2017年08月20日

労作性(重症V度)熱中症のファーストエイドと初期治療:冷水浸漬法(CWI法)



FirstAid for Exertional Heat Stroke(EHS). Cool(Ice tub) First,Transport Second.
本記事のURL
http://jemta.org/index_170820.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。
お盆休みも終わって、来週からは、仕事開始ですね。

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■[1]はじめに
米国のボストン近くのファルマスという港町で、今日8月20日に11km マラソン大会が開催
されます。1万人以上が参加するロードレースです。平均気温は23℃、湿度70%です。
距離が短く、参加者が頑張るため、毎年平均15人くらいの労作性熱中症の傷病者がでます。
深部体温が40℃を越えた時間が15〜30分続くと生存率は50%しかありません。一刻も早く
冷やす必要があります。ファルマスロードレースでは、1984年から 18年間で合計274名の
熱中症患者がでていますが、1人の死亡者もでていません。救命率は100%です。
その理由は、米国スポーツ医学会(ACSM)、全米アスレティック・トレーナーズ協会(NATA)
が推奨するCWI(Cold Water Immersion) を実施しているからです。

図1.ファルマス・ロードレース


医療テント内には、予め、多数の浴槽と氷が用意され、傷病者に中枢神経障害があり、熱
中症の疑いがある場合には直腸温を測定し、40℃を超えていればCWIを実施し、水温10℃
の浴槽に10分〜15分ほど浸漬します。0.22℃/分の冷却速度で冷却され、直腸温が 38.8℃
になれば浴槽から出します。倒れてから約2分以内にCWIは実施されており、治療実施者の
93%は、病院に行くことなく、現場の医療テントからそのまま帰宅できています。

過去50〜100年前までは、熱中症傷病者に冷水浸漬(CWI)はよくないと誤解されてきました。
急に冷やされると、傷病者が嫌がるのではないか、末梢血管収縮(PVC)と震えのために冷え
ないのではないか(Currie response) 、という誤解です。
しかしこのファルマスロードレースでは、冷水/氷水浸漬による急速冷却が、卒倒後数分
以内に実施されれば救命できることが実証されています。
正常な人が冷水浸漬された場合と、高体温の人が浸漬された場合の生体の反応は違います。
高体温の冷水浸漬では、震えは観測されず、傷病者からの低温に対するクレームはなかっ
たそうです。
深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、EHS労作性熱中症治療の第一の目標です。
"Cool first, Transport second"(冷却第一、輸送はそのあと)のスローガンは強く推奨さ
れています。

AHAのFAガイドライン
では「できれば顎まで冷水につからせる(G2010,S964) 」と推奨され
ています。
Heat Emergencies
The most important action by a first aid provider for a victim of heat stroke is
to begin immediate cooling, preferably by immersing the victim up to the chin in
cold water.
日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015
でも「病院に搬送する前に水槽に浸漬させ
る(水温2℃で9分浸漬の事例を紹介)P13」を推奨しています。
日本医師会発行の国際マラソン医学協会医療救護マニュアルP83
にも、ファルマスのよ
うな方法が具体的に示されています。

日本はAEDのPAD導入が欧米に比較して10年以上遅れました。熱中症の分野においても米国
の方が10年程以上、進んでいるのではないかと思います。
救急医@ER/ICU氏のブログ「対熱中症 総力戦」
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11312235241.html
以下の動画は削除されましたが、Dr林先生も氷水でのクーリングは厳禁と言われていまし
た。(熱中症と脱水)
https://www.youtube.com/watch?v=G8_g1BNclHA

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文献:冷水浸水:演習熱中症治療のゴールドスタンダード
Exerc Sport Sci Rev. 2007 Jul;35(3):141-9.
Casa DJ,et al.,Cold Water Immersion: The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatment
http://journals.lww.com/acsm-essr/Fulltext/2007/07000/Cold_Water_Immersion__The_Gold_Standard_for.9.aspx
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ファルマス ロードレース大会で労作性重症熱中症に対するCWI冷水浸漬の治療結果
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24983342
Demartini,Casa et al.,Med Sci Sports Exerc. 2015 Feb;47(2):240-5    (カ)
Effectiveness of Cold Water Immersion in the Treatment of Exertional Heat Stroke at the Falmouth Road Race
・米国ボストンから、車で90分のファルマス(緯度は函館と同じ)で毎年開催されるマラソン
・8月開催(18回の大会の平均気温23.3℃、湿度70%)、毎回1万人(プロ/アマ)参加。
・(1984-2011)18年分のマラソン大会を解析。
・距離が11kmと短く、ランナーは早く走るため、熱中症が多い。2.1人/完走者千人
・合計274例の労作性重症熱中症。平均15人/大会。テント治療の40%が熱中症。平均15歳
・事前に、CWI用の冷水浴槽を医療テント内に準備(温度10℃、容量190L)。
・直腸温が40℃以上で重症熱中症と判断。すぐにCWI(冷水浸漬)を実施。
・浸漬中は、2分毎に直腸温、HR、BPを測定
・直腸温が38.8℃以下になったら、CWIを中止
・重症熱中症患者の生存率100%、93%はテントから帰宅できた。
・平均冷却速度は0.22℃/minを記録でき、この値は性別、年齢、初期直腸温度と無関係
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■[1-2]熱中症の分類

◆l熱中症の発生原因による分類では、以下の2つに分けることができます。
労作性 :運動や作業で自ら産生した熱と環境熱によるもの(Exertional Heat Stroke)
非労作性:環境熱によるもの(Passive Heat Stroke)

◆熱中症の重症度分類は、例えばAHAのファーストエイド(国際分類)では、
@熱失神(heat syncope)熱痙攣(heat cramps):入院の必要なし。冷却し・水分補給する。
A熱疲労(heat exhaustion):病院に行くべき。体温調整機能あり。汗はかいている。
B熱中症(heat stroke):集中治療が必要。体温調整機能破綻。汗はかかない。
の3つに分けており、日本救急医学会のガイドラインでは、上記をT度、U度、V度に分
類しています。

この投稿では、労作性の重症V度熱中症の現場でのファーストエイドと初期治療について
述べます。
労作性熱中症の定義は、深部体温が40.5℃以上と定義されます。低ナトリウム血症も考え
られ、高体温を放置すると体温調整機能が破綻し、サイトカインが活性化され、全身が炎
症をおこし、多臓器不全を起こし、死亡します。

本投稿を書こうと思った淵源は、2013年8月8日11時20分に、京都府宇治市内で気温32℃を
超える中で行われていたアメフト部の練習試合で、3年生の男子部員(17)が熱中症で倒れ
亡くなってしまった事故にあります。
http://www.sports-parents-japan.com/stopaccident/highschoolfootballheat/

この男子高校生の体温は43℃で、現場でもアイスパックを使った応急手当がされていたか
もしれませんし、病院での治療の結果38℃まで下がったとのことですが、(公開されてい
る情報だけから判断するのは誤りがあるの可能性があるとは思いますが)要するに、体温
を下げる速度が低く、高体温の状態が長く続いたからではないかと思いました。もちろん、
倒れる前の「試合をする判断」自体に問題があると思いますが、ファーストエイド的にみ
ると、米国のように科学的根拠に基づいて、適切に熱中症の初期治療をしていれば、もし
かしたら、助かったのではないかと、非常に残念に感じていました。初めは自分自身もよ
くわかっていなかったと思いますが、ファーストエイドのガイドラインを読んでいて気づ
きました。

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■[1-3]労作性熱中症の生存率
スポーツ中や野外の作業中などで、深部体温が40℃を超えて倒れた場合に、助かるかどう
かは、何℃まで体温が上がったかではなく、40℃を超えた状態(Critical Temp.)が何分続
いたかによります。
以下のグラフは、熱中症関連の記述によくあるグラフです。


図2.熱中症の生存率 http://jap.physiology.org/content/42/6/809

深部体温40℃を超える状態が20分以上続くと生存率は5割以下になり、50分以上続くと2割
以下になります。日本の場合は、救急車を呼んで病院に収容されるまでの時間は約40分か
かっています。初めから、倒れないように予防することが最も大事ですが、倒れてから病
院に運んでいても助かる可能性は低いです。心室細動で卒倒した場合に現場で AEDを使う
応急手当と同じで、現場でのファーストエイドが最も大事です。
図2では、臨界高温が15〜30分続いた時の生存率は50ですが、これを中間の22.5分での救命
率が50としてプロットし直したのが次の図3です。


図3.心室細動と労作性熱中症の救命率

心室細動の場合は、10分何もしないとほぼその場で亡くなります。10分間で予後が決まり
ます。但し労作性熱中症の場合は、倒れてすぐ救急車を呼んでも、日本の場合、病院に着
くまでに40分くらいかかります。普通は、電話するまでにももっと時間はかかるはずです。
この見積もりでは40分で、救命率は3割です。病院に運んでから冷やしても間に合いません。
しかも心室細動ではその場で結果がでるのに対して、熱中症の場合は倒れてから、1時間
の処置で予後は決まるのですが、すぐには亡くなりません。通常亡くなるのは半日から、
1週間後です。ですので適切な初期治療がされたか否かが、評価されにくいのです。

「Cool First!! Transport Second!.」です。
具体的には、深部体温が40.5℃以上なら、氷風呂(2〜13℃)に浸漬させ、倒れてから 30分
以内に体温を39℃まで下げる必要があります。
日本医師会発行、国際マラソン医学協会医療救護マニュアル P81労作性熱中症チャート

以下は、ファルマス・ロードレースでの冷水浸漬のデータです。

図4.ファルマス・ロードレースでその有効性が実証されたCWI(冷水浸漬)  (カ)
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■[2]体温測定(直腸温度/口腔温度/腋窩温度)
恒温動物は体温を一定に保っていますが、3次元空間的には温度の分布があります。


図5.ヒトの体内温度分布

温度を測る部位によっては、値が違っています。

図6.測定場所ごとの正常な体温範囲(SureTemp Plus 690/692マニュアルより)

■[2-2]腋窩/口腔体温では深部体温を測れない
以下のグラフは、体内に直腸温度計を入れて、マラソンした時の温度変化です。

図7.奥本先生が計測されたマラソン走行時の直腸温(名桜大学広報P13)

以下のグラフは、運動した時の直腸温および口腔・腋窩温を同時に測定した事例です。

図8.運動中の直腸温および口腔・腋窩温の比較
(図中に挿入した温度計は論文に記述されている製品ではなく、一例です。)

見て分かる通り、直腸温はあがっていますが、口腔・腋窩温は変化がありません。つまり
『口腔・腋窩温で測定して、その値に何度か足すと直腸温になる』という推測は一切なり
たちません。熱中症の診断には、必ず、直腸温を測る必要があります。逆に言うと、誤解
を与えるので、口腔・腋窩温を測っても意味がなく、測るべきではありません、。

2002 National Athletic Trainers' Association 声明
「ATCは、運動中および運動後の体内温度の不正確で非効果的な測定値であるため、
運動者の口腔、鼓膜、腋の下の温度に依存してはならない」
皮膚の温度、汗の蒸発、体液の摂取、および風の影響を受ける可能性があるため、
正確性についての疑義が生じる。


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■[3]直腸温測定のための温度計

以下に温度計の一例を示します。

図9.直腸温が測れる温度計の例

◆ER(救急外来)の例
@フクダ電子 生体情報モニターHBP-2070/2071 \960,000
http://www.fukuda.co.jp/colin/products/basic/103.html
@日機装サーモ(株) 体腔挿入型温度プローブ YSI-401J 
http://www.nktherm.com/products/tm_probes/400_700series.html
@日機装サーモ(株) ゴムカバーの装着方法
http://www.nktherm.com/img/latex_cover.pdf
ラテックスアレルギーに注意
https://ameblo.jp/doctorhero/entry-11588579600.html
◆乾電池式なので、持ち運び使用可
Aテルモファイナー CTM-303 \99,000
http://www.terumo.co.jp/medical/equipment/me95.html
◆手軽な廉価版
Bテルモ電子体温計C405 (口中,直腸用)Amazon¥2,916
https://www.amazon.co.jp/gp/product/B008KZIGEO/
C数字医療温度計(口中,直腸) Amazon¥2,280
https://www.amazon.co.jp/dp/B07125HKKC/
◆個人輸入で入手できる温度計
DWelch Allyn SureTemp Model690 ebay32,031円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/192190946966/
http://goo.gl/Z8Jg5q
Dカバー ebay3,041円
http://www.sekaimon.com/us/75075/Thermometers/252665982333/
◆その他の直腸温度計
E日機装サーモ(株)(8ch)データ収集型ハンディタイプ温度計N543
直腸温プローブITP010-11(先端球5mmφ、チューブ3.5mmφ長さ25cm、ケーブル長2m)
http://www.nktherm.com/products/meters/n540-datalogger.html
F3M ベアーハガー深部温モニタリングシステム
http://goo.gl/FwzhJf
 この温度計が熱中症に対応し普及すれば直腸温を測らなくてもすむかも。
Gグラム(株) 2ch高精度温度計LT-2 Amazon82,620円+直腸温センサーLT-2N-11 24,840円
http://gram-corp.co.jp/product_f/product_f0.html
H[膀胱温測定]導尿用(温度センサー付)膀胱留置カテーテル[YSI-400準拠]
http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/md/PDF/780045/780045_221ADBZX00098000_B_01_02.pdf
J安立計器 温度計 HD-1100E ¥48,600 (合計64,800〜)
http://www.anritsu-meter.co.jp/instrument/ha/ha-100.htm
K安立計器 温度センサー1600E-TS3-ASP(全長3m)16,200円〜 3mmφ,10cm長シリコンゴム
http://www.anritsu-meter.co.jp/sensor/sp/tc1600.htm

◆滑りをよくするために挿入部分の先にあらかじめ塗っておく
Lワセリン Amazon¥411
https://www.amazon.co.jp/dp/B000FQUJM8/
◆氷風呂の温度測定用(注意!直腸温ではありません。)
M隔測(かくそく)式温度計(プローブ+レシーバ式)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01C2QUDSS/
https://www.amazon.co.jp/dp/B00E01RB8Y/

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■[3-2]直腸温の測り方
ERやICU 以外の医療現場で直腸温を測ることはあまりないと思います。看護師さんも学校
で実習した記憶はあまりないと思いますし、実際に1回も経験されたことのない方もおら
れました。ただし、膀胱カテーテルの留置や浣腸についてはほとんど経験があるのではな
いかと思います。温度プローブを肛門から直腸に入れるには、浣腸のやり方が参考になる
と思います。注意すべきことは、過去、グリセリン浣腸実施に伴う直腸穿孔の医療事故が
起きており、起立したまま行ったり、挿入の時に抵抗があった場合にそのまま入れてしま
うと、穴があく危険性があります。
http://www.med-safe.jp/pdf/report_2012_3_R002.pdf
また直腸には痛みを感じる神経がないため、せん孔になっても出血するだけで、その時点
では痛みを感じないので、わかりにくいです。
Casa先生が書かれた献では、直腸温の測定は医師がすべきと書かれたものがありましたが、
競技や大会を主催する側は、どの医師でもいいというわけではなく、経験のある人に依頼
するべきだと思います。それぞれ専門があります。例えば医師の3割は AEDをうまく使え
るか否かわからないとのアンケート結果もあります。



図10.直腸温の測り方(参考図:浣腸の取扱い)

但し、図10では足の曲げ方が少し不十分ではないかと思います。起立に近い状態だと、
直腸と肛門がなす角度が直角に近いので、直線に近づけるためには、ひざをぐっと曲げた
スクワッド姿勢の方が温度センサーを入れやすいと思います。


図11.座位とスクワッド姿勢の時の直腸肛門角

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フランスや北米では、直腸温を市民が測っている国があるそうですが、日本では一般的で
はありません。普及品の温度計では、肛門部分しか入らないので、正確に測れないと思い
ます。看護師さん用のサイトを見ると、温度プローブは肛門から 6cm入れると書いてあり
ます。しかし、Casa先生が書かれた論文をはじめ、私が今回見た論文は和洋共、肛門から
10〜12cm入れていました。
直腸の長さは20cmくらいです。直腸は便の貯蔵庫であり、骨格との関係もあるかもしれま
せんが、簡単に外にでないように、管がくねっているのではないかと思います。挿入直線
路から見ると、ヒダが3つでており、10cm 入れるためには、すくなくとも2つのヒダを越
える必要があります。

医療用温度プローブとしては、例えばYSI400等ですが、全長3m程度で、先の温度センサー
の部分も、フレキシブルで柔らかく、電線のコードのように、楽に曲がります。バルーン
アートの細長い風船のようなゴムカバーを温度センサーにつけ、滑りやすいように、白色
ワセリンを塗って事前準備をします。傷病者の羞恥心に最大に配慮して(バスタオル等?)
左側臥位でなってもらい、口呼吸をしてもらうということは、一般的な注意点だと思いま
す。どこまで挿入するかわかるようにしておきます。挿入を始めて抵抗を感じたら、その
まま無理に入れようとせず、一旦引き戻して、方向の再調整が必要です。温度プローブを
留置してから、温度を読み取るまでは時間がかかりますので、マニュアルに従います。
中枢神経障害があり、40℃を越えて熱中症と判断された場合は、冷水につけますが、浸漬
中もずっと温度をモニターし、38.8℃以下になったら浴槽から出します。



図12.直腸の構造と直腸温プローブの挿入


■[3-3]医師法と直腸検温
医師法第17条,歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)
医師、看護師等の医療に関する免許を有しない者が行うこと
http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf
・直腸検温を医療者以外が反復継続の意思を持って行えば、医師法違反の恐れがあり。
(逆に言えば、反復継続の意思がなく、臨機応変の手当てとすれば医師法違反にはないが
 測定の時に腸を傷つけたり、救助行為によって被害がでれば傷害罪の恐れもあり)
・上記の通知によれば、市販の使い捨て浣腸器で、6cm までいれることは医師法には反し
 ないことになっています。医療行為とそれ以外を分ける理由は、「その行為によって、
 誤ったやり方をすると重大な損傷を与える可能性があるから」ということであれば、
 管を入れるのは、浣腸も直腸検温も同じであり、直腸検温は薬物を入れるわけではない
 ので、温度プローブを6cm 入れるのは医師法違反にはならないかもしれません。しかし
 日本では直腸温検温が一般的でないため、どうなのかは裁判官の判断によると思います。


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[4]熱中症の生理

熱中症の生理については、以下の論文の内容を示します。
Journal of Emergency Medical Services
Identification and Treatment of Exertional Heat Stroke in the Prehospital Setting
http://goo.gl/K2eqij

労作性熱中症(EHS)の病態生理学は、骨格筋収縮および環境因子を介した熱収量の割合が
熱損失のそれを超えるときに、物理的に発揮している個体において起こるという点で、
非労作性熱卒中とは根本的に異なる。
細胞レベルでは、臨界閾値(>40.8℃)を超える過剰な熱は、膜脂質の変性および液化を引
き起こし、脳症、横紋筋融解および肝臓および腎不全を含む多臓器機能不全をもたらす。
この損傷は、不可逆性になり、温熱療法が迅速にされなければ、最終的に致命的となる。
十分に訓練された選手は熱馴化の保護効果により、40.6℃を超える中核温度に耐えること
ができ、心血管のひずみを減少させ、直腸温を低下させる。熱性または胃腸疾患、薬物使
用(例えば、利尿薬、特定の精神医学的薬物療法、喘息薬)および肥満のような既存の状
態は、EHSを発症するリスクが高くなる。
研究により、多臓器不全は、熱細胞傷害性、凝固障害および内毒素媒介性全身性炎症反応
の複合効果に起因することが示唆されている。高体温に対する最初の心血管応答は末梢血
管の拡張であり、皮膚への血流を増加させて蒸発冷却を最大にする。これは、内臓の血流
の減少によって増強される。この血液は末梢循環に分流されて全身血圧を維持し、熱損失
に寄与する。

しかしながら、脾臓血流の長期的な減少は、虚血環境をもたらし、胃腸管へのニトロソ化
および酸化ストレスをもたらし、その後、循環および腸のバリア機能不全を引き起こす。
腸はますます透過性になり、腸内細菌は全身循環に漏れる。増加したサイトカインレベル
と結合したこのエンドトキシン血症は、激しい熱ストレスの間に訓練を受けた者および訓
練されていない者の両方で起こり、敗血症性ショックの間に見られるもののEHS を反映す
る炎症プロファイルになる。
EHS が進行するにつれて、播種された血管内凝固セットおよび複雑な細胞応答カスケード
は凝固経路を活性化し、過度のフィブリン沈着および血小板凝集を引き起こし、微小血管
血栓を引き起こす。これらの血栓は、末梢組織への虚血性損傷を引き起こし、最終的な器
官の機能不全、そして最終的には機能不全をもたらす。血小板および凝固蛋白質の消費量
は最終的には生産量を上回り、過剰な出血のリスクが高まる。これは、致命的なEHS で観
察されている胸膜、角膜、および腸間膜出血を説明する。
脳への直接的な熱傷害はまた、変化した意識レベル、発汗メカニズムの喪失、および制限
された瞳孔を含む中枢神経系の異常を導く。胃腸系と同様に、血液脳関門の完全性は失わ
れ、浸透性の増加は脳浮腫、昏睡、そして最終的には不可逆的な脳損傷および死をもたら
す。これらの生理学的変化は急速に進行する。動物モデルでは、死亡率の増加は直腸温で
はなく高体温の持続時間に関連していた。

即座に冷却すると、身体はこの鋭い損傷からほとんど回復することができます。しかし、
40.8℃の細胞の臨界閾値を超える長期間の高体温は、不可逆的な臓器損傷および又は死を
もたらす可能性がある。

高熱患者は、温熱患者と比較して正常体温の異なる温度調節反応を示す。
冷水中での突然の浸漬の副作用として、
「急速な交感神経反応のために心臓不整脈および心臓血管ショック、突然の血管収縮」等
が懸念されているが、これらの副作用(徐脈、末梢血管収縮、および中核血流)を経験する
ことは見出されなかった。
正常体温者は、PVC とシバリング(震え)を介して体温を守りますが、体温が高い人はこ
れらの反応を鈍らせて急速に冷やします。(温度が急激に低下するのと同様に CWIに従う)。
PVCとシバリングはある程度発生する可能性があるが、CWIの重度の温熱患者に見られる急
速な冷却は、CWIの間に中心的な応答が最初は正常体温者とは全く異なることを示している。


図13.高体温の傷病者と正常体温の人を冷水に浸漬させた時の体温変化の比較
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自分の体温が正常な時に、冷水に入ると体は震えその産生した熱で体温を保とうとします。
しかし、自分の体温が高体温の場合、前者とは反応が違い、シバリングは現れず、体はそ
の冷却を受け入れます。
人の体はよくできています。熱中症とは違う領域ですが、例えば心停止の時に胸骨圧迫す
ると、通常は体全体に流れる血流が、脳や心臓等の中心部位に流れるようになるそうです
(文献)。JRCの岡田和夫元会長はこれを神の摂理と言われていました。
(救命おかやま特別講演2013/6/29近代蘇生法の確立1960年から2015ガイドラインまでの道)
熱中症の時の冷水浸漬の際も、この「神の摂理」が働くのではないかと思います。

最後に、この手法の問題として、他の高体温の合併症を管理するためのCWI 中の不適切な
アクセスが挙げられます。心臓モニタリングおよびIV流体投与は、CWI 中に首尾よく行う
ことができる。CWI使用経験のある者は、挿管の発生率を<1%、嘔吐<10%、発作<5%、お
よび闘争的態度15-20%と推定している。これらの合併症を管理している間は、高熱状態に
起因することが多いため、冷却を停止してはなりません。

大部分の患者は、提示時には頻拍性であるが、全てが低血圧ではないが、生命徴候は典型
的には高体温の解決後に正常化する。病院前の環境では、IVアクセスはほとんど必要とさ
れず、熱ストレスによって脱水が促進され、EHS患者は IV液の恩恵を受けることがありま
すが、これは救急部への輸送が必要な患者にのみ必要です。ほとんどの患者は、CWI の後
にオンサイト治療から直接放出され得る。
現場でのCWIは100%の生存率で安全かつ効果的であることが示されています。

EHS のリスクが補足的治療のリスクまたは不都合をはるかに上回る緊急事態です。酸素お
よび静脈内投与は、浸漬中でも可能である。 口と腕に簡単にアクセスできます。
自動体外式除細動器(AED) の潜在的な使用はより大きな懸念事項である。幸いにも、積極
的な冷却によって急速に治療されるEHSを持つ運動選手は、AEDを必要とする心臓血管の問
題を有することはまれである。

直腸温度計が利用できず、臨床シナリオがEHSを強力に示唆している場合は、CWIを開始す
ることを推奨します。病院前の環境におけるこれらの取り組みの終点は、大部分の患者に
十分な冷却をもたらすので、震えの開始、または15〜20分の冷却のいずれかでなければな
りません。
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[5]冷却の手法



図14.種々の冷却方法による冷却速度

米国の数多くの州のEMS プロトコルでは、患者を扇状にしたり、窓を開けたり、脇の下、
頸部、鼠径部に冷たいパックを貼るなどの効果的な冷却方法の使用を推奨しています。
しかし、これらの方法は、上記の図を見れば効果が低すぎることがわかります。
ケミカルコールドパック(CCP) は冷却後の冷却速度が遅く、冷却の主要な方法として使用
すべきではありません。CCPを使用して直腸直腸温41.44℃のEHS患者を治療する場合、
Falmouth Road Raceで見られた平均値で、38.9℃の目標温度に達するまでに70分以上かか
ります。

深部体温を30分以内に40℃未満に下げることが、 EHS労作性熱中症治療の第一目標です。
例えば、初期温度が43℃の傷病者を30分以内に40℃未満に下げるには少なくとも、
43℃−(0.10℃/分)*30分=40℃
ですので、冷却速度>0.10℃/分の冷却方法を使う必要があります。図14だと少なくとも赤
色の縦線より、右側にある冷却手法であれば、この目標を満足します。
図14は、幾つかの実験を寄せ合わせなので、実験の違いによる矛盾も少しあります。しか
し、脇の下や鼠蹊部に氷を入れるような応急処置では、冷水浸漬の効果の2割以下であり
全く不十分です。
一方、ファルマスロードレースでは、38.8℃未満を目標に、水温10℃の浴槽に浸漬させ、
冷却速度0.22℃/分で、浸漬時間20分未満で、救命率100を達成しています。


又、冷水浸漬CWIは、以下の日経メディカル記事で紹介されている救急処置室の方法より、
3倍以上の効果があります。
重症熱中症患者を救う新冷却法(カテーテルやジェルパッドで体温を迅速に下げる)
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/201508/543357.html

図15.冷水浸漬CWI vs サーモガイドシステム/アークティック・サンの比較


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以下にバスタブ浸漬の例を示します。
温度センサーと温度計本体が分離している隔測式温度計で、直腸温をモニターしています。

図16.バスタブ冷水浸漬の例 CWI(Cold Water Immersion)
http://www.nata.org/sites/default/files/HeatIllnessOverview.pdf

冷水浸漬の動画は以下で見れます。
浴槽に入れる前、傷病者の体から、直腸温の温度センサーのコードがでているのがわかり
ます。長いバスタオルを傷病者の胸から両脇を通して、後ろ側の浴槽の縁で押さえていま
すが、これは傷病者が溺れないようにするためです。
UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)

https://www.youtube.com/watch?v=sFocmPvWm80

(Casa先生も出演されています。)
Preventing Sudden Death in Sport

https://www.youtube.com/watch?v=KzerHULhZ64

New Technique to Cool Down Athletes(アスリートを冷やす新しい技術)

https://www.youtube.com/watch?v=NQgVbbrtUpM&t=9s


尚、冷水浸漬により、40℃から正常温に戻るまでの時間は、
2℃の冷水で10分、8℃で15分かかります。


図17.水温と冷水浸漬の深部体温の時間変化

出典:図17./図18.
Effect of water temperature on cooling efficiency during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf


冷水に浸漬させると、深部体温が正常値まで下がるのには時間がかかります。この時、
表面の温度は10℃程度になります。これくらいまで下がらないと深部を正常にできません。



図18.水温と冷水浸漬の表面温度の時間変化
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[6]重症熱中症のファーストエイド/初期治療の具体例



図19.冷水浸漬のための機材例
重症V度熱中症(熱射病)患者に対する応急手当(初期治療)のシミュレーション例
*リソースの予算を見積もるために、価格の例も入れています。

予め準備しておく器材例
■ビニールエアー浴槽¥7,380  梱包サイズ:35x30x12cm3.7kg(使い捨て使用)
TheChoice 折り畳み式 PVC エアー浴槽 浴槽 AC100Vエアーポンプ付(空気入れの時間要)
https://www.amazon.co.jp/dp/B01N74RPBE/
別案:子供用プール ¥1,279 大人が足を延ばして居れる
https://www.amazon.co.jp/dp/B000OV0X48

■冷凍庫198L ¥43,468円 NORFROST ノーフロスト チェストフリーザー 198L JH198CR
庫内寸法(mm)605×395×665=159Lリットル
(クラッシュアイス(47×31×21cm)は、3箱入るハズ)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0088WS1G2/

■ストレッチャー
緑十字 救い帯 \3,163
https://www.amazon.co.jp/dp/B00COZMK0M/
アズワンNW-S ストレッチャー \3,015
https://www.amazon.co.jp/dp/B01MDT87NV/

■クラッシュ氷 2s×6袋×4箱=48kg ¥10,560円 クール便(関東〜九州)送料無料
1箱[2s×6袋(12kg)]で2,640円。4箱(48kg)で10560円。 
https://www.hyohan.com/crash/164.html
1個47×31×21cm 3個47×31×63 4個47×31×84cm=122リットル

合計¥67,586
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■[6-2]必要な氷の計算
下記に計算例を示します。
結論としては、上記の浴槽の場合は、
・浴槽に水を6割入れ(水152L(底から24cm高さ))
・-20℃の氷を2箱(21kg)
入れるとファルマスと同じ10℃の浴槽を作れます。

-------------------------------------------------------------
■2℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
(水の初期温度24℃とし、氷の温度は冷凍庫の温度-20℃とする。)
24℃で、浴槽を200Lとし、その水200000gの水が失う熱量は
Q1=200000*4.19*(24-2)=18436000 [J]

48kgで、-20℃の氷が0℃になるのに必要な熱量は
Q2=48000*2.085*20=2001600 [J]

48kgで、0℃の氷が0℃の水になるために必要な熱量は
Q3=48000*333.5=16008000 [J]

溶けた48kgの氷から出来た水がt℃の水になるために必要な熱量
Q4=48000*4.19*2=402240 [J]

Q1 =18436000 [J]
Q2+Q3+Q4=18411840 [J]

人の体は60kgとし、頭の体積は7%なので、首から下は56リットル。
200L+48L+56L=304L
浴槽は260Lなので、9割だと230L。(200+48)*0.7+56=230なので、結局
この浴槽に満杯の9割の2℃の冷水を作るには、
●水140L(底から22cm高さ)と-20℃の氷34kgが必要

-------------------------------------------------------------
■10℃の水を作る場合
-------------------------------------------------------------
上記の同じに計算すると氷は28kgで、
Q1=11732000 [J]
Q2+Q3+Q4=11678800 [J]
でほぼ釣り合う。200L+28L+56L=284。(200+28)*0.76+56=230
この浴槽に満杯の9割の10℃の冷水を作るには、
●水152L(底から24cm高さ)と-20℃の氷21kg
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■[6-3]使い方
運動熱中症患者のための冷水浸漬を実施するための実践ガイドライン。
(The Gold Standard for Exertional Heatstroke Treatmentより)
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1. 最初の応答。
  激しい熱中症が疑われる場合は、患者を冷やして
  緊急医療サービス(EMS)に連絡する準備をします。

2. 氷水浸漬の準備。
  畑や一時的な医療用テントでは、水や氷で満たした水槽や水槽に半分を満たして下さい
 (緊急の前に、水源を調べて水槽にどれくらいの時間で水が入るか確認して下さい)。
  a。 貯蔵タンクは、イベントの前に氷と冷たい水で満たされてもよい
    (または、水槽と水槽との間に3-4クーラーの氷が満たされていて、
    その日の間に桶が寒くならないようにする)。
  b。 氷は常に水の表面を覆う必要があります。
  c。 アスリートが運動訓練室の近くで倒れた場合、
    ジェットバスや冷水シャワーを使用することができます。

3. バイタルサインの決定。
  熱中症患者に没頭する直前に、生命徴候を起こしてください。
  a。 直腸サーミスタを用いて中核体温を評価する。
  b。 気道、呼吸、脈拍、血圧を点検する。
  c。 中枢神経系の機能不全のレベルを評価する。

4. 氷水浸漬を開始する。
  アスリートを氷水浸漬槽に入れる。
  医療従事者、ボランティア、およびチームメイトが、円滑で安全な入退室を支援する
  ために必要な場合があります。

5. 全身のカバレッジ。
  冷却しながらできるだけ多くの体を氷水で覆う。
  a。 コンテナのために全身をカバーすることができない場合は、できるだけ胴を覆う。
  b。 アスリートの頭と首を水の上に保つために、
    助手は、胸や腕の下に包まれたタオルまたはシートで腋窩下に傷病者を抱きつけ
    てもよい。

6. 水の循環
  冷却中、水と皮膚の温度勾配を増加させるために連続的に循環させなければならない。
  助手が冷却中に水を旋回させる。

7. 継続的な医療評価。
  バイタルサインは定期的に監視する必要があります。
  a。 アスリートが戦闘になった場合に助手が近くに立つのが役に立ちます。
  b。 他のアシスタントは、嘔吐が起きた場合に、アスリートを持ち上げたり、転がした
    りする必要があります。

8. 静脈内投与。
  医療従事者がいる場合は、水分補給と心臓血管機能のサポートのために、
  静脈内投与をすることができます。
  a。 水浸漬槽の側面に腕を置きます。

9. 冷却時間。
  患者の直腸温が39℃に下がるまで冷却を続ける。
  a。直腸温度を測定できず、冷水浸漬が指示された場合は、
   10-15分間冷やしてから医療施設に搬送してください。
  b。あまり効果的でない冷却様式が投与された場合、
   25-45分間冷やしてから、医療施設に輸送してください。

10. 患者の搬送。
  直腸温が39℃に達した後にのみ浸漬槽から患者を取り出し、できるだけ早く EMS経由
  で最寄りの医療施設に移す。
   a。冷却は輸送前の第一の目標でなければならない。
    EMSまたは病院に氷水浸漬で冷却する設備がない場合は、
    現場で安全な直腸温に冷却を続けてください。

11. 高度な医療サポート。
  輸送中、直腸温度計により体温を連続的に監視することができます。
   a。アスリートが病院に到着すると、検査やその他の治療は、高体温の結果生じる問
    題に対処します。
--------------------------------------------------------------------------------

■[6-4]バスタブがないときの代替方法(タコス法:Taco Method)


図20.タコス法によるCWI(冷水浸漬)
救急隊でPA連携している場合は、シートと氷さえ用意すれば、ポンプ車の水を使って、
タコス法は実現可能ではないでしょうか?

タコ法の実演動画 UTC GATP (Ice Water Immersion and Taco Method)
https://youtu.be/sFocmPvWm80?t=1m13s

■[6-4]バスタブもブルーシートもない時(氷水バスタオルによる代替)
CWIがない場合、氷水に浸したタオルを傷病者の皮膚全身にあてます。
1分あたり0.11℃の冷却速度で効果的だがゆっくりとした代替物が得られます。
タオルは、背中を含む身体の最大部分をカバーし、数分ごとに交換する必要があります。

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他の参考文献
【Sayuriさんのブログ】スポーツ中の熱中症対策、できてますか?
Exertional Heat Strokeについて考える。
 http://innervate.exblog.jp/24438239/
Falmouth Road Raceから熱射病ケアを学ぶ
 http://www.chainon.me/falmouth-road-race/
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免責事項:尚、臨床に適用する場合は、本記事を鵜呑みにすることなく、独立して調査し、
ご自身の責任と判断で行って下さい。

以上です。



posted by jemta at 17:36| 日記

2017年06月21日

Yさん (70代男性、老人施設事務、BLS更新2回)、76歳の入所者の窒息を救う



本記事のURL
http://jemta.org/index_170621.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

このお話は、先週、弊会の AHA-BLSコースに来られたリピーター受講生の方が、コース初
めの自己紹介のコーナーで語られたお話です。

Yさんは70代の男性で、岡山市内まで、車で3時間もかかる遠方から来られました。ご自身
で高齢者施設を立ち上げられました。医療従事者でもなく、介護資格をもたれているわけ
ではありません。町内の役場によく通っているなかで、町立病院の看護師さんとよく話す
機会があり、その看護師さんが弊会の BLSコースに行くという話をしたら、自分も是非参
加したいと申し出られたそうです。Yさんは、看護師さんとご一緒に合計3回、弊会のBLS
コースに参加されました。

このお話は、2回目のBLSコースを受けたあと、1カ月後のことだそうです。
ご自身の施設の76歳の入所者の方が、食事中に窒息をおこしました。施設の看護師さんは
入所者の口の中を描き出して、異物を取り出そうとしたり、吸引器を使おうとしたそうす。
しかし、異物を出すことはできず、仕方ないのでベッドに連れて行こうとしたそうです。
入所者さんの顔色はみるみる青くなっていきました。

それを見たYさんは、これはまずいと思い、 BLSコースで学んだ腹部突き上げ法を自分で
行い、その後、CPRを開始しました。 119番通報してから7分後に救急車が到着したのです
が、到着する少し前に、入所者は息を取り戻し、救急隊は患者を見て、「もう大丈夫です
ね」と言われたそうです。Yさんは、BLSコースに来てよかったと話されました。
このお話では、医療者は患者を救うことができず、事務方が患者を救っています。

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日本は BLSの教育が遅れており、医療従事者でも、救命処置を適切に行えないことは多い
と思います。その問題が表面に出ていないだけです。
米国では、就職する際に、医療従事者免許のカードと BLSやACLSカードを提出しないと入
職できませんし、また、定期的に更新しないと勤務を続けることができません。日本での
問題点は、(1)制度の問題と、(2)職業人としての自己研鑽の必然性の2つあると思います。

(1)制度の問題
一般市民としては、医療者は、救急が専門であるかどうかに関わらず、ERにつなぐ、最初
の第1次の救命は完璧にできるはずだと期待されていますが、実際に現場で適切に行われ
ておらず、適切ではないことが表面にでていないだけです。1次救命スキル保持「制度」
としては十分に機能していません。教育行政を行う人たちが、まずそこを理解していない
と思います。医療者なら必須のスキルである、現場での第一次の救命処置のスキルが必須
だと思われていないのです。
まず、入職の前に1次救命を行うトレーニングを十分につんでいるのかどうかです。
(例えば学科の実習で50人の学生を相手に1時間程度の練習では不十分です。)
(実習後に、適切な試験を行い、その学生のスキル保持を対外的に証明するしくみが必要)
入職後に、定期的にトレーニングと試験を行う必要があります。

現状の制度としては、入職前にスキルや知識を持っていなくても日本では不問ですし、日
本の医師免許・看護師免許は、米国と違って、更新制度がなく、何も訓練しなくても勤め
ることが可能であり、1次救命に関しても定期的な訓練制度がありません。一度免許を取
得すれば、あと何もしなくても一生保証の国家制度になっています。
日本社会では、例えば一般市民でも、事故をおこして他の人を傷つけてはいけないからと、
運転免許ですら、更新制度があります。航空機の機長も人の命を預かる仕事なので、免許
更新制度があります。医療者は患者の命を直接預かる仕事で、侵襲的な行為も認められて
いるのに、医療資格を更新する必要がありません。国交省は、更新制度を作っているのに、
国民の生命を守るべき厚労省は制度を作っていません。米国の CDCやOSHAは積極的に国民
のために動いていると思いますが、厚労省は米国情報を引用するだけで自ら積極的に動い
ていないと感じます。一例ですが、日本蘇生協議会 (JRC)の元会長の岡田和夫先生は2008
年NPO救命おかやまの特別講演において、日本のILCOR関連の対応に関して、厚生省からは
途中で梯子をはずされて困ったとのお話をされておられました。
2千人医師へのアンケートによると、2割の医師はAEDを使う自信がないといっていますし、
院外での心停止を10秒以内に判断できると答えた医師は6割にとどまっています。
https://medpeer.co.jp/press/_cms_dir/wp-content/uploads/2014/06/News_20140612.pdf

(2)職業人としての自己研鑽の必要性
ILCORが世界最初の Advisory Statement(心肺蘇生に関する勧告)を出したのが1997年です
から、それよりずっと前に医療免許を取った方は、1次救命を一度も習っておらず、訓練
したこともないと思います。新しいことは、自ら選択して、自分の意志で訓練しないと、
できないはずです。院内でされている講習会の例を伺うと、短時間で大人数で行うため、
訓練が十分でなく、また最後にどういう実技試験をしてスキルを取得したか、対外的な証
明ができていません。
医学知識が2倍になるのに、1950年には50年もかかっていましたが、2010年には3.5年、
2020年にはわずか73日で、医学知識が2倍に増えるとの試算がでています。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21686208
現場でご自身がご苦労された経験は、容易に忘れることはないと思いますが、新しいこと
を吸収して自分を絶えず進化させないと遅れをとります。学生の時に学んだ知識はすぐに
陳腐化します。知識やスキルを持っていないと態度や経験だけでは人を救えません。
一方、ネットの普及で、一般市民は容易に知識を検索できるようになり、職業人のスキル
を見る目は一層厳しくなっています。
「生きるために学ぶ」時代から、「学ぶことが生きること」と変容できるように自己研鑽
を深める必要があると思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

医療者だけについて書きましたが、これは業務の一環として、生命に関わる初期の対応が
求められる職業の方も同じです。(学校の先生、企業の安全衛生担当、警察官・公務員等)

以上です。


posted by jemta at 17:20| 日記

2016年08月23日

重度の熱中症で深部体温が40℃の患者を冷やすには、2℃の水風呂に浸けても、10分かかる。



本記事のURL
http://jemta.org/index_160823.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

こんにちは。
AHA岡山BLS・日本救命協会の久我です。先日、以下のツイートを拝見しました。



https://twitter.com/mariaicu/status/766089297694908416

>熱中症で運ばれてきた学生、大量の発汗洋服がびしよびしょかとおもいきゃ、
>救急隊から、ちがうんですよ。学校で大量の氷と水をかけたので、
>直腸温38、6℃身体もあつい。逆に末梢がしまってしまいルート困難に。
>冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。
>こもったままになってしまうのです。
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上記のツイートを見て、一般の方は、現場の看護師さんが言われるのだから『なるほど』
と思われた方もおられるかもしれませんし、
又、熱中症診療ガイドライン2015にも参考として書かれているゲルパッド水冷式体表冷却
装置を既に導入されて、冷却の温度勾配の感覚がわかっておられるERの方は、すぐさま、
上記の「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。」という部分は正しくないと感
じられたかもしれません。

結論から言うと、「冷たすぎると体内にこもった熱が体表にでない。こもったままになっ
てしまうのです。」という考えは科学的根拠がなく、物理法則に反します。
真実は、『冷却がまだ足りなかった』という事だと思います。恐らく皮膚表面が濡れて一
部は冷たかったのに、深部体温が高かったので、そう思われたのではないかと思います。
例えば、ゆであがったばかりの卵を、綿製の軍手の中に入れて、上から水をかけたり、氷
で囲んでも、すぐにはゆで卵の温度は下がりません。冷水につけてしばらく置かないと下
がりません。

・成人の体の6割以上は、「水」からできています。(比熱 = 4 [cal/(g・K)])
・熱力学の第2法則により、熱エネルギーは、高温から低温側に方に必ず移動します。

V度熱中症のように、例えば深部体温41℃の患者を氷水ほどの冷たい水につけても、深部
体温を3℃下げるのには9分〜24分かかります。(参考*2*3にある0.12〜0.35℃/分で計算)
学校で、大量の水や氷をかけたとしても、ずっとかけ続けなければ深部体温の下降はそう
期待できません。学校で大量の氷と水をかけた処置は大変良く、氷も使って冷やした処置
は適切でしたが、冷やす時間が短すぎて、深部体温を38.6℃までしか、下げることができ
なかったというのが真実ではないかと思います。

冷やし過ぎてシバリング(ふるえ)が起きて逆に体温が上がったり、低体温になるのは避け
るべきですが、人の体の比熱は大きくて、体表を冷やしても、深部体温はすぐには下がり
ません。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
AHAファーストエイドガイドライン(G2010日本語版S964)には以下のように書かれています。

「熱中症の傷病者に対し応急手当員がすべき最も重要な処置は 傷病者をただちに冷却す
ること。できれば顎(あご)まで冷水につからせる」
尚、このガイドラインの引用文献には、2℃の冷水が最も効果的と書かれています。

(ファーストエイドのガイドラインををよく御存じでない方にこの数値を示すと、大体、
皆驚かれます。医療従事者でさえ、もっと高い温度でやんわり冷やすべきだと思われてい
ます。ガイドラインは医療研究の結果を評価して、勧告が作られています。事実を誤解す
ることなく、理解するには、医療者は、最低でもガイドラインを読んだり、このベースと
なっている研究論文に目を通すべきです。AHAはEBMですから、少なくともAHA のインスト
ラクターは、AHA のガイドラインを読むべきです。現場で最も困るのは、責任ある立場の
方が、要旨も読まず、論文も読まず、ガイドラインも読まず、自分が正しいと信じて、疑
うことなく、確認せずに情報発信したり、立場の低い方におしつけることです。)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以下に、参考文献*1に書かれているグラフを示します。

あごまで2℃の冷水につかると、平均皮膚表面温度は10分で約10℃になる。皮膚はとても
冷たくなります。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

直腸温(rectal temp)が40℃の時に、2℃の冷水につかっても、37.5℃に下がるまで10分も
かかります。




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

体表面から腋窩や大腿動脈を氷嚢などで冷やす方法は簡便で行いやすい治療法ですが、冷
却効果が少なく、水風呂に比べて大きな効果は期待できません。

水風呂などで、体表面を冷やすことにより、体表温度が下がることはあたりまえです。
熱中症V度のように重症の場合、深部体温を正常値に下げるまでには、体表面はかなり冷
たくなるまで(10℃? or 20℃?)、 冷やさないといけません。冷やし過ぎかどうかは深部
体温を測らないとわかりませんが、シバリングを起こす前に冷却を止めるなどの注意は必
要だと思います。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

現場で深部体温を測るのは難しいでしょうし、詳細はわからないので、個人的な一般論で
すが、救急隊はMC医師と連携を取り、MC判断下で、可能であれば現場で、(氷)水風呂につ
けて、ある程度(10分未満)体温を下げてから、病院に運んだ方が予後がよいのではないで
しょうか?
ERの処置室に、水冷式体表冷却装置Arctic Sun 5000(400万円)のような設備
http://imimed.jp/product_review/page_24.html
を導入できている施設はあまりないと思います。本来は重度熱中症の治療には、水風呂に
氷を入れて浸漬させるのが最も効果的です。(水温が10℃未満であれば、直腸温38.6℃、
10℃以上であれば37.8℃で冷却を止めれば、低体温を生じることなく、安全であった報告
があります。*4)しかし、ERの処置室に水風呂をおくスペースを確保することは困難な状
況だと思います。

熱中症ではなく、心停止の場合は、病院に運ぶ前にバイスタンダーや救急隊がその場で、
CPR/除細動することは、既に一般的になっています。熱中症の場合も同じで、救急隊は病
院に運ぶことより、現場で水風呂につけ、深部体温を下げてから病院に運ぶべきです。日
本の場合、119番通報して、救急車が来るまで8分かかり、病院収容までは38分かか
っています。今後は、消防は熱中症の時期は、消防署に氷の備蓄をし、熱中症の通報があ
ったら、PA連携で、タンク付消防車を救急車に同行させ、熱中症の評価をMC下で行い、使
用できる風呂を探して、そこにポンプ車からすぐに水を入れて、傷病者をあごまでつけて
氷を入れて、かき混ぜながら、9分 未満で冷やすべきだと考えます。(シバリングがでた
ら中止)

熱中症診療ガイドライン2015には、以下のように書かれています。
労作性熱中症に対しては、ショック状態など生命を脅かす合併症が存在しない限り、病院
に搬送する前に水槽に浸漬させる、または大量の水を噴霧させるなどして、できるだけ早
期から冷却処置を行うことが推奨されている*4
冷水への浸漬の効果に関する研究では、2℃の水に約9分浸漬させることで直腸温が39.5℃
から38.6℃まで低下すること、目標温度を直腸温38.6℃とした場合は処置を終えた後に低
体温に陥らないことも報告されている*4


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
P.S.
本投稿で初めに紹介した上記のツイートを見られた方が、熱中症の時に『冷やし過ぎはよ
くないんだ』と過剰に思われて、冷却が不十分になると、予後が悪くなります。重度の熱
中症の場合は生命の危険があります。
本投稿では、他人のツィートに突っ込んで大変申し訳ありませんでしたが、予後が悪くな
る傷病者が今後増えるといけないと思い、本投稿をしました。


参考文献
*1
Effect of water temperature on cooling efficiency
during hyperthermia in humans
http://jap.physiology.org/content/jap/94/4/1317.full.pdf

*2
Exertional Heat Stroke: New Concepts Regarding Cause and Care
http://journals.lww.com/acsm-csmr/pages/articleviewer.aspx?year=2012&issue=05000&article=00006&type=abstract

*3
猛威を振るう熱中症! 治療はどうする?
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/yakushiji/201607/547608_2.html

*4
熱中症診療ガイドライン2015
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/heatstroke2015.pdf

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。


posted by jemta at 23:08| 日記

2016年05月05日

30回の胸骨圧迫時間は14.5〜17.4秒であり、15〜18ではない



30 Compresstins time is "14.5-17.4sec", not "15-18" on AHA 2015 BLS Skill Testing Checklist.
本記事のURL
http://jemta.org/index_160505.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


[1]胸骨圧迫のテンポ
  Chest Compression Rate
ガイドライン2015では、胸骨圧迫のテンポは100回/分から120回/分が推奨されます。
2015 Recommendation Updated
Perform chest compressions at a rate of 100/min to 120/min


[2]AHA BLS Courseでのチェック
 BLS Skill Testing on the course
>[BLSインストラクターマニュアルP32]
>[BLS Inst.Manual P32]
>ストップウォッチの使用
>Using Stopwatch
>
>(a)受講生が最初に胸を押したときに、ストップウォッチをスタート
>  Start your Stopwatch when the student first compression the breastbone
>(b)胸骨圧迫が最後の30回目になった時にストップウォッチを止める
>  Stop your Stopwatch at the end of the 30th compression.
>(c)秒数が15秒〜18秒であれば合格とする
>  Mark the step correct if the number of seconds is between 15 and 18 secons,

[3]上記の(a)(b)の操作でストップウォッチの記録時間(c)は29周期分であり、30周期分でない
  If instructor operate avove (a)(b),
  the number of seconds(c) means for 29-cycle,not 30.

テンポ対29回の周期合計と30回
_______++__1T__++__29T__++__30T__++
120/min__0.5sec__14.5sec__15sec__
100/min__0.6sec__17.4sec__18sec__
_______++______++_______++_______++

[4]結論
  Conclusion
スキルテストリストの30回胸骨圧迫の秒数の「15秒から18秒」は不適切
14.5秒から17.4秒に変更すべき
The number of seconds "15-18" on Skill Testing Checklist is inadequacy.
It should be updated to "14.5-17.4"
========================================




尚、本件はAHAには連絡済みです。
又AHA instructor networkのInstructor CommunityのTeaching CPR Courseの
Disussionsにも投稿しました。
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/250?post_id=791
https://ahaic.heart.org/discussions/viewtopic/25/259?post_id=822
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Postscript 05/10/2016
[Consideration}

If AHA's idea is following the first decimal place of the stopwatch
to round the number, and fill out the skill sheet
It becomes such as the following discussion.

BLS Pass Range;BPR
StopWatch;SW
Compression Rate;CR

(1)
BPR: 18 -- 15 sec(current range)
SW : 18.49--14.50 sec
CR : 94 -- 120/min

(2)
BPR: 17 -- 15 sec
SW : 17.49 -- 14.50 sec
CR : 99 -- 120/min

(3)
BPR: 18 -- 14 sec
SW : 18.49 -- 13.50 sec
CR : 94 -- 129/min

(1) If BPR Pass Range is current value,it permit 94/min to 120/min
It is maybe too slow ,and poor balance between upper and lower.

(2) If Pass Range is between 17 and 15 sec,it permit 99/min to 120/min.
It is good balance, there is no margin for measurement error.

(3) If Pass Range is between 18 and 14 sec,it permit 94/min to 129/min.
It is enough balance, there is margin.

So we recommend (3) or (2) as BLS Pass Range on Skill Testing Checklist.


[Conclusion]
BLS Skill Testing Checklist
[AHA Now]
30 compressions in no less than 15 and no more than 18 seconds.
It is poor balance between upper and lower.

So,
{We recommend in the wide range]
30 compressions in no less than 14 and no more than 18 seconds.
or

{We recommend in the narrow range]
30 compressions in no less than 15 and no more than 17 seconds.



追記 2016/5/10
【考察】
もし、AHAの意図がストップウォッチの小数第一位以下を数値を四捨五入して、
スキルシートに記入せよという意味であれば以下のような議論になります。

BLS Pass Range;BPR BLS合格範囲
StopWatch;SW    ストップウォッチの値
Compression Rate;CR 圧迫のテンポ

(1)
BPR: 18 -- 15秒 (現状値)
SW : 18.49--14.50秒
CR : 94 -- 120/分

(2)
BPR: 17 -- 15秒
SW : 17.49 -- 14.50秒
CR : 99 -- 120/分

(3)
BPR: 18 -- 14秒
SW : 18.49 -- 13.50秒
CR : 94 -- 129/分

(1) もし合格範囲が18〜15秒なら、実際のテンポが94〜120/minの範囲内なら合格になる。
  しかしこれではテンポが遅すぎる傾向になり、上限下限のバランスが悪い。

(2) もし合格範囲が17〜15秒なら、実際のテンポが99〜120/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスはよいが、測定誤差のマージンがない。

(3) もし合格範囲が18〜14秒なら、実際のテンポが94〜129/minの範囲内なら合格になる。
  上限下限のバランスもよいし、測定誤差のマージンもある。

BLSスキルチェックシートの上限下限値としては、(3) か (2) が
推奨されるのではないかと思います。


【結論】
BLSスキル試験チェックリスト
[現在のAHA規定]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上18秒以下」
 上限下限値のバランスが悪い。

AHAはチェックリストを以下に変更すべきだと思います。
[広い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「14秒以上18秒以下」
 又は
[狭い範囲で勧告すれば]
 30回の胸骨圧迫時間は「15秒以上17秒以下」


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posted by jemta at 19:32| 日記

2015年12月05日

AHA AMRトレーニングセンターでインストラクターになるには



本記事のURL
http://jemta.org/index_151205.html
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おはようございます。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

BLS受講生の方から、AMRでインストラクターになるにはどうすればよいかとのご質問があ
ったので、以下まとめました。
AHAのインストラクターになるルールは基本的にPAMというルールブックで規定されていま
す。また、各トレーニングセンターはPAMのルールを守る必要がありますが、PAMとは別個
に、ローカルルールを設定している場合もあります。AHA のインストラクター資格は、
AHAの管理下にあり、AHAとしての資格なので、他のトレーニングセンターに移籍しても、
その資格は有効です。但し、AHA は直接、インストラクターの養成をしていませんので、
現実としては、どこかのトレーニングセンターに属し、そのローカルルールに従った上で
そのトレーニングセンターで、AHAのインストラクターになる必要があります。
尚、トレーニングセンターには、米国のAHAのトレーニングセンターと、米国外のITCの
トレーニングがあります。ルールブックは、AHAとITCの別個に規定されおり、AHA のイン
ストラクターは、PAM(US版)に従い、ITCのインストラクターはPAM(ITC版)に従う必要があ
ります。日本のITCの場合に、AHAのインストラクターと名乗っておられる場合もあります
が、正確にはITCのインストラクターです。AHAのインストラクターというのは、USのトレ
ーニングセンターに属しているインストラクターです。
AMRトレーニングセンターは、USのトレーニングセンターです。


(1)プロバイダー資格の取得
インストラクションを行う各々のプロバイダーコースのプロバイダー資格を取得します。
尚、BLSインストの資格を取得するには、BLS-HCPプロバイダー資格以外に、
・ハートセイバーCPR/AED
・ハートセイバーFirstAid
の資格を取得する必要があります。これは、AMRのローカルルールです。

(2)インストラクターコースの受講
・各インストラクターマニュアルを購入し、勉強します。
・上記の資格があれば、インストラクターコースを受講できます。
 本人の意志があればコースディレクターの推薦は必要ありません。
 (AHAのルール通りです。)
・トレーニングセンターのコーディネーターがコースを行います。
 (コーディネータは英語しか話せませんが、言語ギャップがあることは理解しておられ
  意志の疎通には、努力をされていると思います)
 AMR-Hawaiiの場合は、通常はAMR事務所(99-840 Iwaiwa st., Aiea, HI 96701)
 で行われています。
 8月と3月に行われることが多いです。(不定期です。募集があればHPに出しています。)
 私が参加した中では、最低3人〜最高10人くらいでした。
 現地の方も参加されますので、日本人だけではない場合もあります。
 2人でペアを組んで、実技試験を行いますので、参加者は少ない方がお得です。
 初めて参加される場合は、日本人とペアを組んだ方が楽だと思います。
 なれれば、相手が現地の方でも楽しくできると思います。

(3)インストラクションの勉強
・インストラクターコースでは、各コースの具体的なインストラクションのやり方を
 学ぶことはできません。実際に各プロバイダーコースで、DVDを操作し、受講生が実技
 練習ができるように案内したり、正しくできている場合に手技を褒めたり、修正したり
 学べる環境をどう創っていくのかは、自分で練習する必要があります。
・具体的には、モニター評価を行うファカルティが指導するコースへ参加されて、インス
 トラクションのやり方を学んで、自分の言葉でできるように、勉強する必要があります。
・AHA のルールでは「タスク参加」という義務はありませんので、何回コースへでないと
 いけないとかいう義務はありません。自分が1人でできるようになることが必要です。

(4)モニター試験を受ける
・ファカルティが見ている中で、実際にコースへでて、インストラクションを行い、OKが
 でたら、インストラクターになることができます。
・AHAのルールでは、インストラクターになれば、自分でコースを開催できるのですが、
 ローカルルールで、そうでない場合が多いです。AMRでは、インストラクターになると
 コースで教えることはできますが、自分でコースを開催できるようになるには、リード
 インストになる必要があります。日本の ITCではコースディレクターと呼んでいる場合
 もあります。

(5)資格取得後
・プロバーダーと同じく、2年毎に更新する必要があります。
・また、ガイドラインが変更されると、ガイドラインのアップデートを受ける必要があり
 ます。

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以上です。


posted by jemta at 09:26| 日記

2015年10月19日

JRCガイドライン2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151019.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

先週の10/16にJRCガイドライン2015が発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/
 
JRC予告は16日12:00でしたが、1秒の遅れもなく、予告通りに発表されました。 ERCもAHA
も予告した時刻(又は予想された発表時刻)からは遅れました。予告通りだったのは、今回
は JRCだけでした。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ERCは予告ページでは、発表時刻までの秒まで詳細にカウントダウンさせて表示させてい
ましたが、10/15 14:00 00秒になっても、ダウンロードのリンクは表示されず、カウント
の数字は+表示になりましたが、14:03頃にERC Guidelines 2015 have arrived!が表示さ
れダウンロードできるようになりました。

AHAは、初めから発表時刻を予告していませんでしたが、いつもERCと同じ時刻に発表して
いますので、今回も14:00発表で ERCと合意できていたのかもしれません。実際には14:20
頃に、発表されました。また、 AHAはインストラクター向けに事前に出した文書やホーム
ページでのスケジュールでは、2015 Guidelines Highlightsは11月か12月に出すと予告し
ていました。https://goo.gl/hME7Lz
しかし当日 10/15 21:00頃にインストラクター向けに、このハイライトのリンクの案内が
ありました。当日に発表するのは事前に計画されていたと思いますが、予定変更の告知は
ありませんでした。『早い分はかまわないだろう』との趣旨かもしれませんし、読む側か
らしても、すぐ日本語で読めるので、ありがたいことに変わりはないです。同時発表に変
更されたのには、何か事情があったのかもしれないと思います。

ILCORのホームページは、恐らく現在でもAHAが管理しているのだと思いますが、 G2015の
の表示に代わったのは14:20頃だったと思います。G2010の時は、 ERC、AHA、JRCの3つの
リンクが書かれていましたが、G2015発表と同時に、JRCのリンクは削除されました。現在
も JRCのリンクは消去されたままです。 JRCは、日本語ではガイドラインを発表されまし
たが、またこれを英語に翻訳しなおして発表しないと、 ILCORのリンクには載せることが
できないということではないかと思います。
AHAもERCもJRCも、ガイドラインの基はCostrです。 Costrの原意を知るのには JRCのガイ
ドラインは非常に参考になります。日本語なので非常に読みやすいです。

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作業部会員のリストが同時に発表されました。
http://jrc.umin.ac.jp/pdf/20151016/2015member_list.pdf

編集委員長(ACS担当)野々木宏
静岡県立総合病院 院長代理 昭和51年京都大学卒
https://www.facebook.com/hnonogi

編集委員(ALS担当)相引眞幸 
愛媛大学医学部 1978金沢医科大学卒
http://pc.rnb.co.jp/konnichiwa/2014/09/ 上から4つ目。9月20日放送分音声

編集委員(EIT担当)石見拓 
京都大学 平成8年群馬大学卒
http://aed-project.jp/message/message2.html

編集委員(BLS担当)坂本哲也
帝京大学 1983東京大学卒
https://www.facebook.com/tetsuya.sakamoto.7169

編集委員(PLS担当)清水直樹
東京都立小児総合医療センター 1990千葉大学卒
https://www.facebook.com/naokiishimizu?fref=pb&hc_location=friends_tab

編集委員(FA担当)田邉晴山 1998日本医大
救急救命東京研修所 1998卒
https://www.youtube.com/watch?v=soZBX_picTs 3:40くらいから講演

編集委員(NCPR担当)田村正徳
埼玉医科大学 1974東京大学卒
http://www.igaku-shoin.co.jp/nwsppr/n2004dir/n2585dir/n2585_12.htm

編集委員(脳神経蘇生担当)永山正雄
国際医療福祉大学 昭和58年東海大学卒
https://www.facebook.com/masao.nagayama.3
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=1011084032288928&set=pcb.1011089338955064&type=3

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
国際蘇生協議会ILCORには、AHAとERCの他に、カナダ心臓・卒中財団、
オーストラリア蘇生協議会、ニュージーランド蘇生委員会、南アフリカ蘇生協議会、
中南米心臓財団、アジア蘇生協議会が参加していますが、ガイドラインを出しているのは
AHAとERC以外にはJRCだけだと思います。日本がRCAを作って、ILCORに正式加盟したのは
2008年です。岡田和夫先生は、2008年NPO救命おかやまの特別講演で、日本が加盟するま
での講演をされました。http://npo-ok.umin.jp/pdf/629npo.pdf
私が聞いた限りの印象では、ILCORが結成された後、岡田先生が私費を投じて、積極的に
ILCORの会合に通い、単なる机上討論だけでなく、プライドは横において、個人的にもメ
ンバーと全人格的に交流し、そうやって得た信頼の上に、RCAがILCORへ参加でき、日本が
ガイドラインを出すような道筋を作ってこられたのではないかと思いました。厚生省から
ILCOR関連の対応に関して、途中で梯子をはずされて、後ろ盾もないのにも関わらず、謙
虚に友好を続けてこられたその人格があったからではないかと思います。 5年以上前に、
来日した AHAのメンバーの講演会が東京の大学講堂であり、私も参加させていただきまし
た。その時、岡田先生が司会をしておられました。休憩の時間に、一緒に行った方から岡
田先生を紹介されたのですが、突然行ったのにも関わらず、ご自身が岡大医学部出身であ
ることなどをきさくに話して頂いた上に、非常にご丁寧に名刺もいただきました。その腰
の低さに意外な思いをしたことを印象深く覚えています。

JRCの作業部会員の皆さま、大変にお疲れ様でございました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上です。

posted by jemta at 23:03| 日記

2015年10月15日

新しいAHAのガイドラインアップデート2015が発表されました。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151015.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。

ERCのガイドライン発表の予告時刻は、日本時間で、本日10/15(木)14:00でした。
・ERCは予告より数分遅れて発表され、
・AHAとILCORはERCより、10数分遅れて発表されました。
 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
・AHAは「Science News」のメール配信を本日20:54にUSインスト宛て、21:07分にITCイン
 スト宛てに行ったようで、ガイドライン2015が公式アナウンスされました。
 http://networking.americanheart.org/blogs/6/1141

■AHAのガイドライン2015紹介のページ
https://eccguidelines.heart.org/index.php/american-heart-association/
 
■日本語のハイライト(全36ページ)
https://eccguidelines.heart.org/wp-content/uploads/2015/10/2015-AHA-Guidelines-Highlights-Japanese.pdf
AHAはこれまで、11/12月に発表するとアナウンスしていましたが、ガイドライン発表後の
7時間後にハイライトをアナウンスしたことになります。日本語で概要を読めるのは大変
にありがたいことです。

■NEW Web-Based Integrated Guidelines
https://eccguidelines.heart.org/
AHAはこれまで、5年毎にガイドラインを固定された PDFファイルベースで出してきました
が、今回から、新しくウェブベースのページを作り、このページは継続的に更新されるよ
うです。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
■雑感(余談ですが、私が今回気になったトピックは以下の通りです。)
・胸骨圧迫のテンポは1分間に100〜120回
・胸骨圧迫の深さは5cm以上6cm以下
・胸骨圧迫比CCFが可能な限り60%以上になるようにCPRを行う
*BLSに関しては圧迫のテンポの上限値は、 AHAは2013年のステートメントで既に言って
 いましたし、深さの上限もERCの従来と同じです。 CCFに関しては既に弊会のBLSコース
 では実技試験の評価は G2010準拠の上で、可能な方には努力目標として取り入れていま
 した。 http://jemta.org/index_cpr.html  ですので今回の改定はあまり変化は無い
 印象です。
・エピネフリンと同等な為、バソプレシンはアルゴリズムから削除
・30秒以上の遅延臍帯クランプは合理的
・35週未満児蘇生は低酸素(21-30%)で開始
・最初にエピペンを打っても改善しない時、5〜10分以内に救急隊が来ない場合は2度目の
 エピペンを考慮。
・圧迫止血しても止血できない場合は、止血剤を含有させた包帯の使用を考慮してもよい。
 (弊会のファーストエイドコースでは Celox製のこの包帯を受講生の方に手に取ってご
  覧いただいていますが、1万円近くしますし、日本では入手が容易ではありません。)
・ガイドラインをまとめたのは今回も前回と同じMary Fran Hazinski(ハジンスキー)さん。
 2015年に、シカゴで開催された AHAのカンファレンスでは真っ赤な服でにこやかな笑顔
 で登壇されていたと思います。小児科の看護師さんだったと思います。


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■AHAガイドライン2015
http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2.toc
(*原文のPDF以外に、Googleの機械翻訳のリンクも併記しています)
( 機械翻訳なので参考程度ですが、カーソルを持っていけば原文が表示されます。)
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●Part_00 編集委員会
Editorial Board
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S313.full.pdf

●Part_01 要旨
Executive Summary
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S315.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oA75

●Part_02 エビデンスの評価と利益相反管理
Evidence Evaluation and Management of Conflicts of Interest
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S368.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkr

●Part_03 倫理的な問題
Ethical Issues
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S383.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkz

●Part_04 治療のシステムと継続的な質の改善
Systems of Care and Continuous Quality Improvement
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S397.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkK

●Part_05 成人の1次救命とCPRの質
Adult Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S414.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkN

●Part_06 CPRの代替手技と補助的器具
Alternative Techniques and Ancillary Devices for Cardiopulmonary Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S436.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAkT

●Part_07 成人の2次救命
Adult Advanced Cardiovascular Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S444.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAl7

●Part_08 心拍再開後のケア
Post–Cardiac Arrest Care
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S465.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlh

●Part_09 急性冠症候群
Acute Coronary Syndromes
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S483.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlo

●Part_10 特殊な蘇生の状況
Special Circumstances of Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S501.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlC

●Part_11 小児の1次救命とCPRの質
Pediatric Basic Life Support and Cardiopulmonary Resuscitation Quality
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S519.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlL

●Part_12 小児の2次救命
Pediatric Advanced Life Support
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S526.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAlU

●Part_13 新生児の蘇生
Neonatal Resuscitation
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S543.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAm3

●Part_14 教育
Education
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S561.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmf

●Part_15 応急処置
First Aid
原文 http://circ.ahajournals.org/content/132/18_suppl_2/S574.full.pdf
和訳 http://qq2q.biz/oAmp
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以上です。


posted by jemta at 22:32| 日記

2015年10月14日

ILCOR CoSTR2015/AHA・ERC・JRCのガイドライン2015が発表されます。



本記事のURL
http://jemta.org/index_151014.html
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こんばんは。AHA 岡山 BLS JEMTA日本救命協会の久我です。いよいよガイドライン2015が
明日、公表されます。今回でまだ3回目ですが、ガイドライン改定の時はいつも楽しみです。

前回のガイドライン2010の改定の時は、以下の記事にまとめました。
ILCOR CoSTR2010 / AHA ガイドライン2010
 http://jemta.org/index_101017.html
2010 AHA Guidelines for CPR and ECCの公表(日本語版ハイライト)
 http://jemta.org/index_101018.html
AHAの新しいガイドラインG2010と個人的な所感
 http://jemta.org/index_101109.html

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■前回と今回の主な違い
・前回のG2010改定
AHAはガイドライン2010発表と同時に12言語でガイドラインのハイライトを発表しました。
http://goo.gl/e7W5nu
日本が始めて ILCORに参加し、日本も日本版ガイドラインを発表しました。ただ、日本版
の発表は予定より少し遅れて発表され、単にCoSTR を和訳した程度の所もあったように記
憶しています。
 
・今回の2015改定
従来はナラティブな(物語りと対話に基づく)ガイドラインを使用していた為、例えば、
RCT(Randomized Conrtrolled Trial;ランダム化比較試験)1編でガイドラインが引きずら
れる可能性がありましたが、今回から、名だたる国際機関も採用している GRADEシステム
で作成されるようになったため、従来より、公正・妥当な勧告が期待できると思います。
http://jemta.org/index_140430.html
AHAのハイライトに関しては、残難ながら今回の発表はガイドラインと同時ではなく、遅
れて11/12月に発表される予定になっています。尚、言語の種類は前回より5言語増えて17
言語ということです。
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■ホームページの比較
ILCORのホームページ
http://www.ilcor.org/
からリンクされているERCとAHAの新ガイドラインの発表には温度差があるようです。

・ERCは前回2010のERC Guidelinesと同じURL
http://www.cprguidelines.eu/
で、派手な新版のカウントダウンのホームページを作っています。 5年毎のガイドライン
改定を織り込んで、 URLを変えずに、新しいガイドラインを紹介する戦略的な手法だと思
います。カウントダウンにより発表時刻も予告していますし、準備万端のように感じます。
また、ERCの公式ホームである
http://www.erc.edu/
の中央正面に、新ガイドライン2015用のURLの予告もしています。

・AHAは前回のガイドライン2010のURLリンクは古いままですし、AHAの公式ホームである
http://www.heart.org/
には、新版用URLや発表時刻の予告もなく、別のページで、単に改定の日付10/15を公開し
ているだけのようです。(しかし、ガイドライン発表後の BLS等の講習会の改定のスケジ
ュール予定は詳細に発表しています。)
https://goo.gl/hME7Lz
前回改定時は、家電の新製品発表のような派手さもあったように感じましたが、今回は、
AHAはそれを止めて静かに改定を計画しているのか、或いはまだ準備が十分に進んでいな
いのかの、いずれかだと感じました。

・ILCORのホームページは元々は、AHAのドメインの中にありましたので、実質的に AHAが
管理していたと思います。現在のホームページはドメインは AHAから独立していますが、
ホームページには単に2015のスケジュール表があるだけで、体裁は古いままです。 AHAの
ページと同じで、派手さが全くありませんので、現在も AHAがこのホームページを管理し
ているように感じました。

・JRCのホームページ
http://jrc.umin.ac.jp/
では、ホームページ正面のトピックで、 JRCガイドライン2015を10月16日(金)の 12:00に
発表すると予告されています。当日はプレスリリースも予定され、又、当日のオンライン
版に加除修正を加えた完成版を、 2016年2月に医学書院から出版すると予告されてます。


■AHA/ERC/JRCのガイドライン2015発表時刻
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ERCのオフィスは、欧州のベルギーにあり、AHAの本部はダラス(米国中部時間)にあります。
日付変更線の関係で各国の現地時間15日への日付は、日本、ベルギー、米国の順で変わり
ます。 ERCガイドライン2015が発表される時刻は、各国の現地時刻でいうと以下のように
なります。

ERCガイドライン2015発表時の現地時刻
・米(中部) 15日 00:00
・ベルギー 15日 07:00早朝
・日本   15日 14:00

発表される時刻は、ベルギーの現地時間で朝7:00ですので、かなり早朝です。不思議に思
いましたが、この時刻はダラスが15日に日付が変わる時にあたります。。ということは、
AHAのガイドライン2015は、15日00:00に発表されるのかもしれません。 AHAが15日00:00
に発表するので、 ERCもそれに合わせたと考えると納得できるスケジュールです。各国の
ガイドラインは、ILCORのCoSTR2015に基づいて作成されます。 AHAもERCもCoSTRは共有し
ていますが、自国のガイドラインに関しては、公開前は共有していないはずです。前回は、
AHAもERCも同じ時刻にガイドラインを発表していたと思います。互いに相手の出方を見て
出すのではなく、独立して出すという姿勢です。この姿勢は歴史的に初めからのものです。
一方、日本はJRCガイドラインの発表は今回で2回目なのですが、前回の初回発表は AHA/
ERCの発表の後でした。残念ながら、今回も発表は16日12:00で、 AHA/ERCの発表の22時間
後です。AHA/ERCの独立した発表とは違うスタンスをとっていることがわかります。

尚、ILCOR CoSTR2015 と各国のガイドラインの発表時刻は日本時間では以下のようになり
ます。
・ILCOR 不明(下記ERCと同時刻?)
・AHA  不明(下記ERCと同時刻?)
・ERC  15日 14:00
・JRC  16日 12:00

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以上です。


posted by jemta at 21:10| 日記

2015年09月27日

成人の院外CPRは35分以上53分まで 欧州心臓病学会:金沢大の後藤由和教授の発表和訳



本記事のURL
http://jemta.org/index_150927.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。

先月、ロンドンで行われたヨーロッパ心臓学会(European Society of Cardiology)2015
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/ESC-Congresses/press-conference-schedule-including-details
での金沢大学病院救急部長の後藤由和教授の発表
「CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
 minutes」 (院外心停止のCPRは35分以上行うべき)
のプレスリリースと発表のスライドを以下和訳しました。

【要旨は】
成人の院外心停止において、
「CPRを35分行えば、助かる人は 99%助かる」
「CPRを53分行えば、助かる人は100%助かる」
(逆に言うと、CPRを53分行っても蘇生しない場合は、100%助からない)
但し
・小児は別
・体外循環使用は別
(低体温や中毒はもっと長く!?)
救急隊員のCPRにより病院到着前に自己心拍を再開した18歳以上の成人1万7,238例。
消防庁のウツタイン様式住民ベース研究に登録された2011〜2012年のデータ解析
科研費助成:「院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究」

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ESC Congress 2015 London, UK, 29 August - 02 September
FP Number     :1321
Embargo BST    :30 Aug. 2015 at 11:00
Presenter     :Associate Prof. Yoshikazu Goto(http://goo.gl/SDvg5i
Presentation Title:CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted
for at least 35 minutes


■Press release 報道発表
http://www.escardio.org/The-ESC/Press-Office/Press-releases/Last-5-years/CPR-for-out-of-hospital-cardiac-arrest-should-be-conducted-for-at-least-35-minutes
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CPR for out-of-hospital cardiac arrest should be conducted for at least 35
minutes
院外心停止のCPRは35分以上行うべき
                                  30 Aug 2015
                             London, UK 30 Aug 2015:
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Cardiopulmonary resuscitation (CPR) for out-of-hospital cardiac arrest should be
conducted for at least 35 minutes,according to research presented at ESC
Congress today by Dr Yoshikazu Goto,associate professor and director of the
Department of Emergency and Critical Care Medicine at Kanazawa University
Hospital in Kanazawa, Japan.1 The study in more than 17 000 patients found that
nearly all survivals were achieved within 35 minutes and longer CPR achieved
little benefit.

院外心停止の心肺蘇生(CPR) は、35分間以上は実施されるべきです。金沢大学附属病院の
救急部長・病院臨床教授の後藤由和氏が、本日ヨーロッパ心臓病学会で発表した研究によ
ると、17,000人以上の患者研究では、ほとんどの蘇生は35分以内に達成され、それ以上
CPRを行っても得られる利益は少ないということです。
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Ischemic Heart Disease and Acute Cardiac Care
虚血性心疾患・緊急心疾患治療
EMBARGO : 30 August 2015 at 11:09 BST

Dr Goto said:
"The decision regarding when to stop resuscitation efforts is one of the biggest
challenges for emergency medical services (EMS) personnel or clinicians.
However,the appropriate duration of CPR is not clear.
Clinicians have raised concerns that lengthy resuscitation efforts might be
futile. We investigated how long CPR should be conducted to achieve maximum
survival and favourable neurological outcome."

後藤教授の説明:
いつ蘇生を中止するかの決断は、救急隊や臨床医の最大の課題です。しかし、 CPRの最適
な時間は明らかになっていません。臨床医は長い時間の蘇生努力は無駄かもしれないと懸
念しています。我々はどのくらい長く CPRを実施すれば最大の蘇生率と良好な神経学的転
帰が得られるかを調べました。

This prospective, population-based study included 17 238 adults who received CPR
by EMS personnel in the field in 2011 and 2012. Patient records were obtained
from a national database. The researchers analysed the relationship between the
duration of pre-hospital CPR by EMS personnel (time from EMS-initiated CPR to
return of spontaneous circulation) and two endpoints: one month survival and one
month favourable neurological outcome after cardiac arrest.

この前向き・集団ベースの研究は、2011年と2012年において、救急隊からCPRを受けた
17238人の成人を対象としています。患者のデータは国のデータベースより得ました。
救急隊による病院前CPRの期間(CPR開始から自己心拍再開まで)と2つの評価項目(1カ月
後生存と心停止後の1カ月の良好な神経学的所見)との関係を調べました。

The study found that the probability of survival declined with each minute of
CPR (Figure 1). It also showed that 99.1% of all survivors and 99.2% of
survivors with favourable neurological outcomes achieved return of spontaneous
circulation within 35 minutes of EMS-initiated CPR (Figure 2). No patient with a
CPR duration of 53 minutes survived one month after cardiac arrest (Figure 2).

本研究により、 CPR継続時間が長くなるにつれて、蘇生率が低下することがわかりました
(図1.) 全ての生存者の99.1%と神経学的予後が良好な生存者の99.2%が、救急隊が CPRを
開始してから35分以内に自己心拍の再開が得られました。(図2.)53分間CPR を施行した患
者で、心停止後に1か月間生存された方はいませんでした。(図2.)

Dr Goto said: “Our study shows that EMS personnel or clinicians should continue
CPR for at least 35 minutes in patients who suffer cardiac arrest outside the
hospital. More than 99% of survivals and favourable neurological outcomes were
achieved by 35 minutes with minimal gains afterwards. CPR leads to absolutely no
benefit from 53 minutes onwards.”

後藤教授の説明:
我々の研究では、救急隊や臨床医は、院外心停止の患者には35分以上は CPRを続けるべき
であることを示唆しています。

“Our finding that the likelihood of surviving with a favourable neurological
outcome declines with each minute of CPR indicates that the time from cardiac
arrest to CPR is a crucial factor in determining whether a patient will return
to a normal life,” added Dr Goto. “This implies that we need to start CPR as
soon as possible.”

「良好な神経学的転帰での蘇生の可能性が、 CPRを続ける時間と共に低下しているという
我々の発見は、心停止から CPRまでの時間が患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める
重要な要因であることを示唆しています。」後藤教授は「このことは、できるだけ CPRを
早く開始することが必要だということを暗示しています」と付け加えました。

He concluded: “We hope our findings give EMS personnel and clinicians the
confidence that if they stop CPR after 35 minutes they have done everything they
can do for a patient. This should help them know when it is appropriate to move
on to the next medical emergency.”

後藤教授は「我々の発見によって、救急隊員や臨床医が、少なくとも35分間CPRを続けれ
ば、彼らは患者にできることは全て行ったと確信を持てるようになることを希望します」
と結論しました。



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Figure 1. Dynamic probability of 1-month survival and 1-month favourable
neurological outcomes
図1. 1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の動的確率
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰率(%)

【*訳注】例えば、心停止後CPRを行って蘇生できた人のうち、
1分以上CPRを行って1カ月間生存できたのは蘇生者全体の36.8%、
1カ月後の神経学的転帰もよかったのは蘇生者全体の21.8%
(つまり、CPR1分以上で蘇生できた人を、その後の1カ月間で見ると、
・神経学的転帰もよかった人は蘇生者全体の22%、
・神経学的予後が悪かった人は蘇生者全体の15%、
・1カ月以内に亡くなった方は63%。
まとめると、心停止後に一時的に蘇生できても、
助かるのは4割、社会復帰は2割。死亡は6割。)

例えば、CPR20分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の4.6%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは1.9%
(生存できたとしても、神経学的転帰は当然、生存率より低くなる)
例えば、CPR30分以上行って蘇生できた人の中で、
1カ月間生存できたのは、蘇生者全体の0.8%、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは0.4%
例えば、CPR53分以上行って生存できた人は0%。
例えば、CPR9分以上行って、1カ月生存できたのは全体の20%
例えば、CPR3分以上行って、1カ月後の神経学的転帰もよかったのは全体20%
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





Figure 2. Cumulative proportion of survivors and survivors with favourable
neurological outcomes 1 month after cardiac arrest
図2. 心停止後、1カ月生存と1カ月後の良好な神経学的転帰の累積割合
横軸:CPR継続時間(分)、縦軸:生存率・神経学的良好転帰の累積割合

【*訳注】
例えば、生存者の52.8%は  CPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の63.9%はCPR10分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の87.6%は  CPR20分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の91.3%はCPR20分以内で蘇生できている。
例えば、生存者の99.1%は  CPR35分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の99.2%はCPR35分以内で蘇生できている。

例えば、  生存者の50%はCPR10分以内で蘇生できている。
神経学的良好転帰者の50%はCPR 8分以内で蘇生できている。 
(早く蘇生したほど、予後がいい)
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○References 参考
1Dr Goto will present the abstract ‘Duration of resuscitation efforts and
survival after out-of-hospital cardiac arrest: an observational study’ during:
・The press conference ‘Cardiac Arrest: Improving Outcomes’ on Sunday 30
August at 14:30
・The session ‘Syncope and sudden death’ on Sunday 30 August at 11:00 in the
Agora, Poster Area (presentation at 11:09)

後藤教授は、院外心停止後の蘇生努力の持続時間と生存の観察研究を発表を予定。
・記者会見 心停止:治療成績の改善 8/30(日) 14:00
・失神と突然死会議 8/30(日) 11:00 会場内、ポスター会場(説明11:09)
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○Notes to editor 編集者への注記
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SOURCES OF FUNDING: This work was supported by the Japan Society for the Promoti
on of Science (JSPS) KAKENHI grant number 15K08543.
DISCLOSURES: None.
本研究は、日本学術振興会の科研費 研究課題番号:15K08543の支援を受けた。
院外心停止に対する蘇生中止基準に関する研究
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543.ja.html
https://kaken.nii.ac.jp/d/p/15K08543/2015/1/ja.ja.html
開示項目:なし


ESC Press Office
For background information or assistance, please contact the ESC Press Office.
For independent comment on site or interviews, please contact the ESC
spokesperson coordinator: +44 7785 467 947
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

About the European Society of Cardiology
The European Society of Cardiology (ESC) represents more than 90 000 cardiology
professionals across Europe and worldwide. Its mission is to reduce the burden
of cardiovascular disease in Europe.

About ESC Congress 2015
ESC Congress is the world’s largest and most influential cardiovascular event
contributing to global awareness of the latest clinical trials and breakthrough
discoveries. ESC Congress 2015 takes place 29 August to 2 September at ExCel
London in London, UK. Access the scientific programme. More information is
available from the ESC Press Office at press@escardio.org.
To access all the scientific resources from the sessions during the congress,
visit ESC Congress 365.
This press release accompanies both a presentation and an ESC press conference
at the ESC Congress 2015. Edited by the ESC from material supplied by the
investigators themselves, this press release does not necessarily reflect the
opinion of the European Society of Cardiology. The content of the press release
has been approved by the presenter.


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■スライドの和訳
http://www.escardio.org/static_file/Escardio/Press-media/Press%20releases/2015/Congress/Yoshikazu-Goto.pdf

●院外心停止後の蘇生努力の継続時間と生存:観察研究
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest
: an observational study
Background and Purpose
・The decision regarding when to stop resuscitation efforts for patients with
 out-of-hospital cardiac arrest is one of the biggest challenges for emergency
 medical services (EMS) personnel or clinicians.
・Moreover, the appropriate duration of cardiopulmonary resuscitation (CPR)
 remains unclear.
・Clinicians have also raised concerns that prolonged resuscitation efforts
 might actually be futile.
・In this study, we investigated how long CPR should be conducted to achieve
 maximum survival and favourable neurological outcome.
Y GOTO, T Maeda, A Funada, Y Nakatsu-Goto
Department of Emergency and Critical Care Medicine, Kanazawa University Hospital
, Kanazawa, Japan

背景と目的
・院外停止患者に対して、蘇生努力をいつやめればよいかの判断は、救急隊員と臨床医に
 とって最大の課題のひとつである。
・さらに、CPRの最適な継続時間はいまだによくわかっていない。
・臨床医はまた、蘇生努力を長く行っても実際には無益かもしれないとの懸念を提起して
 いる。
・本研究では、どのくらい長く CPRを行えば、最大の蘇生率と良好な神経学転帰の結果を
 得られるのかを調べた。
後藤由和、前田哲生、舟田晃
金沢大学附属病院救急部

●declaration of interest
I have nothing to declare 利益相反なし
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

●Methods and Results 方法と結果
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
Methods 方法
2-year-long, nationwide, population-based observational study conducted in
Japan (2011-2012) N = 17,238 adults who experienced a prehospital return of
spontaneous circulation (ROSC) after EMS-treated out-of-hospital cardiac arrest
Endpoints: 1-month survival and 1-month favourable neurological outcomes
2011年から2012年の2年間の日本全国、集団ベースの観察研究
院外心停止で、救急隊によって治療され病院到着前に自己心拍が再開した成人17,238人
エンドポイント(評価項目)
Results 結果
1-month survival rate 36.8% (6,347/17,238)
1カ月生存率
1-minth favourable neurological outcomes rate 21.8% (3,771/17,238)
1カ月後の良好な神経学的所見
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


●Figure1.CPR duration(*) and outcomes CPR経過時間と結果
横軸:CPR duration(min) CPR継続時間
Time from the initiation of CPR by EMS personnel to pre-hospital ROSC
救急隊によってCPRを開始してから病院前に自己心拍が再開するまでの時間

Survivors 10(IQR 6-16)
【*訳注】1カ月間生存していた方で何分CPRを行ったのかのデータを小さい順に並べると
小さい方から1/4の位置のデータは6分。第1四分位値 (1st quartile, Q1)=6
小さい方から3/4の位置のデータは16分。第3四分位値 (3rd quartile, Q3)=16
Q3-Q1=16-6=10となります。標準偏差SDは、各データからの平均値からのずれから計算し
ますが、interquartile range(IQR)四分位範囲は、Q3-Q1の値です。SDはデータ両端が、
離れていると大きな値になりますが、IQR四分位範囲は両側の1/4ずつは外しますので、大
きな値にはなりません。データのバラつきの範囲を示す簡易的な指標です。
この場合の中央値は、6+(16-6)/2=11くらいでしょうか。
1カ月生存できた方は、11±10分くらいは、CPRをしていたことになります。
Non-Survivors 10(IQR 6-16)
1カ月間の内に亡くなった方は、IQR=17で生存できた方の場合よりばらつきが大きいです。
1カ月後の良好な神経学的所見の方はIOR=8で、生存者全体より早い蘇生だったことがわか
ります。
神経学的所見の悪かった方のIOR=16であり、良好な方より長くCPRをしていたことがわか
ります。

All p<0.0001
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


●Figure 2. Odds ratios of CPR duration(*) CPR経過時間のオッズ比
Survivors 生存
 Crude 未調整オッズ比 0.91 (0.91-0.92)
 Adjusted調整オッズ比 0.93 (0.92-0.93)
Favourable 神経学的転帰良好
 Crude 未調整オッズ比 0.89 (0.89-0.90)
 Adjusted調整オッズ比 0.91 (0.90-0.92)

Odds ratio (95% CI)
*for 1-unit increment
【*訳注】
このFig2は、オッズ比のグラフが書かれていますが、比を求める分子/分母のオッズをど
うやって計算されたのか定義が不明です。又予後に関わらず救急隊が行った CPR継続時間
の分布の図がないのでイメージしにくいのですが、CPR durationのオッズ比となっていま
すので、仮に CPR経過時間が35分以下か以上かで、死亡/生存かでオッズを求めたのかと
考えてみました。生存のオッズ比が0.93になるように試行してみました。 CPR継続時間が
35分以下の場合を 85%程度から始めて、少しずつ増やして試行計算してみたのですが、な
かなかつじつまが合わなかったのですが、 99%で仮定すると、なんとなくそれらしくなり
ました。結果の表を以下に示します。




しかし、これだと35分以上 CPRを行ったケースが少なかったのにも関わらず、そのデータ
群を用いて、CPRが短かった所から外挿してCPR蘇生時間の限界値を出していることになり
ますので、この試行は全くの見当違いかもしれません。正式なペーパーのパブリッシュを
期待している所です。

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●Conclusion 結論
The likelihood of survival with a favourable neurological outcome declines with
every 1-minute increase in CPR time after out-of-hospital cardiac arrest.
→ CPR duration is a crucial factor in determining whether a patient will
returen to a nomal life.
院外心停止後のCPRの時間が1分増すごとに、良好な神経学的転帰の可能性は減少します。
→ CPR継続時間は患者が普通の生活に戻れるかどうかを決める重要な要因です。

To achieve maximum survival and favourable neurological outcome, EMS personnel
should administer at least 35 minutes pre-hospital CPR for patients with
out-of-hospital cardiac arrest.
→ If EMS personnel stop CPR after 35 minutes,they have done everything they can
do for a patient.
院外心停止の傷病者に対して、救急隊員は蘇生率と神経学的転帰が最大になるように、35
分以上はCPRを続けるべきです。
→ 救急隊員が35分後にCPRを止めたとしても、彼らは傷病者に対して、できることは手を
尽くした言えます。
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【*訳註】
AHAガイドライン2010の3章では、「倫理」の勧告の章があり、以下関連部分の抜粋です。

「アメリカ救急医学会(National Association of EMS Physicians:ABEM)ではALSを20分間
行っても反応しない患者の場合、蘇生努力を中止できることを示唆している。(中略)
このルールは米国、カナダ、およびヨーロッパの複数の地域で、成人患者に対して後ろ向
きかつ外部的に確認されており、すべての ALSサービスでこのルールを採用することが合
理的といえる(クラスUa、LOE B)」S670ページ

「1990年、医学的無益の客観的基準は、治療介入および薬剤による生存の可能性が、1%を
下回る場合と定義された。この基準には議論の余地があるかもしれないが、現時点ではこ
れが医学的無駄の研究の基盤となっている。」S668

「現場で蘇生を終了することで、救命救急士が誤ってバイオハザードにさらされる危険性
や、救急部での死亡判定かかる高額なコストを下げることができる。より重要なのは、搬
送中に CPRの質が低下することであり、救命率は病院へ急ぐことよりも、現場でのケアを
最適化することに結びついている点である」S670

「蘇生行為を意図的に遅らせたり、見かけ上行っているような形だけの努力、いわゆる
「 Slow-code(スローコード)」(無効な蘇生と知りながら蘇生)を行うことは適切ではな
い。このような行為は医療従事者の倫理的誠実さを傷つけ、欺瞞によって誤った印象を生
み、医師と患者の関係を損なうことにつながる。「疑似蘇生」行為はプレホスピタルDNAR
および蘇生中止プロトコルが実施されていない地域で、心停止の 27%で行われると救急救
命士によって自己報告されている」S669

「(新生児 蘇生努力の中止)心拍を検出できない新生児では、10分間心拍数を検出できな
いままの場合」、蘇生の中止を考慮するのが最適である(クラスUb LOE C) 心拍を検出で
きない新生児に10分を超えて蘇生の努力を継続する場合、推定される心停止の原因、新生
児の在胎週数、合併症の有無、低体温症の潜在的な役割、許容できる病態のリスクについ
て両親が事前に示した感情などの要因を考慮しなければならない」S938


【*私見 以下は完全なる私見です。】
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スローコードについて
CPRは本人の介入同意を仮定しての侵襲性の高い行為です。蘇生の見込みがない状態でCPR
を続けることは、スローコードであり、個人の尊厳を傷つけることになると思います。本
人が心停止してからの臨終から死への遷移は、周囲の人の医学観から宗教観・生死観への
切替えが必要であり、自然科学の物質観より、個人や家族の宗教的価値観への配慮がなさ
れるべきだと思います。家族への配慮や医療者に関することは文献にありますが、臨終を
迎える本人の事に関する宗教の文献を調べた所、日本の最大の仏教団体の臨終に関する文
献には、臨終の時に指一本でもさわると、本人は、大磐石を投げられたように痛く感じる
とあります。だから亡くなってから、半日は遺体を動かすべきでないと昔から戒められて
いると書かれています。(日寛上人著 臨終用心抄(富士宗学用集第3巻P259〜269))
http://sgi.daa.jp/makiisi/9410rinjyu.html
一方、ご家族への配慮について、 CPRとは違いますが、例えば「死後直後の死体による訓
練に関する倫理S673」では、「死亡直後の死体を訓練に用いることは、倫理的、法的に重
大な問題が絡んでいる。(中略)死体は人ではなく自律や関心をもたないため、同意は必
要ないという意見もある。しかしこれらの主張は、死んだばかりの愛する人を訓練や研究
用に使うことに反対するするかもしれない残された家族を傷つける可能性を十分に重視し
ていない。(中略)最終的には、医療従事者の救命技術を訓練する必要性よりも個人に関
する配慮を優先すべきである」とも書かれています。
もし、ご家族が納得するようにとスローコードを強行すれば、家族によっては、『本人が
見ず知らずの他人から胸を押されて痛がっているのではないか』と感じるかもしれず、家
族の心を傷つけ、不信を抱く結果になる可能性もあります。

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新生児のCPR中止基準「10分」
AHAのガイドライン2005の第2部第2部 倫理上の問題では、「新生児の新生児では、継続
的なまた適切な蘇生努力を10分以上行なっても生命徴候が認められない場合、蘇生を中止
する事は許容されうる。 10分以上の徹底した蘇生努力を行なっても反応が無い場合には、
生存する見込みや障害なく生存する見込みはきわめて低い[8-11]。これまで小児において
は蘇生が長時間にわたり2回のアドレナリン投与 によっても自己心拍の再開(ROSC)が得ら
れなかった場合には、生存の見込みはないと考えられていたが[12]、院内で非常に長時間
にわたる蘇生を行なった後に神経学的に異常なく生存した例が報告されてきている[13-15]
http://plaza.umin.ac.jp/GHDNet/05/aha-020.htm
と書かれています。

AHA岡山BLSで、 BLS-HCPを受講された看護師さんから過去に印象深い体験を伺ったことが
あります。「私は、ドクターと一緒に新生児の蘇生を始めましたが蘇生できず、ドクター
は時計を見て「もう10分経ったよなぁ」と言って部屋を出ていかれましたが、私は『いや
この児は絶対助かる』と決めて、一人で部屋に残ってずっとCPR を続けました。45分くら
いしたら、赤ちゃんの顔が急にぱーっと赤くなり、その赤ちゃんは助かりました。私は喜
んでドクターの所に走って行って、「先生、助かりましたよ!」と言ったら、ドクターは
「あっそぅ」と生返事をされました。しかし、この事が私の看護師としての誇りになって
います」と涙ぐんでお話しをされました。

個人的には、新生児のこの10分という中止基準は少し早すぎるのではないかと思っていま
す。AHAガイドライン2010 新生児蘇生
http://circ.ahajournals.org/content/122/18_suppl_3/S909.full.pdf
のS915ページのこの「10分」勧告のベースは3つの文献です。それぞれ93/42/208児の少数事例
93児
http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0022347605800460
42児
http://fn.bmj.com/content/78/2/F112.abstract
208児
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19948631
『成人が35分 /53分なのに、何故、新生児は10分と短いのか。早くあきらめているのでは
ないか?産科医は新生児を「意識」や「心」のある人と捉えているのか?』という素朴な
疑問は、産婦人科医の池川先生の著作を何冊か読んで逆説的に感じました。例えば「生ま
れた赤ちゃんのお尻を強く叩くと赤ちゃんが怒った顔をするのがわかった。それから対応
を変えると、赤ちゃんの反応もよくなった」という文や、子どもが自分の出産の時の記憶
を語った文章が特に印象に残っています。池川先生も、大規模に子供に胎児記憶のアンケ
ートを行ってから、それまでの考え方が変わったと書かれていましたから、逆説的に普通
の産科医の考え方を推測して、この疑問を持った次第です。
http://www.30ans.com/memory/
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【*訳注 参考文献】
・Medical-Tribune 院外心停止例へのCPRは何分続けるべきか(ESC2015の本発表の紹介)
https://medical-tribune.co.jp/news/2015/0908024236/
・Duration of Resuscitation Efforts and Functional Outcome after Out-of-Hospital
 Cardiac Arrest: When Should We Change to Novel Therapies?
http://circ.ahajournals.org/content/128/23/2488.full
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4004337/


・CPRをやめるとき 最新救急事情2000/01月号 OPS(30分が中止目安)
http://ops.umin.ac.jp/ops/jijou/jijo_10.html
・一般内科医のお勉強ブログ&日々の徒然 心肺蘇生はいつ止めたら良いのか(最低20分) 
http://pannai.blog.fc2.com/blog-entry-72.html
・救急科専門医の独り言 いつまで蘇生を続けるべきか?(20分で中止検討)
http://kekimura.blog.so-net.ne.jp/2012-07-01
・低体温下のヒト脳は長い心肺蘇生法でも回復する
 CPR2時間45分後にほぼ完全な脳蘇生に成功した1 成人例
http://www.anesth.hama-med.ac.jp/Anedepartment/soseigakkai-25th-%E3%82%B7%E3%83%B3%E3%83%9D%E3%82%B8%E3%82%A6%E3%83%A01%EF%BC%88%E5%B2%A9%E4%B8%8B%EF%BC%89.pdf
・心停止82分奇跡の生還 西予61歳男性 後遺症がなく回復
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6126357
・Duration of resuscitation efforts and survival after in-hospital cardiac arrest:
 an observational study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(12)60862-9/fulltext?rss=yes
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以上です。



posted by jemta at 20:04| 日記

2014年05月13日

食物によるアナフィラキシーの時系列症状とエピペン治療介入



本記事のURL
http://jemta.org/index_140513.html
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こんにちは。
AHA岡山BLS・JEMTA日本救命協会の久我です。


■1.初めに
一昨日、市民公開講座が開かれました。
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市民公開講座『食物アレルギーとアナフィラキシーへの対応』
(第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
2014/05/11(日) 14:00 〜 16:00
国立京都国際会館(アネックス2)
(京都市左京区岩倉大鷺町422番地)
[主催] 一般社団法人 日本アレルギー学会
http://eventregist.com/e/jsa2014
Ustream公開録画[2h:04m:48s]
http://www.ustream.tv/recorded/47400848
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■2.「アナフィラキシーへの対応」講演
以下は、講演2のメモです。メモですので、信ぴょう性には欠けます。また、一部加筆し
ています。
                                    [49:38]
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講演2:アナフィラキシーへの対応
演者:亀田誠(大阪府立呼吸器アレルギー医療センター小児科)
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                                    [52:04]

表1.即時型食物アレルギーの症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
皮膚症状   89.7% (蕁麻疹じんましん)
呼吸器症状  32.1% (咳、ゼィゼィ、ヒューヒュー、息苦しい)
粘膜症状   27.9% (口の中がかゆい、鼻水、鼻づまり、涙、目がむくむ)
消化器症状  17.5% (お腹の症状)
ショック症状 11.8% 
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表1は、ある食べ物を食べて、どんな症状が1時間以内にでてきたかの調査結果。

食物依存性運動誘発アナフィラキシーは、食事後に運動した時にあらわれる。おきる頻度
は、小学生=0.005%、中学生=0.02%、高校生=0.009%で中学生が多い。学校で初発すること
も多い疾患。
アナフィラキシーは、原因となる物質に暴露されてから短時間で生じる急性の全身反応で
狭義には IgE抗体を介するアレルギー反応を示す。 原因、誘因は、食物、アルコール、
刺虫(ハチなど)、刺咬(ハムスターなど)、ラテックス、薬剤、運動などがある。
食物アレルギーの場合、食事の最中から食後2時間程度までの間に、いろいろな症状が身
体のあちこちに出現し、急速に悪化する状態。

                                    [56:22]
アナフィラキシーショックは、アナフィラキシーの内で、ショック症状を呈する状態。
ショックとは種々原因で循環動態に異常を生じ、全身の臓器に必要な酸素を供給すること
ができない状態。一般に血液低下、意識低下(喪失)などの症状で示される。

以下の表2は、私たちが経験した一例。
                  (出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
表2.4歳男児 小麦(そうめん)負荷テスト
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
時間  小麦摂取 症状         治療
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30分後 0,05g   症状なし
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    0.1g 
20分後      咳込み        ○気管支拡張薬吸入
                    ▽抗ヒスタミン薬内服
35分後      咳が続く       ○気管支拡張薬吸入
40分後      咳が悪化       ●アドレナリン注射
         顔面紅潮、蕁麻疹出現 △ステロイド薬内服
50分後      咳は改善傾向
70分後      蕁麻疹が全身に広がる ◎生理食塩水点滴 
         手足冷たい、意識低下 ●アドレナリン注射
95分後      蕁麻疹改善傾向
         呼びかけに答える
180分後      皮膚の紅潮は残存
         呼吸症状はなし
         意識は清明
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
このお子さんは小麦のアレルギーを持っておられ、2年ほど除去を続けていたが、そろそ
ろ食べられないかということで、私たちの所を受診された。実際に食べたのは小麦の乾麺
量で0.1g程度。うどん1杯が小麦乾麺50〜60gなので、かなり少ない量。この量を食べて、
20分くらいしたら、コンコン咳込み始めた。お薬を使ったけれども、なお具合が悪くなっ
た。40分たつと、呼吸器の症状に加えて皮膚の症状まで起きてきた。いろんな症状がどん
どん悪くなってきており、つまりアナフィラキシー症状。ここでアドレナリンの注射を行
った。別のお薬も使った。一旦よくなったが、注射30分後にまた具合が悪くなった。今
度は呼吸器ではなく、手足が冷たくなって、意識が低下した。これはショック。ここで再
度アドレナリンの注射などを行って、ようやく落ち着いてきた。このお子さんはごく微量
の摂取で症状がでており、症状の発現から症状の進行がきわめて急速。一旦よくなった後
に、この子の場合は再度悪くなっている。こんなこともある。


[☆加筆]
前回投稿した薬によるアナフィラキシーでは、最初に蕁麻疹がでましたが、この食物
アレルギーの場合は、最初に呼吸器症状(A) がでています。次に蕁麻疹もでたため、
アドレナリン注射をしています。次に蕁麻疹が拡がり意識が低下したため(ショック)、
再度アドレナリン注射をしています。最初のアドレナリンの効果は30分のみです。30分後
に2回目のアドレナリン注射をしています。
[/☆]

                                    [59:46]

食物アレルギー症状発現時の対応:
いつでも医療機関を受診できる体制を持っておきましょう!
自宅だけではなく、学校ではどうするか、旅先ではどうするかといったプランを持つこと

アレルゲンを誤って口に入れてしまった場合、体や目についてしまった場合は、落ち着い
てまずは洗い流す。

・口に入れた時⇒口から出せるものは出して、口をすすぐ。(口内違和感は重要な症状)
・皮膚に付いた時⇒洗い流す(タオルで拭かない)(さわった手で目をこすらないように)
・目症状が出た時⇒洗顔。(かゆみ、充血、球結膜浮腫)
できるだけ、お子さんをその場から動かさないで対応する。急速な悪化を防ぐことが可能。

短時間の間に急速に悪くなるので、できるだけ子どもから目を離さないことが重要。最初
に緊急性が高いアレルギーか否かを判断する。緊急性が高いアレルギー症状は、昨年の7
月にだされた日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」としてリリースさせ
ていただいた。

[☆加筆 日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす
[/☆]

おなかが痛いと訴えた時は、トイレに連れて行くのではなく、その場でエピペンを打つこ
と。子どもを見ていて、息苦しそうだと感じた場合は、上記の表の呼吸器の症状にあては
まる。上記の表のどの項目のどれに相当するかと考えていると、いつまでたっても答えは
でてこない。『息苦しそうかなぁ』と見えたら、迷わずエピペンを打つ。全身の症状で、
「唇や爪が青白い」というのはとてもだいじ。具合が悪い時には、「だいじょうぶ?」と
言ってぜひ手を握ってみてください。食べた後に手足が冷たいということは通常は起こり
えない。それはアナフィラキシーだと判断する。血液が手足の末端までしっかりめぐって
いないということを示していると考えて、エピペンを打たねばならないタイミングである。
強いお腹の症状、息が苦しそう、全身を見て・触れて具合が悪いと思えば、エピペンを。

                                   [1:07:01]
いずれにしてもこのような症状があれば、子どもたちをできるだけ寝かせて下さい。なぜ
かというと、立っていると、頭への血液が循環しなくなるから。頭を心臓と同じ高さにも
ってくる。(足の下に枕などを引き、末梢の循環を犠牲にしても頭などの中心循環を保つ)
そして、ただちにエピペンを使用する。救急車も要請する。ここで救急車をためらう必要
はない。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆]
AHAのファーストエイドコースG2005では、ショックの時に寝かせた後、足の拳上をしてい
ましたが、G2010コースでは足の拳上はなくなりました。しかし、AHAのガイドライン2010
では、以下のように書かれています。
AHA G2010日本語版 S960
傷病者がショック状態にあることが明らかな場合は、傷病者を仰臥位にする。外傷がない
ことが明らかであれば、足を30-45°/ 15-30cm程持ち上げる。この持ち上げる動きや得ら
れた体位によって傷病者が苦痛を訴える場合は足を持ち上げないようにする。
[/☆]

                                   [1:08:36]
エピペンの有効性は極めて高く、82% というデータがある。ただし、エピペンが効かない
場合もあるので、打つのと救急車を呼ぶのは同時。副作用は3.7%しかない。これは、痛い
とか血がでた、お薬自体の作用で心臓がドキドキするなどで、ごく一時的な、おおまかに
は30以内にはほとんどおさまってしまうような副作用のみ。エピペンは極めて有効で安全
なお薬。だからためらわずに打っていただいていい。

もし、上記のような症状がなくても、緊張をきらせないでいただきたい。その理由の一例
を以下に示す。

表3.鶏卵チャレンジ症例(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
接種後 症状 使用薬
直後  のどのかゆみ、イガイガ感 ⇒ 頓服
↓   無症状

60分  腹痛
90分  喘息発作、腹痛      ⇒ 吸入
100分  喘息発作、腹痛      ⇒ 点滴開始
150分  改善
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
この子は卵をほんのひとかけら食べた。1gも食べていない。そうすると食べた直後から、
のどのかゆみ、イガイガ感がでてきたが、飲み薬を飲んだら落ち着いた。以前はもっとひ
どかったので今回はよかったと思っていると、60分後にお腹が痛くなり、90分後に喘息発
作を起こしてきた。(もし、これが自宅だったらエピペンの適用になるが)、この子の場
合は古い症例だったこともあり、吸入と輸液で治まっている。このようにあとになってか
ら症状が表れてくる場合もある。少なくとも気がついてから2時間から3時間はしっかり
見守る必要がある。アナフィラキー反応は接種後すぐに生じるわけではない。最低でも、
2時間、念のためには3時間見ておくとよい。数回の軽い咳であってもアナフィラキシー
が疑われるならば、食物アレルギーが疑われるならば、ためらわずに速やかに医療機関を
受診していただいてかまわない。ここが一番のポイント。
特に、目、口、鼻の粘膜症状や皮膚の症状だけで、必ずしもエピペンを打つ必要はないが、
経過を見ていて悪くなるようだったら、エピペンを打つことを考慮する。

                                   [1:12:38]
こんな経験がある。学校で誤食をした子がいた。一度食べた時には大変な症状を起こした。
アナフィラキシーショックを起こした。それからしばらくしてまた本人が同じような訴え
をした。唇がピリピリすると。それだけだった。しかし、その訴えを聞いて養護教諭の先
生が『これはもしかしたらアナフィラキシーで、またショックになるかもしれない』と、
病院を受診させてくれた。病院で診ていると徐々に悪くなってきて、一番よいタイミング
で、アドレナリンを投与することができたことがある。

                                   [1:18:30]
緊急時にエピペンを落ち着いて使えるか否かは、もう練習するしかない。何度も何度も、
ケースから出して打つ模擬練習が必要。中には処方して1年間、封さえも開けていない方
もおられると聞いている。何のために処方されているのかわからない。ぜひ出して訓練器
(トレーナー)を使って練習していただきたい。万が一の時のために使えるようになるよう
に。

                                   [1:19:03]
個々人がどのような特徴を持って、食物アナフィラキシーを起こすかということについて
以下の表4のようにまとめられるといいのではないか。

表4.食物アレルギーの診断 問診(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1.何をたべたか?
   初めから原因食材を決めつけない。調理方法も確認する。
2.どれだけ食べたか?
3.食べてから症状発現までの時間とその間の過ごし方
   即時型反応はおおむね2時間以内に発症する
   運動の有無に注意(食物依存性運動誘発アナフィラキシー)
4.症状の有無は?(特徴は?皮膚から出るか、呼吸器から出るか)
   接触性に生じた症状の可能性はあるか?
5.症状の再現性(既往歴の確認)
6.最後のエピソードはいつか?
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の表をまとめて、親戚や学校や園に渡しておけばそれだけで、しっかりとした
情報共有ができる。

                                   [1:20:15]
食物アレルギーは食物によって症状の出方がまったく違う。
図1.卵白陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_egg_ana.jpg


卵で言うと、消化器症状の、お腹が痛いが一番多い。そして皮膚の症状が次。呼吸器の症
状は、全体でも33%。これは負荷テストの結果だけれども、この程度しかない。

それに対して小麦はどうかというと、
図2.小麦陽性例の誘発症状(出典:第26回日本アレルギー学会春季臨床大会)
140513_wheat_ana.jpg



消化器はほとんどない。皮膚症状あるいは、皮膚+呼吸器症状が多く、呼吸器の症状は全
体で6割もある。卵の場合と倍違う。このようなことを知りながら、皮膚症状がないから
大丈夫とか、そんなことはない。この子の場合はお腹から来る。この子の場合は呼吸器か
ら来る。このような情報を共有すればいいのではないか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上講演メモ終わり


以下は、前回投稿の、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲です。
http://jemta.org/index_140503.html
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
[☆加筆 エピネフリン(エピペン)を打つタイミング]
[林先生は、全身蕁麻疹があり、かつ、ABCDのうちどれかの症状があればエピネフリンを
[打てと言われています。また、蕁麻疹だけの場合はエピネフリンは不要だと。

[■以下は、薬物によるアナフィラキシーショックの時系列の例です。
[【症例】20歳代女性
[     (出典: 厚労省H19重篤副作用疾患別対応マニュアル アナフィラキシーP26)
[             http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/12/dl/s1213-4h.pdf
[近医で気管支炎の診断にて抗菌薬、セフジトレン・ピボキシルが処方され(現在は
[カゼインを含有していない)、内服したところ20分後に全身蕁麻疹が出現しため受診。
[抗菌薬によるアナフィラキシーを考え、クロルフェニラミン(5 mg)の点滴を開始した。
[抗菌薬内服45分後に喘鳴が出現し、SpO2(room air)85%、収縮期血圧89 mmHgとなり
[アナフィラキシー・ショックの治療のため、直ちに酸素投与(マスク6L/分)、
[アドレナリン 0.3 mg筋注、生理食塩水500 mL(10分)と同時にメチルプレドニゾロン
[40 mgの点滴投与と塩酸プロカテロール 0.3 mgを吸入させた。内服55分後には、
[SpO2(マスク6 L/分)93%、血圧110 mmHgとなり、以後、乳酸リンゲル 500 mL/時間の
[持続点滴し、抗菌剤内服120分後には、蕁麻疹は消退傾向で、喘鳴は消失し、
[SpO2(鼻カテーテル2 L/分)98%、血圧120 mmHgまで改善し、内服180分後には、呼吸、
[循環状態は改善した。

140503_anaphylaxy.jpg


[この例で、抗菌薬によるアナフィラキシー症状は、まず蕁麻疹が先に表れています。
[次に、喘鳴が現れ、SPO2(血液中の酸素飽和度)と血圧が急に下がっています。この例で
[はアドレナリン(エピネフリン:エピペンと同じ)と輸液の治療介入により、その5分後
[くらいから、SPO2と血圧は改善し始めます。

[日本小児アレルギー学会の「一般向けエピペンの適用」では、
[ http://www.jspaci.jp/modules/membership/index.php?page=article&storyid=63
[「エピペンが処方されている患者でアナフィラキーショックを疑う場合、下記の症状が
[ 一つでもあれば使用すべきである」となっています。

[・消化器の症状D:繰り返し吐き続ける 持続する強い(がまんできない)おなかの痛み
[・呼吸器の症状A:喉や胸が締め付けられる 声がかすれる 犬が吠えるような咳
[       B 持続する強い咳込み ゼーゼーする呼吸 息がしにくい
[・全身の症状 C:唇や爪が青白い 脈を触れにくい・不規則
[         意識がもうろうとしている ぐったりしている 尿や便を漏らす

[上記のアレルギー学会の指針でも林先生の講義と同じで、蕁麻疹がでたら打てとは書い
[てありません。アレルギー学会と林先生の指針を比較すると、
[消火器の症状=D、呼吸器の症状=A/B、全身の症状=C に相当すると思います。もし、
[学会の指針の、「消化器の症状」の項目が一番下に書かれていれば、上からABCDの順に
[チェックできるので、そのように並び替えて覚えておいた方が覚えやすいかもしれませ
[ん。

■Dr.林のアナフィラキシーのABCD
エピネフリンを早く使えというのは、一体どういう時か?

全身蕁麻疹+アナフィラキシーのABCD(以下のどれかがあれば…)
      A:Airway    喉頭浮腫
      B:Breathing  喘息
      C:Circulation ショック
      D:Diarrhea   下痢、腹痛

結局、アナフィラキシーの何を診たいのか? 全身の血管が腫れているかを診たい。死ぬ
のは、喉、肺、全身の血圧のC 、あとおなかの中の血管も腫れているかどうかを診るのも
大事。「おなかが痛い」とか、「下痢してきた」という場合は、実はただの蕁麻疹だけで
はなくて、おなかの中の血管も腫れているという事。この時は筋注の適用だと思った方が
いい。比較的早めに使う。本当に蕁麻疹だけでそれほどたいしたことはない場合は、
エピネフリンはいりません。上記の図でABCDにひっかかる、全身の蕁麻疹があった場合は、
エピネフリンを筋注でオーダーすることがすごく大事。なるべくでかい筋肉に0.3m筋注。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
以上、林寛之先生の「アナフィラキシーショック」講義のメモの再掲終わり。


■3.最後に
林寛之先生の講義で、エピネフリンを使うタイミングは、全身蕁麻疹にプラスして、
アナフィラキシーのABCDのどれか一つ症状があれば、エピネフリンを打てということでし
た。(つまり、細かな議論では、皮膚症状があることが前提条件となっています)

但し今回の亀田誠先生の講演にあった図1の卵による食物アレルギーの症状では、全体で
も、約40%に皮膚症状は表れていません。また図2の小麦アレルギーの場合は、全体の20%
には、皮膚症状が表れていません。
この場合は、林先生の指針ではエピネフリンの適用にあてはめることはできないと考えら
れます。林先生はこれまでのご経験から、アナフィラキーには蕁麻疹症状が多いので、こ
のように講義されたと思いますが、アナフィラキシーを食物アレルギー領域まで敷延して
考えれば、日本小児アレルギー学会が出している指針通り、
『皮膚症状の前提条件にとらわれることなく、アナフィラキシーのABCDの症状が一つでも
あれば、すぐにエピネフリンを適用する』とするほうが適切ではないかと考えられます。

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posted by jemta at 18:35| 日記