使った群では2.3〜2.5倍も心臓
は動きました。

          使用  非使用  OR
自己心拍再開ROSC  18.5%   5.7%  2.36
 propensity-match 16.3%  10.5%  2.51
1カ月生存率     5.1%   7.0%  0.54
脳機能カテゴリー   1.3%   3.1%  0.21
全身機能カテゴリー  1.3%   3.1%  0.23

ところが、1カ月生存率や脳機能に関しては、アドレナリンを使わない方が予後はよいと
の結果でした。上表のように、1カ月後の生存率、脳機能の予後、全身機能予後は、どれ
もアドレナリンを使わない方がいいとの結果でした。これまで救急医が使ってきた一番の
武器がダメだったとの結果。やせ馬に鞭を打ってその場でアドレナリンを打って心臓を動
かすことはできますが、心臓が戻ってから、このアドレナリンの環境は結局心臓に悪いと
いうことのようです。

【Dr.Goldman】の解釈
この結果の解釈については、慎重にすべき。容易に結果に走らない方がいい。現在、我々
には、エピネフリン以外の代替薬がない。本研究は病院前の設定で、院内のデータではな
い。解析の交絡要因があることを頭においておくことが重要。その上で情報を解釈すべき。
例えば、病院前の救命士がアドレナリン静注にどれくらい習熟しているか、わからない。
彼らの静注処置が遅ければ、胸骨圧迫も遅れてしまう。

【Dr.林】の解釈
救急隊に聞くと、現場には3人しかいないので、点滴を入れたりすると、胸骨圧迫がおろ
そかになる傾向は、たしかにあるようだとのこと。

参考文献
永田高志(この論文の4th author) 医学新聞寄稿
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA03033_02
慈恵ICU勉強会資料
http://www.jseptic.com/journal/jreview_117.pdf

【私】の解釈
僭越ですが、少しだけですが両氏の解釈には、違和感を感じました。Dr.Goldmanのご意見
では、「日本の救急隊は遅いから、救急隊は、皆、エピネフリンは使わない方がいい」と
いう印象を与えます。
この論文は、現場の玉石混合の成果を全部まとめて、平均値だけを議論しており、心停止
からエピネフリン投与までの時間の分布を分けて、エピネフリン投与の成果を議論してい
ません。(通報から現場到着時間と、通報から病院収容時間の、両群の平均値のみが書か
れています。到着:使用7.37分vs非6.72分、収容:使用40.01分vs非40.43分)

本投稿の以下の■[5]に、別途追記していますが、エピネフリンを使った方が予後がよ
くないのは、エピネフリンの「遅延投与」に原因があります。つまり、早く投与すれば予
後が良いけれども、遅く投与すれば予後が悪く、しかもこの遅延投与の事例の方が多いの
で、全体としては、エピネフリンを使った方が、平均値として、「使うと予後が悪くなる」
という結果になっているのです。Dr.Goldmanの「胸骨圧迫が遅れるから」と言う発言は、
早計と思われてもしかたないと思います。

非常に膨大なデータから平均値を出されたのは意味があると思いますが、平均だけを議論
すると、改善の方向性を見誤ります。
正確に言えば、「救命率を上げるためにエピネフリンを早く投与すべきであり、もし、
遅くなるようであれば、使わない方がよい」という結果になると思います。

■[5]の論文が日本語で書かれており、Dr.Goldmanがお読みになれないのが原因かもし
れませんが、日本の■[1]の論文を紹介されるのなら、■[5]の論文を紹介されない
のは手落ちではないかと思います。
『心肺停止患者への切り札として使われるエピネフリンは実は使わない方がいい!? 』と
いう表現はとても人目につくフレーズですが、正確さを欠き、この表現では誤解を与えま
す。


■[3]ボストンのドニノ先生らの論文
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Michael W Donnino, et al.,
Time to administration of epinephrine and outcome
after in-hospital cardiac arrest with non-shockable rhythms:
retrospective analysis of large in-hospital data registry
BMJ 2014; 348 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.g3028 (Published 20 May 2014)

心肺停止後3分以内のアドレナリン投与が、除細動適用外リズムの心肺停止患者の
自己心拍再開(ROSC)の改善や良好な神経予後に関与している。

・院内心肺停止 除細動適用のない波形 25,095人
・3分以内にアドレナリン投与するとよい
・継時的にROSCは低下する
・神経予後も良好


図1.心停止からアドレナリン投与までの時間と生存退院率


■[4]ギリシャのメンツェロポロス先生らの論文
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Mentzelopoulos SD, et al.,
Vasopressin, steroids, and epinephrine and neurologically favorable survival
after in-hospital cardiac arrest: a randomized clinical trial.
JAMA. 2013 Jul 17;310(3):270-9. doi: https://doi.org/10.1001/jama.2013.7832

・院内心停止
・Vasopressin+Epi+methyl-PSL
・ROSC          83.9% vs 65.9% OR2.98
・神経予後良好生存退院率 13.9% vs 5.1% OR3.28

ギリシャの研究では、アドレナリン、ステロイド、バソプレッシンのカクテル注射が院内
心肺停止に良い効果があると報告しています。


図2.アドレナリン+ステロイド+バソプレッシン投与と生存率

【Dr.林】談
結局、病院前でのアドレナリンはあまり効果がなく、まだ不明の点も多く、アドレナリン
については今後も目が離せない。
院外で心拍再開がない心停止で、神経学的予後がいいのは、わずか0.49%で、 200人に1人
しかいない。だから除細動ができたとしても、それが効かなければ、元気になる見込みは
1%以下しかない。
もっと科学的な根拠が必要で、もっと画期的な治療が必要です。

【Dr.Goldman】談
心停止の研究についてはまだ少し遅れていると思います。有効な胸骨圧迫はいくら強調し
ても、しすぎるということはありません。


■[5]国士舘大学の植田広樹先生らの研究
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
これは、上記のCareNeTVでは、紹介されてはいませんでしたが、昨年、発表された新しい
日本の研究です。
ACLSプロバイダーマニュアルG2015 p.99には、「血管収縮薬(アドレナリン)がVF/無脈性
VTからの生存を向上させることはない。」との記述がありますが、以下は、このことを調
べている時に見つけた文献です。

病院外心停止症例におけるアドレナリン投与の脳機能予後に対する効果(第一報)
2016日臨救急医会誌2016:19:578-85
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsem/19/4/19_578/_pdf

・これまでの論文ではアドレナリンは、心拍再開には有効であるが、社会復帰率は寄与し
 ないとされてきた。
・この原因は、早期投与の症例が少なく、遅延投与の数が多く、遅延投与では復帰率が悪
 くなるので、全体としては遅延投与の成績のほうに引っ張られて、全体的に悪いとされ
 てきたから。
・今回は、投与時間毎の解析をした結果、早期投与だと社会復帰率が高いことがわかった。
 VF/VT およびPEA/心静止の全体でみると、救急隊が接触して約8分以内にアドレナリン
 を投与すると、投与しないより、社会復帰率が高くなることがわかった。
・グラフの左側は症例数が少ないのでばらつくのは当然ですが、右側の症例数の多い領域
 でも、VF/VTにおいては、早期投与優位の傾向が明快にでています。

この論文の解釈について
上記論文のグラフに手を入れて、以下に書いています。


上(図3.アドレナリン投与と社会復帰率) 下図4.(図3のPEA/心静止の部分の拡大)

・もともとの論文では、投与群に関しては、VF/VT およびPEA/心静止を分けて書いていま
 すが、非投与群については、上記二つをまとめて、復帰率を 3.2%とし、そこから、
 アドレナリンが効果的となるスレショルド7.9分を導いています。
・VF/VTおよびPEA/心静止では効果が違いますし、PEA/心静止の方が多いので、復帰率3.2
 %は、PEA/心静止の方に引っ張られています。
・VF/VTにおいては、投与の時間効果も非常に大きいので、初期波形がVF/VTの場合で、
 非投与の場合の社会復帰率(13.4%)でスレショルドを求めると、VF/VTの場合では、救急
 隊接触後、5分以内にアドレナリンを打てば、社会復帰率は向上するということになる
 と思います。
・図4は、図3の下の部分を拡大したものです。
 初期波形がPEA/心静止の場合で非投与の場合の社会復帰率(1.6%)で、近似式からスレシ
 ョルドを求めると、救急隊接触−2分前になります。確知から現場到着までは8分かか
 っていますので、心停止から(8−2=6分)6分以内にアドレナリンを打てば、社会
 復帰率は向上することになります。6分以降に打っても、社会復帰率は下がりますので、
 その場合は打たない方がよいことになります。
 尚、近似式ではなく生データから求めると救急隊接触4分後になります。
 (生データ採用の場合は、心停止後8+4=12分)

・本研究を個人的に解釈すると、確知から現場到着までは8分かかっていますので、
 心停止からの時間を起点とすると
 「心停止になったら、すぐに CPR/AEDを開始、
  初期解析が除細動の適用なら、(準備できているなら)すぐにアドレナリンを投与し、
  初期解析でショックが必要でなかったら、その後はアドレナリンは投与しない。
  すぐにアドレナリンが使用できなかった場合で、その後、通報から(8+5=13分)
  13分以内に打てるなら打ち、それまでに使用できなかった場合は、その後は打たな
  い方がよいという結果になると思います

・但し、「救急隊接触後、5分以内に打つ」というスレショルドは、生データを近似式で
 補正した線を用いています。曲線1本で、べき乗関数で近似するというこに科学的根拠
 はないと思います。自然界にはy=f(x)ではなく、y=f(x)+g(x) の振舞いをみせるものも
 あります。3〜7分までの症例数は、9千事例くらいありますので、これを無視するの
 ではなく、そのまま尊重して使うべきではないかと思います。
 生のデータを尊重して、そのまま使うと「救急隊接触後、7分以内に打つべき」という
 ことになります。
 つまり、(8+7=15分)ですので、心停止後15分以内に打つべきということです。

・結論としては、
 @心停止を発見したら、すぐにCPR/AEDを開始する
 救命率向上のために、アドレナリンを投与すべきか否かの判断基準は、
 A初期波形=除細動適用の時、心停止後15分以内に投与完了できる場合のみ投与。
 B初期波形=PEA/心静止の時、心停止後 6分(12分?)以内に投与完了できる場合のみ投与
 上記のリミット以前に打てないのなら、予後が悪くなるので、投与しない。


■最後に
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AHAガイドラインP145の右の方にも、アドレナリン早期投与の推奨が書かれています。
引用された文献は主に日本の文献で、日本はデータをちゃんととっているので、時間分布
のような議論をする上で、他国と比べて貴重なソースとなっていると思います。

2015ガイドラインでは、初期ECG波形がショック非適応リズムの心停止において、
アドレナリンを投与する場合は、心停止後可能な限り速やかに投与することを提案してい
ます。

===================================================================
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会
代表 久我清 〒700-0807 岡山市北区南方2-13-1 ゆうあいセンター L32
パソコン用URL:http://jemta.org/
スマホ携帯用 :http://aha-bls.jp/
FirstAid HP:http://jemta.org/fa.html
FirstAid 携帯:http://aha-bls.jp/first_aid/
・4名以上なら職場でBLSを開催できます。
http://jemta.org/index_bls_syokuba.html
===================================================================
免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。




posted by jemta at 19:08| 日記

2017年08月20日

労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬法(CWI法)



FirstAid for Exertional Heat Stroke(EHS). Cool(Ice tub) First,Transport Second.
本記事のURL
http://jemta.org/index_170820.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
お盆休みも終わって、来週からは、仕事開始ですね。

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■[1]はじめに
米国のボストン近くのファルマスという港町で、今日8月20日に11km マラソン大会が開催
されます。1万人以上が参加するロードレースです。平均気温は23℃、湿度70%です。
距離が短く、参加者が頑張るため、毎年平均15人くらいの労作性熱中症の傷病者がでます。
深部体温が40℃を越えた時間が15〜30分続くと生存率は50%しかありません。一刻も早く
冷やす必要があります。ファルマスロードレースでは、1984年から 18年間で合計274名の
熱中症患者がでていますが、1人の死亡者もでていません。救命率は100%です。
その理由は、米国スポーツ医学会(ACSM)、全米アスレティック・トレーナーズ協会(NATA)
が推奨するCWI(Cold Water Immersion) を実施しているからです。

図1.ファルマス・ロードレース


医療テント内には、予め、多数の浴槽と氷が用意され、傷病者に中枢神経障害があり、熱
中症の疑いがある場合には直腸温を測定し、40℃を超えていればCWIを実施し、水温10℃
の浴槽に10分〜15分ほど浸漬します。0.22℃/分の冷却速度で冷却され、直腸温が 38.8℃
になれば浴槽から出します。倒れてから約2分以内にCWIは実施されており、治療実施者の
93%は、病院に行くことなく、現場の医療テントからそのまま帰宅できています。

過去50〜100年前までは、熱中症傷病者に冷水浸漬(CWI)はよくないと誤解されてきました。
急に冷やされると、傷病者が嫌がるのではないか、末梢血管収縮(PVC)と震えのために冷え
ないのではないか(Currie response) 、という誤解です。
しかしこのファルマスロードレースでは、冷水/氷水浸漬による急速冷却が、卒倒後数分
以内に実施されれば救命できることが実証されています。
正常な人が冷水浸漬された場合と、高体温の人が浸漬された場合の生体の反応は違います。
高体温の冷水浸漬では、震えは観測されず、傷病者からの低温に対するクレームはなかっ
たそうです。
深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、EHS労作性熱中症治療の第一の目標です。
"Cool first, Transport second"(冷却第一、輸送はそのあと)のスローガンは強く推奨さ
れています。

AHAのFAガイドライン
では「できれば顎まで冷水につからせる(G2010,S964) 」と推奨され
ています。
Heat Emergencies
The most important action by a first aid provider for a victim of heat stroke is
to begin immediate cooling, preferably by immersing the victim up to the chin in
cold water.
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015
でも「病院に搬送する前に水槽に浸漬させ
る(水温2℃で9分浸漬の事例を紹介)P13」を推奨しています。
日本医師会発行の国際マラソン医学協会医療救護マニュアルP83
にも、ファルマスのよ
うな方法が具体的に示されています。

日本はAEDのPAD導入が欧米に比較して10年以上遅れました。熱中症の分野においても米国
の方が10年程以上、進んでいるのではないかと思います。
救急医@ER/ICU氏のブログ「対熱中症 総力戦」
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11312235241.html
以下の動画は削除されましたが、Dr林先生も氷水でのクーリングは厳禁と言われていまし
た。(熱中症と脱水)
https://www.youtube.com/watch?v=G8_g1BNclHA

----------------------------------------------------------------------------
文献:冷水浸水:演習熱中症治療のゴールドスタンダード
Exerc Sport Sci Rev. 2007 Jul;35(3):141-9.
Casa DJ,et al.,Cold Water Immersion: The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatment
http://journals.lww.com/acsm-essr/Fulltext/2007/07000/Cold_Water_Immersion__The_Gold_Standard_for.9.aspx
----------------------------------------------------------------------------
ファルマス ロードレース大会で労作性重症熱中症に対するCWI冷水浸漬の治療結果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24983342
Demartini,Casa et al.,Med Sci Sports Exerc. 2015 Feb;47(2):240-5    (カ)
Effectiveness of Cold Water Immersion in the Treatment of Exertional Heat Stroke at the Falmouth Road Race
・米国ボストンから、車で90分のファルマス(緯度は函館と同じ)で毎年開催されるマラソン
・8月開催(18回の大会の平均気温23.3℃、湿度70%)、毎回1万人(プロ/アマ)参加。
・(1984-2011)18年分のマラソン大会を解析。
・距離が11kmと短く、ランナーは早く走るため、熱中症が多い。2.1人/完走者千人
・合計274例の労作性重症熱中症。平均15人/大会。テント治療の40%が熱中症。平均15歳
・事前に、CWI用の冷水浴槽を医療テント内に準備(温度10℃、容量190L)。
・直腸温が40℃以上で重症熱中症と判断。すぐにCWI(冷水浸漬)を実施。
・浸漬中は、2分毎に直腸温、HR、BPを測定
・直腸温が38.8℃以下になったら、CWIを中止
・重症熱中症患者の生存率100%、93%はテントから帰宅できた。
・平均冷却速度は0.22℃/minを記録でき、この値は性別、年齢、初期直腸温度と無関係
----------------------------------------------------------------------------

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■[1-2]熱中症の分類

◆l熱中症の発生原因による分類では、以下の2つに分けることができます。
労作性 :運動や作業で自ら産生した熱と環境熱によるもの(Exertional Heat Stroke)
非労作性:環境熱によるもの(Passive Heat Stroke)

◆熱中症の重症度分類は、例えばAHAのファーストエイド(国際分類)では、
@熱失神(heat syncope)熱痙攣(heat cramps):入院の必要なし。冷却し・水分補給する。
A熱疲労(heat exhaustion):病院に行くべき。体温調整機能あり。汗はかいている。
B熱中症(heat stroke):集中治療が必要。体温調整機能破綻。汗はかかない。
の3つに分けており、日本救急医学会のガイドラインでは、上記をT度、U度、V度に分
類しています。

この投稿では、労作性の重症V度熱中症の現場でのファーストエイドと初期治療について
述べます。
労作性熱中症の定義は、深部体温が40.5℃以上と定義されます。低ナトリウム血症も考え
られ、高体温を放置すると体温調整機能が破綻し、サイトカインが活性化され、全身が炎
症をおこし、多臓器不全を起こし、死亡します。

本投稿を書こうと思った淵源は、2013年8月8日11時20分に、京都府宇治市内で気温32℃を
超える中で行われていたアメフト部の練習試合で、3年生の男子部員(17)が熱中症で倒れ
亡くなってしまった事故にあります。
http://www.sports-parents-japan.com/stopaccident/highschoolfootballheat/

この男子高校生の体温は43℃で、現場でもアイスパックを使った応急手当がされていたか
もしれませんし、病院での治療の結果38℃まで下がったとのことですが、(公開されてい
る情報だけから判断するのは誤りがあるの可能性があるとは思いますが)要するに、体温
を下げる速度が低く、高体温の状態が長く続いたからではないかと思いました。もちろん、
倒れる前の「試合をする判断」自体に問題があると思いますが、ファーストエイド的にみ
ると、米国のように科学的根拠に基づいて、適切に熱中症の初期治療をしていれば、もし
かしたら、助かったのではないかと、非常に残念に感じていました。初めは自分自身もよ
くわかっていなかったと思いますが、ファーストエイドのガイドラインを読んでいて気づ
きました。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■[1-3]労作性熱中症の生存率
スポーツ中や野外の作業中などで、深部体温が40℃を超えて倒れた場合に、助かるかどう
かは、何℃まで体温が上がったかではなく、40℃を超えた状態(Critical Temp.)が何分続
いたかによります。
以下のグラフは、熱中症関連の記述によくあるグラフです。


図2.熱中症の生存率 http://jap.physiology.org/content/42/6/809

深部体温40℃を超える状態が20分以上続くと生存率は5割以下になり、50分以上続くと2割
以下になります。日本の場合は、救急車を呼んで病院に収容されるまでの時間は約40分か
かっています。初めから、倒れないように予防することが最も大事ですが、倒れてから病
院に運んでいても助かる可能性は低いです。心室細動で卒倒した場合に現場で AEDを使う
応急手当と同じで、現場でのファーストエイドが最も大事です。
図2では、臨界高温が15〜30分続いた時の生存率は50ですが、これを中間の22.5分での救命
率が50としてプロットし直したのが次の図3です。


図3.心室細動と労作性熱中症の救命率

心室細動の場合は、10分何もしないとほぼその場で亡くなります。10分間で予後が決まり
ます。但し労作性熱中症の場合は、倒れてすぐ救急車を呼んでも、日本の場合、病院に着
くまでに40分くらいかかります。普通は、電話するまでにももっと時間はかかるはずです。
この見積もりでは40分で、救命率は3割です。病院に運んでから冷やしても間に合いません。
しかも心室細動ではその場で結果がでるのに対して、熱中症の場合は倒れてから、1時間
の処置で予後は決まるのですが、すぐには亡くなりません。通常亡くなるのは半日から、
1週間後です。ですので適切な初期治療がされたか否かが、評価されにくいのです。

「Cool First!! Transport Second!.」です。
具体的には、深部体温が40.5℃以上なら、氷風呂(2〜13℃)に浸漬させ、倒れてから 30分
以内に体温を39℃まで下げる必要があります。
日本医師会発行、国際マラソン医学協会医療救護マニュアル P81労作性熱中症チャート

以下は、ファルマス・ロードレースでの冷水浸漬のデータです。

図4.ファルマス・ロードレースでその有効性が実証されたCWI(冷水浸漬)  (カ)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■[2]体温測定(直腸温度/口腔温度/腋窩温度)
恒温動物は体温を一定に保っていますが、3次元空間的には温度の分布があります。


図5.ヒトの体内温度分布

温度を測る部位によっては、値が違っています。

図6.測定場所ごとの正常な体温範囲(SureTemp Plus 690/692マニュアルより)

■[2-2]腋窩/口腔体温では深部体温を測れない
以下のグラフは、体内に直腸温度計を入れて、マラソンした時の温度変化です。

図7.奥本先生が計測されたマラソン走行時の直腸温(名桜大学広報P13)

以下のグラフは、運動した時の直腸温および口腔・腋窩温を同時に測定した事例です。

図8.運動中の直腸温および口腔・腋窩温の比較
(図中に挿入した温度計は論文に記述されている製品ではなく、一例です。)

見て分かる通り、直腸温はあがっていますが、口腔・腋窩温は変化がありません。つまり
『口腔・腋窩温で測定して、その値に何度か足すと直腸温になる』という推測は一切なり
たちません。熱中症の診断には、必ず、直腸温を測る必要があります。逆に言うと、誤解
を与えるので、口腔・腋窩温を測っても意味がなく、測るべきではありません、。

2002 National Athletic Trainers' Association 声明
「ATCは、運動中および運動後の体内温度の不正確で非効果的な測定値であるため、
運動者の口腔、鼓膜、腋の下の温度に依存してはならない」
皮膚の温度、汗の蒸発、体液の摂取、および風の影響を受ける可能性があるため、
正確性についての疑義が生じる。


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

■[3]直腸温測定のための温度計

以下に温度計の一例を示します。

図9.直腸温が測れる温度計の例

◆ER(救急外来)の例
@フクダ電子 生体情報モニターHBP-2070/2071 \960,000
http://www.fukuda.co.jp/colin/products/basic/103.html
@日機装サーモ(株) 体腔挿入型温度プローブ YSI-401J 
http://www.nktherm.com/products/tm_probes/400_700series.html
@日機装サーモ(株) ゴムカバーの装着方法
http://www.nktherm.com/img/latex_cover.pdf
ラテックスアレルギーに注意
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11588579600.html
◆乾電池式なので、持ち運び使用可
Aテルモファイナー CTM-303 \99,000
http://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me95.html
◆手軽な廉価版
Bテルモ電子体温計C405 (口中,直腸用)Amazon¥2,916
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B008KZIGEO/
C数字医療温度計(口中,直腸) Amazon¥2,280
https://www.amazon.co.jp/dp/B07125HKKC/
◆個人輸入で入手できる温度計
DWelch Allyn SureTemp Model690 ebay32,031円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/192190946966/
http://goo.gl/Z8Jg5q
Dカバー ebay3,041円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/252665982333/
◆その他の直腸温度計
E日機装サーモ(株)(8ch)データ収集型ハンディタイプ温度計N543
直腸温プローブITP010-11(先端球5mmφ、チューブ3.5mmφ長さ25cm、ケーブル長2m)
http://www.nktherm.com/products/meters/n540-datalogger.html
F3M ベアーハガー深部温モニタリングシステム
http://goo.gl/FwzhJf
 この温度計が熱中症に対応し普及すれば直腸温を測らなくてもすむかも。
Gグラム(株) 2ch高精度温度計LT-2 Amazon82,620円+直腸温センサーLT-2N-11 24,840円
http://gram-corp.co.jp/product_f/product_f0.html
H[膀胱温測定]導尿用(温度センサー付)膀胱留置カテーテル[YSI-400準拠]
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/780045/780045_221ADBZX00098000_B_01_02.pdf
J安立計器 温度計 HD-1100E ¥48,600 (合計64,800〜)
http://www.anritsu-meter.co.jp/instrument/ha/ha-100.htm
K安立計器 温度センサー1600E-TS3-ASP(全長3m)16,200円〜 3mmφ,10cm長シリコンゴム
http://www.anritsu-meter.co.jp/sensor/sp/tc1600.htm

◆滑りをよくするために挿入部分の先にあらかじめ塗っておく
Lワセリン Amazon¥411
https://www.amazon.co.jp/dp/B000FQUJM8/
◆氷風呂の温度測定用(注意!直腸温ではありません。)
M隔測(かくそく)式温度計(プローブ+レシーバ式)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01C2QUDSS/
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E01RB8Y/

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■[3-2]直腸温の測り方
ERやICU 以外の医療現場で直腸温を測ることはあまりないと思います。看護師さんも学校
で実習した記憶はあまりないと思いますし、実際に1回も経験されたことのない方もおら
れました。ただし、膀胱カテーテルの留置や浣腸についてはほとんど経験があるのではな
いかと思います。温度プローブを肛門から直腸に入れるには、浣腸のやり方が参考になる
と思います。注意すべきことは、過去、グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔の医療事故が
起きており、起立したまま行ったり、挿入の時に抵抗があった場合にそのまま入れてしま
うと、穴があく危険性があります。
http://www.med-safe.jp/pdf/report_2012_3_R002.pdf
また直腸には痛みを感じる神経がないため、せん孔になっても出血するだけで、その時点
では痛みを感じないので、わかりにくいです。
Casa先生が書かれた献では、直腸温の測定は医師がすべきと書かれたものがありましたが、
競技や大会を主催する側は、どの医師でもいいというわけではなく、経験のある人に依頼
するべきだと思います。それぞれ専門があります。例えば医師の3割は AEDをうまく使え
るか否かわからないとのアンケート結果もあります。



図10.直腸温の測り方(参考図:浣腸の取扱い)

但し、図10では足の曲げ方が少し不十分ではないかと思います。起立に近い状態だと、
直腸と肛門がなす角度が直角に近いので、直線に近づけるためには、ひざをぐっと曲げた
スクワッド姿勢の方が温度センサーを入れやすいと思います。


図11.座位とスクワッド姿勢の時の直腸肛門角

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フランスや北米では、直腸温を市民が測っている国があるそうですが、日本では一般的で
はありません。普及品の温度計では、肛門部分しか入らないので、正確に測れないと思い
ます。看護師さん用のサイトを見ると、温度プローブは肛門から 6cm入れると書いてあり
ます。しかし、Casa先生が書かれた論文をはじめ、私が今回見た論文は和洋共、肛門から
10〜12cm入れていました。
直腸の長さは20cmくらいです。直腸は便の貯蔵庫であり、骨格との関係もあるかもしれま
せんが、簡単に外にでないように、管がくねっているのではないかと思います。挿入直線
路から見ると、ヒダが3つでており、10cm 入れるためには、すくなくとも2つのヒダを越
える必要があります。

医療用温度プローブとしては、例えばYSI400等ですが、全長3m程度で、先の温度センサー
の部分も、フレキシブルで柔らかく、電線のコードのように、楽に曲がります。バルーン
アートの細長い風船のようなゴムカバーを温度センサーにつけ、滑りやすいように、白色
ワセリンを塗って事前準備をします。傷病者の羞恥心に最大に配慮して(バスタオル等?)
左側臥位でなってもらい、口呼吸をしてもらうということは、一般的な注意点だと思いま
す。どこまで挿入するかわかるようにしておきます。挿入を始めて抵抗を感じたら、その
まま無理に入れようとせず、一旦引き戻して、方向の再調整が必要です。温度プローブを
留置してから、温度を読み取るまでは時間がかかりますので、マニュアルに従います。
中枢神経障害があり、40℃を越えて熱中症と判断された場合は、冷水につけますが、浸漬
中もずっと温度をモニターし、38.8℃以下になったら浴槽から出します。



図12.直腸の構造と直腸温プローブの挿入


■[3-3]医師法と直腸検温
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うこと
http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf
・直腸検温を医療者以外が反復継続の意思を持って行えば、医師法違反の恐れがあり。
(逆に言えば、反復継続の意思がなく、臨機応変の手当てとすれば医師法違反にはないが
 測定の時に腸を傷つけたり、救助行為によって被害がでれば傷害罪の恐れもあり)
・上記の通知によれば、市販の使い捨て浣腸器で、6cm までいれることは医師法には反し
 ないことになっています。医療行為とそれ以外を分ける理由は、「その行為によって、
 誤ったやり方をすると重大な損傷を与える可能性があるから」ということであれば、
 管を入れるのは、浣腸も直腸検温も同じであり、直腸検温は薬物を入れるわけではない
 ので、温度プローブを6cm 入れるのは医師法違反にはならないかもしれません。しかし
 日本では直腸温検温が一般的でないため、どうなのかは裁判官の判断によると思います。


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[4]熱中症の生理

熱中症の生理については、以下の論文の内容を示します。
Journal of Emergency Medical Services
Identification and Treatment of Exertional Heat Stroke in the Prehospital Setting
http://goo.gl/K2eqij

労作性熱中症(EHS)の病態生理学は、骨格筋収縮および環境因子を介した熱収量の割合が
熱損失のそれを超えるときに、物理的に発揮している個体において起こるという点で、
非労作性熱卒中とは根本的に異なる。
細胞レベルでは、臨界閾値(>40.8℃)を超える過剰な熱は、膜脂質の変性および液化を引
き起こし、脳症、横紋筋融解および肝臓および腎不全を含む多臓器機能不全をもたらす。
この損傷は、不可逆性になり、温熱療法が迅速にされなければ、最終的に致命的となる。
十分に訓練された選手は熱馴化の保護効果により、40.6℃を超える中核温度に耐えること
ができ、心血管のひずみを減少させ、直腸温を低下させる。熱性または胃腸疾患、薬物使
用(例えば、利尿薬、特定の精神医学的薬物療法、喘息薬)および肥満のような既存の状
態は、EHSを発症するリスクが高くなる。
研究により、多臓器不全は、熱細胞傷害性、凝固障害および内毒素媒介性全身性炎症反応
の複合効果に起因することが示唆されている。高体温に対する最初の心血管応答は末梢血
管の拡張であり、皮膚への血流を増加させて蒸発冷却を最大にする。これは、内臓の血流
の減少によって増強される。この血液は末梢循環に分流されて全身血圧を維持し、熱損失
に寄与する。

しかしながら、脾臓血流の長期的な減少は、虚血環境をもたらし、胃腸管へのニトロソ化
および酸化ストレスをもたらし、その後、循環および腸のバリア機能不全を引き起こす。
腸はますます透過性になり、腸内細菌は全身循環に漏れる。増加したサイトカインレベル
と結合したこのエンドトキシン血症は、激しい熱ストレスの間に訓練を受けた者および訓
練されていない者の両方で起こり、敗血症性ショックの間に見られるもののEHS を反映す
る炎症プロファイルになる。
EHS が進行するにつれて、播種された血管内凝固セットおよび複雑な細胞応答カスケード
は凝固経路を活性化し、過度のフィブリン沈着および血小板凝集を引き起こし、微小血管
血栓を引き起こす。これらの血栓は、末梢組織への虚血性損傷を引き起こし、最終的な器
官の機能不全、そして最終的には機能不全をもたらす。血小板および凝固蛋白質の消費量
は最終的には生産量を上回り、過剰な出血のリスクが高まる。これは、致命的なEHS で観
察されている胸膜、角膜、および腸間膜出血を説明する。
脳への直接的な熱傷害はまた、変化した意識レベル、発汗メカニズムの喪失、および制限
された瞳孔を含む中枢神経系の異常を導く。胃腸系と同様に、血液脳関門の完全性は失わ
れ、浸透性の増加は脳浮腫、昏睡、そして最終的には不可逆的な脳損傷および死をもたら
す。これらの生理学的変化は急速に進行する。動物モデルでは、死亡率の増加は直腸温で
はなく高体温の持続時間に関連していた。

即座に冷却すると、身体はこの鋭い損傷からほとんど回復することができます。しかし、
40.8℃の細胞の臨界閾値を超える長期間の高体温は、不可逆的な臓器損傷および又は死を
もたらす可能性がある。

高熱患者は、温熱患者と比較して正常体温の異なる温度調節反応を示す。
冷水中での突然の浸漬の副作用として、
「急速な交感神経反応のために心臓不整脈および心臓血管ショック、突然の血管収縮」等
が懸念されているが、これらの副作用(徐脈、末梢血管収縮、および中核血流)を経験する
ことは見出されなかった。
正常体温者は、PVC とシバリング(震え)を介して体温を守りますが、体温が高い人はこ
れらの反応を鈍らせて急速に冷やします。(温度が急激に低下するのと同様に CWIに従う)。
PVCとシバリングはある程度発生する可能性があるが、CWIの重度の温熱患者に見られる急
速な冷却は、CWIの間に中心的な応答が最初は正常体温者とは全く異なることを示している。


図13.高体温の傷病者と正常体温の人を冷水に浸漬させた時の体温変化の比較
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自分の体温が正常な時に、冷水に入ると体は震えその産生した熱で体温を保とうとします。
しかし、自分の体温が高体温の場合、前者とは反応が違い、シバリングは現れず、体はそ
の冷却を受け入れます。
人の体はよくできています。熱中症とは違う領域ですが、例えば心停止の時に胸骨圧迫す
ると、通常は体全体に流れる血流が、脳や心臓等の中心部位に流れるようになるそうです
(文献)。JRCの岡田和夫元会長はこれを神の摂理と言われていました。
(救命おかやま特別講演2013/6/29近代蘇生法の確立1960年から2015ガイドラインまでの道)
熱中症の時の冷水浸漬の際も、この「神の摂理」が働くのではないかと思います。

最後に、この手法の問題として、他の高体温の合併症を管理するためのCWI 中の不適切な
アクセスが挙げられます。心臓モニタリングおよびIV流体投与は、CWI 中に首尾よく行う
ことができる。CWI使用経験のある者は、挿管の発生率を<1%、嘔吐<10%、発作<5%、お
よび闘争的態度15-20%と推定している。これらの合併症を管理している間は、高熱状態に
起因することが多いため、冷却を停止してはなりません。

大部分の患者は、提示時には頻拍性であるが、全てが低血圧ではないが、生命徴候は典型
的には高体温の解決後に正常化する。病院前の環境では、IVアクセスはほとんど必要とさ
れず、熱ストレスによって脱水が促進され、EHS患者は IV液の恩恵を受けることがありま
すが、これは救急部への輸送が必要な患者にのみ必要です。ほとんどの患者は、CWI の後
にオンサイト治療から直接放出され得る。
現場でのCWIは100%の生存率で安全かつ効果的であることが示されています。

EHS のリスクが補足的治療のリスクまたは不都合をはるかに上回る緊急事態です。酸素お
よび静脈内投与は、浸漬中でも可能である。 口と腕に簡単にアクセスできます。
自動体外式除細動器(AED) の潜在的な使用はより大きな懸念事項である。幸いにも、積極
的な冷却によって急速に治療されるEHSを持つ運動選手は、AEDを必要とする心臓血管の問
題を有することはまれである。

直腸温度計が利用できず、臨床シナリオがEHSを強力に示唆している場合は、CWIを開始す
ることを推奨します。病院前の環境におけるこれらの取り組みの終点は、大部分の患者に
十分な冷却をもたらすので、震えの開始、または15〜20分の冷却のいずれかでなければな
りません。
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[5]冷却の手法



図14.種々の冷却方法による冷却速度

米国の数多くの州のEMS プロトコルでは、患者を扇状にしたり、窓を開けたり、脇の下、
頸部、鼠径部に冷たいパックを貼るなどの効果的な冷却方法の使用を推奨しています。
しかし、これらの方法は、上記の図を見れば効果が低すぎることがわかります。
ケミカルコールドパック(CCP) は冷却後の冷却速度が遅く、冷却の主要な方法として使用
すべきではありません。CCPを使用して直腸直腸温41.44℃のEHS患者を治療する場合、
Falmouth Road Raceで見られた平均値で、38.9℃の目標温度に達するまでに70分以上かか
ります。

深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、 EHS労作性熱中症治療の第一目標です。
例えば、初期温度が43℃の傷病者を30分以内に40℃未満に下げるには少なくとも、
43℃−(0.10℃/分)*30分=40℃
ですので、冷却速度>0.10℃/分の冷却方法を使う必要があります。図14だと少なくとも赤
色の縦線より、右側にある冷却手法であれば、この目標を満足します。
図14は、幾つかの実験を寄せ合わせなので、実験の違いによる矛盾も少しあります。しか
し、脇の下や鼠蹊部に氷を入れるような応急処置では、冷水浸漬の効果の2割以下であり
全く不十分です。
一方、ファルマスロードレースでは、38.8℃未満を目標に、水温10℃の浴槽に浸漬させ、
冷却速度0.22℃/分で、浸漬時間20分未満で、救命率100を達成しています。


又、冷水浸漬CWIは、以下の日経メディカル記事で紹介されている救急処置室の方法より、
3倍以上の効果があります。
重症熱中症患者を救う新冷却法(カテーテルやジェルパッドで体温を迅速に下げる)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201508/543357.html

図15.冷水浸漬CWI vs サーモガイドシステム/アークティック・サンの比較


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以下にバスタブ浸漬の例を示します。
温度センサーと温度計本体が分離している隔測式温度計で、直腸温をモニターしています。

図16.バスタブ冷水浸漬の例 CWI(Cold Water Immersion)
http://www.nata.org/sites/default/files/HeatIllnessOverview.pdf

冷水浸漬の動画は以下で見れます。
浴槽に入れる前、傷病者の体から、直腸温の温度センサーのコードがでているのがわかり
ます。長いバスタオルを傷病者の胸から両脇を通して、後ろ側の浴槽の縁で押さえていま
すが、これは傷病者が溺れないようにするためです。
UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)

https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80

(Casa先生も出演されています。)
Preventing Sudden Death in Sport

https://www.youtube.com/watch?v=KzerHULhZ64

New Technique to Cool Down Athletes(アスリートを冷やす新しい技術)

https://www.youtube.com/watch?v=NQgVbbrtUpM&t=9s


尚、冷水浸漬により、40℃から正常温に戻るまでの時間は、
2℃の冷水で10分、8℃で15分かかります。


図17.水温と冷水浸漬の深部体温の時間変化

出典:図17./図18.
Effect of water temperature on cooling efficiency during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf


冷水に浸漬させると、深部体温が正常値まで下がるのには時間がかかります。この時、
表面の温度は10℃程度になります。これくらいまで下がらないと深部を正常にできません。



図18.水温と冷水浸漬の表面温度の時間変化
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[6]重症熱中症のファーストエイド/初期治療の具体例



図19.冷水浸漬のための機材例
重症V度熱中症(熱射病)患者に対する応急手当(初期治療)のシミュレーション例
*リソースの予算を見積もるために、価格の例も入れています。

予め準備しておく器材例
■ビニールエアー浴槽¥7,380  梱包サイズ:35x30x12cm3.7kg(使い捨て使用)
TheChoice 折り畳み式 PVC エアー浴槽 浴槽 AC100Vエアーポンプ付(空気入れの時間要)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N74RPBE/
別案:子供用プール ¥1,279 大人が足を延ばして居れる
https://www.amazon.co.jp/dp/B000OV0X48

■冷凍庫198L ¥43,468円 NORFROST ノーフロスト チェストフリーザー 198L JH198CR
庫内寸法(mm)605×395×665=159Lリットル
(クラッシュアイス(47×31×21cm)は、3箱入るハズ)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0088WS1G2/

■ストレッチャー
緑十字 救い帯 \3,163
https://www.amazon.co.jp/dp/B00COZMK0M/
アズワンNW-S ストレッチャー \3,015
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MDT87NV/

■クラッシュ氷 2s×6袋×4箱=48kg ¥10,560円 クール便(関東〜九州)送料無料
1箱[2s×6袋(12kg)]で2,640円。4箱(48kg)で10560円。 
https://www.hyohan.com/crash/164.html
1個47×31×21cm 3個47×31×63 4個47×31×84cm=122リットル

合計¥67,586
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■[6-2]必要な氷の計算
下記に計算例を示します。
結論としては、上記の浴槽の場合は、
・浴槽に水を6割入れ(水152L(底から24cm高さ))
・-20℃の氷を2箱(21kg)
入れるとファルマスと同じ10℃の浴槽を作れます。

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■2℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
(水の初期温度24℃とし、氷の温度は冷凍庫の温度-20℃とする。)
24℃で、浴槽を200Lとし、その水200000gの水が失う熱量は
Q1=200000*4.19*(24-2)=18436000 [J]

48kgで、-20℃の氷が0℃になるのに必要な熱量は
Q2=48000*2.085*20=2001600 [J]

48kgで、0℃の氷が0℃の水になるために必要な熱量は
Q3=48000*333.5=16008000 [J]

溶けた48kgの氷から出来た水がt℃の水になるために必要な熱量
Q4=48000*4.19*2=402240 [J]

Q1 =18436000 [J]
Q2+Q3+Q4=18411840 [J]

人の体は60kgとし、頭の体積は7%なので、首から下は56リットル。
200L+48L+56L=304L
浴槽は260Lなので、9割だと230L。(200+48)*0.7+56=230なので、結局
この浴槽に満杯の9割の2℃の冷水を作るには、
●水140L(底から22cm高さ)と-20℃の氷34kgが必要

-------------------------------------------------------------
■10℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
上記の同じに計算すると氷は28kgで、
Q1=11732000 [J]
Q2+Q3+Q4=11678800 [J]
でほぼ釣り合う。200L+28L+56L=284。(200+28)*0.76+56=230
この浴槽に満杯の9割の10℃の冷水を作るには、
●水152L(底から24cm高さ)と-20℃の氷21kg
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■[6-3]使い方
運動熱中症患者のための冷水浸漬を実施するための実践ガイドライン。
(The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatmentより)
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1. 最初の応答。
  激しい熱中症が疑われる場合は、患者を冷やして
  緊急医療サービス(EMS)に連絡する準備をします。

2. 氷水浸漬の準備。
  畑や一時的な医療用テントでは、水や氷で満たした水槽や水槽に半分を満たして下さい
 (緊急の前に、水源を調べて水槽にどれくらいの時間で水が入るか確認して下さい)。
  a。 貯蔵タンクは、イベントの前に氷と冷たい水で満たされてもよい
    (または、水槽と水槽との間に3-4クーラーの氷が満たされていて、
    その日の間に桶が寒くならないようにする)。
  b。 氷は常に水の表面を覆う必要があります。
  c。 アスリートが運動訓練室の近くで倒れた場合、
    ジェットバスや冷水シャワーを使用することができます。

3. バイタルサインの決定。
  熱中症患者に没頭する直前に、生命徴候を起こしてください。
  a。 直腸サーミスタを用いて中核体温を評価する。
  b。 気道、呼吸、脈拍、血圧を点検する。
  c。 中枢神経系の機能不全のレベルを評価する。

4. 氷水浸漬を開始する。
  アスリートを氷水浸漬槽に入れる。
  医療従事者、ボランティア、およびチームメイトが、円滑で安全な入退室を支援する
  ために必要な場合があります。

5. 全身のカバレッジ。
  冷却しながらできるだけ多くの体を氷水で覆う。
  a。 コンテナのために全身をカバーすることができない場合は、できるだけ胴を覆う。
  b。 アスリートの頭と首を水の上に保つために、
    助手は、胸や腕の下に包まれたタオルまたはシートで腋窩下に傷病者を抱きつけ
    てもよい。

6. 水の循環
  冷却中、水と皮膚の温度勾配を増加させるために連続的に循環させなければならない。
  助手が冷却中に水を旋回させる。

7. 継続的な医療評価。
  バイタルサインは定期的に監視する必要があります。
  a。 アスリートが戦闘になった場合に助手が近くに立つのが役に立ちます。
  b。 他のアシスタントは、嘔吐が起きた場合に、アスリートを持ち上げたり、転がした
    りする必要があります。

8. 静脈内投与。
  医療従事者がいる場合は、水分補給と心臓血管機能のサポートのために、
  静脈内投与をすることができます。
  a。 水浸漬槽の側面に腕を置きます。

9. 冷却時間。
  患者の直腸温が39℃に下がるまで冷却を続ける。
  a。直腸温度を測定できず、冷水浸漬が指示された場合は、
   10-15分間冷やしてから医療施設に搬送してください。
  b。あまり効果的でない冷却様式が投与された場合、
   25-45分間冷やしてから、医療施設に輸送してください。

10. 患者の搬送。
  直腸温が39℃に達した後にのみ浸漬槽から患者を取り出し、できるだけ早く EMS経由
  で最寄りの医療施設に移す。
   a。冷却は輸送前の第一の目標でなければならない。
    EMSまたは病院に氷水浸漬で冷却する設備がない場合は、
    現場で安全な直腸温に冷却を続けてください。

11. 高度な医療サポート。
  輸送中、直腸温度計により体温を連続的に監視することができます。
   a。アスリートが病院に到着すると、検査やその他の治療は、高体温の結果生じる問
    題に対処します。
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■[6-4]バスタブがないときの代替方法(タコス法:Taco Method)


図20.タコス法によるCWI(冷水浸漬)
救急隊でPA連携している場合は、シートと氷さえ用意すれば、ポンプ車の水を使って、
タコス法は実現可能ではないでしょうか?

タコ法の実演動画 UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)
https://youtu.be/sFocmPvWm80?t=1m13s

■[6-4]バスタブもブルーシートもない時(氷水バスタオルによる代替)
CWIがない場合、氷水に浸したタオルを傷病者の皮膚全身にあてます。
1分あたり0.11℃の冷却速度で効果的だがゆっくりとした代替物が得られます。
タオルは、背中を含む身体の最大部分をカバーし、数分ごとに交換する必要があります。

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他の参考文献
【Sayuriさんのブログ】スポーツ中の熱中症対策、できてますか?
Exertional Heat Strokeについて考える。
 http://innervate.exblog.jp/24438239/
Falmouth Road Raceから熱射病ケアを学ぶ
 http://www.chainon.me/falmouth-road-race/
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。



posted by jemta at 17:36| 日記

2017年06月21日

Yさん (70代男性、老人施設事務、BLS更新2回)、76歳の入所者の窒息を救う



本記事のURL
http://jemta.org/index_170621.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

このお話は、先週、弊会の AHA-BLSコースに来られたリピーター受講生の方が、コース初
めの自己紹介のコーナーで語られたお話です。

Yさんは70代の男性で、岡山市内まで、車で3時間もかかる遠方から来られました。ご自身
で高齢者施設を立ち上げられました。医療従事者でもなく、介護資格をもたれているわけ
ではありません。町内の役場によく通っているなかで、町立病院の看護師さんとよく話す
機会があり、その看護師さんが弊会の BLSコースに行くという話をしたら、自分も是非参
加したいと申し出られたそうです。Yさんは、看護師さんとご一緒に合計3回、弊会のBLS
コースに参加されました。

このお話は、2回目のBLSコースを受けたあと、1カ月後のことだそうです。
ご自身の施設の76歳の入所者の方が、食事中に窒息をおこしました。施設の看護師さんは
入所者の口の中を描き出して、異物を取り出そうとしたり、吸引器を使おうとしたそうす。
しかし、異物を出すことはできず、仕方ないのでベッドに連れて行こうとしたそうです。
入所者さんの顔色はみるみる青くなっていきました。

それを見たYさんは、これはまずいと思い、 BLSコースで学んだ腹部突き上げ法を自分で
行い、その後、CPRを開始しました。 119番通報してから7分後に救急車が到着したのです
が、到着する少し前に、入所者は息を取り戻し、救急隊は患者を見て、「もう大丈夫です
ね」と言われたそうです。Yさんは、BLSコースに来てよかったと話されました。
このお話では、医療者は患者を救うことができず、事務方が患者を救っています。

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日本は BLSの教育が遅れており、医療従事者でも、救命処置を適切に行えないことは多い
と思います。その問題が表面に出ていないだけです。
米国では、就職する際に、医療従事者免許のカードと BLSやACLSカードを提出しないと入
職できませんし、また、定期的に更新しないと勤務を続けることができません。日本での
問題点は、(1)制度の問題と、(2)職業人としての自己研鑽の必然性の2つあると思います。

(1)制度の問題
一般市民としては、医療者は、救急が専門であるかどうかに関わらず、ERにつなぐ、最初
の第1次の救命は完璧にできるはずだと期待されていますが、実際に現場で適切に行われ
ておらず、適切ではないことが表面にでていないだけです。1次救命スキル保持「制度」
としては十分に機能していません。教育行政を行う人たちが、まずそこを理解していない
と思います。医療者なら必須のスキルである、現場での第一次の救命処置のスキルが必須
だと思われていないのです。
まず、入職の前に1次救命を行うトレーニングを十分につんでいるのかどうかです。
(例えば学科の実習で50人の学生を相手に1時間程度の練習では不十分です。)
(実習後に、適切な試験を行い、その学生のスキル保持を対外的に証明するしくみが必要)
入職後に、定期的にトレーニングと試験を行う必要があります。

現状の制度としては、入職前にスキルや知識を持っていなくても日本では不問ですし、日
本の医師免許・看護師免許は、米国と違って、更新制度がなく、何も訓練しなくても勤め
ることが可能であり、1次救命に関しても定期的な訓練制度がありません。一度免許を取
得すれば、あと何もしなくても一生保証の国家制度になっています。
日本社会では、例えば一般市民でも、事故をおこして他の人を傷つけてはいけないからと、
運転免許ですら、更新制度があります。航空機の機長も人の命を預かる仕事なので、免許
更新制度があります。医療者は患者の命を直接預かる仕事で、侵襲的な行為も認められて
いるのに、医療資格を更新する必要がありません。国交省は、更新制度を作っているのに、
国民の生命を守るべき厚労省は制度を作っていません。米国の CDCやOSHAは積極的に国民
のために動いていると思いますが、厚労省は米国情報を引用するだけで自ら積極的に動い
ていないと感じます。一例ですが、日本蘇生協議会 (JRC)の元会長の岡田和夫先生は2008
年NPO救命おかやまの特別講演において、日本のILCOR関連の対応に関して、厚生省からは
途中で梯子をはずされて困ったとのお話をされておられました。
2千人医師へのアンケートによると、2割の医師はAEDを使う自信がないといっていますし、
院外での心停止を10秒以内に判断できると答えた医師は6割にとどまっています。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2014/06/News_20140612.pdf

(2)職業人としての自己研鑽の必要性
ILCORが世界最初の Advisory Statement(心肺蘇生に関する勧告)を出したのが1997年です
から、それよりずっと前に医療免許を取った方は、1次救命を一度も習っておらず、訓練
したこともないと思います。新しいことは、自ら選択して、自分の意志で訓練しないと、
できないはずです。院内でされている講習会の例を伺うと、短時間で大人数で行うため、
訓練が十分でなく、また最後にどういう実技試験をしてスキルを取得したか、対外的な証
明ができていません。
医学知識が2倍になるのに、1950年には50年もかかっていましたが、2010年には3.5年、
2020年にはわずか73日で、医学知識が2倍に増えるとの試算がでています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21686208
現場でご自身がご苦労された経験は、容易に忘れることはないと思いますが、新しいこと
を吸収して自分を絶えず進化させないと遅れをとります。学生の時に学んだ知識はすぐに
陳腐化します。知識やスキルを持っていないと態度や経験だけでは人を救えません。
一方、ネットの普及で、一般市民は容易に知識を検索できるようになり、職業人のスキル
を見る目は一層厳しくなっています。
「生きるために学ぶ」時代から、「学ぶことが生きること」と変容できるように自己研鑽
を深める必要があると思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

医療者だけについて書きましたが、これは業務の一環として、生命に関わる初期の対応が
求められる職業の方も同じです。(学校の先生、企業の安全衛生担当、警察官・公務員等)

以上です。


posted by jemta at 17:20| 日記

2016年08月23日

重度の熱中症で深部体温が40℃の患者を冷やすには、2℃の水風呂に浸けても、10分かかる。



本記事のURL
http://jemta.org/index_160823.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・日本救命協会の久我です。先日、以下のツイートを拝見しました。



https://twitter.com/mariaicu/status/766089297694908416

>熱中症で運ばれてきた学生、大量の発汗洋服がびしよびしょかとおもいきゃ、
>救急隊から、ちがうんですよ。学校で大量の氷と水をかけたので、
>直腸温38、6℃身体もあつい。逆に末梢がしまってしまいルート困難に。
>冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。
>こもったままになってしまうのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

上記のツイートを見て、一般の方は、現場の看護師さんが言われるのだから『なるほど』
と思われた方もおられるかもしれませんし、
又、熱中症診療ガイドライン2015にも参考として書かれているゲルパッド水冷式体表冷却
装置を既に導入されて、冷却の温度勾配の感覚がわかっておられるERの方は、すぐさま、
上記の「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。」という部分は正しくないと感
じられたかもしれません。

結論から言うと、「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。こもったままになっ
てしまうのです。」という考えは科学的根拠がなく、物理法則に反します。
真実は、『冷却がまだ足りなかった』という事だと思います。恐らく皮膚表面が濡れて一
部は冷たかったのに、深部体温が高かったので、そう思われたのではないかと思います。
例えば、ゆであがったばかりの卵を、綿製の軍手の中に入れて、上から水をかけたり、氷
で囲んでも、すぐにはゆで卵の温度は下がりません。冷水につけてしばらく置かないと下
がりません。

・成人の体の6割以上は、「水」からできています。(比熱 = 4 [cal/(g・K)])
・熱力学の第2法則により、熱エネルギーは、高温から低温側に方に必ず移動します。

V度熱中症のように、例えば深部体温41℃の患者を氷水ほどの冷たい水につけても、深部
体温を3℃下げるのには9分〜24分かかります。(参考*2*3にある0.12〜0.35℃/分で計算)
学校で、大量の水や氷をかけたとしても、ずっとかけ続けなければ深部体温の下降はそう
期待できません。学校で大量の氷と水をかけた処置は大変良く、氷も使って冷やした処置
は適切でしたが、冷やす時間が短すぎて、深部体温を38.6℃までしか、下げることができ
なかったというのが真実ではないかと思います。

冷やし過ぎてシバリング(ふるえ)が起きて逆に体温が上がったり、低体温になるのは避け
るべきですが、人の体の比熱は大きくて、体表を冷やしても、深部体温はすぐには下がり
ません。

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AHAファーストエイドガイドライン(G2010日本語版S964)には以下のように書かれています。

「熱中症の傷病者に対し応急手当員がすべき最も重要な処置は 傷病者をただちに冷却す
ること。できれば顎(あご)まで冷水につからせる」
尚、このガイドラインの引用文献には、2℃の冷水が最も効果的と書かれています。

(ファーストエイドのガイドラインををよく御存じでない方にこの数値を示すと、大体、
皆驚かれます。医療従事者でさえ、もっと高い温度でやんわり冷やすべきだと思われてい
ます。ガイドラインは医療研究の結果を評価して、勧告が作られています。事実を誤解す
ることなく、理解するには、医療者は、最低でもガイドラインを読んだり、このベースと
なっている研究論文に目を通すべきです。AHAはEBMですから、少なくともAHA のインスト
ラクターは、AHA のガイドラインを読むべきです。現場で最も困るのは、責任ある立場の
方が、要旨も読まず、論文も読まず、ガイドラインも読まず、自分が正しいと信じて、疑
うことなく、確認せずに情報発信したり、立場の低い方におしつけることです。)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以下に、参考文献*1に書かれているグラフを示します。

あごまで2℃の冷水につかると、平均皮膚表面温度は10分で約10℃になる。皮膚はとても
冷たくなります。




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直腸温(rectal temp)が40℃の時に、2℃の冷水につかっても、37.5℃に下がるまで10分も
かかります。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

体表面から腋窩や大腿動脈を氷嚢などで冷やす方法は簡便で行いやすい治療法ですが、冷
却効果が少なく、水風呂に比べて大きな効果は期待できません。

水風呂などで、体表面を冷やすことにより、体表温度が下がることはあたりまえです。
熱中症V度のように重症の場合、深部体温を正常値に下げるまでには、体表面はかなり冷
たくなるまで(10℃? or 20℃?)、 冷やさないといけません。冷やし過ぎかどうかは深部
体温を測らないとわかりませんが、シバリングを起こす前に冷却を止めるなどの注意は必
要だと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現場で深部体温を測るのは難しいでしょうし、詳細はわからないので、個人的な一般論で
すが、救急隊はMC医師と連携を取り、MC判断下で、可能であれば現場で、(氷)水風呂につ
けて、ある程度(10分未満)体温を下げてから、病院に運んだ方が予後がよいのではないで
しょうか?
ERの処置室に、水冷式体表冷却装置Arctic Sun 5000(400万円)のような設備
http://imimed.jp/product_review/page_24.html
を導入できている施設はあまりないと思います。本来は重度熱中症の治療には、水風呂に
氷を入れて浸漬させるのが最も効果的です。(水温が10℃未満であれば、直腸温38.6℃、
10℃以上であれば37.8℃で冷却を止めれば、低体温を生じることなく、安全であった報告
があります。*4)しかし、ERの処置室に水風呂をおくスペースを確保することは困難な状
況だと思います。

熱中症ではなく、心停止の場合は、病院に運ぶ前にバイスタンダーや救急隊がその場で、
CPR/除細動することは、既に一般的になっています。熱中症の場合も同じで、救急隊は病
院に運ぶことより、現場で水風呂につけ、深部体温を下げてから病院に運ぶべきです。日
本の場合、119番通報して、救急車が来るまで8分かかり、病院収容までは38分かか
っています。今後は、消防は熱中症の時期は、消防署に氷の備蓄をし、熱中症の通報があ
ったら、PA連携で、タンク付消防車を救急車に同行させ、熱中症の評価をMC下で行い、使
用できる風呂を探して、そこにポンプ車からすぐに水を入れて、傷病者をあごまでつけて
氷を入れて、かき混ぜながら、9分 未満で冷やすべきだと考えます。(シバリングがでた
ら中止)

熱中症診療ガイドライン2015には、以下のように書かれています。
労作性熱中症に対しては、ショック状態など生命を脅かす合併症が存在しない限り、病院
に搬送する前に水槽に浸漬させる、または大量の水を噴霧させるなどして、できるだけ早
期から冷却処置を行うことが推奨されている*4
冷水への浸漬の効果に関する研究では、2℃の水に約9分浸漬させることで直腸温が39.5℃
から38.6℃まで低下すること、目標温度を直腸温38.6℃とした場合は処置を終えた後に低
体温に陥らないことも報告されている*4


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P.S.
本投稿で初めに紹介した上記のツイートを見られた方が、熱中症の時に『冷やし過ぎはよ
くないんだ』と過剰に思われて、冷却が不十分になると、予後が悪くなります。重度の熱
中症の場合は生命の危険があります。
本投稿では、他人のツィートに突っ込んで大変申し訳ありませんでしたが、予後が悪くな
る傷病者が今後増えるといけないと思い、本投稿をしました。


参考文献
*1
Effect of water temperature on cooling efficiency
during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf

*2
Exertional Heat Stroke: New Concepts Regarding Cause and Care
http://journals.lww.com/acsm-csmr/pages/articleviewer.aspx?year=2012&issue=05000&article=00006&type=abstract

*3
猛威を振るう熱中症! 治療はどうする?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/201607/547608_2.html

*4
熱中症診療ガイドライン2015
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

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以上です。


posted by jemta at 23:08| 日記

2016年05月05日

30回の胸骨圧迫時間は14.5〜17.4秒であり、15〜18ではない



30 Compresstins time is "14.5-17.4sec", not "15-18" on AHA 2015 BLS Skill Testing Checklist.
本記事のURL
http://jemta.org/index_160505.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


[1]胸骨圧迫のテンポ
  Chest Compression Rate
ガイドライン2015では、胸骨圧迫のテンポは100回/分から120回/分が推奨されます。
2015 Recommendation Updated
Perform chest compressions at a rate of 100/min to 120/min


[2]AHA BLS Courseでのチェック
 BLS Skill Testing on the course
>[BLSインストラクターマニュアルP32]
>[BLS Inst.Manual P32]
>ストップウォッチの使用
>Using Stopwatch
>
>(a)受講生が最初に胸を押したときに、ストップウォッチをスタート
>  Start your Stopwatch when the student first compression the breastbone
>(b)胸骨圧迫が最後の30回目になった時にストップウォッチを止める
>  Stop your Stopwatch at the end of the 30th compression.
>(c)秒数が15秒〜18秒であれば合格とする
>  Mark the step correct if the number of seconds is between 15 and 18 secons,

[3]上記の(a)(b)の操作でストップウォッチの記録時間(c)は29周期分であり、30周期分でない
  If instructor operate avove (a)(b),
  the number of seconds(c) means for 29-cycle,not 30.

テンポ対29回の周期合計と30回
_______++__1T__++__29T__++__30T__++
120/min__0.5sec__14.5sec__15sec__
100/min__0.6sec__17.4sec__18sec__
_______++______++_______++_______++

[4]結論
  Conclusion
スキルテストリストの30回胸骨圧迫の秒数の「15秒から18秒」は不適切
14.5秒から17.4秒に変更すべき
The number of seconds "15-18" on Skill Testing Checklist is inadequacy.
It should be updated to "14.5-17.4"
========================================




尚、本件はAHAには連絡済みです。
又AHA instructor networkのInstructor CommunityのTeaching CPR Courseの
Disussionsにも投稿しました。
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/250?post_id=791
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/259?post_id=822
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Postscript 05/10/2016
[Consideration}

If AHA's idea is following the first decimal place of the stopwatch
to round the number, and fill out the skill sheet
It becomes such as the following discussion.

BLS Pass Range;BPR
StopWatch;SW
Compression Rate;CR

(1)
BPR: 18 -- 15 sec(current range)
SW : 18.49--14.50 sec
CR : 94 -- 120/min

(2)
BPR: 17 -- 15 sec
SW : 17.49 -- 14.50 sec
CR : 99 -- 120/min

(3)
BPR: 18 -- 14 sec
SW : 18.49 -- 13.50 sec
CR : 94 -- 129/min

(1) If BPR Pass Range is current value,it permit 94/min to 120/min
It is maybe too slow ,and poor balance between upper and lower.

(2) If Pass Range is between 17 and 15 sec,it permit 99/min to 120/min.
It is good balance, there is no margin for measurement error.

(3) If Pass Range is between 18 and 14 sec,it permit 94/min to 129/min.
It is enough balance, there is margin.

So we recommend (3) or (2) as BLS Pass Range on Skill Testing Checklist.


[Conclusion]
BLS Skill Testing Checklist
[AHA Now]
30 compressions in no less than 15 and no more than 18 seconds.
It is poor balance between upper and lower.

So,
{We recommend in the wide range]
30 compressions in no less than 14 and no more than 18 seconds.
or

{We recommend in the narrow range]
30 compressions in no less than 15 and no more than 17 seconds.



追記 2016/5/10
【考察】
もし、AHAの意図がストップウォッチの小数第一位以下を数値を四捨五入して、
スキルシートに記入せよという意味であれば以下のような議論になります。

BLS Pass Range;BPR BLS合格範囲
StopWatch;SW    ストップウォッチの値
Compression Rate;CR 圧迫のテンポ

(1)
BPR: 18 -- 15秒 (現状値)
SW : 18.49--14.50秒
CR : 94 -- 120/分

(2)
BPR: 17 -- 15秒
SW : 17.49 -- 14.50秒
CR : 99 -- 120/分

(3)
BPR: 18 -- 14秒
SW : 18.49 -- 13.50秒
CR : 94 -- 129/分

(1) もし合格範囲が18〜15秒なら、実際のテンポが94〜120/minの範囲内なら合格になる。
  しかしこれではテンポが遅すぎる傾向になり、上限下限のバランスが悪い。

(2) もし合格範囲が17〜15秒なら、実際のテンポが99〜120/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスはよいが、測定誤差のマージンがない。

(3) もし合格範囲が18〜14秒なら、実際のテンポが94〜129/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスもよいし、測定誤差のマージンもある。

BLSスキルチェックシートの上限下限値としては、(3) か (2) が
推奨されるのではないかと思います。


【結論】
BLSスキル試験チェックリスト
[現在のAHA規定]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上18秒以下」
 上限下限値のバランスが悪い。

AHAはチェックリストを以下に変更すべきだと思います。
[広い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「14秒以上18秒以下」
 又は
[狭い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上17秒以下」


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posted by jemta at 19:32| 日記

2015年12月05日

AHA AMRトレーニングセンターでインストラクターになるには



本記事のURL
http://jemta.org/index_151205.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
おはようございます。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

BLS受講生の方から、AMRでインストラクターになるにはどうすればよいかとのご質問があ
ったので、以下まとめました。
AHAのインストラクターになるルールは基本的にPAMというルールブックで規定されていま
す。また、各トレーニングセンターはPAMのルールを守る必要がありますが、PAMとは別個
に、ローカルルールを設定している場合もあります。AHA のインストラクター資格は、
AHAの管理下にあり、AHAとしての資格なので、他のトレーニングセンターに移籍しても、
その資格は有効です。但し、AHA は直接、インストラクターの養成をしていませんので、
現実としては、どこかのトレーニングセンターに属し、そのローカルルールに従った上で
そのトレーニングセンターで、AHAのインストラクターになる必要があります。
尚、トレーニングセンターには、米国のAHAのトレーニングセンターと、米国外のITCの
トレーニングがあります。ルールブックは、AHAとITCの別個に規定されおり、AHA のイン
ストラクターは、PAM(US版)に従い、ITCのインストラクターはPAM(ITC版)に従う必要があ
ります。日本のITCの場合に、AHAのインストラクターと名乗っておられる場合もあります
が、正確にはITCのインストラクターです。AHAのインストラクターというのは、USのトレ
ーニングセンターに属しているインストラクターです。
AMRトレーニングセンターは、USのトレーニングセンターです。


(1)プロバイダー資格の取得
インストラクションを行う各々のプロバイダーコースのプロバイダー資格を取得します。
尚、BLSインストの資格を取得するには、BLS-HCPプロバイダー資格以外に、
・ハートセイバーCPR/AED
・ハートセイバーFirstAid
の資格を取得する必要があります。これは、AMRのローカルルールです。

(2)インストラクターコースの受講
・各インストラクターマニュアルを購入し、勉強します。
・上記の資格があれば、インストラクターコースを受講できます。
 本人の意志があればコースディレクターの推薦は必要ありません。
 (AHAのルール通りです。)
・トレーニングセンターのコーディネーターがコースを行います。
 (コーディネータは英語しか話せませんが、言語ギャップがあることは理解しておられ
  意志の疎通には、努力をされていると思います)
 AMR-Hawaiiの場合は、通常はAMR事務所(99-840 Iwaiwa st., Aiea, HI 96701)
 で行われています。
 8月と3月に行われることが多いです。(不定期です。募集があればHPに出しています。)
 私が参加した中では、最低3人〜最高10人くらいでした。
 現地の方も参加されますので、日本人だけではない場合もあります。
 2人でペアを組んで、実技試験を行いますので、参加者は少ない方がお得です。
 初めて参加される場合は、日本人とペアを組んだ方が楽だと思います。
 なれれば、相手が現地の方でも楽しくできると思います。

(3)インストラクションの勉強
・インストラクターコースでは、各コースの具体的なインストラクションのやり方を
 学ぶことはできません。実際に各プロバイダーコースで、DVDを操作し、受講生が実技
 練習ができるように案内したり、正しくできている場合に手技を褒めたり、修正したり
 学べる環境をどう創っていくのかは、自分で練習する必要があります。
・具体的には、モニター評価を行うファカルティが指導するコースへ参加されて、インス
 トラクションのやり方を学んで、自分の言葉でできるように、勉強する必要があります。
・AHA のルールでは「タスク参加」という義務はありませんので、何回コースへでないと
 いけないとかいう義務はありません。自分が1人でできるようになることが必要です。

(4)モニター試験を受ける
・ファカルティが見ている中で、実際にコースへでて、インストラクションを行い、OKが
 でたら、インストラクターになることができます。
・AHAのルールでは、インストラクターになれば、自分でコースを開催できるのですが、
 ローカルルールで、そうでない場合が多いです。AMRでは、インストラクターになると
 コースで教えることはできますが、自分でコースを開催できるようになるには、リード
 インストになる必要があります。日本の ITCではコースディレクターと呼んでいる場合
 もあります。

(5)資格取得後
・プロバーダーと同じく、2年毎に更新する必要があります。
・また、ガイドラインが変更されると、ガイドラインのアップデートを受ける必要があり
 ます。

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以上です。


posted by jemta at 09:26| 日記

2015年10月19日

JRCガイドライン2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151019.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

先週の10/16にJRCガイドライン2015が発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/
 
JRC予告は16日12:00でしたが、1秒の遅れもなく、予告通りに発表されました。 ERCもAHA
も予告した時刻(又は予想された発表時刻)からは遅れました。予告通りだったのは、今回
は JRCだけでした。
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ERCは予告ページでは、発表時刻までの秒まで詳細にカウントダウンさせて表示させてい
ましたが、10/15 14:00 00秒になっても、ダウンロードのリンクは表示されず、カウント
の数字は+表示になりましたが、14:03頃にERC Guidelines 2015 have arrived!が表示さ
れダウンロードできるようになりました。

AHAは、初めから発表時刻を予告していませんでしたが、いつもERCと同じ時刻に発表して
いますので、今回も14:00発表で ERCと合意できていたのかもしれません。実際には14:20
頃に、発表されました。また、 AHAはインストラクター向けに事前に出した文書やホーム
ページでのスケジュールでは、2015 Guidelines Highlightsは11月か12月に出すと予告し
ていました。https://goo.gl/hME7Lz
しかし当日 10/15 21:00頃にインストラクター向けに、このハイライトのリンクの案内が
ありました。当日に発表するのは事前に計画されていたと思いますが、予定変更の告知は
ありませんでした。『早い分はかまわないだろう』との趣旨かもしれませんし、読む側か
らしても、すぐ日本語で読めるので、ありがたいことに変わりはないです。同時発表に変
更されたのには、何か事情があったのかもしれないと思います。

ILCORのホームページは、恐らく現在でもAHAが管理しているのだと思いますが、 G2015の
の表示に代わったのは14:20頃だったと思います。G2010の時は、 ERC、AHA、JRCの3つの
リンクが書かれていましたが、G2015発表と同時に、JRCのリンクは削除されました。現在
も JRCのリンクは消去されたままです。 JRCは、日本語ではガイドラインを発表されまし
たが、またこれを英語に翻訳しなおして発表しないと、 ILCORのリンクには載せることが
できないということではないかと思います。
AHAもERCもJRCも、ガイドラインの基はCostrです。 Costrの原意を知るのには JRCのガイ
ドラインは非常に参考になります。日本語なので非常に読みやすいです。

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作業部会員のリストが同時に発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/2015member_list.pdf

編集委員長(ACS担当)野々木宏
静岡県立総合病院 院長代理 昭和51年京都大学卒
https://www.facebook.com/hnonogi

編集委員(ALS担当)相引眞幸 
愛媛大学医学部 1978金沢医科大学卒
http://pc.rnb.co.jp/konnichiwa/2014/09/ 上から4つ目。9月20日放送分音声

編集委員(EIT担当)石見拓 
京都大学 平成8年群馬大学卒
http://aed-project.jp/message/message2.html

編集委員(BLS担当)坂本哲也
帝京大学 1983東京大学卒
https://www.facebook.com/tetsuya.sakamoto.7169

編集委員(PLS担当)清水直樹
東京都立小児総合医療センター 1990千葉大学卒
https://www.facebook.com/naokiishimizu?fref=pb&hc_location=friends_tab

編集委員(FA担当)田邉晴山 1998日本医大
救急救命東京研修所 1998卒
https://www.youtube.com/watch?v=soZBX_picTs 3:40くらいから講演

編集委員(NCPR担当)田村正徳
埼玉医科大学 1974東京大学卒
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2585dir/n2585_12.htm

編集委員(脳神経蘇生担当)永山正雄
国際医療福祉大学 昭和58年東海大学卒
https://www.facebook.com/masao.nagayama.3
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1011084032288928&set=pcb.1011089338955064&type=3

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国際蘇生協議会ILCORには、AHAとERCの他に、カナダ心臓・卒中財団、
オーストラリア蘇生協議会、ニュージーランド蘇生委員会、南アフリカ蘇生協議会、
中南米心臓財団、アジア蘇生協議会が参加していますが、ガイドラインを出しているのは
AHAとERC以外にはJRCだけだと思います。日本がRCAを作って、ILCORに正式加盟したのは
2008年です。岡田和夫先生は、2008年NPO救命おかやまの特別講演で、日本が加盟するま
での講演をされました。http://npo-ok.umin.jp/pdf/629npo.pdf
私が聞いた限りの印象では、ILCORが結成された後、岡田先生が私費を投じて、積極的に
ILCORの会合に通い、単なる机上討論だけでなく、プライドは横において、個人的にもメ
ンバーと全人格的に交流し、そうやって得た信頼の上に、RCAがILCORへ参加でき、日本が
ガイドラインを出すような道筋を作ってこられたのではないかと思いました。厚生省から
ILCOR関連の対応に関して、途中で梯子をはずされて、後ろ盾もないのにも関わらず、謙
虚に友好を続けてこられたその人格があったからではないかと思います。 5年以上前に、
来日した AHAのメンバーの講演会が東京の大学講堂であり、私も参加させていただきまし
た。その時、岡田先生が司会をしておられました。休憩の時間に、一緒に行った方から岡
田先生を紹介されたのですが、突然行ったのにも関わらず、ご自身が岡大医学部出身であ
ることなどをきさくに話して頂いた上に、非常にご丁寧に名刺もいただきました。その腰
の低さに意外な思いをしたことを印象深く覚えています。

JRCの作業部会員の皆さま、大変にお疲れ様でございました。
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以上です。

posted by jemta at 23:03| 日記

2015年10月15日

新しいAHAのガイドラインアップデート2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151015.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

ERCのガイドライン発表の予告時刻は、日本時間で、本日10/15(木)14:00でした。
・ERCは予告より数分遅れて発表され、
・AHAとILCORはERCより、10数分遅れて発表されました。
 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
・AHAは「Science News」のメール配信を本日20:54にUSインスト宛て、21:07分にITCイン
 スト宛てに行ったようで、ガイドライン2015が公式アナウンスされました。
 http://networking.americanheart.org/blogs/6/1141

■AHAのガイドライン2015紹介のページ
https://eccguidelines.heart.org/index.php/american-heart-association/
 
■日本語のハイライト(全36ページ)
https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2015/10/2015-AHA-Guidelines-Highlights-Japanese.pdf
AHAはこれまで、11/12月に発表するとアナウンスしていましたが、ガイドライン発表後の
7時間後にハイライトをアナウンスしたことになります。日本語で概要を読めるのは大変
にありがたいことです。

■NEW Web-Based Integrated Guidelines
https://eccguidelines.heart.org/
AHAはこれまで、5年毎にガイドラインを固定された PDFファイルベースで出してきました
が、今回から、新しくウェブベースのページを作り、このページは継続的に更新されるよ
うです。

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■雑感(余談ですが、私が今回気になったトピックは以下の通りです。)
・胸骨圧迫のテンポは1分間に100〜120回
・胸骨圧迫の深さは5cm以上6cm以下
・胸骨圧迫比CCFが可能な限り60%以上になるようにCPRを行う
*BLSに関しては圧迫のテンポの上限値は、 AHAは2013年のステートメントで既に言って
 いましたし、深さの上限もERCの従来と同じです。 CCFに関しては既に弊会のBLSコース
 では実技試験の評価は G2010準拠の上で、可能な方には努力目標として取り入れていま
 した。 http://jemta.org/index_cpr.html  ですので今回の改定はあまり変化は無い
 印象です。
・エピネフリンと同等な為、バソプレシンはアルゴリズムから削除
・30秒以上の遅延臍帯クランプは合理的
・35週未満児蘇生は低酸素(21-30%)で開始
・最初にエピペンを打っても改善しない時、5〜10分以内に救急隊が来ない場合は2度目の
 エピペンを考慮。
・圧迫止血しても止血できない場合は、止血剤を含有させた包帯の使用を考慮してもよい。
 (弊会のファーストエイドコースでは Celox製のこの包帯を受講生の方に手に取ってご
  覧いただいていますが、1万円近くしますし、日本では入手が容易ではありません。)
・ガイドラインをまとめたのは今回も前回と同じMary Fran Hazinski(ハジンスキー)さん。
 2015年に、シカゴで開催された AHAのカンファレンスでは真っ赤な服でにこやかな笑顔
 で登壇されていたと思います。小児科の看護師さんだったと思います。


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■AHAガイドライン2015
http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
(*原文のPDF以外に、Googleの機械翻訳のリンクも併記しています)
( 機械翻訳なので参考程度ですが、カーソルを持っていけば原文が表示されます。)
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●Part_00 編集委員会
Editorial Board
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S313.full.pdf

●Part_01 要旨
Executive Summary
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S315.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oA75

●Part_02 エビデンスの評価と利益相反管理
Evidence Evaluation and Management of Conflicts of Interest
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S368.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkr

●Part_03 倫理的な問題
Ethical Issues
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S383.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkz

●Part_04 治療のシステムと継続的な質の改善
Systems of Care and Continuous Quality Improvement
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S397.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkK

●Part_05 成人の1次救命とCPRの質
Adult Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S414.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkN

●Part_06 CPRの代替手技と補助的器具
Alternative Techniques and Ancillary Devices for Cardiopulmonary Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S436.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkT

●Part_07 成人の2次救命
Adult Advanced Cardiovascular Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S444.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAl7

●Part_08 心拍再開後のケア
Post–Cardiac Arrest Care
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S465.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlh

●Part_09 急性冠症候群
Acute Coronary Syndromes
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S483.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlo

●Part_10 特殊な蘇生の状況
Special Circumstances of Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S501.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlC

●Part_11 小児の1次救命とCPRの質
Pediatric Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S519.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlL

●Part_12 小児の2次救命
Pediatric Advanced Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S526.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlU

●Part_13 新生児の蘇生
Neonatal Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S543.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAm3

●Part_14 教育
Education
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S561.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmf

●Part_15 応急処置
First Aid
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S574.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmp
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以上です。


posted by jemta at 22:32| 日記